5月5日:段ボールの世界は鞭ということ。
5月5日(☂)
名古屋駅の人ごみの中、俺は名無しさん(男の娘)と合流することに成功した。
この、エロゲ界の勇者でさえも攻略することが難しいとされる男の娘・・・。はたして、俺は今日無事に岐阜まで変えれるのだろうか(´・ω・`)?
俺はいまだかつて体験したことのない恐怖に身ぶるいして・・・ない!!!!
だってだって俺は勇者だから!!!!!!!!俺が攻略できない子なんていないから!!!!!!!絶対にな!!!!
俺は小さな覚悟の後、大きく息を吸う。そして、目の前で小首をかしげるかわいらしい名無しさんを見つめる。
「・・・?どうしましたか♡アキホさんのお兄様♡」
ノックアウトォオオオオオオオオオオオ!!!!!!死
・・・・くっ!!これぞ強敵というもの!!!!俺ともあろうものが、男なんぞにときめくなんてあってたまるもんか!・・・不覚てやつだ、相手はあのレン君声なんだからな。
俺は激しく混乱する脳をどうにかおさめ、再び名無しさんを見つめ直す。
「ナツヒだ。俺の名前。・・・そーいや、引越しの手伝いしてこいってアキホに言われたんだけど」
名無しさんは、そうぼやいた俺をじーっと見つめていたが、それも一瞬、すぐにほほ笑んで
「はい、ナツヒ様・・・♡今日はよろしくお願いいたします・・・♡」
と言った。
・・・・くそう、やはり強敵だぞ名無しさん。なんでレン君なんだろうマジ反則。
俺は「マンションはこの駅の近くですので♡」とほほ笑み駅を出るなり傘をさして歩きだした名無しさんに続き、出かけ際にアキホに持たされたドピンクの傘をさして歩きだした。
雨の中歩くのは意外ときついってもんだ。
歩くたびにふわふわと揺れる名無しさんのスカートに目を落としつつ、俺は傘から聞こえる雨の鈍い音に耳を傾けた。
・・・そーいや今日こどもの日じゃね?
どーでもいいことを思い出す。・・・てか、名無しさんも男なわけだが・・・親はどう思ってるんだろうな。こどもの日じゃなくて雛祭りに騒いだりしちゃうのかな。
そんなことを考えていると、やっぱり名無しさんは男なんだという実感が出てきた。・・・・だって、歩くスピード早過ぎだもん!!!!!!!
塚マジこれ俺ついてくの精一杯なんだけど!!!超高いヒールはいてスカートでよくそんな速度で歩けるなオメ!!
やがて、ひろーい住宅街を抜けると少しくらい田舎町のようなところに出た。・・・名古屋にもこういう町あるんだな。
名無しさんはつかつかと前へ進んでいく。
小さな田んぼ道を右へ左へ、1つ目の信号をこえた後、再び住宅街に出ると、その中でもひときわ目立つ建物の路地裏を抜ける。
――――見えてきたのは、小さなボロアパートだった。
「ここですのよ♡・・・雨でしたので、少し時間がかかってしまいました♡」
「おう、ここか」
俺は小さく息をつく。名無しさんは今いくつなのかは知らないが、一人暮らしをするぐらいだから高校生以上なのだろう。・・・てことは俺と同い年!?それとも年上ぇええ!?
悶々を思考を巡らせる俺に、名無しさんはクエスチョンマークを頭上に浮かべつつ、錆びた鉄パイプの階段を進んだ。俺もそれに続く。
歩くたびギシギシと歪な音を立てるもろい鉄パイプ階段をのぼり終え、名無しさんは鞄からピンクの熊のキーホルダーが付いた鍵を取り出し、扉を開けた。
「どうぞお入りください♡段ボールだらけで申し訳ありません♡」
俺は軽く返事を返し玄関へと足を踏み入れた。
・・・が!!!!!!!!!息をのんだ。
「な、なななんだこの段ボールの数は!???」
それは、段ボールの世界。The Corrugated cardboard worldだ!!!
すると名無しさんは少し照れたようにはにかみ、つぶやく。
「アニメのDVDや漫画、コスプレ衣装などが多すぎてですね、えっとそれで・・・♡」
笑ってごまかしている・・・だとぅ?くそう、名無しめ可愛いからって許されるもんでもないぞこの。てか、コスプレ見てみたい。
だが俺も漢である。(2回目)
これしきのことで落ちぶれるようなタマではないわぁああああああふじこ!!!!
「よっしゃ、やるか!!!」
「はいっ♡」
こうして、端々ナツヒと名無し@男の娘による大掃除が始まった――――――。
フォイフォイ\(^o^)/
どうも、間をあけてすみませんでした。最近ハリーポッター好きだぜ。
データ消失から抜け出し8話目です、著者の矢姫です。
今回もおつきあいありがとうございました、また妹観を書く事ができて幸せです!
次回もお願いいたします~。
そういえば4000pv突破しました、皆様のおかげです!感謝。しぇいしぇい