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異世界に行ったら最強になった  作者: 志良内達夫
第十四章 スラーレン御三家の陰謀
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14-6.エドワール街の夜回り

 雅則はリサとエドワールに行った。エドワールの街中は、トレインが走りはじめた。駅から領事館前までのコースもある。

 トレインに乗り込むとリサが

「人族でない気配を感じます」

と雅則に言った。

「ここは結界を張る者がいないからな。悪さをしなければいいけど」

 雅則は人種を超えた共存を望んでいる。


 領事館に着くと、まずライアンと対面した。

「火力発電所の建設がはじまりました」

 ライアンは嬉しそうな顔で言った。

「実はその後なんだが、エドワールの電力関連はワリキュールと独立させるつもりでいる」

「え?」

「ワリキュールはスミス電力が担っているが、エドワールまでは手が回らないようだ。火力発電所が稼働する時期を見計らって独立させたい」

「責任者の手配は・・」

「技師たちはスミス電力から出向させて新しい技師を育てるとして、新会社の責任者、社長にユリカを推薦したい」

「ユリカを?」

 これにはライアンも驚いた。

「ユリカには打診してある。先日、ジーンズを作るのに館に来てくれたとき、考えてくれるように頼んでおいた」

「しかし、ユリカは電気のことをほとんど知らないはず」

「わかっている。でも、技術的なことは従業員に任せておけばいい。責任者は会社の施策や経営が出来ればこなせる。ユリカの性格なら任せられると思う」

「わかりました。伯爵がそう言ってくれるのなら・・」

 雅則がユリカを新会社の社長に推薦するのは、ユリカを思ってのことだ。もともとスラーレン法国で衛兵隊に所属していたユリカはライアンと結婚して子爵夫人になり窮屈な生活は嫌うだろう。それなら経営者として育ててみたら・・と考えた。子爵夫人という肩書があれば、それなりの権威も認められるはず。悪い話ではないだろう。

 ◇

 雅則は、その日は街の飯店に泊まることにした。街の様子や夜市にも行ってみたかった。そしてリサがいっていた「人族でない気配」も気になっていた。

 飯店で食事を済ませてから街に出てみることにした。

「リサには美味しくないかもしれないが、俺は食事をしないともたないから」

「大丈夫です。人族の食するものは味はわからなくても不味くはないですから」

「食休みをしてから街に出かけようか」

「お風呂は戻ってきてから?」

「ああ・・館では二人で入りづらくなってきているからな。リサの身体も洗ってやっていないな」

「洗ってもらうのもいいですね」

 リサはそう言って恥じらうような顔をした。

 部屋のバスルームで身体を洗いっこして風呂を楽しんだ後、街に出た。


 街灯は、まだ油を使っていて薄暗い。しかし夜市は盛っていた。ワリキュールやエランデルから仕入れた物も並べられている。

「エランデルやワリキュールの街とは異様な雰囲気ですね」

「街そのものが新しいこともある。これには俺も驚いたけど」

「人族でない者も店を出しているようです。どうします?」

「ほうっておこう。悪さをしなければ誰が商売してもいいと思うよ。しかし、魔族なのか?」

「耳を見るとエルフではないようです」

「リサのように人間体に変異出来る魔族? リサと同じ種族か?」

「違うと思います。私はシームア領で生まれました。彼らが何処から出て来たはわかりません」

「魔族もいろいろ居ると言うことだな」


 夜市の端から端まで散策すると

「戻りますか?」

とリサが聞いた。

「反対側は銀行がある通りだったな。リンメイが強盗から守った銀行。他に狙われるような施設とかはあるかな?」

「エドワールは詳しくないので・・」

「衛兵隊の駐在所があったな。寄っていくか」

 衛兵隊駐屯地とは別に街中に駐在所が設けられていて、街のいざこざにも対応しているようだった。

 駐在所は、雅則の元の世界の街中にある駐在所より大きな建物で、中に数人の衛兵隊員が待機している。昼間は女性の隊員もいるらしく、悠介に教えたら、エドワールに来るたびに駐在所に顔を出しかねない。

