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異世界に行ったら最強になった  作者: 志良内達夫
第六章 マルケドーラ帝国の脅威
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6-4.竜魔族を守れ

 雅則とリサはゴラン谷までラッセルに馬車で送ってもらい、そこからジャギが用意してくれた奇獣に乗ってスラーレン法国に向かっていた。

 スラーレンの外壁が見えてきた。

「ここまででいい。ありがとう」

 雅則とリサは奇獣を降りて、連れてきてくれた竜魔族を帰した。

「スラーレンは外壁に囲まれている。その中に王宮の城壁がある」

 雅則はリサに説明した。


 外壁に近づくとユリカが飛び出してきた。

「ハーロック様」

「みんなは無事か?」

「今のところは」

「ミリアも無事だ。ワリキュールの俺の館に居る」

「よかった。ロバート隊長がミリアにハーロック様のところに行けと言うから心配していたの」

 ユリカは雅則に聞いて安堵の顔をした。

「紹介しておこう。リサ。俺の従者をしてくれている」

 雅則はリサをユリカに紹介した。魔族であることは教えなかった。

「マルケドーラの動きは?」

「女王が話し合いを帝国に提案しているんだけど、帝国はスラーレンを傘下に入れたいようなの。でも魔王が抵抗してくれているの」

「ヒュンケルが?」

「隊長に会って」

 雅則とリサは派出所に居るロバートの所に案内された。


「ハーロック。戻ってきてくれたか」

 ロバートが嬉しそうに立ち上がると、雅則は

「ミリアは死ぬところだった」

とロバートに言った。

「ハーロックに繋ぎがつけられるのはミリアしかいないと思って頼んだんだ。ハーロックが大神官アスターを倒すほどの力があるのを思い出してな。ハーロックが来てくれれば任務は成功。ミリアを衛兵隊に入れた価値がある」

 ロバートは嬉しそうに言った。その顔を見て

「ミリアがどうなってもいいということか」

と雅則は聞いた。

「衛兵一人の命より、スラーレン法国のほうが大事だ」

 それを聞いた雅則は怒りを覚え

「俺はお前を始末に戻ってきた!」

と声をあげた。

「え?」

「ミリアの代わりに死んでもらおうと」

 雅則はロバートに怒りに満ちた顔で言った。

「お前のようなやつが隊長などしているから、スラーレンは守れないんだ」

「俺のせいじゃない」

 雅則はロバートを宙に浮かすと

「インパクトバースト」

 衝撃弾を浴びせた。ロバートは血を吐いて倒れた。

 衛兵たちは驚き

「あいつを捕まえろ!」

と雅則に向かってきた。雅則は

「ブレインドラスト」

 近づく衛兵たちの脳を破壊して倒した。


 ユリカは唖然として立ち尽くしていた。

 雅則の怒りに満ちた顔に、ユリカは雅則が本当に魔王ではないかと思った。

 ユリカは雅則の強さを知っている。

 雅則が心を鎮めて冷静さを取り戻すと

「女王に会う?」

とユリカが言った。

「いや。・・会う価値はない。ヒュンケルのところに連れて行って」

「魔王のところに?」

 ユリカはミシェールに馬車を出させた。

「また魔王の所に行くのか?」

 ミシェールも雅則の顔を見て思わず声を発した。

「俺の傍にいたほうが安全だぞ」

 ミシェールの馬車でロワール城に向かった。


 雅則が城に入っていくと

「戻ってきたのか。スラーレンが好きになったか」

とヒュンケルが現れた。

「そんなんじゃない。(ヒュンケルが)帝国相手に頑張っていると聞いてやってきた」

「俺もスラーレンを救うつもりはない。ただ、奴らは魔族や俺たちの住処も奪おうとしているので抵抗しているんだ」

「帝国の軍勢は?」

「10万、いやそれ以上かもしれない。なにせ領地だけで100キロはある帝国だ。まあ小国を侵略して奪いながら大きくなっていっただけだから、兵の戦力も数だけで大したことはないがな。ただここに来たマルケドーラの者が人族ではなかったから、帝王を名乗る者は人族ではないかもしれない」

