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異世界に行ったら最強になった  作者: 志良内達夫
第十五章 マリアント国と温泉の危機
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15-7.ホーエン村

 青空の下に広がる緑豊かな大地。周りには山々がそびえ立っている。まるでここはスイスか・・と思えるような景観のいいところだった。ちなみに雅則も悠介もスイスには行ったことがない。

「ジル。ここはジルの世界か?」

「だと思う。ここまで山を登ったことは子供の頃しかない。・・この下に村があって、城はその先だ」

 雅則たちはジルのあとをついて山を下りていった。すると麓の大地のようなところに人家らしき建物が見えてきた。

「俺が生まれ育ったホーエン村だ」

「いいところで育ったな」

 悠介が言うと

「何もないよ」

とジルが言った。

 女神のソアラに召喚されて転移したワリキュールから比べたら、自然しかないようなところだ。ジルにはワリキュールは衝撃的な街だった。


 ジルが村に入っていくと村長も出てきた。

「ジル、お前が居なくなったと城から連絡があって心配していた」

「俺も驚くようなことがあってね。話しても信じてもらえないようなことが」

「連れの者たちは?」

「俺が世話になった人たちだ」

 ジルは雅則たちに村長を紹介した。

「ホーエン村のトルマだ」

 ジルは村の英雄になっていた。

 マリアント国のマスカット姫を助けたことがあり、王族の身内の争いで近隣の町や村も巻き込まれたことがあった。ジルは村を出て騎士になり腕を磨いていたので、マスカット姫を守りながら国を守った英雄として称えられた。

「それについては俺も知っている。俺もゲームで遊んだからな」

 悠介が懐かしいように言った。

 理解出来ないトルマに、ジルが今までのことを話した。

「そういうわけで、俺は女神に異世界転移されてしまった。そこにハーロックさんたちが居たんだ。ハーロックさんたちは、さらに別の世界から転移してきたらしく、ユースケさんからすれば、俺たちのマリアント国はユースケさんたちが遊んだゲームの世界らしい」

「信じられん話だ」

「そのゲームは俺もよく遊んだから、この世界のマリアント城とかジョナタウンは知っている。だが、登場するキャラは数名しか覚えていない。ジルが村の出身だとは知っているが、この村についてはほとんど知らない。ゲームでは重要な場所じゃなかったし」

