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異世界に行ったら最強になった  作者: 志良内達夫
第十四章 スラーレン御三家の陰謀
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14-3.荒野の空中戦

 雅則がリサとエドワールに通いはじめ館に戻ると、イビルから親善大使についての宮殿の情報を聞いた。

 そして

「スポーツカーが出来ました」

 カリナが夕食後の会議で嬉しそうに報告した。

「8気筒エンジンを積んだ2人乗りの自動車です」

「大丈夫か?」

 悠介が心配そうに聞いた。

「自信はあります」

「スピードはどのくらい出るんだ?」

 雅則が聞くと

「かなり出ます。その予定です」

とカリナは自信をも持ってこたえた。

「つくっていいと許可したからな。しかし試運転もかなり広い場所でないと・・」

と悠介が考えはじめると

「いい場所がある。近々スラーレン法国のマーラがワリキュールに親善大使としてやってくる。竜魔族の居るゴラン谷を避けて遠回りしてくるらしい。そこでスポーツカーの試運転を兼ねて一行が無事にワリキュールに向かってきているか見てきて欲しい」

 雅則がひらめいたように言った。

「有効活用だな。途中で自動車にトラブルが起きたらどうする?」

「念のため自動車には悠介も同乗していって。そしてイビルが鳥獣テルザを使って空から見守ってやって。何かあったら対応出来るように」

「わかった任せて」

 イビルも自動車には興味を示した。

「それって、俺がカリナと試運転に行くっていう前提だよな」

 悠介が不安そうに言った。

「何か問題でも?」

「俺に恨みがあるわけじゃないよな」

 悠介はカリナがスピードの出る自動車を作りたいと言い出したときから不安を感じていた。どんな自動車が出来上がるのか。

「しょうがない。カリナを弟子にしたからな」


 ◇


 マーラは約500名の衛兵を引き連れて馬車でワリキュールに向かって移動した。

 途中、何が襲ってくるかわからない。魔獣や魔族に襲われる可能性は考えられた。

 そうでなければ、同行者は少なくていい。彼らは貴族たちから選ばれた貴族を専門に守る衛兵隊だ。御三家であるエクレール家、アレイン家、ブランド家にも、それぞれ専属の警備を担当する衛兵隊を持っている。

 マーラはその中から護衛に連れてきた。中には魔法攻撃が出来る魔術師も居るが、レベルは高くない。そしてソドルも同行してきた。


 ◇


 一方、イビルも鳥獣テルザを呼んで待機した。

 カリナが設計した8気筒エンジンを積んだスポーツカーが心地よい音を発して、今か今かとアクセルを踏まれるのを待った。

「俺も150キロは出したことがあるが、カーレースはやったことがないぞ」

 悠介が助手席でびびりはじめた。

「メーターは150までしかメモリがないから耐えられると思うけど」

 悠介が言うと

「メーターの目盛りは適当です。何キロ出るかはわからないので」

とカリナがこたえた。

「マジか! 生きて帰ろうぜ」

「行きます」

 カリナがアクセルを踏むと、スポーツカーは土煙を飛ばして走り出した。

「SL列車より速いのは確かね」

 イビルが走り去るスポーツカーを見ながら言った。

「イビル、頼むぞ」

「任せて。テルザのほうが速いはずだから」

 イビルがテルザに乗って空からスポーツカーを追いかけた。


 スポーツカーは荒涼とした大地を疾走した。スピードメーターの針は既に振り切っている。

 助手席に乗っている悠介は顔面蒼白状態だった。

「カリナは怖くないのか!」

「ぜんぜん」

「カリナの心臓は俺のより丈夫かもしれない。毛が生えているのか!?」


 ◇


 イビルは空から悠介たちの自動車を追っていたが、前方に向かってくる一群をみつけた。

「あれが親善大使の一行かな? 相当な人数でやってくる。あれが軍隊で一気にワリキュールに攻め込んだら、軍を持たないワリキュール宮殿は占拠されちゃうかも。・・ハーロックたちが居れば大丈夫か」

