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start//3

はい。今回も予定通りの毎土曜日投稿。

それにしても、この台風関東接近。何それ怖い。

俺は今、目の前にいる分からず屋に怒鳴る。


「だからさぁ! 俺はここに呼び出されたっていってるだろ!?」


手に持つ、『呼び出しプリント』を見せる。

が、衛兵……つまりは正規兵区画に入る場所にいる兵士に、足止めされている。


「ふん! お前のような訓練兵が、正規兵区画に、それも、

シフト6・7幹部駐留場に呼び出される訳がないだろう。

そんな分かりきった偽物なんてさっさと捨てちまえ」


「て、てめえ……」


ストレスが溜まってきた。

いきなりコレって、めんどくせえ……。


「どうしても、どかないと?」


「当たり前だ。俺はシフト4だ。訓練兵に負けるか」


……何処に行っても、言われる事は同じかよ。

底が知れるな…………。


「もう、良いよな? ……黒「待ちなさい」……ん?」


衛兵と俺が言い争ってる場所に、颯爽と登場する女。

黒く長い髪は、後ろで一本に束ねてある。

そしてその瞳は、強い意志を感じさせる。

十人に十人が振り返りそうな美人だ。


するとその女を視界に入れた瞬間、衛兵はビシッ!

と擬音語をつけたくなるぐらいの敬礼をした。


「その者は? 見た所訓練兵のようだけど?」


「はっ!! コイツは、訓練兵でありながら、シフト6・7幹部駐留場に呼び出されたと

嘘をついていた輩です!」


「嘘じゃねえっつってんだろーが!」


おっと、つい本気で怒鳴っちまった。

いつもの俺を思い出せ。

冷静に冷静に………………。


女はふむ、と一呼吸置いた後、話しかけてくる。


「君、名を何と?」


「あ? ああ……鳳です」


するとまた考えこむ。


「………………ふむ。よし、私の一存で通そう」


「は!! 了解しました! ……さっさと通れ」


何だこの身代わりの早さ。

理不尽に感じるが、世の中そんなもんと割り切る事にした。



さて。今俺は、さっき通してくれた人と話しながら歩いている。

しかし、何と言うか、

この人と歩いているだけで、周りからの視線や声が絶えない。


「何アノ人? 仙石さんと歩いてるなんて」「くううう~、訓練兵のくせに……」


などなど。特に女性から。


「何か、凄い人気ですね……」


これでも、自分より位階が高いと分かっている人には丁寧語くらい使うものだ。

それくらいの常識は持っている。


「まったく、あいつ等には苦労させられる。

…………それより」


急に真剣な表情になる仙石さん。


「お前、呼び出された、と言っていたな。誰にだ?」


「誰、と聞かれても。何も名前が書かれてないんですよ」


「まさか。少なからず正規兵が呼び出しするときは、名前を書くものだぞ?」


「え……そうなんですか?」


何だよそれ。そんなの初耳だぞ。

しかし、本当にこの人、位階が分からない。もしかしたら幹部クラスだと思うが……。


「ソレを見せてみろ」


俺は、手にまだ持っていたプリントを渡す。

仙石さんは、そのプリントに書かれている字をよく見た後、


「ふむ」


また一呼吸置く。


「これは、私と同じ四中将が打ったものだな。私達のみに支給されているPCで打たれている」


は…………?


さて、俺が驚いたのはなぜか?

それは、勿論、機械質で無機質な文字を見ただけで、PCの種類が分かった事。

……ではない。

俺が真っ先に驚いた事。それは、


「よ、よよよ、四中将……!!??」


そう。『四中将』という言葉。これは、絶大な意味を持つ。

まず、ここは軍事校。つまり、ここで正規兵として訓練を受けている者達は、

もし戦いがあった場合には、召集され、戦場に駆り出されるのだ。

なので、その役割も決めるために、位階も普通の軍部と同じように設定してある。


まず、元帥などは、いない。これはまだ学校だからだろう。絶対的権力保持者を作らない方が良いのだろう。

大将は、一人。そして、それに続く権力と異能力を持つ、No.2。

即ち四中将だ。

四中将とは、その名の通り、大将に続く中将の階級についている人で、その席は四つある。

そして、その権力も異能力も、No.3である少将とはかけ離れている。

ソレほどまでに、凄い権力を持っているのだ。


因みに、全部の階級を言っていくと、


『将官』大将一人、中将四人、少将六人、准将十人。

『左官』代将八人、大佐十人、中佐十二人、少佐十二人。

『尉官』大尉八人、中尉十二人、少尉十二人。

『准士官』准尉四人。(これは、立場上では、何かの専門職のトップがなる)