 悠介はゲームの世界について話したあと

「俺たちがこの世界に転移してきたのは、ある薬草が欲しくて。ゲンショーコーという薬草だが・・」

とトルマに聞いた。

「あれは貴重な薬草だ。村の財源の一つにしている」

「やっぱりそういうものか」

「ゲンショーコーは村に隣接する山で採れるが、離れた山にも生息している。そこからなら取っていっていい」

 雅則と悠介はそれを聞いて

「なら、そこから採って元の世界に戻るか」

と安心すると

「しかし、そこには山の主が居ると昔から言われていて、誰も近づかない。山に入った者はみんな戻ってこないという話だ」

「そんな話、聞いたことがないな。ゲームの世界で魔物と闘う場面はなかった。隣国との領地争いが主なストーリーだったからな」

 悠介が思い出すように言った。


 トルマが続けた。

「しかも最近になってゲンショーコーの採れる近くの山に魔物が現れるようになって困っているところなんだ。薬草が採れないと村の収入が減るのでな」

 雅則たちがトルマの家で話していると

「お父さん!」

と若い女が飛び込んで来た。

「兄さんが怪我をして・・」

「どうした」

「ゲンショーコーを採りに山に入って行って魔物に襲われたの」

「山に入ったのか」

 トルマの娘、マナが兄のハウトと薬草を採りに山に入っていったところ、魔物に襲われたらしい。

 ナターシャがハウトに治癒魔法の呪文を唱えて癒した。

「この世界にも魔法を使える者は居るが、治癒魔法を使える者は知らない。ありがとう」

 トルマはナターシャに礼を言った。

「ナターシャもついてきてもらってよかった」

 雅則は心からそう思った。

 マナが

「薬草も残り少なくなってきたので、兄が危険を承知で採りに行ったんです。兄も魔法を使えるし」

と話した。

 悠介が

「元の世界に戻るには日がある、俺たちで薬草を採ってやらないか? そしてその一部をもらって帰ればいいだろう」

と雅則に提案した。

「魔物が出るのを承知で山に入ると言うのか」

 トルマが心配して言うと

「ついでにその魔物も退治してやりますよ」

と悠介が自信満々に言った。

「ジル、薬草はわかるんだろう?」

「薬草は分かるが、山に採りに入ったことはない。俺は騎士になるのに村を出てしまったから」

「じゃあ、誰かわかる人に一緒に行ってもらわないと」

「私が案内します」

とマナが言うと、トルマが

「そんな危険なことはさせられん」

と反対した。

 ジルが

「俺も一緒に行く。マナは俺が守るから」

とトルマを説得した。

「ナターシャは残ったほうがいいだろう。俺とジルが行けば問題ないだろうから、雅も残っていいぞ」

 悠介が雅則に言った。

「私たちも行ってきていいわよね」

 イビルがワクワク感を抑えながら聞いた。驚くトルマに

「薬草はわからないから魔物退治は私たちに任せて」

とイビルは自信ありげに言った。

「私たちもって、私も?」

 そういうリサに

「ハーロックさんの傍に居たいんだ」

とにやにやしながら言った。

「そういうわけじゃ・・」

 リサがはにかむと

「行くか残るかはリサに任せるから」

と雅則が言った。

「命令、いえ指示してくれていいんですけど」

「自由にしていいよ」

 悠介が

「リサは雅に決めてほしいんだろう?」

とフォローした。

「わかった。じゃあ一緒に行ってきて」

「よし、メンバーは決まったな。早速行ってこよう」


 ◇


 悠介たちはホーエン村に隣接する山に入った。

「薬草を見つける前に魔物が出てこないだろうな」

 悠介が心配するように言うとリサが

「その気配はまだありません」

と言った。

 しばらく入っていくと

「薬草です」

とマナがゲンショーコーを見つけた。

「幸先いいな。よし早速採るか」

 悠介たちは村から借りてきた背負い篭に薬草を採りはじめた。

「あまり離れるなよ。いつ魔物が現れるかわからないからな」

 リサが

「何かが近づいてきます」

敵感知センスエネミーを働かせた。

「動きが速いわね」

 イビルも感じた。

「どんなやつが現れるか楽しみだ。まさかオーグじゃないだろうな」

「動きからして違うと思うけど、この世界にもオーグは居るの?」

「どうかな」

 現れたのは大きな狼のような獣だった。

 ジルはマナを庇うように構えた。そして襲ってきた獣に電撃ライトニングを浴びせた。

「一匹じゃないわよ」

 イビルが危機を感じた。

「イビルとリサにも来てもらってよかったかな」

 現れた数匹の獣に、悠介は

「サイコパワーシュート」

と放った。オーラが獣に向かって飛んでいき、獣の身体を貫いた。

「山火事は起こしちゃ駄目よね。ファイヤーアローも使えないわ」

 イビルの攻撃魔法は火星魔法だ。炎をを武器とする。

「絶対家事は起こすなよ。村に迷惑がかかる」

 イビルは襲てくる獣に爪で裂くように攻撃した。

爪裂斬ネイルセイバーでは手間がかかるわ」


 リサは電撃ライトニングアタックで獣を倒していった。金星魔法を使うとライフの消耗が激しいからだ。

「あと何匹くらいだ?」

「5匹かな」

「まとめて倒してやる。サイコパワーシュート」

 悠介から放たれたエネルギー弾が山の中を縫うように飛び回り、近くの獣にぶち当たって倒した。

 それから薬草を採って村に戻った。


 ◇


 雅則たちはハウトを助けてもらい、薬草も取って来てくれたことに対し、トルマから礼を言われた。

「町のような宿泊施設はないが、休んでいってください。食べ物は山で採れるものほとんどですが・・」

「山の幸も悪くない」

 雅則がナターシャに

「この薬草からポーションをつくるのか」

と聞くと

「そうですけど、他に混ぜるものが必要なので、薬草だけではポーションはつくれません」

と言った。

 トルマも

「私たちも採ってきた薬草を乾燥させて粉にして町に買い取ってもらっています。これからポーションを作ったことはありません」

と言った。

「元の世界に戻るまで、村のために薬草を採るか。その一部をもらって帰ればいいだろう」

 雅則の提案に

「俺は城に行ってみたい。マスカット姫に事情を説明したいし」

とジルが言うと

「でも、転移魔法の効力が切れたら、また転移してしまうぞ」

と悠介が言った。

「ですね。・・でも無事であることは伝えたい」

「せっかくこの世界に来たんだから、俺もマスカット姫に会ってみたい」

「マスカット姫は、悠介のゲームの中の美人ランキングで上位だったな。ジル、悠介にマスカット姫を取られるなよ」

「そういう気はないから安心しろ。マスカット姫が俺に惚れるかは責任もてないが」

「そういう心配は無用だろう」

「私もついていっていい?」

 イビルがジルに言った。すると

「マスカット姫にジルの新しい彼女ですって挨拶するのか?」

と悠介がからかうように言った。

「飲み友達でいいわよ」

「みんなで行きませんか?」

「ジルがそう言うなら」

「一番、腰が重いのは雅だな」

「別にジルの世界に興味はないし・・わかった一緒に行くよ」
























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