5月6日:『ところで』からすべては始まるということ。
5月6日(☀)
空は、すがすがしく雲ひとつない晴天である。
俺の心が軽いのも、そのおかげか、または別の理由か――――――。
ともかく俺は今日上機嫌だ、諸君よ。というわけで最近俺に影響されてエロゲで金髪女の子を攻略し始めた奴、今すぐ俺と友達にならないか?
俺は友達が少ないんだよくそったれぇぃ!(今すごいことぶっちゃけたよ俺!)
名無しさんの過去を知って一夜明けた。
ひきこもりってのは、理由がなくてやっているものでは決してないのだ。
誰でも、自分ではどうしようもない理由を抱えて、迷って迷って、ここに至っている。みんなそれぞれ理由を抱えている。
そしてそれは他人事では収まらない。
実の妹、アキホも何か理由があるのだろう。
そう思うと、なぜか血の気が引いた。・・・が、俺は歯をかみしめて目をつむる。
ひさしぶりにエロゲやるか。
――――――エロゲをやる際に「ひさしぶり」なんて言葉を使ったのは初めてである。
それほど俺はエロゲばっかりの毎日だったんだ。・・・駄目人間じゃん俺\(^p^)/
pcの電源を入れて一息ついたとき、俺の部屋のドアが音を立てた。
「兄さま。朝からエロゲとははしたのうございます。わろしです。」
「のぉおおおアキホぉお!?」
ちょっちょっちょぉおおおおお!!!!!!???タイミングよすぎってか悪すぎだよぉおおおお!!!!???
塚アキホたんはどこまで俺の自由は奪えば気がすむのぉおおお!!!????
てか『わろし』て変なとこで古文はいるね!
俺はひとり悲しみの嗚咽をはく・・・。
そうだ、声の主は言うまでもない、この俺の実の妹兼ひきこもり3年端々アキホ(中学2年生)である。
「兄さま。昨日はいかがであったか?なにかつかめましたかっ?」
アキホは瑠璃石のような艶やかな藍色の髪を跳ねさせながら俺に歩み寄ると、そう切り出した。
ああああああんんふつくしすぎるこの子ーー!!
「うーん、つかめたっていうか・・・。名無しさんの過去を知った」
俺が目線を合わせながらそう言うと、アキホは目を見張った。
「名無しさんの過去・・・とな?」
「ああ」
俺は妹の質問にまっすぐな目で返すと、妹は「そうでありましたか・・・」と深くうつむいた。この反応からすると、妹も名無しさんの過去を知っているんだなと理解する。
「名無しさんはとてもデリケートなお方ありますゆえ、自分の過去を他人に話すというのはめずらしゅうことであります。兄さま、はやくも名無しさんのハートをがっちりゲットでありますね」
そして、ばっちりとウィンクを俺に飛ばしてきた。いえーーいい!!!さすが俺!!!!!もう名無しさん半攻略しちゃったぜいぇえええいい\(^o^)/
俺が鼻の下を伸ばしてにやけていると、妹が侮辱の視線を向けてくる。・・・なんだよ、お前がふったんだろぉお?
妹は一息つくと、「ばいざうぇい・・・」とつぶやいた。
・・・・・はい(@_@)???
「・・・ばいざ・・・?」
「あら兄さまお恥ずかしゅうございますこと。『ばいざうぇい』とは英語で『ところで』という意味でございましてよ?」
んなことしっとるちゅーねん!!!!!!!くわっ
変なとこで英語はいってくんな!ほんと何時代の何人なのアキホたん??
「ところで・・・。今日兄さまのお部屋に参ったのには理由がございましてよ。・・・実は、今日乙侍さんのお宅にお邪魔してとある作業をすることになっているのですが、兄さまもどうかと思いまして」
「作業?」
俺はあっけらかんとした顔つきになり、妹に問い返す。
「ええ。実は乙侍さんはオーダーメイドのコスプレ衣装をつくる仕事をしていらっしゃるのですが、一人ではとても大変だと申したので・・・こうして毎週乙侍さんの家にお邪魔して作業を手伝っているのですよ」
「へぇ~。あいつあんな顔してそんなすごいことしてるんだぁ。オーダーメイドってことは、依頼された寸法通りにつくるんだろ?大変だろうに」
「左様であります。なので名無しさんも一緒に、3人がかりで一日に一着、頑張ってつくるのであります。よほど単純な衣装ならば夜までにはできるのですが、最近はややこしい作りの衣装が多くて・・・乙侍さんも疲れて見えますので。そういう面で、兄さまも役に立つことができるかと思うのですが・・・」
そうか。乙侍さんって顔の割に年齢いってるのかもしれんな、そんなすごいことするくらいだし。
「よっしゃ分かった。いっちょ行ってやるか」
俺は半袖Tシャツの袖をまくりあげて拳を突き上げると、妹も「おー!なのであります」と続いた。
それから俺たち兄妹は、これが最後のゴールデンウィークということも忘れて、2人で仲良く駅までチャリンコをこいだ。
アキホは出かける際も新撰組のコスプレを身にまとっており、駅内では大変目立って目立って・・・・。一緒にいる俺の方が恥ずかしいっての。
しかしPoorな妹は、そんなの気にしていないみたいで、さっさと切符を買い、たじろぐ俺にクエスチョンマークをなげかけ電車に飛び乗る。
「さあ、名古屋駅で名無しさんがお待ちです。そこで合流し、一緒に乙侍さん宅へ参りましょうぞ」
あれ・・・そういや俺、裁縫できないんだけど。
そんな俺の不安もよそに、妹の体からはルンルンという音が聞こえてくるのであった・・・。
ばくねつすくりゅー\(^p^)/
こんにちは著者の矢姫です。
更新不定期で済みませぬ・・・許せ、わざとではない・・・。
今回もあ付き合いくださりありがとうございました!
次回も、というかこれからも末長くよろしくお願いしますっす!!!!