1-4.魔法戦士・ナナ
また光が現れ、魔法陣も現れた。
「今度は誰が現れるんだ?・・え?若い女?・・しかも美人?」
悠介は驚いたり喜んだり忙しい。
「ナナ」
ルセールが現れた若い女に声をかけた。
「ルセール様」
現れた女はルセールに笑顔を見せた。
「知り合い? 娘さんとか」
「私はそんなに歳とってないわよ」
「嘘だぁ、熟女の部類だろう?」
「まさか、こっちに来てバカ扱いされたり、年寄扱いされるとは思っていなかったわ」
「彼は若い女にしか興味ないから。ロリコンが好みだったか」
雅則が言うと
「そんなことはない。勝手に決めるな。年上の女性より若い女性のほうが好きなのは
間違いない」
と悠介も認めた。悠介はナナを見て
「ところで誰?」
と目が惹きつけられた。
「私はナナ。魔法戦士です」
「魔法戦士?・・確かに上半身は女性兵士のような格好いい衣装だけど、下はミニスカート
ってちぐはぐだろう」
「戦士の女性はみんなこういう恰好ですけど」
「そうなの? ってどういう世界だ」
雅則もナナを見て
「どうせミニスカートなら、もう少し短くてもいいかな」
と言った。
「十分短いだろう」
「いや、パンチラには長すぎる。思い切ってあと5センチは短くても似合う」
「何を考えているんだ。・・3センチでいい」
「悠介好みの女か。歳はいくつ?」
雅則はナナに聞いた。
「女性に歳を聞くな!」
「18です」
「恥じらいなくこたえている」
「俺が相手になってもいい」
「おまえは手を出すな」
「ルセール様。この二人は誰ですか?」
「わからん。・・で、ナナは何しに来た」
「魔獣が姿を消したので、もしやと思ってルセール様を追ってきました」
「じゃあ、エランデルは無事じゃな」
ルセールは安心した顔をした。
「代わりにこっちが迷惑を被っている。・・自衛隊も全滅だ」
「私が倒します」
ナナが自信満々に言った。
「あんなに大きいけど、大丈夫?」
「自信ありません」
「え?」
「でも私もエランデル国の衛兵隊所属の魔法戦士です」
ナナは飛び出すと魔獣の前に立った。
「パワースマッシュ!」
魔獣に向けてオーラが浴びせられた。だが魔獣には効き目はなかった。
「やっぱり効かない」
「あとどんな攻撃があるんだ?」
雅則は興味津々だった。しかし・・
「ナナにあれ以上の力のある技はない」
とルセールが言った。
「マジ・・話にならないレベルの低さ」
「助けに行ったら?」
雅則が他人事のように悠介に言った。
「連れて逃げ帰るぐらいのことしか出来ないけど」
雅則はルセールに
「あいつの弱点はある?」
と聞いた。
「眉間が魔獣の急所だが、誰も当てた者はいない」
「しょうがない。退治してくるか」
「嘘だろう」
「弱点がわかれば何とかなるだろう」
雅則は不思議に自信が湧いてくるのを感じた。
雅則が出ていくと、ナナが魔獣に捕まっていた。雅則は魔獣の前に出て行った。すると
魔獣は雅則も捕まえて持ち上げた。
「おいおい、二人とも捕まっtっやったよ」
「あとは祈るしかない」
ルセールは手を合わせた。
「頼りにならない魔術師」
「召喚が得意の魔術師だから」
「それも上手くいかないんだろう?」
雅則が
「持ち上げてくれたお陰で近くなった」
と言うとナナが
「食べようとしているんです」
と教えてくれた。
「俺を食べても美味くないと思うけど・・剣、持ってたよね」
「はい」
「貸してくれる?」
雅則はナナから剣を受け取ると、顔に近づけた魔獣に飛び込んでいって
「切れろ!」
剣を魔獣の眉間に向かって振り下ろした。
すると、剣は魔獣を切り裂いていった。
魔獣はそのまま後ろに倒れこみ、雅則はナナを抱いて、宙を舞って着地した。
「え? 倒した?」
悠介も驚いた。
魔獣は倒れた後、そのまま煙のように消えた。
ナナが雅則に抱かれたまま
「魔獣を倒しちゃった。すごい」
と驚いた声を発した。
悠介もやってきて
「凄いな雅。本当に倒しちゃったよ。・・で、いつまでナナちゃんを抱いているんだ」
と雅則に言った。
「ああ、思ったより軽かったから。割といい体してるね」
ナナは顔を赤くして
「降ろしてください」
と言った。
「で、魔獣は倒したけど、これで帰れる?」
と悠介がルセールに聞いた。
「だから帰り方がわからないと言ったでしょう。ナナは帰れる?」
「私も帰り方がわかりません」
「おいおい、おかしいのは雅だけかと思ったら、異世界の者はみんなおかしいのか」
「ところで改めて聞くけど、二人の関係は?」
ナナが教えてくれた。
「私はエランデル国の衛兵隊の魔法戦士隊に所属する魔法戦士です。そしてルセール様は
召喚魔術師でもあるんですけど、私たち魔法戦士の先生の一人でもあるんです。私もルセ
ール様から召喚魔法を学んでいます」