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異世界に行ったら最強になった  作者: 志良内達夫
第十六章 シームア領の危機
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16-2.セビラタウンの魔族

 雅則たちは兵器や機械が格納されている場所に案内してもらった。

「ここは誰でも開けられるわけではない。ロザリオがここの鍵を盗んで兵器を持ち出し、ドワーフに対抗した。そしてドワーフを自分の領土にしてしまった」

「どんな武器を持ち出したんだ?」

「砲撃重装甲車だ」

「いわゆる戦車かな?」

 悠介はジープを見つけた。

「国王、これを使わせてもらうぞ」

 悠介はジープで向かうことを考えた。

 イビルが

「私も行こうか」

と名乗り出た。

「何が待っているかわからないぞ」

「そのときは2人を置いて戻ってくるから」

「じゃあ一緒に行ってくれ」

 雅則が言うと

「イビルに見捨てられるとは思っていなかった。俺もイビルともっと仲を深めておくべきだったか」

と悠介が突っ込んだ。

「一緒に飲んでくれれば見捨てたりしないけどぉ」

「それは勘弁してくれ」

 悠介はジルとイビルと3人で、ジープでドワーフ国方面に向かった。城には雅則とリサとナターシャが残った。


 ◇


 ドワーフ国までは約100キロほど。歩いていくには2日掛かりだが、ジープなら数時間。燃料も往復出来る。

 セビラタウンが見えてくると空から何かが迫ってくる。

「あれは空飛ぶ魔獣(フライモンスター)?」

 イビルが発見した。イビルの目は人族よりいい。

「この世界には魔獣も魔族も居ないと言ってなかったか?」

 悠介はジルに聞いた。

「居ないはずだ。女神に召喚されて転移するまでは見たこともない。だから村の近くの山に魔獣が現れるようになったと聞いたときは驚いた」

「ここも変わってきたのか?」

 魔獣がジープを襲ってきた。

「自動車を運転出来るのは俺だけか。運転しながらの攻撃魔法は的中確率が悪い。結界(バウンダリーフェンス)

 悠介はジープの周りに結界を張って魔獣の攻撃を防いだ。


 ◇


 セビラタウンの街が近づいてきた。街には旗が掲げてある場所があった。

「あれはドワーフ国の旗だ」

「あの辺りに姫が居る可能性があるな」

 街の中に入っていくとビルらしき建物が廃墟となって並んでいた。

 その一角に大きな建物があった。

「迎賓館みたいなつくりだな」

 上空には魔獣が飛んでいる。

 悠介はジープで大きな門から入っていった。

 そのうち魔獣が飛び去ると、城門が開き、中から兵がぞろぞろと出てきた。

「旗はドワーフだが、鎧はマリアントのものだ」

「どこかの来訪者か聞こう」

 兵の一人が声を上げて聞いた。

 ジルがジープを下りて

「俺、いや私はマリアント国の騎士、ジル・トラバート。マスカット姫に会いに来た」

と大きな声で挨拶した。

 すると兵たちはざわめきだした。

 一人がジルに歩み寄って

「私はマリアント軍第二分隊長のウーノ。ジルの名を知らない兵はいません」

と挨拶した。

「どうしてマリアント軍がドワーフの旗を揚げている」

「ドワーフ国は、ロザリオ陛下が制圧しました。今は隣国に攻め入っているところです。今後、ドワーフはロザリオ陛下のものになります。つまりドワーフはロザリオ陛下の国になるのです」

