DELETE Life
「私の人生は2パーセントの夢と3パーセントの喜びと1パーセントの幸せと94パーセントの悲しみでできている。」
少女は暗がりの街灯の下でそう考えた。
少女は先日、両親を失った。父はギャンブルにはまり、母はめったに家には帰ってこない。そんな二人でも少女にとっては唯一の家族だったなのである。内気で内向的であったその少女には親戚とのつきあいもない。少女にはもう帰る場所もない。すべてを失ったその少女は今、ビルの屋上に一人たっている・・・
「もう・・・おわり」
少女は最期の一歩を踏み出そうとしたそのとき、少女をひきとめるものが現れた。白いマントをはおり、きれいなお面をつけた青年だった。その青年は少女にこう告げた。
「僕はデリーター。あなたの人生の不必要なものを消してあげる。なんだって大丈夫、あなたの望むものならあなたの今ある悲しみだって消してあげられるよきっと。さぁ言ってみて」
少女は迷わずこう答えた。
「私という存在を消してよ・・はじめからいなかったことに」
予想もしていなかった答えに少し驚くデリーター。
「本当にそれを望むのかい?」
少女の目に涙が浮かぶ。
「私なんてはじめからいないほうがよかったのよ、誰にも祝福されない・・いらない子なのよもともと・・はやく・・消して」
デリーターはコクリとうなずいた。
「じぁ君がこの世に生を受ける前。あなたがまだ母親のおなかの中にいたころにもどってデリート作業を行うよ、ついてきて」
少女とデリーターは15年前の世界にもどった。そうして少女が生まれた病院にたどりついたのであった。
「302・・303・・・304・・・・ここだ」
少女の母親の病室に到着。彼が少女に最後の確認をした。
「じゃあ・・・はじめるよ」
うなずく少女。そして少女はそっとドアノブに手をかけた。すると病室から母親と父親の楽しげな会話が聞こえてきた・・・
「楽しみね、お父さんに似ておばかな子にならないといいけど」
「馬鹿いうなよ。俺に似たらそりゃー大物になるぞ!歌手とかスポーツ選手とか大統領とかなぁ!」
「ふふ、まぁもしそうなってくれるといいわね、夢みたいな話だけど。でも何より・・・私たちより長生きしてほしいわね」
「あぁ、あたりめぇだぁ。何があっても強く生きてほしいなぁ」
「どこえ居たって見守ってあげましょうねこの子を」
「あぁ、当然だぁ、元気に育てよ!恭子」
「早く生まれてきてね恭子」・・・・・
恭子の目から涙がこぼれた。恭子はドアノブから手をはなした。
「わたし・・・頑張ってみる」
デリーターは優しくコクリとうなずいた・・・
気づけば恭子は暗がりの街灯のしたに一人でたっていた。
恭子はこうつぶやいた。
「私の人生は2パーセントの夢と3パーセントの喜びと1パーセントの幸せと・・・94パーセントの希望でできている」
そして恭子は明るい街明かりの方へ・・・歩きはじめた。
END
最後まで読んでいただいた方々へ
「ありがとうございます」
初めての作品です。いたらぬ点も多くあったとおもいますが
何か感じていただけたなら幸いです。
ありがとうございました。