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異世界に行ったら最強になった  作者: 志良内達夫
第三章 ワリキュール王国編
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3-4.館の霊

 雅則たちは早速、ソリアに館に案内してもらった。

 確かに大きい。庭も公園をつくれそうなくらい広かった。近くにはスミスが

言った通り、墓地がある。

「私も場所は知っていたんですけど、(館の)中には入ったことはありません」

「じゃあ一緒に内見していく?」

「いいですか?」

 ソリアも嬉しそうだった。

 庭も広いが、館も玄関からして大きい。2階建てで部屋数も多い。

 大きな風呂もつくってある。一緒に20人は入れそうな浴槽だ。これが

温泉なら申し分ないと雅則は思った。

 ソリアも

「大飯店でもこんな大きなお風呂はないと思います。(大飯店の)各部屋の

バスルームは大きめに作ってあるようですけど」

と驚いていた。

「そうなんだ。でも、牧場の経営ってそんなに儲かるのか?」

「牛乳の評判は街の人々はもちろん、貴族たちのもいいから、牛の頭数も

増やしているそうよ」

 ソリアはいつのまにかため口で話していた。

 ◇

 ソリアが協会に戻ったあと

「霊が出るって本当でしょうか」

 リサが思い出したように雅則に聞いた。

「リサは霊が怖い?」

「そんなことはありません。霊が何かは知りませんけど」

「こっちの世界にはお化けはいないのか。それともリサたちはそういうもの

には縁がないか。そもそもお化けのたぐいは人間が作り出したものだろうから」

 雅則はお化けの類は信じるほうではなかった。実際、見たこともない。

「私は、夜はお酒を飲んで寝ちゃうから」

 イビルが意外なことを口にした。

「イビルはお酒を飲むのか?」

「このアリキュールの街に来て覚えたの。他の冒険者に誘われて。ああ、私

に文字を教えてくれたスレーンも飲み友達になったわ。酔うと気分がよくな

って・・」

 イビルは嬉しそうに話した。

 雅則はイビルに対する不安がまたひとつ増えそうな気がした。

「牧場には可愛い獣がいっぱい居たけどぉ」

 イビルが思い出したように言った。

 雅則は牧場に向かいながらイビルが思わず口にしたくなったのは、その牛

のことだろうと思い

「あれは牛だ。獣じゃない」

と教えてやった。

「ワリキュールの街は結構探っているけど、牧場までは確認していなかったわ」

「あの牛の乳は牛乳と言って美味しい飲み物だ。栄養もある。人族はそれを

飲んでいる。牛の肉も焼いて食べると美味しいぞ」

「人族より美味しい?」

「いや、人族はたべたことがないから、わからないけど」

 イビルとリサは魔族だった。

 リサもイビルも料理は作れそうにないので外食して戻った。

 イビルは早速、帰りに買い込んだお酒を飲んで休んでしまった。


「リサ、一緒にお風呂に入るか?」

 雅則はリサを誘った。

「え?」

「やっぱり恥ずかしいか」

「いいえ。人族じゃありませんから。ただ風呂に入る経験はしてないので」

「そうか。(俺たちの世界では)シャワーで済ませる国もあるようだけど、

この世界の魔族であるリサたちには入浴は必要ないのか。誰かに背中を流し

てほしいと思って」

「わかりました。入ります」

 リサも浴室の前で身につけているものを脱ぎはじめた。

 リサを裸をあらためて見た。綺麗な肌をしている。まだ10代、いや20代

のような容姿だ。年齢は300歳を超えていると言っていた。

「綺麗な肌をしているね」

「人間体に変異しているだけですから」

 歳を取っても綺麗な肌を保てるなら羨ましいと思った。

「温泉とかお風呂とか嫌いか?」

「いえ、馴染みがないので」

「いやじゃなかったら、これからも一緒にお風呂に入ってほしい」

「はい」

 リサに背中を流してもらったが、リサの身体を洗うのは控えた。悠介じゃ

ないし。


 ◇


 夜中に目を覚ますと部屋の中の椅子に女が座っている。年齢的に女子

中学生くらいか。若く見える。

 可愛い。白いドレスを着て、幽霊と言われれば信じていいような雰囲気だ。

「早速出たか。名前を聞いていい?」

「コーネリア」

「名前はあるんだ。霊なのか?」

「霊は知りません」

 薄幸な美少女という雰囲気。霊でなければ何なんだ。

「じゃあ、コーネリアは何?」

「セキュバスです」

「セキュバス?」

