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異世界に行ったら最強になった  作者: 志良内達夫
第十五章 マリアント国と温泉の危機
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15-5.ルセールと薬草

 エランデル国に野菜やアズパイアを飛行船で取りに行く日が近づいてきた。

「今回は誰が行く?」

 館の会議で悠介が口火を切った。

「悠介が行きたいんだろう? 顔に書いてあるぞ」

「いちいち顔に書くか。どうせ雅は火力発電所のほうで手が離せないんだろう?」

「ああ、ユリカの力になってやらないと」

 ソリアが

「私もついていっていいですか?」

と言った。

「まだエランデル国に行ったことがないから。ナルーシャにも会ってきたいわ」

「まあ、危険な仕事じゃないからいいか」

「一番危険なのは悠介さんよね」

 美緒が突っ込む。

「今度はソリアと新婚旅行か」

「そういう気はない。一緒に行けるのは嬉しいけど」

「またジルも一緒に行ってきてくれる?」

 美緒に言われて

「悠介さんの見張りですか?」

とジルが聞いた。

「ジルも言うようになったわね」

 運搬は王宮の専用飛行船を使うことにした。

「ソリアは飛行船に乗るのははじめてか?」

「はい。それも楽しみにしてました」


 飛行船が空港から飛び立ち、上空に上がっていくと、ソリアは

「空から見ると、こんな感じなんですね。自分の住んでいるワリキュールの街を空から見たのははじめて」

と窓の下に広がる景色を楽しんでいた。

 そしてしばらく飛んで行くと

「あれ、もしかしてエドワールですか?」

とソリアは下界を眺めながら悠介に聞いた。

「ソリアはエドワールにもまだ行ったことないんだったな」

「エドワールではトレインが走っているんですよね。あとでエドワールにも連れて行ってほしいな」

「わかった。考えておく」


 エランデル空港に着くと、リンスが待っていてくれた。

「また来たよ」

「ナルーシャがお店を予約してあります。時間になったら迎えにきます」

「楽しみだ。ナルーシャへのお土産。チーズとバターだ。渡しておいてくれる? 外箱には周りに水が入っていて凍らせてある。水になったら魔法で凍らせてくれる? リンスは水星魔法が使えると聞いているから」

「はい。わかりました」

 この世界では、まだ電気が無いから冷蔵庫は無い。ワリキュールでは悠介たちが電気を作り出したが、まだ冷蔵庫を作るには至っていない。


 飯店『ハナ』に着くとユリが出迎えてくれた。

「お部屋は一人ずつ用意しています」

「いつもありがとう」

 一休みしていると、リンスがナルーシャを連れてきた。

 ナルーシャとソリアは再会を喜び合った。

 ナルーシャが予約したいつもの店の食事の最後にアズパイアがデザートに出た。

「美味しいわ。エランデルと交流が始まる前は食べられなかったのが残念だわ」

 ソリアは美味しそうに食べた。

「しかし、あれだけ食べた後のデザートなのに、よく食べられるな。ソリアは胃袋をいくつ持っているんだ?」

「悪い?」

 悠介はソリアとも遠慮なく言える仲になり、ソリアも悠介のジョークを軽く聞き流すようになっている。

「ナルーシャに会えたのも嬉しいんだけど、ギルド協会も見てみたいわ」

 ソリアはそれも楽しみにしていた。

「野菜の買い付けの立ち合いは、俺一人で大丈夫だから、明日、ジルに(ギルド協会)に連れて行ってもらって」

 ナルーシャが思い出したように

「薬草はどうなりました?」

と悠介に聞いた。

「そうだ。前回はルセールが留守で会えなかったんだ。せっかく来たんだから帰りに寄っていこう」


 翌日、悠介は野菜の買い付けの立ち合いに出かけた。ソリアはジルにギルド協会に連れて行ってもらった。

 ギルド協会は敷地もワリキュールの冒険者協会より狭く、検収舎もない。建物は木造で2階建て。エランデル国が山々に近いこともあって魔獣もワリキュールより出やすいらしい。

