1-5 バースデーパーティーと出会い
準備を終えたわたくしは表玄関へ向かった。
「月歌ちゃんっ、そのドレスよく似合ってるわ」
「ありがとう!ママがデザインしてくれたおかげですわ!」
表玄関にはすでに両親と兄がいた。
あぁっ今日もママはきれいね!
本日のママのドレスは大人っぽい濃紅色のマーメイドラインのドレスだった。体のラインを強調する形だが、スタイルの良いママには、よく似合っていた。
「ママも、今日もとってもかわいい!紅も似合うのね!きっとママは世界一きれいね!」
「まあこの子ったらお口が達者なこと、でもありがとう。」
ママときゃっきゃと女子トークをしていたらパパが入りたそうにしていた。
「コホンッそろそろパパも入れてもらえないかな?」
「ごめんなさーいパパ!」
両親と話していると、迎えの車が来た。
そういえば、晴斗お兄様、わたくしが来てから一言も話していないわね。話しかけても空返事だし。やっぱりわたくしのこと嫌いなのかしら。
そんな事を考えながらパーティー会場へ向かった。
パーティー会場は一条帝国ホテル。
庭園に隣接した藤の間を貸し切っていて、桜の間から見える藤棚は今が満開で、とても美しい。
このホテルは名前のとおり一条財閥のもので、一条家は財閥だがいろんな事業を手がけているらしい。
「わあっ」
「うちにも藤棚はあるけど、こっちのほうがきれいでしょ?ずット見せたかったのよ。」
ママに手を引かれて歩いていくと、きらびやかな色とりどりのドレスや高級そうなスーツを着た人たちと広くて豪華な会場、そして、紫が瑞々しい藤棚が見えた。こぼれんばかりの藤は本当に美しい。
前世庶民のわたくしはこの上流階級の華々しい雰囲気に酔ってしまいそうだった。
「ただいまより、一条月歌様ご誕生パーティーを始めさせていただきます!」
司会者の開会の合図でパーティーは始まった。
司会者は有名なアナウンサーだそうです。セレブって感じね!まあ、わたくしのバースデーパーティーなのですけどね。
あっパパの挨拶の番だ!おっと、パパの、挨拶の番ね!
「本日は、私の娘のためにお集まりいただいて、誠にありがとうございます・・・・・では、皆様、どうぞ楽しんでいってください。」
きゃぁぁ~かっこいい〜!さっすがわたくしのパパ!
ほら、ママなんて惚れ直した顔してるわ!
その時、1人の男の子と目が合った。
しかし、すぐに目をそらされてしまった。
だだ、見てただけ、よね?
そうして開会式が終わり、パーティーが始まった。
完璧令嬢になるためにも、しっかり挨拶して交流しますわ!
ふぅ、、、疲れたー
はっピシッとしなきゃね!
パパとママと晴斗お兄様と一緒に挨拶をしてきたのですけど、これが骨がすごく折れるのよ。
どなたもお世辞を言って会社を売り込もうと必死だし、あまつは自分の子供をわたくしと晴斗お兄様にという人もいるし、、、パーティーって思っていたのと違うのね。
挨拶が終わったかと思いきや、子供まちに囲まれた。
晴斗お兄様も大勢、特に女の子に囲まれていたけど(イケメンですものね)、うまく対応し流していてすごかったわ!丁寧ながらもするりとかわす、、、
すごいわ!わたくしもあんなふうにできたらいいのに。
「はぁ、甘いものでも食べましょうか」
実は、この一条帝国ホテル、アフタヌーンティーが有名なのだ。わたくしもここのスイーツをとても楽しみにしていた。
「あら?」
スイーツが置いてある場所にはたくさんの子供がいたが、一際わたくしの目を引く子供がいた。
真剣にスイーツを選んでいるが、その独特の雰囲気はとても気になった。
お友達になれるかも!話しかけてみましょう!
「スイーツ、お好きなんですか?」