『下士官』曹長十四人、軍曹十六人、伍長二十人。

『兵』兵長、上等兵、一等兵、二等兵。これらは、それぞれが無数に存在する。


そして、勿論訓練兵は、正規二等兵よりも下だ。

所詮訓練は訓練と言う事だ。


なので、言わずとも一介の訓練兵である俺と、自らを無意識に四中将と呼ぶ仙石さん。

ああ、その差は歴然だ。いくらエロゲーばっかりやっている俺でさえその違いは分かるさ。

俺自身、別に階級なんてもの気にしないのだが、流石に四中将まで来ると、な。

確か、准将は全会一致。少将は過半数。中将、大将は一人の独断で下の階級を降格、または除籍する事ができた……はずだ。


これはヤバイ。

別に今まで世話になっていない中将などに払う尊敬の意も無いが、失礼な真似をとって軍から除籍などになったら

最悪、怪物となった元・人間達と一生仲良く殺し合いをしなくてはならない。

そして一番の心配が、


「……エロゲ買えねえ…………」


「ん? 何か言ったか?」


あ、また声に出てたか。……自覚してる悪い癖の一つだ。

そう。除籍されたら、決して多いとは言えない給金が無くなる!

というかその前に食べ物すらなくなる。


「あ、いえ、何でもありません。

……四中将だったんですね」


「ああ。そういえば言って無かったな。

私は、異能力訓練軍事校四中将の一人、仙石せんごく なぎさと言う。

あ、敬礼などはよしてくれ。呼ぶ時もそのままで良い。堅苦しいのは苦手でな」


「変わってますね……。てっきり、上層部は頑固の塊だと……あ…………

し、失礼しましたッ!」


「ふっ……良いさ。それぐらい気にするな。

……ところで、少し良いか?」


少し微笑んだ後、急に真剣味が増す雰囲気。


「……君は、何者だ?」


「ッ…………」


この威圧感、胸を圧迫する気迫。

……なるほど。四中将の肩書きは伊達じゃない、か。


「俺は…………」


何と答えようか?

何か誤魔化す方法も無いものか……。


手段①・嘘でもついてみる。……一瞬でバレる。

手段②・逃げる。……瞬間でつかまりそう。

手段③・他の人の介入を待つ。……これが確実だが、確率が少ない。


……さて、どうしたものK「あッ! お~~い! なっぎさちゃ~ん!」


うおいおおおおお!!

誰だか知らないがGJ!

……というか、中将をちゃん付けにするって、ある程度階級高い……のか?

まさか、まさかの難易度アップイベントじゃなかろうな!?


「ふむ……まあ、今の問いの答えはまた今度聴こう。

それよりも、こちらが先だな」


「は、はぁ……」


……次からは、次からは絶対にこの人と一緒にいちゃいけない。

おもいっきり心臓バクバク鳴ってる。



…………やっぱ中将だし、アレは知ってるよな。


先ほど、仙石さんをなぎさちゃんと呼んだ女子は、いつの間にか仙石さんと話していた。


「ふうん。訓練兵の呼び出しか~……私知らないよ~!」


「そうか。なら良いんだが……。

そうだ、この前の……………………」


画になるな。(色んな意味で)

片や、艶やかな長黒髪のスレンダーなクール美女。

片や、天真爛漫なアホ毛付き水色寝癖髪の年下系美少女。


「…………鳳?」


「え? あ、はい?」


「いや、もう用は済んだから早く行くぞ」


アレ? またいつの間にか美少女がいなくなってるな。

なんとも行動が早い……。


「そういえば、行くって何処へ?」


そういえば何も考えず付いて来てしまった。

いや、視線が痛くて、考える余裕もなくなってたんだろきっと。


するとあからさまにため息をつく仙石さん。

あ、コレも画になるな。だって美人なんだもの。


「そんな事も知らなかったのか……。

まあ、黙って連れて来たのは私だが…………鳳、何かさっきと変わった事、言ってみろ」


「変わった事、と言われれば……人気が少なくなってきた事、ですかね?」


そう。

さきほどまで、多分『兵』だが、訓練場を時たま通り、そのたびに視線を受けたり、

すれ違う人も意外と多かった。

だが、今は全く人気が無い。……まさか、俺を殺す気?