 中に入っていくと、雅則とリサを見た隊員が

「どうしました?」

と聞いてきた。

「エドワールで銀行以外に夜盗とかに襲われるかも知れない場所があるか知りたいと思って」

 雅則がそう質問すると、隊員は驚いた顔をして他の隊員を呼んだ。

「お前は誰だ。見かけない顔だが」

 今度は警戒された雅則が驚いた。

「怪しい者になっちゃったよ」

「どうします?」

 リサは隊員の相手をする気になった。

「いちいち面倒は起こしたくないからな」

 雅則は隊員に

「ワリキュールに住んでいるものだが」

と言った。

「名前は?」

「いちいち名乗りたくないんだけど。衛兵隊ならいいか」

 そこに呼び出されたソーンがやってきた。

「ハーロック伯爵」

「またソーンに迷惑をかけることになった。すまない」

「今日はどうして」

「領事館に来て街に宿泊の宿をとって夜市を散策してきた」

「そうですか。それでどうしてここに?」

「以前、銀行が狙われたことがあったろう。リンメイから聞いたけど」

「はい」

「他に誰かに狙われるような場所があるかなと思って。街には人族以外も入ってきているみたいだけど」

「銀行が狙われたときも、賊に魔族が居てリンメイさんが傷を負いました」

「そうだったみたいだね」

「実は、最近、あちこちで店などが襲われる事件が多発しているんです。衛兵隊の見回りでは防げなくて・・」

 リサが

「人族以外の不審な気配を感じます。昼間より強いです」

と言った。

「その賊の中に魔族もいるかも知れない」

 雅則が言うと、ソーンは驚いた顔をした。

「協力しようか。リサなら賊の居場所を突き止められるかも知れない」

「そうしてもらえると助かります」

 ソーンは承諾したが、リサが魔族であることはまだ知らない。魔術師の中には、そういう魔法を使える者も居るだろうと思ったからだ。


 雅則とリサはソーンと数人の衛兵を連れ立って夜回りに出た。

「右のほうに気配を感じます」

「そっちはエドワールが街づくりを始めたときに集まってきた労働者の寝泊りをしていた地区です。今もいくらかは住んでいるようですが」

「ねぐらにするには絶好の場所かな?」

 その一角で今夜もどこかを襲おうとしている者たちが相談していた。

「商売が繁盛して儲けが溜まってきた店がある。今夜はそこにしよう」

 住処から出ようとした男たちは

「衛兵隊の見回りだ」

と雅則たちに気づいた。

「彼らが行くのをやり過ごしてから出るぞ」

 彼らは息を潜めて雅則たちが去るのを待った。しかし・・。

「この辺りですね。気配を感じます」

 リサが足を止めた。

「夜回りに気づいたかも知れない。一軒一軒調べてみるか」

 男たちは

「立ち去る様子が無い。この辺りを調べる気だ。あの人数ならクラベスの力を借りれば倒せるぞ。そのあと押し込みだ」

「わかった。一気にやっつけちゃおうぜ」

 男たちが外に出てきた。

 ソーンは驚き

「応援を連れてくるんだ」

と部下の衛兵隊員に指示した。

「ソーン。殺さないほうがいいよね」

 雅則はソーンに確認した。

「捕縛したいです」

 リサが

「魔族も捕縛しますか?」

と雅則に聞いた。

「弱ければ捕縛するか」

 だが『精神衝撃波ショックウェーブ』が襲ってきた。

「攻撃魔法も使えるようだ」

 雅則が『魔法反射マジックリフェクト』で防御すると、リサが魔族に飛び込んでいった。

「魔族は任せろ。人族は衛兵隊で捕縛してくれ」

「わかりました」

 雅則がソーンに言うと、ソーンは衛兵を引き連れて賊を捕らえに行った。


 リサとクラベスは屋根に飛び降り格闘をはじめた。

「なぜ魔族が衛兵隊に入っている」

「衛兵隊に入っているわけじゃないわ。どこの魔族なの?」

「流れ者だ。ここは住みやすかったから留まっている」

 クラベスは人間体から魔族の姿に戻り、全身を甲殻で覆われた。リサの見たことのない魔族だ。

精神衝撃波ショックウェーブ

 クラベスの放った攻撃魔法で、リサは後ろに飛ばされた。

 それを追いかけるようにクラベスが襲い掛かってきてリサに殴りかかってきた。

 リサは爪を伸ばしてクラベスの攻撃を防御した。

「蟹の姿をした魔族? あんなのも居るんだ」

 雅則は地上からリサを見守った。


 リサは宙を舞うと、クラベスに蹴りを入れた。

 クラベスは防御出来ずに屋根から落ちた。

「ここは逃げるが勝か」

 クラベスがリサとの闘いを避けて逃げようとしたところに雅則が現れた。

「まさかお前も魔族なのか?」

「違うけど、俺を弱いと思わないほうがいいぞ。捕縛されれば殺さないでやる」

「魔術師か、俺の体は強化魔法で守られている」

「じゃあ試してみようか。マジックソード」

 雅則は金星魔法でクラベスの体に魔法の剣を突き刺した。剣はクラベスの甲羅を突き抜けてクラベスを一撃で倒した。

 リサが下りてくると

「リサの手柄を横取りしてしまった。悪い」

と雅則は謝った。

「いえ。・・はじめて見る魔族です」

「いろんなものが居るものだ」


 ソーンたちも駆けつけてきた。雅則はソーンに

「悪い。魔族は殺してしまった」

と言った。

「我々では逆に倒されていたかも知れません」

「あとは任せた。手柄はソーンたちのものにして」

 雅則とリサは宿に戻った。








































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