「凄いことになっているな」

 悠介も驚いた。

「マスカット姫はここに居るのか」

「はい。陛下よりここに留め置くように言われているので、私たちが姫の警護についているのです」

「マスカット姫のところに案内してもらおうか」

 ウーノが悠介たちをマスカットが居る部屋に案内した。

「マスカット姫」

「ジル?・・ジル・トラバートなの?」

「会えてよかった」

「急に居なくなってしまったから心配していたのよ」

「ごめん。奇妙なことに巻き込まれちゃって」

「無事でよかった」

 マスカットは精一杯の笑みを浮かべた。

「巻き込まれたって、どういうこと?」

 マスカットの質問にジルが話そうとすると悠介が

「簡単な話じゃないだろう。マスカット姫との再会シーンだ、俺たちは別の部屋で休ませてもらおう」

と2人を残して部屋を出た。


 ジルはマスカットに女神に召喚されてから薬草を採りに一時的にではあるが、元の世界に戻ってきたことまでを話した。

「信じられない話だけど、ジルが無事なのを知って安心しました」

「それよりロザリオ王子はどうしてしまったんですか」

「力に屈したんです。機械の力に」

「どういうことですか?」

「機械兵器を手に入れた兄は、その驚異的な力でドワーフ国を全滅に追い込みました。すると、その力で世界征服を描き始めたんです」

「王子はそんな人ではなかった」

「力を得た兄は、欲が出たんです。このままではまたこの世界は機械戦争の時代を迎えてしまいます」


 外が騒がしくなった。窓の外を見ると魔獣が館に向かってきていた。それに兵士たちが応戦している。

「どうして魔獣が・・」

 ジルが転移して異世界に行くまでは魔獣など現れたことはなかった。

「わからないけど、最近なの、魔獣が現れはじめたのは」

「召喚獣で相手をしてやる」

 ジルが召喚獣ギガスを召喚した。そして現れた魔獣と闘いはじめた。

 別の部屋で休んでいた悠介も、外の魔獣の闘いに驚いた。

「怪獣映画の撮影じゃあるまいし、どっちも美緒ちゃんのゴジラには適わないだろうけど」

「ユースケさんの話は理解できないけど、どうなっているの?」

 イビルも驚いた。そして

「人族でない気配が・・」

と身構えた。


 空間が歪んで

「召喚獣を出すのは何者だ」

と獣の顔をした者が現れた。

「それはこっちが聞きたい。何者だ」

 突然現れた者に悠介が強い声で言った。

「兵隊ではないな。魔術師か」

「おまえも人間じゃないな」

「人間は我々が始末する。そして魔族が暮らしやすい世界にする」

「つまりお前は魔族というわけだ。俺がゲームで遊んでいた頃は、お前のような者は出てこなかった」

「はあ?・・お前の言っていることは理解出来ないが、魔術師も邪魔だから一緒に始末する」

「出来るものならやってみろ。その前に、なぜここに現れた」

「我は魔女となられたアビュラ様に仕えし魔族。邪魔な人間を滅ぼし、魔王国の世界にする。人間を滅ぼすには人間同士で戦わせるほうが手っ取り早い。だから人間に精神魔法をかけて戦わせた。みごとドワーフの人間は大半が犠牲になっている。そこのマスカット姫はその計画に邪魔な存在。だから始末に来た」

「そういうことか。理解したって良くわからないけど。俺はユースケ。名前があるなら聞いておこう」

「魔族のギリル。我の餌食になれ」

 ギリルが魔法を発動すると、兵士たちは身体の自由を奪われて倒れ込んでいった。

 悠介とイビルだけが立ち尽くしていた。

「これは・・」

「精神魔法ね。生憎、私にも精神魔法は効かないの」

 イビルが余裕を持った口ぶりで言った。

「イビルを連れてきて正解だったか」

 ギリルは

「どうして倒れない」

と悠介に言った。

「精神魔法は俺たちには効かない」

「魔族か」

「魔王とでも言っておくか。これでも魔王サンダースを名乗ろうとしたこともあるからな」

 ギリルが攻撃魔法を放ってきた。悠介は

「ブレーンバースト」

 腕で振り払うようにして衝撃波をギリルに放った。

 ギリルはそれをぶつけられて後ろに飛ばされた。

「化け物か」

「化け物はお前だろう。サイコパワーシュート」

 悠介がサイコエネルギーを放つと、ギリルの身体を貫き、ギリルは死場に倒れこんだ。

「つい力が入っちゃったよ」

「あっけなく倒しちゃったわね」

 外では現れた魔獣も姿を消し、ギガスはきょとんとした。

「ギガス、戻れ」

 ジルがギガスを戻した。


「2人は無事か」

 悠介はジルとマスカットの部屋に入り、無事を確認した。

「魔族も現れた。倒したけど」

「悠介さんに来てもらってよかった」

「さて、これからどうする?」

「兄が心配です」

 マスカットは兄のロザリオ王子の身を案じた。

「魔族が人間たちに精神魔法をかけて操ったとか言っていたな。ロザリオ王子の精神魔法も解けたはず」

 ウーノが

「陛下がドワーフから戻って来るとの連絡がありました。マスカット姫にはマリアント国で待っていてくれとのことです」

とマスカットに報告した。

「わかりました。帰って兄を待ちましょう」

「すんなりことが収まりそうで俺も安心した」

 悠介はマスカットもジープに乗せて4人でマリアント城に戻った。














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