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異世界に行ったら最強になった  作者: 志良内達夫
第十七章 新たな冒険
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17-11.雅則たちの帰還

 美緒たちは仕事に出かけ、イビルは宮殿で雅則たちが飛行船で飛んで行った方角を眺めていた。

 宮殿の警護を受け持つトニールがソマルに

「今日もイビルさんが空を眺めています」

と教えた。

「イビル、どうした」

 気になったソマルがイビルに声をかけた。

「ハーロックさんたちは、いつ帰ってくるかな」

「心配なんだ」

「アリオン神国が絡んでいるらしいから・・戻ってくるわよね」

「あんなに強いハーロック伯爵たちだ。きっと戻ってくるよ」


 イビルの元気の無さは美緒も感じていた。

「イビルも心配なんだ」

 イビルは、最初は雅則をハーロックと呼び捨てにしていたが、今は「さん」付けで呼んでいる。


 そして数日後。

「上空に飛行艇が、また見たことの無い飛行艇だ」

 トニールが飛行艇を確認して衛兵隊に警備態勢をとらせた。

 ハンスも前回同様ワリキュールに飛来してきて、雅則たちが乗り込んでいったものとは違う形の飛行艇に不安を抱いた。


 その飛行艇で戻ってきたのは雅則たちだった。

 飛行艇が宮殿に近づいていくと

「セーラ。空港に着陸させてくれ」

と雅則が言った。

「はい」

「衛兵隊たちが警戒しているようだぞ」

 下を見て悠介が言った。

「飛び立った飛行艇とは別物だからな」

 雅則は、そう思った。

 飛行艇をゆっくり降下させ、ワリキュール空港に着陸させると、まず雅則が降りていった。

「ハーロック伯爵でしたか」

 衛兵隊王宮警備隊隊長のトニールが雅則を確認して安堵した。

「ご苦労様。無事戻ってきたよ」

 雅則がトニールに報告すると、ソマルやイビルも駆けつけるようにやってきた。

 イビルが

「心配してたんだからね」

と、いつもより神妙な顔で雅則に言った。

 イビルの意外な顔に驚いた雅則は

「心配させて悪かった。ワリキュールはイビルなら任せられると思っていたから」

と期待していたように言った。

「上手いこと言って・・」

 雅則もイビルが今までに無い顔をしたので、本当に心配してくれていたと思った。


 雅則たちは、そのまま宮殿に入ってハンスに会い、報告した。

「他国ではそのようなことが」

「どうして人族は戦争をするのか、関わらずに帰ってきた」

「こちらに進攻してくることは・・」

「場合によってはありそうだ。警戒はしておくようだろう。衛兵隊では不安かな。俺が軍を解体させてしまったからな。何かあったらイビルに伝えて」

「承知しました。それと報告することが。ソマルがワリキュールからエランデルまでの直通で行けるSLの機関車を設計しています」

「それは頼もしいな。便利になっていいと思う」

「そう言ってもらえればソマルも喜びます」


 雅則たちはソマルに自動車を手配してもらって館に戻った。

「ただいま。って館にはカリナしかいないか」

「お帰りなさい。みんな、ハーロックさんたちがいつ帰ってくるかわからないから仕事に出かけているけど、心配はしていましたよ。コーネリアも美緒さんと牧場に行っています。それと・・またヒュンケルさんが来て旅に行くとか、美緒さんが聞いていました」