 ハンター、ワリキュールで言う冒険者の仕事はそれなりにありそうだが、ワリキュールより面積も人口も少ないこともあるのか、協会もそれなりの大きさだ。

 ジルは前にも来たことがあるので、受付に顔を出してから2階に上がった。そこにナルーシャが待っていた。


 ◇


 悠介は立ち合いに顔を出したあとは任せて街を散策した。エランデルに戻って来る度に懐かしさを感じるようになった。

 街を歩いているとジルを見つけた。

「どうした」

「ソリアをギルド協会に連れて行ったんだけど、ナルーシャと話が尽きなくて・・」

「ああ、わかる。2人でかしましいのか。そうだ一緒にルセールに会いにいくか」

「ルセール?」

「俺たちがこの世界に転移してきた時に関わった女だ。薬草のついて何か知っているらしい」


 悠介とジルがルセールの家を訪ねると

「めずらしい人が来たと思ったら悠介か」

と懐かしい声がした。

「今日は居てくれたね。まさか忘れていないだろうな」

 ルセールに会うのも久しぶりだ。

「元の世界に戻りたいなら、今はやめておいたほうがいいようだぞ。パニクっているようだから」

「そうか、まだ混乱しているのか。今はまだ戻る気はない。薬草について知っているとか聞いたから」

「こっちの世界では医学も発達していない。治癒魔法を使える者もいるし。だから薬草も重宝される」

「ポーションをつくれる薬草を探している」

「ポーシュンは誰でもつくれるものでじゃない。見つけたのか、作れる者を」

「そんなところだ」

「エランデルにはポーションを作れる者はいない。作れば大金持ちになるだろう。そこで以前から職替えを考えていて、まず薬草の勉強からはじめた。私もいつまでも衛兵隊の教官をしていられないからな。しかしポーションをつくれる薬草は近辺の山の麓には探したが無い。山奥には魔物や魔族が居る。それで今はポーション作りの夢はあきらめている」

「ルセールは魔獣を倒せないか。薬草が手に入ればポーションはつくれのか?」

「薬草が手に入らないので、作ったことはないが、一応勉強はした」

「その薬草はどんなものだ。場合によっては探してやってもいい。ワリキュールにも医者は居ないから、でもポーションを作れる者はいる」

「薬草を見つけてもポーションの作り方を知らないと無駄だからな。ゲンショーコーという薬草だが、口頭では名前しか教えられない」

 それを聞いたジルが

「ゲンショーコー?・・その植物なら俺の国の山にある。確かに俺が生まれ育った村の村長のトルマが薬草になる植物だと言っていた」

「え? ジルの国にあるのか。って世界が違うだろう。ジルの世界はファイナルワールドⅧの世界だ」

「え? ユースケの言っていることはわからないけど、確かにその薬草なら俺の世界にある」

「2人が何を言っているのか、理解出来ないけど」

「ジルは俺とはまた違う異世界から来た者なんだ」

 悠介がジルの話をするとルセールは

「マリアント国?・・前にそのマリアント国のある異世界に転移したことがある」

「え? ルセールはマリアント国を知っているのか? ルセールもRPGゲームをするのか?」

「そんなものは知らないけど、そのときはまだ薬草には関心がなかったから、知らずに戻ってきた。たしかそこにゲンショーコーから作ったポーションがあったな」

「マジ・・そんあことってあるんだ。そこはゲームの世界だぞ」

「ユースケの言っていることは理解出来ないけど。一度行った世界なら、また行くことが出来る」

 それを聞いたジルが

「なら、元の世界に戻れるということか?」

と思った。

「但し、私も若いころほどの魔力はなくなった。転移した後、直ぐ戻れるライフが残っていればいいが」

「ジルだけ戻せばいい」

 悠介が言うと

「私も一緒に転移しなければならないからなぁ」

とルセールは困った顔をした。

「鹿一度に転移出来るのは2人だけ?」

「そうなんだ」

「温泉に入ってもだめか」

「あれは、ただの気休めにしかならなかった」

 あきらめかけたとき、ルセールが

「簡易魔法なら出来るかも」

と思い出したように言った。

「特殊な転移魔法で、その世界に行くことが出来るが、その効力は5日以内。効力が切れると、強制的に元の世界に戻される」

「そんな転移魔法もあるんだ」

「私は転移魔法を学びながら、その能力も身につけた。若い頃にな。ただ、元の世界に戻ってきてしまうから、転移魔法のお遊びのようなものだ。それなら、複数の者を転移出来る。私は一緒に転移しなくてもいい」

「なら、それでジルを元の世界に、マリアント国に転移出来る?」

「但し、また戻って来てしまうぞ」

「そうか・・」

「それでも戻れるなら戻ってみたい。今、村がどうなっているか気になるし、薬草をこっちの世界に持って帰ることも出来るなら・・」

「よし、一度ワリキュールに戻って雅たちとも相談しよう」













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