17-2.ナルビス国とラバスナ軍
翌朝。
雅則たちはセーラが乗ってきた飛行船に行くと、警備しているトニールに
「これで行ってくる。ワリキュールを頼むよ」
と言った。
セーラは魔光石を展示室に置くと気を送った。すると魔光石が光り出し、飛行船が浮きはじめた。
悠介が
「思い出した。ファイナルワールドⅩⅡで、魔石を使って武器などをつくり、国家間の争いを描いたゲームがあったな。あまり遊ばなかったけど」
と言った。
「アリオン神国って、何かのゲームに出て来る国か?」
「いや、俺がプレイしたゲームの中には、そういう国はなかった」
「どうなるかわからないが、ナルビス国に向けて出発だ」
飛行船を高く浮かせると、セーラはナルビス国に向けて移動させた。
◇
ナルビス国は遠かった。飛行船で1日飛んでも着かなかった。
そしてようやく、下界に建物群が見えてきた。
「あれがナルビス国です」
セーラが目視して言った。
「ワリキュールに劣らぬ広さだな」
「宮殿もワリキュールより立派だ」
セーラが飛行船を降下させて宮殿の広い場に着地させると、それに引き寄せられるように兵のような身なりをした者たちが集まってきた。
「降りて行ったらいきなり捕らえられるんじゃないだろうな」
悠介が心配した。だが雅則は
「ケルトン族を倒すより容易だろう」
と余裕顔だ。
「ルモーク国王がいます」
セーラが飛行船に近づく男を見て言った。
「まず私が会います」
セーラとソアラが先に飛行船を降りていった。
「女神のセーラか。ナルティーナは」
ルモークがセーラに聞いた。
「ルモーク国王のところに行くと言ってましたが、来ていないのですか?」
「飛行船が飛んできたから、これで来たのかと思ったのだが」
「王女とは別行動になりました」
雅則たちもタラップを降りて行くと
「彼らは」
とルモークがセーラに聞いた。
「私を助けてくれた人たちです」
雅則は
「ワリキュール王国から来た伯爵のハーロックと言います」
とルモークに挨拶した。
「ワリキュール王国? 聞かぬところだ。しかし、よくおいでくだされた」
雅則たちは宮殿に案内されるともてなされた。
「ナルティーナがシャインドールの縁談を断ったからと、まさかテルニア国に進攻してくるとは。ナルティーナが無事ならいいが」
「シャインドールの目的は王女より魔光石にあったようです。私はテルニア国の魔光石をラバスナ国にとられないようにルモーク国王に渡すようにナルティーナ王女から預けられ、飛行船でテルニア国を脱出したのです。この魔光石をお渡しします」
セーラは魔光石のパールエメルダをルモークに渡した。
「ナルティーナには、万が一のときには預かると言っておいたが、まさか本当にそのような事態になるとは思っていなかった」
そこへ
「国王、大変です。ラバスナ軍が・・」
と兵が知らせにやってきた。
◇
上空に飛行船団が現れた。そして降り立った飛行船からラバスナ軍の兵が宮殿に向かって進んできた。
宮殿の上空に迫ってきた飛行船から落下する者が居た。
彼は宮殿に近づくとゆっくり降下してきた。
「あれはフライという魔術。ラバスナ国の魔術師か」
とルモークが言った。
「宙に浮く魔術か。使ったことがないな」
悠介も驚いた。
男は宮殿に降り立つと
「ルモーク国王とお見受けする。私はラバスナ国の将軍、ラスクと申す。テルニア国のナルティーナ王女が来ているはず」
とルモークに言った。
「ナルティーナは来ておらん」
「嘘は通りません。魔光石を使って飛行船でテルニア国を脱出したことは知っている。ここにテルニア国の飛行船があるのが何よりの証拠」
するとセーラが
「飛行船は私が王女から魔光石を預かって飛ばしてきたもの。王女は一緒ではありません」
とラスクに言った。