「魔族か? それとも俺たちのように魔王を名乗っているのか?」

「それはわからん」

「カシール村に向かってきた軍は魔法も使えて、だが人族のようだった」

 それから

「紹介しておく。ま・・いや、リサ。俺の従者をしてもらっている。魔術師で、レベルもそれなりに高い」

と雅則はヒュンケルにリサを紹介した。ユリカとミシェールも居るので、リサが魔族であることはヒュンケルにも明かさなかった。

「わかった。よろしく」

 ◇

 魔王ヒュンケルの偵察隊が戻ってきて

「帝国の軍隊がスラーレンの南側から城壁に向かって近づいてきます」

と報告した。

「南側にはゴラン谷もあり、そこには竜魔族がいるはず」

 それをヒュンケルも知っているようだった。

「竜魔族も危ないな。俺は竜魔族も守りたい。ミシェール、急いで戻るぞ」

 雅則は戻ろうとした。

「魔族を?」

 ミシェールもヒュンケルも雅則の言葉に驚いた。

「俺の友達だ」

 雅則がそう言うと

「転移魔法はまだ使えないのか?」

とヒュンケルが聞いた。

「試してみたことがない」

「しょうがない。俺が転移させてやる」

「一度に何人も転移させられる?」

「魔法陣の中に居る者は何人でも」

「すごいな」

 ヒュンケルが魔法陣を床に出すと、雅則たちも魔法陣の中に入った。


 雅則たちはスラーレンの街中に転移してきた。

「ここは以前にハーロックたちと会って城に戻ったところだ。一度行ったところに転移出来る」

「サンキュー。急いで外壁の外に行くぞ」

 外に出ると

「帝国軍はゴラン谷に向かっている」

と城壁の衛兵が確認していた。

「ヒュンケル、近くまで転移出来るか」

「見えるところなら、はじめての所でも出来る」

「俺とリサを谷の近くに転移してくれ」

 雅則とリサ、ヒュンケルは谷の入り口に転移した。竜魔族が帝国軍に抵抗していた。

「マルケドーラ軍は人族のようだな。ここでは流星雨は使えない。何か手はないか」

 雅則が聞くとヒュンケルが

「以前に見た異世界もので、デスナイトを呼び出す魔法があった」

と言った。

「デスナイト?」

「死体に獲りついて自分の配下にする魔法だ。漫画チックだが面白いと思った」

「やってみるか」

「冗談で言ったんだけど。アニメの話だ」

「冗談では済まされない状況だ」

 雅則は軍の兵士に指弾フィンガーマグナムを放って倒すと

「アンデッドモンスター」

を発動した。

 すると黒いものが飛び出し、死んだ兵に憑りついた。そして黒い騎士となって甦った。

「これがデスナイトか。軍の兵を殺せ!」

 命じると、黒い騎士(デスナイト)は、兵を殺していった。

「冗談が本当になった。直に見るとすごい上位魔法だな」

 ヒュンケルも驚いた。

「死んだ兵は次々にデスナイトにしよう」

「何体くらいデスナイトに出来る?」

「さあ、やってみないとわからない」

 デスナイトが兵を殺し、殺された兵がデスナイトになっていく。その数はどんどん数えきれなくなっていった。

 ワリキュール軍を倒すのに『流星雨』を降らせたときも、どのくらい落ちるんだ? と思えるくらい落ち続けた。雅則は自分の魔力のレベルを忘れていた。


「ハーロック。助けに来てくれたのか」

 ジャギがやってきた。

「ミリアを助けてくれたお礼だ。気にするな」

「これは上位魔法なのか?」

 ジャギも死者がデスナイトに変わるのを見て驚いていた。

「はじめて使ってみた」

 デスナイトの数は鼠算のように増えて、何千、いや何万にもなっていた。

「ハーロック。お前は俺以上の魔法が使えるとあらためて知った。敬服する」

 ヒュンケルは雅則に頭を下げた。


*****


「他、大変です。グレイン男爵。敵の兵隊が、それも大きな騎士が何万も押し寄せてきます」

 アルベル将軍が青ざめながらグレインに報告した。

「スレーンにはそんな兵力はないはず」

「何の軍かはわかりませんが、次第に数が増えていきます」

「魔法だ。攻撃魔法で戦え」

 マルケドーラ軍の兵士は人数は沢山いるが、戦闘能力は高くない。しかし中には魔法を使える集団もいる。

 デスナイトに魔法攻撃がかけられはじめた。浴びせられたデスナイトは消滅していった。

「あらあら、魔法攻撃に弱いのか。魔法は放てないようだし」

「逆にデスナイトが全滅してしまうぞ」

 ヒュンケルは心配し始めたが、雅則はまだのんきな顔をしていた。

「なら、だいぶ離れたから『流星雨』を降らせるか」

 雅則は合戦となった大地に『流星雨』を降らせた。帝国軍の兵士たちは『流星雨』の犠牲になっていった。


*****


「5万もの我が軍が全滅した?」

 アルベル将軍は、雅則の『流星雨』を見るのは2回目だ。カシール村に進軍したとき、『流星雨』を浴びたのがはじめてだった。

 グレイン男爵も

「あんな極大魔法を使える魔術師マジシャンが居るとは・・スラーレンをあなどっていた。しかしペレニス様も、スラーレン法国には上位魔術師(マジシャン)が居ることは確認出来なかったと言っていた。帝国に引き上げる」


 グレインから報告を受けたペレニスは、ビーストに

「また極大魔法で兵軍が全滅したようです。やはりスラーレン法国には上位魔術師が居るようです」

と報告した。

「そうなると、スラーレン法国の女王の話し合いで解決したいというのも信じがたいですね。ここは従属国にした人族に任せず、一気に攻め滅ぼしますか」

 イヴァンはビーストをけしかけた。

「まあ、そうせくな。もしかしたら、ペレニスが会った魔王ヒュンケルなるものの配下かもしれない」

「なるほど。では先にロワール城を攻めてみますか」

「私も、その魔王ヒュンケルに興味がある。会ってみたい」

 ビーストの言葉に、イヴァンとペレニスは唖然とした。


 もしかしたら、魔王ヒュンケルは自分と同じ、異世界から来た人間かも知れないと、ビーストは思った。それとも本当にこの世界の魔王かも。いずれにせよビーストには興味ある話だった。

 ビーストは、自分がこの世界にアンデッドとして転移してきた頃を思い出していた。















 










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