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一瞬匿名でやろうかと思ったけどやめた。

他の作品を見てるなら設定は似てるとか言われるかもしれないけど、実際全然違うし、能力だって根本的に違うもの。

「……何で、何でだよッ!!!」


俺は、自分の腕の中に収まっている少女―――妹に言う。

しかし、妹からは全く返事が来ない。


もしこれが空想、または小説とかだったら、起きてくれるのかもしれない。

でも、コレは、現実。

紛れも無い、事実・・だ。


そんなこと分かってるのに……理解しているのに、

しかし俺は、妹に喋りかける事を止められなかった。


「なあ……起きてくれよ…………。

また皆で、父さんと母さんと俺と一緒に……また旅行に行こうぜ……。

あ、そういえば、お前、もう直ぐ中学だよな……。

俺からも祝ってやるし、早くくればいいのにな……。

なぁ、まだ、まだやること、いっぱいあるだろ?


なぁ、なぁ……!!

返事を、返事をしてくれ……………………



――――――――アキ――――――――








ピピピピピピピピピピピピ……


がちゃん……


「あ゛~~~……気分わりぃ……」


久しぶりにあの夢を見た。

全くと言っていいほど気分が良くない。


台所―――現代ではキッチンと言われている場所にいき、水道水を飲む。


「ふぅ……」


そういえば……この前、家庭用水道水には、

少なからず酸系?なものが入っていると聴いた事があるが……まあ別にいいだろう。


どうやらいつも通り、目覚ましが指す時間。即ち05時30分00秒に起きれたらしい。

だが、昨日やったゲーム『お姫様の憂鬱解消っ☆』(十八禁指定)にでてくる、

正統派、ツンデレ、ヤンデレ、クーデレ、ボクっ娘、メイド、義妹、その他二十八種類に及ぶヒロイン達を攻略していったら、

なんと寝る時間が今日の05時13分38秒になってしまったので、なんとなく眠い。


ああ、一番苦労したのはヤンデレだ。

起きる時間・・・・・までに終わったのは、今までの経験のお陰だろう。

しかし、今回のヤツはどうにもこうにも背中を刺されるデッドエンドが多かった。

久しぶりに猛者モサに出会えて嬉しいかぎりだったな。


まあその猛者も、24時間以内に終わったのはやはり、経験だろう。

嬉しかな主人公くおりてい。





そんなこんなで、学校に行く時間。つまりは07時00分00秒になった。

因みにここは学校の広大な敷地内だ。

だが、これは寮ではない。それぞれの生徒が持つ個人個人の部屋だ。


何が違うか? それはまた今度の話にしよう。

それよりも今日は…………いや、今日も主人公くおりていである怠惰な学校生活を送る事にしよう。





「暇、だな」


今日の勉強も暇だ。

既に何回も習ってきた歴史。

つまらない。これなら家に帰ってゲームしてた方がましだ。


「鳳! 話を聴かんか!」


誰だよ。というか、俺の記憶ではこのクラスには、『鳳』という苗字は一人しか知らない。


「…………先生」


「何だ!」


「……………………腹が痛いです。

という訳で、頭痛なので保健室行ってきます」


おっと、少しミスったか。


「お前、よくその言い訳ができたな……!!!」


「言い訳ではありません。じゃあ、行ってきます!」


「待たんかぁ!!!」


俺は先生に怒られる前に、さっさと保健室に向かった。




「また君? よく来るわね……」


「すみません。少し足が痛んで……」


「あ、そう。ま、良いわ。寝てなさい」


「どうも」


ここらへんはとても融通が利く先生だ。

これだけは感謝しても良いだろう。





そんなこんなで、放課後。

因みに昼は購買で食った。


めっちゃ暇だ。

さっさと自分の部屋に帰ろうとしたその時、


「せえええええつ!!!!」


「……何だよ。赤髪」


赤髪。もとい紅蓮あかはす総造そうぞうは、帰ろうとしている俺の横に立ち、

バンバンと肩を叩く。

はっきりいって、コイツの見た目の細さに反す剛力では、痛い。


「ちょッ! そんなどっかの海賊漫画に出てくる、左目に傷のある人みたいに呼ばんで!」


「うるさい。さて、と……今日ゲーム買わなきゃいけないんでな。

じゃ、ここでお別れだ」


教室をさっさと出て、そして自室へ戻るべく、

玄関に向かう。


「っておおおおおいいいい!!! コッチ無視してんじゃああねええ!!!」


規格外の大声を出して迫ってくる赤髪。


「………………」


「ねえちょっとさ! 黙るなって! 友達でしょうッ!!?」


涙目になって必死に懇願してくるソイツは、はっきり言って、『うざい』『氏ね』『気持ちわりい』


「ってえ! 声に出てますよってえ!!!」


「おっと、また声に出したか。

全く、コイツはいつもいつも……付きまといやがって、うぜえ……」


「また声に出してるぅッ!!?」


驚きのリアクションをした後、orzになっている赤髪をほっといて、

俺は玄関を出て、自室の方向に歩いた。




ここ、異能力訓練軍事校[Different ability Training Military School]

