14-10.リンメイとヒュンケル
リンメイはヒュンケルから
「部屋は用意させるが、もし街中がいいなら、ハーロックが使っている家を借りてもいい。衛兵隊だったミリアの家だ。彼女はハーロックがスラーレンに来たときに知り合ったらしい。その彼女はハーロックの館に行ったが、今はエドワールというところで衛兵をしていると聞いている」
と言われた。
「雅、いえ、そのハーロック様が誰とでも仲良くなってしまうのを不思議に思っているんですけど、・・では、その家を借りてもいいですか?」
「いいとも。そこに転移して連れていってやろう」
ヒュンケルが魔法陣を出すと、リンメイも一緒に転移した。
「ここがミリアの家だ。今は誰も住んでいない。衛兵隊には客が住むからと伝えておくから」
そう言って宮殿に戻ろうとするヒュンケルに
「ヒュンケル国王は本当に魔王なんですか?」
とリンメイは聞いた。
「そうだ。長く、近くのロワール城に住んでいた」
「ハーロック様はワリキュールでは魔王を名乗っていますが、異世界からの転移者だと明かしてくれました。どうして魔王のヒュンケル国王と仲がいいんですか?」
「それにはいきさつがあってね。ハーロックからスラーレンの国王に推薦されたが、正直、そんな考えは毛頭なかった。正体を明かせば、私も異世界から転移してきた者なんだ」
「そうだったんですか」
「ハーロックも、はじめはプロティナを助けて、そのまま女王で居させたが、マルケドーラ帝国が進攻してきて、穏健派のプロティナでは帝国に国を奪われるところだった。そこでハーロックと私で帝国を潰し、私が国王を務めることになった。
スラーレン御三家の長女、プロティナは父である国王が亡くなった後、大神官アスターの後押しもあって、女王に就いたが、それに不満を持つ者は多かったようだ。妹のシルビアや弟のマクレスはワリキュールに乗り込んでハーロックに倒された。おばのマーガレットにも裏切られ、天涯孤独になった。今は第3の塔で過ごしている」
「そうだったんですか。私は王家の事情を知らずに、父がシャドーコープスの一員だったので、父が亡くなったあと、シルビアに拾ってもらい今に至っています」
「なるほど。それで今はハーロックのもとに居るわけだ」
「恥ずかしい話です。迷惑をかけたにも関わらず、ハーロック様は私を何度も助けてくれました。父がシャドーコープスの一員だったことが・・」
「シャドーコープスは、もともと前の国王が護衛と情報集めにつくった組織らしい。だがプロティナが女王になったことで活躍の場を失い、マーガレット側についたらしい」
「そして私は、プロティナ様を玉座から下すための道具にされました」
「リンメイも苦労してきたようだな。ハーロックはそれを察してリンメイを助けたのだろう」
「私がスラーレンに戻ってきたのは、マーラに仕えるソドルが父の仇なのではと思って探りに来ました」
「そうだったか。ハーロックはマーラが何かを企んでいると思っている。それと私はリンメイの身を守ってくれるように言われているが、私は貴族たちから疎まれ、自由に動けない。リンメイのほうから遠慮なく頼ってほしい」
「はい」
◇
リンメイは貴族街に潜入したが、マーラの姿を確認出来ず、アレイン家のオルコックに姿を見せた。
「リンメイか。どうしたかと思っていた。元気だったか」
「はい」
「また誰かに仕えて仕事をしているのか?」
「いえ・・今日はマーラ嬢のことで」
「なに! マーラが何かをしているのか?」
「いえ・・私は今はワキュールに居るので、逆にマーラ嬢のことについて知りたいと思って」
「成人になったと思ったら、親善大使だとか、ワリキュールに大使館を設けるとか、私に相談なしに事をすすめている。それが気がかりなのだ」
「今は・・」
「ワリキュール王国の大使館に向かっているはず・・リンメイ、マーラが何かをしようとしているなら、その情報を私に教えてほしい」
「・・はい」
「マーラを政に携わらせるつもりはないのだが、本人はやる気で困っているのだ」
「・・失礼します」




