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異世界に行ったら最強になった  作者: 志良内達夫
第十四章 スラーレン御三家の陰謀
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14-7.ハユナとマユナ

 ワリキュール王国から大使館の許可が下りたのを知ったマーラは、早速行動を開始した。

 ソドルを呼ぶと、ソドルの配下のハユナもやってきた。ハユナはワリキュールに潜入して情報を集める役を担っている。

「ハユナ、ハーロックについて情報があれば聞きたいけど」

「それはまだ街の住民は知らないようです」

「じゃあやっぱりエランデル国の伯爵なのかしら」

「エランデルにはマユナが潜入しましたので、そのうち何らかの情報を持って帰ると思います」

「ハユナ、大使館の許可が下りたから大使館に適するような場所を見つけて」

「はい」

 ソドルがマーラに仕えることになり、マーラの計画を聞いたソドルは、その頃からハユナとマユナにワリキュールに潜入して情報を集めさせていた。


 ◇


 マーラは臣下となったソドルにワリキュール王国とハーロックについて調べるように命じていた。ソドルは配下のハユナとマユナにその任を命じた。

 命を受けたハユナとマユナは、はじめてワリキュール王国に行き、大きな街だと思った。

 スラーレン法国にも大きな街はあるから、それは驚くことではなかったが、街を囲う高い塀などはなかった。

 最初に目についたものは街の外周を黒い煙を吐いて走る大きな乗り物、SLだった。

 客車とよばれる部分には多くの人族が乗り込んでいる。

「ここがワリキュール?・・ソドル様も情報を欲しがるわけね」

 そして街に入ると、ところどころで見慣れぬ乗り物を見た。自動車だ。それに乗っているのはいかにも金持ちのような服装をしているから貴族なのだろう。街の中は馬車も往来している。

 街で済み始めると、自動車は庶民である街の住民は買えるような代物ではないし、馬車を走らせるのに御者の技術がいるように、自動車を運転する技術が必要らしいことなどを知った。


 ハユナとマユナは、ワリキュールで活動するのにワリキュール通貨を得るための資金稼ぎからはじめた。その手段はスナックのホステスだ。

 冒険者という方法もあるが、目立つし、魔獣などは街に結界が張られていて侵入されることはなく、冒険者として資金を稼ぐのは難しい。

 結界を張っているナターシャを倒せば結界は無くなるが、それでも現れる魔物たちを倒す方法では資金稼ぎに何年もかかる。それにナターシャを倒せば騒ぎになる。


 ハユナとマユナは、あるスナックに行って

「スラーレンから来たんですけど、ワリキュールはSLも走っているし、住みやすいかなと思って」

と雇ってくれるように頼んだ。

「新しい仕事も入ってきて人口も増えているから、働いてもらえると嬉しいわ」

 スナックのママは、ハユナとマユナの容姿を見てホステスとして商売になると思い、快く引き受けた。

「でも・・お酒は駄目なんですけど」

「大丈夫よ。お酒は客に飲んでもらえばいいんだから」

 二人は夜はスナックで働き、昼はワリキュール王国の内情について情報を集めていた。


 スナックのママが

「自動車は貴族か大金持ちしか買えないから、でもSLは私も乗ったわ。あんな便利な乗り物が出来るとは思っていなかったわ。国王が代わって新しい政策を打ち出し、街の生活も急激に変わり始めたの」

と、いろいろ話してくれた。

 確かにSLや自動車のほかに油に代わる電気の明かりも広まっている。

「ハーロック伯爵と関係がありますか?」

「ハーロック伯爵? 知らないわ、そんな貴族。それに・・ワリキュールの街の住民は貴族からずっと一線を引かれていて、貴族や王宮の情報はほとんど流れてこなかったし。SLは新しい国王が奨励してくつらせたものらしいわ。今度の国王には期待出来るかも。以前あった軍隊も解体したみたいだし。SLが出来て、自動車も走るようになって、電気の明かりも増えてきたし、貴族との垣根も低くなってきたようで、ワリキュールも変わっていくわ」

 ハユナとマユナはスナックのママからも貴重な情報を得ることが出来た。だが、ハーロック伯爵については、まだ何も掴んでいない。


 ◇


「SLに乗るにもお金はかかるし、チーズケーキくらい食べたいな」

「そのくらいはいいんじゃない?」

「たまには自分へのご褒美もいいわよね」

 ハユナとマユナはチーズの店『マキバ』に入った。

「いらっしゃい」

 アテナが店の店員をする日だった。マユナとマユナは街に人族以外も居ることを知らない。当然、アテナがセキュバスであることも。見た目は人族と変わりない。

 二人はショーケースの中のショートニングケーキを眺めて

「どれも美味しそう。どれにする?」

と品定めをはじめた。

「どれも美味しいですよ。毎日品切れになるくらい、どれも人気です」

 アテナが笑顔で勧めた。


 スレーンが、新しいショートニングケーキを盆に載せて奥から出てきた。

「いらっしゃい」

 スレーンの店員姿も板についている。

 ハユナがスレーンの顔を見て

「あ?」

と声を発した。

「え?」

「お客さんじゃないの? お店の」

「お客さんって・・もしかしてスナックの?」

「そうよ。ハ・ユ・ナ」

 スレーンはときどきスナック通いをしているが、ハユナたちがスナックで働きはじめてから客とホステスの関係で出会ったことがあった。

「また来てね。お店で待ってます」

「はい」

 スレーンは顔を緩ませた。二人の正体を知るはずもなかった。

 ハユナとマユナが帰った後

「アリスの店にも行かなくちゃならないのに・・いつ行こう」

とスレーンはほころんだ。


 ◇


 ハユナとマユナは、ハーロックがエランデル国の伯爵と聞いたソドルから、エランデルも探ってくるように言われ、マユナがエランデルに行くことになった。

 エランデルには馬車を調達して行く方法もあるが、何日もかかる。ほかに互いの国を行き来する交通手段は飛行船かSL列車だ。飛行船なら片道約10時間。SL列車ならエドワール経由で2日の道のりだ。料金はSL列車のほうが安い。

「飛行船にも乗ってみたいけど、ホステスの手当ではすぐには無理だわ」

 ハユナもマユナもワリキュール街を一周するSLには乗った。そのすばらしい乗り物に驚愕し楽しんだ。そしてマユナはワリキュールのワルコット駅からSLでエランデルに向かうことにした。

「ワリキュールとエランデルは同じ通貨らしいから、それとこっちでは冒険者協会、エランデルではギルド協会って言うらしいんだけど、ハンターになって魔物退治すると報酬がもらえるらしいの」

 ハユナが今までに得たエランデルの情報をマユナに伝えた。

「まさかエランデルとかいう国に行って魔物を相手にしてこいって?」

「それがいやったら私がエランデルに行ってもいいけど」

「魔物なんか怖くないけど。それにエランデル国にも興味があるわ」

「私は今までの情報を報告に一旦、スラーレンに戻るわ」


 スレーンがスナックに行くとハユナもマユナも居なかった。ママに聞いてみると

「故郷に戻ってきたいから、しばらくお暇をくれって・・二人はお客様に人気があるから、私も手放したくないけど・・」

と言われた。

「せっかく来たのに。戻ってくるのを待つか。・・二軒目はアリスの店にしよう」

 マユナはエランデル国に向かい、ハユナは今までに得た情報をソドルに報告にスラーレン法国に戻った。





















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