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異世界に行ったら最強になった  作者: 志良内達夫
第十四章 スラーレン御三家の陰謀
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14-8.エランデルに現れたマユナ

 マユナはワルコット駅からSL列車に乗り込んでエドワールに向かった。ワリキュール王国からエランデル国間は距離があって、直通のSLはない。中間につくられた新しい街・エドワールで1泊することになる。

 エドワールは鉄道のレールを敷くのにつくられた新しい街らしい。そのエドワールに統治者としてライアンが居ることなど、エドワールの情報は皆無だ。

 そしてエドワールに近づくと

「エドワールに近づくと魔獣が襲ってくる場合がありますので窓は閉めてください」

と車内放送があった。

 ワリキュール近辺はナターシャが結界を張っているので魔物は近づいてこないが、エドワールまでは結界が張れない。

 そして列車には魔物、とくに魔獣から列車を守る冒険者たちが乗り込んでいる。スラーレンから来たマユナには新鮮な情報が豊富で驚いてしまう。


 エドワールに着くと、SL列車待ちの客のための宿が駅前から何軒かある。寝泊りするだけの安い宿から、大きな大飯店もある。

 マユナは資金が豊富ではないので安い宿に泊まることにした。そこでは食事が出来ないので外で食べてくるしかない。

 街を散策していると夜市の通りがあった。夜市は大きなワリキュールの街では見かけなかった。もちろんスラーレンの街にもない。

 大通りにはトレインが走っている。これもワリキュールにはなかった。ワリキュールもスラーレンも街中の交通手段は馬車だ。

 街外れに領事館があった。ライアンが統治者として住んでいることなども知らない。マユナとハユナはワリキュールとエランデルの情報をソドルに知らせるように言われているので、エドワールは調査外だ。

 夜市にはエランデルやワリキュールから仕入れたものも売られているらしい。スラーレンにはないものが多い。

「先々のことはわからないから無駄遣いは出来ない」

 ◇

 翌日、マユナはエドワールからエランデル国行きのSL列車に乗り込んだ。

 また車内放送があった。

「エドワールからエランデル国間はエドワールからワリキュール王国間より魔獣に襲われる危険性がありますので十分気をつけてください」

 毎回襲われるわけではない。マユナが乗った列車は何にも襲われることなくエランデル国のアリシクル駅に到着した。


 エランデル国の町並みはワリキュールに似ていた。高い建物は無くワリキュールより規模も小さいようだが、町並みは綺麗だ。ここでも自動車は走っておらず、馬車が街の中を行きかっていた。

 マユナは場所を聞いてギルド協会に向かった。木造建ての、それなりの大きさをした建物だった。

 ギルド協会の中に入っていくと、思ったより閑散としていた。

 エリーナが入り口から入ってきて唖然としているマユナを見つけて

「お仕事をお探しですか? それともハンター志願者ですか?」

と声をかけた。

「仕事ってすぐ見つかる? ああ、ワリキュールから来たんだけど」

 マユナが聞いてみると

「仕事は今日は無理かと思います。ハンター登録して魔獣退治するほうが早いと思いますが、レベルがあればの話ですけど」

「レベル?」

「魔力のレベルです。ギルドハンターになるには、申請をして魔力検査を受けてもらいます。その検査の結果でハンターのレベルが決められ、クラス分けされます。ハンターとして登録したい場合は、登録料を払ってもらいます」

 説明を受けたマユナは二階に案内された。そこにナルーシャが居た。


 ナルーシャはマユナの話を聞いて

「それならハンター登録して魔獣を倒す仕事が手っ取り早いですね。ただレベルが低いとハンターの仕事は斡旋出来ませんけど。魔力検査します?」

とマユナに聞いた。

「お願いします」

 マユナは魔術師だ。ただ魔力検査はしたことがない。スラーレンは冒険者協会もない国だった。ワリキュールの冒険者協会もあるのは確認したが、訪ねたことはない。

「では常盤石に手をかざしてもらえますか?」

 マユナが言われたとおり常盤石に手をかざすと、火花のようなものが飛び散った。ちょっと驚いたが、熱くも痺れることもなかった。

「60ですね。では魔法色素も見るので、こっちの水晶に手をかざしてください」

 今度は水晶に手をかざすと水晶の色が変わりはじめた。

「これは・・月ですね」

 ナルーシャはそう言って

「これでハンター登録出来ます。レベル60は高いほうなのでSクラスになります。プレートは明日にはお渡しできます」

「魔獣はどこに居るの?」

「そうですね。エランデルは山に近いので、街の外には結構いますよ。温泉でハンターを募集しているんです。魔獣が出るようになったものですから。そこなら住み込みで働けますよ」

