1-6 転生者と遭遇
「スイーツ、お好きなんですか?」
女の子が振り返った。
「え?あ、は、はい、貴女は一条月歌さん?」
「ええ、貴女のお名前は?」
「わたくしは、早乙女英里紗ですわ」
沈黙が続いた。うわぁぁぁー 気まずっ
なんかごめんなさい、、、
ここは話しかけたわたくしがしっかりしなければ!
「よかったら、ご一緒させていただいても?」
「は、はい、もちろん」
よし!
「英里紗さんはなんのスイーツがお好きなんですか?わたくしは、タルトです」
「あっわたくしもタルトです。キル◯ェボンのタルトをいただいてからすっかりはまってしまって、あ」
「キル◯ェボン」
「え?」
「え?」
「「えぇぇぇー!!」」
あれから、急いでスイーツをとってテラスに行き、話をした。英里紗さんはわたくし、いやわたしと同じ転生者だったのだ。キル◯ェボンは今世にはなく、前世のケーキ屋である。いやーまさかキル◯ェボンで転生者が分かるとは、、、
「うわぁ、私の他にも転生しておる人がいたなんて」
「うん、全くもって同感だわー」
「月歌はいつ転生してるって気付いたの?」
あっ同じ転生者という親しみを込めて呼び捨てにしました。あと、前世同じJKだったし。(さんつけが面倒くさいからじゃないよ!)
「え?わたしは生まれたときには気付いてたよ」
「マジ?私は2歳の時に気付いたよ」
「へー、個人差あるのね」
わたしたちがこんなに舌足らずもなく、ハキハキしゃべれるのは遅生まれだからだ。
「ねぇ、ここって『君じゅん』の世界だよね?」
「えっ『君じゅん』読んだの?内容知ってるなら教えてくれない!?わたし読んでなくて」
「あ、ごめん、私も読んでないの」
「なんで?めっちゃ流行ってたじゃん!」
「うん、私も『君じゅん』好きだったけど、小説じゃなくてイラストのファンだったから読んでない」
「マジか」
「マジ、てか月歌こそ、読んでないの?」
「うん、前世、勉強ずけだったから」
「あ、なんか訳アリなのね」
「Yes」
「そかそか、てかあなた、悪役令嬢じゃん、私、月歌の名前聞いて前世思い出したんだよ」
「そうなの?」
「うん、一条月歌は小説ファンの中では嫌われてたらしいけど、イラストファンの中では女子キャラの中で人気抜群だったよ」
「へー、けっこう小説知識あるじゃん、そのなけなし?の知識をしぼって私に教えてくれませんか?」
「なんか失礼ねー、てか、ムリムリ、ほとんど知らないもん、それにあなた悪役令嬢なんてかわいそうね」
「でしょ!?ひどい断罪らしいし、登場人物と関わらなければいいだけかもしれないけど、やっぱ不安なのよ〜」
「登場人物と関わらなければいいというのは無理があるんじゃない?」
「え?」
「あなたの言う私のなけなしの知識で言わせて貰うけど、恋愛相手の御曹司の1人はあなたの婚約者よ」
ファッ?