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異世界に行ったら最強になった  作者: 志良内達夫
第十四章 スラーレン御三家の陰謀
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14-2.親善大使

 雅則、悠介、美緒の3人は、異世界に転移してきてからワリキュール王国で大きな館を手に入れ、そこで暮らしている。

 美緒は牧場のオーナーのスミスの協力のもと、乳製品やワイン、電気などの総合商社を立ち上げ、悠介もSLや自動車などを開発し、ワリキュール王国の発展に寄与している。

 雅則は新街・エドワールの電力事業に関わりはじめた。

 休息を兼ねて、雅則とリサは、エドワールの統治者のライアンとユリカを誘ってエランデル国の温泉旅行をしてくる。

 そして帰って来た雅則とリサは、館で身体を休めることにした。

「カリナ、お土産。(エランデル国で)アズパイアを乾燥させたお菓子をつくりはじめたらしい」

「わあ、美味しそう。早速頂いちゃっていいですか?」

 館で設計図を描くのを主な仕事にしているカリナは館の留守番役でもあった。

「明日にでも、またエドワールに行きます?」

 リサに聞かれて

「人族はリサほど体力がないから、数日は休ませてほしい。温泉旅行だから仕事をしていたわけじゃないけどね」

 雅則はエドワールに火力発電所の建設がはじまり、館とエドワールを行き来している。

 リサに世話役として同行してもらっているが、とくにやることがあるわけではない。


 牧場から戻った美緒に

「リサ、温泉旅行はどうだった?」

と聞かれて

「よかったです」

とリサはこたえた。

「ハーロック、いや、もう雅則くんでいいわよね、彼とずっと一緒だったんでしょう?」

「はい」

「別に進展はなかったか」

「え?」

 美緒は雅則とリサの関係をいつからか気に病んでいた。雅則もリサには気を使っているようだが、男女関係は苦手なタイプだ。リサやイビルは人間体に変異出来る魔族だが、長く一緒に住んで暮らしていると、同じ人間のように思えている。だから雅則とリサが、ライアンたちとエランデル国の温泉に行く話を聞いてから、リサにもおめかしさせようと考えた。そしてドレスを選んでやった。


 夕食後の会議で

「エランデルからのアズパイアや野菜の輸入は飛行船を使わないか? 列車より魔獣たちからの被害も少ないと思う」

と悠介が切り出した。

「そうだな。モディナ族へ渡す物資は飛行船で臨時便を出すか。他に変わったことはなかったか?」

 するとカリナが

「みんなが出ているとき、ヒュンケルが来たわ」

と言った。

「別に用はなかったみたいで、私しか居なかったからがっかりして戻っていったけど」

「スラーレンとは連絡のとりようがないからな。たまに会いに行ってくるか。でも今はやることがいっぱいだからな」

 雅則もエドワールに火力発電所をつくるための事業に携わっている。


 ◇


 雅則がエドワールに行かず休んでいる間は、リサは館に居てもすることがないので、牧場に行って美緒たちの手伝いをした。

 館で休んでいた雅則は、宮殿から戻ったイビルから

「ハンスが話があるとか言ってたわよぉ」

と言われた。

「そうだ。エドワールの火力発電所用の鉄鋼材の進捗状況を確認に行ってこないと」

 雅則が宮殿に行くとハンスが神妙な顔つきで待っていた。

 ハンスはハーロックである雅則の機嫌をそこねないように気を遣っていた。

 雅則がスラーレンに行ったとき、飛行船を飛ばしてほしいと言われ、飛行船が一機も鳥羽節状態になっていなかったときがあって、イビルに脅されたことがあった。それ以来、ハンスは王宮側の行いに注意を払っている。

「エドワールと行き来しているとか。ご足労おかけしてすみません」

「気にしないでいいよ。みんなの力になれれば俺も嬉しいから。それで話があるとか」

「エドワールの火力発電所用の鉄鋼材の進捗状況についてですが」

「俺もそろそろ確認にきたほうがいいかなと思っていた」

「大きくしてきた工業団地も軍隊を無くしたため、宝の持ち腐れになるところを、送電柱やSL、トラックの製造など活用出来て嬉しく思っています。結構材は街では小さなものしか扱えませんから。・・しかし、思ったより部品数が多くて当初の予定より出荷は伸びそうです」

 ハンスは頭を低くしてこたえた。

 大きな建材は街ではつくれない。雅則はそれらを工業団地でつくらせていた。

 工業団地では、まだ軍隊があった頃、軍のための製品もつくっていたが、兵軍がエランデル国に進攻したとき、雅則たちが全滅させ、僅かに残った軍も雅則が解体してしまった。それ以降、工業団地の生産活動もほとんどなくなってしまった。

 その後、悠介がSLを設計し、製造を工業団地に頼んでから、また息を吹き返した。今では送電線や、トラックの製造もしている。そして、エドワールに建設中の火力発電所の部材の生産も工業団地に依頼していた。同時に、貴族と街の庶民の垣根もどんどん低くなっている。

「それは仕方ないだろう。なにせ、今までに無いものを作らせているし」

「ありがとうございます。それと・・スラーレン法国から親善大使が来るようです」

「え? 親善大使?」

「スラーレン法国から使者が来まして、国王の親書を携えてきました。そして親善大使を向かわせたいと。ランケル国王が承知してしまいました」

 ハンスは恐縮するように言った。

「その親善大使は、何でもマーラ姫という成人になったばかりの若い女だとか」

「成人ということは、もしかしてまだ15歳?」

 雅則は、エランデル国に居たとき、国王の娘、シャルロット姫がイミナス国に行く時、護衛を頼まれたことがあった。そのときシャルロット姫は15歳で成人になったと聞いたことを思い出した。こっちの世界では15歳で成人になるようだ。

「はい。15歳は成人になる歳です。いかがしましょう」

 ハンスは雅則ハーロックの指示を求めた。

「ランケルは承知してしまったんだろう? 今さら俺が出て行って問題を起こすのも愚なことだ。それに親書を携えてきたんだろう? なら問題はないだろう。ハンスに任せる。詳細はイビルに報告して」

「はい」

「それと・・ワリキュールに魔王が居ることは伏せるように。国王とハンスたちで国家建設をしていると自慢していい。つまづいたら最後が俺が何とかしよう」

「承知しました」


 雅則は宮殿から戻るとき

「国王の親書って、国王ってヒュンケルだよな。・・ヒュンケルがワリキュールに親善大使を向ける?・・スラーレンにもSLを走らせたいとは言っていたけど・・」

と思いながら

「まあいいか」

 雅則の頭の中はエドワールの火力発電所建設に傾いている。


 ◇


 雅則は館の会議で

「宮殿に行ってエドワールの火力発電所の鉄鋼材の進捗状況を確認してきたんだけど、そのときハンス(侯爵)から、スラーレン法国から親善大使が来る話を聞いて来た」

と報告した。

「マーラという令嬢が成人したのを機に親善大使としてワリキュールに来るらしい。詳しいことはわからないけど」

 するとリンメイが

「それはスラーレン御三家のアレイン家のオルコックの娘かも」

と思い出して言った。

「知っているのか?」

「オルコック様は御三家の一人で、私も恩義に思っている人で、娘が居ることは知っていますが、幼い頃しか見たことがありません」

「そう。・・しかし国王ってヒュンケルだよな。ヒュンケルがワリキュールに親善大使を向ける?・・スラーレンにもSLを走らせたいと言っていたけど・・」

「どうする?」

 悠介に聞かれて雅則は

「まあいいか。ハンスたちに任せよう。エドワールの火力発電所の建設を進めないと・・」

とスルーすることにした。










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