「……分かってるじゃないか。

人が少なくなってる訳。それは、ここがお前が呼び出されたと言っているシフト6・7幹部駐留場だからだよ」


え? は? 冗談でしょ?

まさかわざわざ連れて来てくれた訳? 訓練兵を、四中将が?


「あ、あ、……ありがとう、…………ございます」


「ふふ。いや気にするな。

さて、そろそろ入るか」


目の前には、超巨大な、学校の校舎までとはいかないが、大きい建物があった。

それはとても年季が入っている建物で、まさしく『歴史ィ!』な感じだった。……そんなの分からないけど。


いかにも頑強な扉の横についている認証機械に、仙石さんは懐から出したカードを見せ、

『認証完了』の文字が出たあと、その下にあるキーボードにカタカタと文字を入力していく。

勿論、見てない。それぐらいの常識は持ち合わせていると言ってる。


カタカタという音が終わったと同時に、重苦しい鈍重な音を響かせて開く扉。

外から見て予想したのと同じように、厚さは…………分からない。だって、厚すぎるんだもの。


「さあ、入れ。私の権限で入れるぞ」


「あ、ど、どうも。……おじゃましま~す……」


やっぱ緊張するな。

何? お前のキャラじゃない? そんなの知るか!

ストレス発散で『暴力』振るう俺がどうかしてたんだ!(自分で言うのもアレだが)


「うわお…………」


中は、めっちゃ広かった。

まず広い部屋があり、そこから幾つもの通路や扉が続いている。

多分、シフト6・7駐留場とまで言うのだし、ここに住んでる人もいるのだろう。


「仙石中将! ……と、誰ですかそのガキ」


……何かやけにムカつく男が現れた。つーかお前と何歳も年離れてねえだろ!

ここに居るという事は、コイツもシフト6とかか?


「……守縞かみしま少将。この訓練生、シフト6・7駐留場に呼び出されたらしいが……お前は何か知っているか?」


先ほど、四中将が書いたと言っていたが、一応なのだろう。

だがそれにしても、…………ストレス、溜まるなぁ…………。


「いやいや、私が訓練生のガキ共を呼び出すなんて……。

それより、今度少しお茶でも「守縞少将。知らないのならそれで良い。では失礼する」……了解しました」


はッ! ざまぁ!!

思いっきり沈んでるよ。クククッ!

……俺、いつからこんな悪役になった?


「行くぞ。四中将には今さっき集まるよう呼びかけておいた」


え? いつの間に?

ってか本当に何時の話?

はいはい。良かったね主人公よ。二人の女性と知り合ったじゃないか。


「五月蝿いな。んなことより、何でもう一つの小説休載中なのに、

こっちのほう書いてやがる。読者の迷惑も考えやがれ」


……ま、まあ正論だけどさね。

だからさ、アレだよアレ。大丈夫。もう一つのほうは日曜復帰だから!


「どっちも面白く書けよ? それと、俺のエロゲプレイ時間も増やせ」


あ、これからその描写どんどん減ってくからよろしく。


「うるせええ!! ふざけるな俺のストレス発散&心の慰めえ返せええ!!」


では皆さん、この中二病全開、ネーミングセンス皆無、容姿センス皆無、文才皆無の小説をまた読んでくれ、ありがとうございます。

どうかこれからの続きも読んで「無視するなよな」ぐぼほッ!


え~、では、それでは、ではでは、さようなら。

この小説は毎土曜日に、規則正しく投稿させていただきます。



※注意・このあとがきに出てくる主人公?は、あくまであとがき専用というご都合主義によってまかなわれています。本編のキャラとは関係が無いと思うのでどうぞよろしくお願いします。

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