「まあいい。私がここに来た目的は王女ではない。魔光石だ。ではテルニア国にあった魔光石、パールエレルダは、ここにあるのだな?」
「魔光石をどうしようと言うのだ」
「我がラバスナ国の国王、シャインドール様に渡すためだ。大人しく渡せば、このままラバスナ国に戻ろう。だが、拒否すれば我が軍をもってナルビス国を制圧することになる」
「国民を人質にする気か。テルニア国もそうして潰してきたのか」
「察しはいいようですね。どちらを選びますか?」
「・・わかった。魔光石を渡そう」
ルモークは魔光石をラスクに渡した。
「これが魔光石・・綺麗だ」
ラスクは渡された魔光石を見て、その輝きに魅了された。
「約束だ。国を制圧することはしない。だが国王には消えてもらわなければならない。ここもラバスナ国の支配地にするために」
ラスクは魔光石を持って宙に飛び立つように上がると、上空の飛行船に戻っていった。そしてラバスナ軍の兵が宮殿に流れ込んできた。
「国王を始末する気か。ここは相手をするようかな?」
悠介は闘志が湧いて来た。
「リサ、国王とみんなを頼む」
雅則も戦いは避けられないと思った。
「二人で相手をするというのか?」
ルモークは懸念したが
「ハーロック様たちなら大丈夫です」
とリサがルモークに安心するように言った。
「サイコパワーシュート!」
悠介のサイコエネルギー弾がラバスナ軍の兵の身体を貫いていった。
雅則も
「バックショットボール!」
エネルギー弾をばらまき、兵たちの身体を破壊していった。
「流星雨を使うのかと思った」
「こんなところで使ったら宮殿を壊しちゃうだろう」
「美緒ちゃんを連れてこなくてよかった。ゴジラを召喚したら宮殿を壊すことになるからな」
「喜んで壊すかも」
ラバスナ軍は何人居るのか、まだまだ押し寄せてきた。
「ここは地道に倒していくしかない」
雅則は上空にサイコ弾を雲のように発生させた。
「え? 今のより強力な魔法か? 一度に何個出せるんだ?」
「さあな。レベル1000の力を試してみるさ。バックショットサイコクラッシュサワー」
発生したサイコ弾が、雹のように降り注ぎ、数えきれない兵たちにぶち当たると、兵たちは身体を破壊して倒れていった。アッと言う間に進攻してきた兵は全滅した。
◇
「あなたがたは・・」
ルモークは雅則と悠介の強さに驚いていた。
「上位魔術師と思ってもらえれば」
「お陰で助かりまた。しかし魔光石は持っていかれ、ナルティーナの居所もわからない」
「関わってしまったのも何かの縁。それに飛行船も飛ばせないとなるとワリキュールにも帰れない。しばらく力になるようかな」
「異議なし」
「まずはナルティーナ王女探しからはじめるか」
女の子に目がない悠介が提案した。
「力を貸してもらえれば嬉しい」
ルモークからも言われた雅則は
「では王女を探しに行ってくるので、ソアラを預かってもらえますか?」
とルモークに頼んだ。
「承知した。ナルティーナがここに向かってくるとすれば、ナルビスとテルニアの間にあるエンサハイムを通ってくるはず。そこには大きな都市もある」
雅則たちはソアラをルモークに預かってもらい、ルモークに馬車を用意してもらってエンサハイムに向かった。
「馬車の旅も懐かしいな。どうせならキャンピングカーで行きたかったな。せっかく作ったのに、試乗でエランデルに行ってきたくらいだからな」
悠介が思い出して言った。
「この馬車も幌馬車よりはいいが、乗り心地はいまいちだしな」
雅則は御者をしてもらっているリサに
「代わりの御者はいないけど大丈夫か? 疲れたら休んでいいぞ」
と気遣うと
「大丈夫です。出かける前に食してきたし」
とこたえた。
「死んだ兵をごちそうにしていたな」