 だがその上空にもイビルは一群を見つけた。

「あれは?・・空飛ぶ魔獣だ」

 体長は1メートルから2メートルくらい。翼を広げた幅は3メートルを越えるものもいる。

 イビルが乗っている鳥獣テルザよりは小さいが、凶暴のようだ。


 魔獣が親善大使の一行に空から襲いかかった。

「空から魔獣です」

 上空を見上げた衛兵が空から襲ってくる魔獣を見つけた。

魔術師マジシャンは攻撃魔法で応戦せよ」

 衛兵隊の中には攻撃魔法を使える者もいる。

 それでもマーラは馬車の中で不安そうな顔をした。空からの魔獣は想定外だった。

「大丈夫です。こういうこともあろうかと多くの衛兵を連れてきましたから」

 マーラに同行してきたソドルがマーラの不安を払拭するように言った。

 だが貴族上がりの衛兵たちは、魔法は使えても戦いは経験の少ない者ばかりだった。次々に倒れていって成す術がなかった。

「なんとなさけない。これがスラーレン法国の衛兵なの?・・やはり貴族の成り上がり兵士じゃ頼りにならないわ」

 マーラは不安を抱きはじめた。


 空から様子を見ていたイビルも

「これじゃ全滅するのは時間の問題だわ。<心波>(メッセージ)が使えるか試してみようかな」

 イビルはワリキュール側に居るリサに<心波>(メッセージ)を送った。

「リサ、聞こえる?」

「なに?」

「ハーロックさんに伝えて欲しいことがあるの」

 内容を聞いたリサが

「ハーロック様、イビルから連絡です」

と雅則に言った。

「え?」

<心波>(メッセージ)を使っての伝言です。空から魔獣が現れて、親善大使の一行を襲い始めたそうです」

「空飛ぶ魔獣? 緊急事態だな」

「魔獣をやっつけていいかと言ってます」

「一行にこちらの動向を知られたくないが、そうも言ってられないな。許可すると伝えて」

「はい」

 リサから返事をもらったイビルは

「私の力を見せてあげるわよ」

 魔獣に炎の矢(ファイヤーアロー)を放った。撃たれた魔獣は落ちていった。

「私の弱い攻撃魔法でも撃ち落とせるわ。楽しい~」


「な、なんだ・・」

 魔獣たちが落ちて行くのを見て衛兵たちはただ驚いていた。

「あれは攻撃魔法。誰が落としているんだ?」

 ソドルは大きな鳥獣に乗って魔獣を攻撃している者を見て

「ワリキュールの魔術師マジシャンか?」

と思った。


 悠介たちも空飛ぶ魔獣を確認した。

「戦っているのはイビルか? やるな」

「馬車が襲われているようです」

 カリナが丘の上から眼下の平地を見て悠介に言った。

「イビルだけじゃ被害を減らすのは容易じゃないな」

 悠介は馬車を襲う魔獣に『サイコパワーシュート』を放って倒していった。

 残った魔獣が逃げ去ると

「ワリキュールに戻ろう。彼らに姿を見られたくない」

 悠介とカリナは、一行たちから姿を消すようにスポーツカーを走らせて戻った。


 ◇


「イビルと悠介さんで一行の全滅は免れたようです」

 イビルから報告を受けたリサが雅則に伝えた。

「わかった。しかしオウムを使わなくても連絡しあえるのか?」

<心波>(メッセージ)という能力で、近くでないと通じ合えません。今日はイビルが空で障害物がなかったことと、イビルもレベルを上げているようです」

とリサが説明した。

「そうか」


 悠介とカリナが戻ってきて

「スポーツカーの試乗運転は成功です」

とカリナが嬉しそうに報告した。

「俺はもう乗らないぞ。ジェットコースターも怖いが、カリナの自動車も負けてはいない」

と悠介は青ざめた顔をしていた。














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