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異世界に行ったら最強になった  作者: 志良内達夫
第十六章 シームア領の危機
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16-4.戦争回避

 マリアント城からホーエン村に戻った雅則は

「元の世界に戻るまで薬草採りの手伝いをさせてください」

と村長のトルマに頼んだ。

 翌日から雅則たちは山に入って薬草採りをした。ほとんどはホーエン村の資金になる。

 雅則も悠介も一緒なのでナターシャも薬草採りをした。


 翌日。

「大変なことになっている」

とジルがやってきた。

「ロザリオ王子が爆撃発射台地区を占領した」

「え? 爆撃発射台って、もしかしてミサイルのようなものか?」

 悠介が推理した。

「空に打ち上げて相手の地区で爆発するものらしい」

「やっぱりミサイルだな。そんなものまで作っていたんだ」

「第二分隊長のウーノがロザリオ王子を操っていたようだ。だからマスカット姫をセビラタウンに留めていたんだ。彼はエルハト国の者で、マリアント国に潜入してロザリオ王子に近づいたようだ」

「俺がゲームをしていたときには、そんな国は出てこなかったぞ。もうそんなこと、どうでもいいか」

「力を貸してもらえませんか?」

「スラーレン宮殿が襲われたときは、ジルにも力になってもらったからな。今度は俺が行ってこよう」

 雅則がその気になると

「俺も行こう」

と悠介も協力しようとした。

「悠介はナターシャを頼む。俺とリサで行ってくる」

 雅則とリサはジルとマリアント城に戻った。

「ハーロック伯爵殿、また力を貸してもらえるのか」

 雅則はピオーネ国王から言われた。

「場合によっては。詳しい話を聞かせてください」

 そう答えるとジルが代わって話をした。

「魔族がマリアント国とエルハト国に精神魔法で闘争心を高まらせ、人間同士を戦わせて互いに自滅するように仕組んだ。だが悠介さんたちが来て、魔族のギリルが倒れ、争いは収まるかと思ったんだが、お互いの国が機械兵器を持ち出したことで、力で世界を制圧しようと動きはじめたようです。ロザリオ王子が持ち出した砲撃重装甲車は50台。それに対しエルハト国の装甲車は200台を超えるらしいです。それがマリアント国に向かってきているので、ロザリオ王子は爆撃発射台から迎撃するつもりです」

「で、どうすればいい?」

「機械を格納するのではなく、分解や破壊すればよかったのかも。兵器や大きな破壊をもたらすものは無くしたほうがいい」

 ピオーネは今さらながら後悔するように言った。

 ジルが

「ハーロックの『流星雨』で破壊することは?」

と雅則に提案した。

「出来るが、ロザリオ王子も死ぬぞ」

「兵器の使用を止めるように説得するのが一番ですか?」

「誰が説得出来る? マスカット姫かピオーネ国王かな」

「私がします」

 マスカットが名乗り出た。


 雅則とリサは、ピオーネ国王、マスカット姫、そしてジルに案内されて爆撃発射台のあるエリアに行った。

 そこは城や街から離れた場所で、高い塀に囲まれていた。一般人は立ち入り禁止になっている。

 ロザリオ王子に従う兵たちが門の前で警備していた。

 ピオーネ国王がやってくると、彼らは門の中にみんなを入れた。

「王子は何処にいる」

 ジルが聞くと

「操作塔にいます」

と教えられた。

「爆撃弾を向かって来る砲撃重装甲車の一団に発射するつもりでしょう」

 ジルが推測した。

「そのようなことをしたらエルハト国も爆撃弾をマリアント国に打ち込んできます。そうなれば戦争になります」

 マリアントもピオーネも、それを危惧した。

「しかしエルハト国は既に砲撃重装甲車で我が国に向かってきています。戦争は避けられないのでは」

 ジルの心配に

「マリアント国のロザリオも、エルハト国の人も魔族によって洗脳されていたんです。精神魔法が解かれた今、話し合いで戦争を避けられませんか?」

とマスカットが提案した。

「それには、まずロザリオの爆撃弾発射を止めなければ・・」

「ハーロックさん。何とか出来ないか?」

「流星雨で砲撃重装甲車を破壊するのは逆効果だな。砲撃重装甲車の進攻を止められるとして、その前にロザリオ王子の爆撃弾発射を止めさせないと」

「私が説得します」

 マスカット姫とピオーネ国王がロザリオ王子の説得に努めた。

「俺の行為によりドワーフ国を潰し、エルハト国にも戦線布告してしまった。今さら若いが出来るだろうか」

「それもみな魔族によるもの。話し合いに努めましょう」

「エルハト国の砲撃重装甲車が迫っている。それを止められるか」

「ハーロック伯爵の力を借ります」

「どうやって・・」

「極大魔法を使う」

 雅則たちはロザリオに爆撃弾発射を止めさせ、向かってくるエルハト国の砲撃重装甲車の一団を待ち構えるようにロックヒルに向かった。


 マリアント国の手前の大きな谷にエルハト国の砲撃重装甲車の一団が向かってきた。その数は約200台。一気に攻めてきたら、マリアント城は破壊されるだろう。

「どんな魔法を使うんです?」

 リサも雅則の魔法に興味がある。

「流星雨は使えないからな。土星魔法を使う」

 雅則は天を仰いで雲を湧きたてた。それから

「クラックグラウンド!」

と叫んだ。

 すると地面が揺れ始め、エルハト国の砲撃重装甲車の一団の前に大きな地割れが発生した。

 一団は停止し、唖然としているようだった。そして向きを変えると戻っていった。

「これで戦争は回避出来る」

 ジルも安心した顔をした。

「これからはピオーネ国王の出番です。他国と仲良くしてください」

 雅則はピオーネに言った。

「感謝する。これからも力になってほしい」

 雅則はピオーネから頼まれたが

「それは出来ません。もうすぐ元の世界に戻ることになっています。魔族の存在も要注意でしょうが、私が力になれるのはここまでです。ジルも我々の世界に戻ることになります」

と話した。

「そうか。それは残念だ」

 雅則はジルに

「先にホーエン村に戻っている。もうあまり時間がないが転移して戻るまでマスカット姫と過ごせ」

と言って、リサとホーエン村に戻った。

 そして悠介たちに事の詳細を話した。


 ◇


 雅則たちが元の世界(エランデル国)に戻る時が近づいてきた。

 ジルと一緒にマカットも従属する兵を連れて村にやってきた。

「ジル。マスカット姫と名残惜しいのはわかるが、最後まで見せつけてくれるな」

 悠介が羨ましそうに言うと

「私が少しでもジルと居たかったので、みなさんの見送りについてきてしまいました」

とマスカットが言った。

「ジルがなるべく早くこの世界に戻れるように努めてみるから。いつになるかわからないけど」

 雅則がマスカットになぐさめるように言った。

「よろしくお願いします」


 村長のトルマから

「ナターシャからポーションの作り方を教わった。みんなに来てくれたことを感謝する」

と薬草を手に余るほどもらった。

 そして、その時が来た。

 雅則たちの足元に魔法陣が現れた。

「お元気で」

 周りの景色が薄くなっていった。

 そして雅則たちは元の世界、エランデルに戻っていった。











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