通称『D.T.M.S』は、何と現在の東京都の実に2分の1の面積をしめていて、

それぞれ区画分けされており、その中の中心に、さっきまで俺がいた学校がある。


俺がいた学校でさえ、その全体面積に住む超多人数を入れるため、とてつもなく広い。


しかし、この広大な面積の中にある俺が住んでいる『訓練生住居区画』とか言うヤツも、

学校からは遠く離れているのだ。

その距離、しめて徒歩(時速約5km)1時間12分58秒。


なので、学校自体も普通の学校より遅く始まるのだ。


そして、それぞれに自由な生活が認められている。

軍事校とは言っても、所詮は中学から入る場所。ある程度の自由を認めなければ学生がボイコットしてしまう。


そう。言ってはいなかったが、ここは軍事校だが、その大半が学生で構成されている『学園○市』なのだ。

そうなんだ。『学園○市』だ。

とあるヤツでもあれば、もっとマニアックにいけばアリス的なものである。




……ここまでの俺の決して饒舌では無い会話では分からなかったかもしれない。

そこで、簡易な説明を再度しよう。


…………ここは、軍事教育を専門とし、中学からのみ入学できる、とある『学園○市』だ。



さて、次の話題だ。なんの為に、中学から軍事教育をしなければいけないか。

それは…………


………………また機会があったらにしよう。

なぜかと? それは、久々にエロゲー以外のストレス発散方法を見つけたからだ。

そう! ヤンデレヒロインをオトしたあの時の快感に勝るとも劣らない。


『暴力』だ。





「止めなさいよ!!!」


気丈な女子の声が聞こえる。

ふむ。こういう性格の女はこの前のゲームに出てきた気がする。


「へっへっへ……おとなしくしてろって……」


これまた、どこかのテンプレの如き卑劣で下衆で幼稚で下劣な声だ。


区画、とは言っても、そこは何ら市街地と変わらない場所だ。

そして、市街地と変わらない。

さっきの声で共通するもの。そう。『裏路地』だ。


俺は裏路地の入り口に立つ。

すると、奥の方で俺と同じ学年らしきいかにも気が強そうな女子が、

暴漢もといモブキャラに顔を挟まれる形で両手を壁に置かれているのが見えた。


「おいそこの暴漢」


「ああ゛!!!???」


折角のいいところを邪魔されてイラついたようだ。

女子の方も俺に気付いたようだ。


「暴漢、もといモブキャラ。

俺のストレス発散の相手になってくれ。近頃ゲームだと発散しきれないことが多々ある。

そこでだ。

お前が俺に一方的にマウント取られて殴られてくれないか?」


「「は?」」


何だ? 何か変な事言ったか?

まさかモブと女子の声が重なるとは。


……何コイツみたいな視線を二対感じる……。


「あ、あんた……助けてくれんじゃないの?」


「あ? いや別に。ただストレス発散の方法を探ってただけだ」


「………………」


女子がアングリと口を開けて呆然としている。

……うん、シュールだ。

だって意外と可愛いんだもの。


顔はもう上の上ぐらいで、髪は混じり気ない純正茶髪の短「てめえ! ふざけてんのかぁ!!?」

……容姿についてはまた後で。


「てめえ……とことん俺様を舐めやがてええええ!!!

俺様がシフト3と知っての事か? ああ゛!!??」


……なるほど。

ただのモブキャラでもなく、更にソレを突き詰めた雑魚キャラだったか。

なるほどなるほど。


シフトについても後で話すとして、今はストレス発散が最優先事項だ。


「……シフト3、か」


「そうだ! シフト3だ! どうせてめえみたいな凡人、せいぜいシフト1だろ!?

天才に敵うと思ってんのかァ!!?」


「天才……か」


シフト3程度・・で天才とは、恐れ入るな。イタいなコイツ。


「……なあお前」


「あ゛? んだよ」


「…………『うぜえ』」


「ひぃっ!!!!?????」


モブが肉眼でも分かるぐらい震えながら腰抜かして後ずさりする。

傍にいた女子まで顔を真っ青にしている。

? そこまで本気・・出して無いはずだけど…………??

まあそれより、ストレス発散ストレス発散……。


「黒の右腕」


瞬間、モブはその場で完全に腰が抜けたようで、動けなくなっている。


「ひぃぃぃぃぃぃぃ……」


もう涙目で鼻水ダラダラのモブに布告する。


「俺の……ストレス発散相手に、なってくれる?」


いつもの変な感覚を感じながら、

俺は右腕を振り上げ……


「ぎゃあああああああああ!!!!!!!!???????」



瞬間、モブのうるさい悲鳴が、耳を突いて裏路地に反響した。

はい。第五作目?よろしくお願いします。

これは毎土曜日ぐらいにしたいと思うんでよろしくですね。

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