17-7.救出作戦
マチルダが宿に戻って来て
「鎧姿は目立つかしら。情報は得られなかったわ。ただ、大きな館にさらわれた女性たちが居るような噂を耳にしたわ。明日、馬車がそこから出るみたい」
と悠介たちに報告した。
「女性たちをどこかに連れて行くのかも」
翌朝、館を監視していたリサから雅則に<心波>が送られてきた。
『馬車が館に入っていきました』
『わかった』
雅則は悠介とマチルダに
「馬車が館に入った。俺は先に出て馬車を確認する」
と伝えた。
そして街の郊外に出て、先回りして馬車が来るのを待った。
『館を出ました』
確認したリサが馬車を先回りして雅則の居る場所に来た。
雅則は、やってきた馬車の中を透視してみた。
「やはり囚われていた女性たちも乗っているようだ」
「わかるんですか?」
「俺にもともと備わっていた透視能力を使ってみた」
雅則が<心波>で悠介に報告すると、その先で待っている悠介が
「じゃあ作戦通りに行くか」
とマチルダと馬車の前に立ちはだかった。
「何者だ」
「乗せている彼女たちを解放してもらおうか」
「誰に雇われた。たった2人で俺たちの相手になると言うのか」
先に悠介とマチルダが相手をして、雅則が追いかけることにした。リサはユリエーナとミサエーナの保護を頼まれた。
「相手は私一人で十分よ」
マチルダが剣を抜いて馬車に突進した。
馬車から降りてきた男たちがマチルダに向かってきたが、マチルダが切り倒していった。
「作戦を聞いていなかったか? 美緒ちゃんよりおてんばだな」
悠介はあきれ顔でつぶやいた。
ベアーキラーダの男が馬車から女を連れ出すと、短刀をかざして
「女を殺すぞ!」
とマチルダに言った。
人質をとられたのだはマチルダも手が出せなかった。
「やっと追いついた。真面目に日ごろから運動づるようにしようかな」
雅則がタイムコントロールで時間をゆっくりにして男に近づくと
「死ぬのはおまえだ」
と言った。
「いつのまに・・」
「Destroy(破壊)」
雅則は男の脳を破壊した。
「今度は俺の出番かな」
悠介は
「サイコパワーシュート」
と放ち、男たちの武器を落としていった。そして
「ライトニング」
電撃を浴びせて倒した。
「殺さないほうがいいんだろう?」
悠介が言うとマチルダは、また唖然とした。
雅則と悠介が馬車から女たちを下した。
リサに守られていたユリエーナとミサエーナが、姉のマリエーナを見つけて駆け寄っていった。
マチルダも下りてきた女性の中に姉を発見して駆け寄った。
「これで一件落着かな」
悠介が安堵するように言うと
「見事な出来だ。マチルダ、腕の立つ者を雇ったな」
と男が言った。
「おまえは魔獣召喚士カニール」
「ただの召喚士ではない。魔獣を使役し操ることが出来る。こんなこともあろうかと森の魔獣を使役することにした」
「キャットヴィッツが言っていた魔術師とはお前のことか」
悠介がカニールに聞いた。
「え? どこかで会ったような・・あ、異世界で出会った男か」
カニールも悠介を思い出した。
「思い出したか。よくも美緒ちゃんを転移させてくれたな」
「それを恨んでいるのか? まさか俺を探していたとか?」
「いや、俺もお前のことを忘れていたけど。森の魔獣、キャットヴィッツもお前に怒っているぞ」
「森の強そうな魔獣は俺が連れ出したから起こっていたか。ひと儲けしたら森に返してやる。その前にお前たちを大魔獣の餌にしてやろう」
カニールは大魔獣を召喚した。
「あんなのが森に居たんだ」
「だからみんな森を避けて交易しているのよ」
「じゃあ倒したほうがいい?」
「倒せるの?」
「され、どっちが倒す?」
悠介が雅則に聞いた。
「俺に倒させてくれるか? エランデルで大魔獣を倒してから久しいからな」
「わかった。雅に譲るよ」
雅則がマチルダに
「剣を貸してくれる?」
と頼んだ。
「この剣で? 剣自体には魔力も込められていないわよ」
「何でもいいんだ、切れるものであれば」
雅則はマチルダから剣を預かると
「まだジャンプ力は衰えていないだろうな」
と大魔獣めがけて飛び上がった。そして
「切れろ!」
剣を振り下ろした。
大魔獣は真っ二つに切り裂かれて倒れた。
「嘘でしょう!」
マチルダもカニールも驚いた。
「あいつは俺に倒させてもらえるか。キャットヴィッツに約束したから」
悠介がカニールに近づいていった。
「俺をただの召喚士だと思うな。魔法も使える」
「あ、そう。俺の相手になるかな」
「転移」
カニールは忽然と姿を消した。
「転移して逃げたか」
◇
さらわれて連れてこられた女性たちは解放され、ベアーキラーダの拠点は警備隊によって潰された。
「力になってもらえてありがたかったわ。あなたたちとだったら冒険者で報酬の高い仕事もこなせそう。私も警備隊をやめてもいいわ。パーティを組まない?」
マルチダに言われたが
「俺たちにはやることがある。戻らないと。パーティはあきらめて」
とマーベリック邸に戻ることにした。
「マチルダは最後まで上から目線だったな」
「強いのは美緒ちゃんだけでいい」
「このままナルティーナとハーロックに味方してシャインドール率いるラバスナ国と戦うか?」
雅則は悠介に聞かれていた。
「そういう気はないけど。どうやってワリキュールに戻る?」
「リサ。馬車で戻るとして何日かかりそうだ?」
悠介に聞かれて
「私はわかりません。それに馬に与える餌も探さないと走ってもらえません」
とリサはこたえた。
「だよな」
「ハーロックに協力しないと歩いて帰るようだぞ。帰らないとナディに忘れられるぞ」
「そっちを心配してくれるのか? 感謝する」