「ここは、もと私たちが棲んでいたところです。人族が街を大きくするのに、

私たちの土地を奪ったんです」

 コーネリアは強そうには見えないが、恨みがあるのか、しっかりした口調

で言った。

「そういうの、多いよね。人間は・・いやひと族か。・・で、他に家族とか

仲間は?」

「父も母も他の仲間も魔術師に殺されました」

「魔術師に?」

「スラーレン法国から来たらしいです」

「そう。・・一緒に住む?」

「え?」

「俺たちもここをねぐらにしたい。街に近いほうがいいから」

 雅則はコーネリアの境遇に、ちょっと同情してしまった。

「私もここを出たら、住むところがありません」

「足はあるよね。なら一緒に住なまいか?」

 雅則の提案にコーネリアは信じられない顔をして

「私を追い出さないのですか?」

と聞いた。

「行くところがないんだろう?空いている部屋を使っていいから。それとも

一緒に寝る?」

「変わった人族」

 セキュバスにも変に思われた。

「俺は異世界の者だから」

 それは理由にならなうか、とも思ったが。

「異世界ってどこ?」

「知らないか。俺もこっちの世界に来て、異世界ってあるんだと思った」

「・・・」

「霊が出ると聞いていたが、きみのような可愛い霊なら歓迎する」


 部屋のドアがノックされた。

「ハーロック様。誰かいるんですか?」

「リサか、入って」

 リサは部屋に入って見知らぬ女の子が居るのに驚いた。

「例の霊ですか?」

「それはダジャレ?・・セキュバスらしい。知らないけど」

「私も知りません」

「魔族であるリサもセキュバスは知らないか。今日から、このコーネリアも

一緒に住む」

「え?」

「行くところが無いらしい」

「私はかまいませんけど・・」

「仲良くしてやって」

 ◇

 翌朝、雅則は昨日買っておいた食材で朝食をつくることにした。

「まさか異世界に来て食事を自分でつくることになるとは思わなかった。

ホテル暮らしじゃなくて、大きな別荘を手に入れたようなものだからな。

・・食事の用意だけでなく、掃除、洗濯・・家事もするようか」

 コーネリアが台所に来た。

「コーネリアは何を食べるんだ?」

「何でも。・・人族の食べるものなら食べられます」

「そうか。じゃあ今から作るから楽しみにして」

「手伝います」

「え? 作れるの?」

「人族と同じ生活が出来ます」

「それは助かる。・・じゃあ頼みがある。一緒の二人は料理も作れないだろ

うし、掃除もしたことがないだろう。この館の家事を頼んでいいかな?」

「はい。大丈夫です」

「よかった」

 雅則は思わず安堵した。もともとずぼらな性格なのだ。

「あの・・名前はハーロックさま?」

「うん。自己紹介していなかったね。ハーロックでいいよ」

「強いですか?」

「え?」

「私を守ってくれますか?」

「どういうこと?」

「・・・」

 雅則はコーネリアが何かに怯えているような気がした。

「わかった。コーネリアは俺が守る。安心して」

「はい」

 雅則はコーネリアが妹のように思えてきた。妹はいないけど。


 コーネエリアと朝食をつくっていると、リサが下りてきた。

「すみません。疲れが溜まっていたのか、起きれませんでした」

 え、リサは魔族のはず。今までどんな寝泊まりをしていたかは

知らないが・・。

「リサには世話になりっぱなしだった。用があるときは頼むから、

ゆっくり体を休めて」

 気遣った。

「はい。自分でも不思議で、ここは居心地がいいというか・・」

「館が手に入って俺もよかったと思うよ。朝食の用意が出来たら

イビルを起こして」

「ほんとうに二日酔いで寝ているみたいです。それと・・人族のように

食事をとらなくても平気ですから」

「そうか。・・コーネリアにはまだリサたちのことは話していなかった。

あらためて紹介しあおう。俺は異世界から来た人間で、こっちでは人族

というのか、リサとイビルは魔族。魔族ってわかる?」


雅則はコーネリアに聞いた。

「はい。存在は」

「リサ。人族の食するものを食べられるなら、一緒に食べよう。それと

コーネリアは今後、俺が守ることにした。俺が居ない時は、リサがコー

ネリアを守ってくれ」

「何からですか?」

「全てからだ。何が襲ってきても。特に魔術師に狙われるかもしれない」

「・・わかりました」










 






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