「そう」

 悠介が雅則に

「美緒ちゃんには電話で、ソリアには無線で帰ってきたことを知らせておいては?」

と提案した。

「そうだな」

「俺はナディのところに行ってくる」

 悠介もナディに無事に戻ってきたことを早く知らせたかった。

「夕方には戻れよ」

「約束は出来ないかも」


 ◇


 夕方にはみんな館に帰ってきた、それも、いつもの時間より早く。

 無線で雅則が帰ってきたことを知ったソリアが一番早かった。そして電話でそれを知った美緒がコーネリアを連れて帰ってきた。

「ハーロック様」

 コーネリアが雅則に抱き着くように駆けてきた。

「ただいま」

 雅則もコーネリアを抱きしめた。

「空の旅は楽しかった?」

 美緒に皮肉っぽく聞かれて

「楽しければ、帰ってくるのが、もっと遅くなっていたよ」

と雅則はこたえた。

「電話でヒュンケルが来たことは言ったけど、詳しい話は帰ったら話そうと思って」

「うん。仕事は相変わらず忙しいんだろう?」

「事務員も育てているから楽になってはきているわ。ヒュンケルとシズさんはもう旅に出たはずよ」

「ヒュンケルも生き方を模索しているようだな」


 スレーンが館にやってきた。

「ハーロックさんたちが居ない間、男はジルだけだから、住まわせてもらっていた」

「そうか。ありがとうな」

 雅則たちが飛行艇で出かけた後だった。スレーンが館に来て

「ハーロックさんや悠介さんと比較すると頼りにならないかも知れないけど、ハーロックさんたちが戻って来るまででいいから、俺も館の番に来てもいいけど」

と美緒たちに言った。

「要するに館で一緒に暮らしたいということ? 確かにちょっと今は不用心だからね。ソリアたちがいいなら私はかまわないけど」

「私もいいわよ。レベル20と高いようだし。居ないよりはましかも」

 ソリアも反対はしなかった。

「その程度にしか思われていないのか」

「今は貸家に住んでいると言ってたわよね。番人として役に立つなら、ただで部屋を貸してもいいわ」

「あてにされるくらい頼れる番人になるよ」

 それからスレーンは館に住むようになった。

 スレーンは館からチーズの店『マキバ』に通っている。


「出来れば、これからも住まわせてもらえると嬉しいんだけど」

「俺はいいぞ」

「俺もいいぞ」

 悠介も賛成すると

「私もいいわよ。頼りになっているし」

「私もいいわよ」

と美緒とソリアも了解した。


 ◇


 夕食後、雅則が異国で体験してきたことを報告した。

 セーラが仕えていたナルティーナ王女には会えて無事であることと、空賊ハーロックも居たこと、ソアラとセーラをアリオン神国まで送らずにワリキュールまで戻してもらったことなどを話した。