 ナルーシャに言われ、マユナはそこでとりあえず働くことにした。そして

「エランデル国にハーロック伯爵が居ると聞いたんだけど」

とナルーシャに聞いてみた。

「え? ハーロック伯爵ですか?・・すみません。王宮がらみのことはほとんどわからないので、街には情報を下ろしてくれないんです」

「そう」

 ナルーシャはハーロックの名前を出されて、とぼけるように言った。ワリキュールから来たというレベル60の女。ナルーシャはマユナを怪しい女だと思った。

 ◇

 ギルド協会を出たマユナは温泉行きの馬車で温泉に向かった。

 ナルーシャが不安を消せないでいると、それを察したようにリンスが現れた。

「何かあった?」

 リンスに聞かれて

「ワリキュールから来たマユナという女なんだけど、気になるの」

とリンスに話した。

 ナルーシャから聞いたリンスはオウムでワリキュールのリサに連絡を入れた。

「ハーロック様、リンスからで不審な女がエランデルに来たそうです」

 リサが雅則に知らせた。


 雅則は仕事を終えたナルーシャと(鳥獣)オウムで話した。

「ワリキュールから来たマユナとういう女なんですけど、レベルは60。魔法色素は月でした」

「そう。・・月ってどんな魔法が使える?」

「精神魔法とか空間魔法とか、主に上位魔術師が使う魔法と聞いています」

「やっかいだな」

「マユナは温泉の警備に行きましたが、リンスが監視するそうです。それと彼女からハーロック伯爵のことを聞かれました」

「なら怪しい女かもしれない。リンスに深入りしないように言って」

 聞いていた悠介が

「また雅が狙われているのか?」

と聞いた。

「さあな。ワリキュールから来たらしいから、マーラと関係があるかも。エランデルに行ってくる。SLより飛行船のほうが早いな」

 雅則はイビルに

「ハンスに明日の飛行船の予約を2名分とってくれるように頼んできてくれないか」

と頼んだ。

「OK。2名って私も連れて行ってくれる?」

 イビルは雅則に期待して聞いた。が

「リサと行ってくる」

と言われて

「了解」

 そうだろうとは思った。


 イビルは王宮に入るとハンスに

「エランデルにハーロック伯爵を訪ねる女が現れたって。魔術師らしいけどぉ」

と話した。

「私がマーラにハーロック伯爵はエランデルの貴族だと言ったからか。こんなことになとうとは」

「それでハーロック様が調べに行くから明日のエランデル行きの飛行船の席を2名分とってほしいって」

「王宮専用の飛行船ではないのか?」

「極秘に確認したいからとか言ってたけどぉ」

「わかった。必ずとっておく」


 翌朝、雅則とリサは悠介に空港に自動車で送ってもらった。

「リサと二度目の新婚旅行か」

 悠介の冗談に

「温泉に行ってしばらく戻ってこないぞ」

と雅則は言い返した。


 ◇


 飛行船は主に貴族が利用している。エランデルとの距離が短くなっていくようだ。

 飛行船でも朝飛び立って、エランデルに着くのは夕方だ。魔獣に襲われるのを警戒して迂回コースをとっている。

 リサが

「王宮専用の飛行船で向かえばもっと早く着けるのでは?魔獣が襲ってきたら撃退すれば短い距離で行くことが出来るんですよね」

と雅則に聞いた。

「そうだけど、いきなり王宮専用の飛行船で行ったら、何事かと心配される。今回の件は内密に動きたい」

「・・わかりました」


 空港にはリンスが迎えに来ていた。

「マユナがまだ温泉で働いています」

「そうか。・・マユナはレベル60らしいが上位魔術師らしいから注意しろ。襲われたら危険だ」

「はい」

 宿はいつもの『ハナ』だ。

「お待ちしてました」

 ユリがいつもの笑顔で迎えてくれた。

「また温泉に入りに来たよ」

「やっぱりリサさんと来ましたね」

「え?」

 ユリはにたり顔居して雅則とリサを部屋に案内した。

「今回はナルーシャと食事をしないんですか?」

 リサに聞かれて

「マユナを警戒しなければならないからな」

と雅則はこたえた。


 ◇


 翌朝、リンスに馬車を用意してもらって3人で温泉に向かった。

「午前中は魔獣は襲ってこないと思います」

「そうか。そのほうが世話ないけど」

 温泉に着くと、雅則はオーナーのニドルに会った。ニドルは温泉が猿魔獣ローウータンに襲われたとき雅則たちに退治してもらったので、それから親交が深まっていた。

 雅則はニドルに

「ハーロックの名は伏せてほしい」

と頼んだ。

「いいですけど、最近雇ったハンターの女がハーロックについて聞いて回っているようだが・・」

「やっぱり俺のことを探っていたか」

「でも、誰もハーロックの名を知らないのであきらめたようだ。2,3日後にはワリキュールに戻るとか言っていた」

「そう」

「マユナとかいう女で魔術師だそうだ。ここも気に入ってくれたのかエランデルについても客から聞いている。イミナス国がエランデル国に攻めてきたが、エランデル国に隣接する山から大魔獣が出てきてイミナス軍をやっつけ、エランデル国を助けたのち、イミナス国はエランデル国の領地になったと、客が話したらしい」

「え? 作ってないか、その話」

 実際にはイミナス国が進攻してきたとき、雅則や美緒が極大魔法やゴジラを召喚させて、逆にイミナス国を潰し、エランデルの領地にした。しかしハーロックやゴジラの出現が知られていないのは、こっちの世界で暮らしていくには雅則たちには幸いなことなのかも知れない。

 雅則たちは客として温泉に宿泊し、マユナの顔、姿を確認した。リサとリンスは女(?)だから、女湯でもどこでも出入りが出来る。


 ◇


 マユナが温泉からエランデルの街に戻るとき、雅則たちも戻ることにした。

 そして街に着くとリサとリンスに

「マユナの行動を監視して。気づかれないようにね」

と頼んで『ハナ』で休んだ。


 二人が戻ってきて

「マユナはアリシクル駅に行ったあと、別の宿に入りました」

と雅則に報告した。

「明日、SL列車に乗り込むつもりだな。ワリキュールに戻るかも知れない。イビルに連絡して悠介たちに同じことを報告しておいて。これでエランデルはひとまず安心だな」

「私たちはどうします?」

 リサに聞かれて

「飛行船で帰ろう。予約がとれればいいけど」

と雅則はこたえ

「もう心配はないと思うけど、落ち着いたらまたワリキュールに呼ぶからナルーシャを頼むね」

とリンスに言った。











































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