 そして

「カニールと出会った。魔獣を使役しながら悪さをしているようだった」

と美緒に言った。

「こっちで見かけないと思ったら、遠くに行ったにね」

「倒そうと思ったら逃げられた。転移魔法も使えるようだ」

 悠介が残念そうに言った。

「で、ソアラとセーラはどうするの? ソアラが開発してくれた白ワインの評判もいいのよ。セーラと一緒にこっちの暮らしを楽しんでもらえるといいなと思うんだけど」

 美緒に聞かれてソアラが

「ここでの暮らしは楽しくて皆さんには感謝していますけど、セーラとも相談していたんですけど、アリオン神国に戻ってみようと思っています」

と言った。

「帰っちゃうのか。寂しくなるな」

 美緒が名残惜しそうに言った。

「魔光石はどうする? ソアラたちに預けるか?」

 雅則が言うと

「いいんですか?」

とセーラが確認するように聞いた。

「俺が持っていてもしょうがないし。魔光石が無ければ飛行艇を飛ばせないだろう?」

 雅則はそのつもりだった。

「今日はゆっくり休んで、明日のことは明日考えれば?」

 美緒がソアラに言った。

「雅則くんも悠介さんもリサもお疲れ様。今日は休んだら?」

「エドワールの変電所も見てこないとな。コーネリアとお風呂に入っていいか?」

 コーネリアも安心した顔で雅則たちを迎えてくれたので、雅則はコーネリアとも過ごしてやりたいと思った。

 コーネリアが嬉しそうに

「はい」

とこたえると

「お好きにどうぞ。リサと3人で入ったら?」

 美緒も雅則とコーネリアやリサとの関係を承知している。

「今日は俺もいいか? ソリアやカリナも入ってくれないだろうから」

と悠介が言うと

「私でよければ一緒に入ってもいいわよぉ」

とイビルが珍しいことを言った。

「イビルも裸を見せてくれるのか?」

「そういういやらしい言い方は聞こえないところで言って」

 ソリアがめずらしく突っ込んだ。

「意味ないだろう」

「お風呂もいいけど、無事帰ってきたから、やっぱりお酒飲みに行きたい。ジル、スレーンもつきあってくれる?」

 イビルがジルとスレーンを誘った。

「お風呂もお酒も喜んで」

「え? ジルも一緒にお風呂に入りたいのか?」

「そういうつもりじゃ・・」

「じゃあ俺もいいかな」

 悠介が混ざってきた。

「風呂は大きいから、まだまだ入れるぞぉ」

 雅則が他のみんなも誘ったが

「入らないわよぉ」

と美緒とソリアが拒否した。


 ◇


 翌朝、ソアラが

「セーラと話し合ったんですが、戻ってみようと思います」

と雅則たちに言った。

「なら、帰る前に街を散策してきたら? セーラはまだ乗ったことがないと思うからSLに乗ったり・・」

と美緒が勧めると

「じゃあ今日は散策して、明日帰ったら? 空港の見送りは悠介とイビルに頼んでいいか? 俺とリサはエドワールに行くから。エランデルにも顔を出してこようと思う」

と雅則が言った。

「相変わらず照れ屋なんだから。見送りぐらいしてやったら」

 雅則は美緒に言われ

「そういうのは苦手だから」

 雅則はリサとSL列車でエドワールに向かった。


「ハーロック様はソアラとセーラを見送らないんですか?」

 リサに聞かれて

「そういうのは苦手なんだ。だから悠介に任せた」

と雅則はこたえた。

 エドワールの駅に着くと、領事館方面のトレインに乗り込んだ。ミシェールがトレインの運転手を務めていた。

「衛兵隊は辞めました。強くはないし、魔法も使えないし。自動車の運転のほうが向いている気がして・・」

「いいんじゃないか」

「それに・・ミリアと一緒に暮らすことにしたし」

「え? それって・・そうか、おめでとう」

 雅則はミシェールを祝福した。


 領事館に着くと、ライアンは相変わらず忙しく仕事をこなしていた。

「無事、戻ってこられたようですね」

「しばらく留守にしてしまった」

 雅則はライアンに旅先の話をした。

「どこでも問題はあるんですね」

「異国のことだから内政には干渉せずに帰ってきた」

「アリオン神国などが、こちらに進攻してくる可能性は?」

「あるかも知れない。そうなればワリキュールはもちろん、エドワールも危険に晒されるだろう。そのときは返り討ちにしてやるさ」

「ユリカもエドワール電力会社の社長として頑張ってくれています」


 ユリカにも会いに行った。

「火力発電所の建設は順調です」

「次は変電所建設だな。工業団地には発注をかけているから、今のうちにエランデル国にも行ってこようと思う」


 ◇


 雅則とリサがエドワールに出かけた後、悠介がコーネリアとカリアを連れてソアラとセーラとSLに乗ったり街を散策して楽しんだ。

 翌日、ソアラとセーラがアリオン神国に戻ることになり、悠介はイビルと空港に見送りに行った。

「美緒ちゃんから赤ワインと白ワインの箱詰めを渡して欲しいって頼まれた。美緒ちゃんはソアラがつくってくれた白ワインを褒めていたぞ。感謝しているって」

「私もワインつくりを教わって楽しかったです」

「いつでも待っているから」

「はい。また戻ってきたいです」

 ソアラとセーラは飛行艇でアリオン神国に戻っていった。


 「さてと。・・雅もエドワールに行ったし、俺も自動車の販売を手掛けないと。・・新しいジーンズも欲しいな」

 悠介はニナの店に行ってみた。すると店の中はいろんな衣服が並べられていた。

「これ、にんなニナが手掛けたのか?」

「仕立て職人を何人か雇ってね。悠介さんのお陰で衣類の商売は繁盛しているし、友人がエランデル国にお店を出したんだけど、そこでもジーンズは人気らしいの」

「これだけいろんなものがあると、ファッションショーを開けそうだな」

「ファッションショー?」

「そういうのってないか。モデルも居ないようだものな」

「詳しく聞かせて」

 悠介の話を聞いたニナは

「やってみたいな」

と乗り気だった。




















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