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異世界に行ったら最強になった  作者: 志良内達夫
第一章 まさか異世界に
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1-1.プロローグでいいか

「おい高見沢くん。また動かなくなっちゃった。見てくれる?」

 クラスメートがフリーズし、うんともすんとも言わないというか、動かなくなったタブレットで

困っていた。

 今やタブレットなどコンピュータ機器で授業するのは小学校から当たり前の世界だ。

 高見沢はそんな世界でコンピュータプログラムに関して天才的知識を持っている。将来は優秀な

ハッカーになるだろう。それ、褒めてないって。

「PCは進化を遂げているが、いまだに完璧なものはない。それは人間も同じこと。人間は生まれて

半分の能力も使うことなく一生を終えると言われている」

 高見沢の話は、ときに感銘を受けるが、ときに飛躍しすぎて唖然とすることがある。

 しかし・・この物語の主人公は彼ではない。彼はただのクラスメートに過ぎない。


 横山雅則。そう彼が主人公だ。高見沢からすれば、雅則はあまた居る同級生の一人で、もちろん

高見沢の眼中にはない。彼自身、頭は悪くなく、学校での成績もトップクラスだが、目立つことが

嫌いで、ずぼらな性格の持ち主でもある。だが他人にはない優れた力を持っている。それは超能力

が使えるということだ。

 どんな超能力?・・それは彼自身もよくわかっていない。それを生かすことが出来ない。生かす

気もない。雅則はズボラなのだ。それに自分の能力を完全に把握してもいない。

 使えたらいいなと思って、よく使っていたのは透視能力。初心だった雅則は、小学生の頃から

流行っていたスカート捲りにもあまり関心を持たなかったが、中学生になりクラスメートたちも

第二次性徴が目覚ましくなっていき、その肉体的変化に興味をそそられるようになって、女子の

下着や裸が見たいと思って使えるようになった透視能力。スカート捲りをしなくても女子の下着を

見ることが出来た。

 あとは時間をゆっくりにすることが出来る能力。実際は自分が素早く動いているのだろう。

他人から見れば動体視力の優れた男のようだ。そして・・気に入らない者の脳を破壊する

『Destroy』という能力だ。

 雅則はクラスの中でも特に体が大きいわけでもなく、社交性がいいほうでもない。要するに

イジメの対象になりやすい男だった。

 雅則は生まれつき暴力は嫌いな性格だが、いじめを容認しているわけではない。怒りを爆発させ

ると相手に『Destroy(破壊)』を発動し、倒すことは容易だった。

 そんな彼には幼馴染の美緒が居て、彼女は元気で明るい子だった。そして雅則がいじめにあおう

とすると、相手と張り合ってくれた。ので、雅則は『Destroy』を使わなくても済んでいた。

 そんな雅則が大学に進学するとキャンパスで声をかけられた。

「雅則くん」

「え?・・美緒ちゃん?」

 神崎美緒。雅則の幼馴染で、中学まで一緒に通学していた。美緒は女子高に進学したので数年ぶり

の再会だった。美緒も成績は優秀で、雅則と順位を競っていた。

「雅則くんも、ここに進学したんだ」

「うん。まさか、美緒ちゃんとまた一緒になるとは思っていなかった」

「私もびっくり。高校は別になったからね。でも中学生までは一緒に勉強したり遊んだりしたわよね」

「遊んだ?・・美緒ちゃんとはお医者さんごっこした記憶はないな」

「誰がするか!・・相変わらず面白い。ときどきマジで言っているのかわからないときもあったけど」

「適当に生きているから」

「その性格、直しなさい。・・無理か、雅則くんのずぼらな性格じゃねぇ。私と離れている間に、彼女

とか出来た?」

「出来るわけないだろう、俺に」

「だよねぇ」

「美緒ちゃんは頭はいいし、美人だし、近づく男は居たんじゃないの?」

「うん。居たけど、クズばっかりで。中学時代から始めた剣道を高校でもしていたのね。何人のクズを

叩きのめしたか」

「こわ・・」

 雅則は美緒の制服を透視したりはしていたが、手は出していない。容姿はミス何とかに出てもおかし

くないプロポーションをしているが、性格は大和撫子からは離れている。

 何回かデートをしていると、不良たちが現れた。

「俺たちも遊び相手がいなくてつまんないんだ」

 柔らかな物腰で話しかけてくるが、狙いは美緒だ。彼らは雅則にとって気に入らない部類のひとつだ。

「他をあたってくれ」

 そう言うと

「女の前だからと恰好つけてくれるじゃないか」

 粋がる男に美緒が

「クズを相手にする気はないんだけど」

 と挑発するように言った。

「言うじゃないか。たまにはこういう女もいい」

「相手を間違えると後悔するよ」

 雅則が男たちに忠告した。

「竹刀の代わりにでもなるものがあれば私が相手にしてもいいんだけど」

「なんだ剣道でもやっていたのか。残念だったな。素手で俺が相手にしたやるよ」

 男が手を伸ばしてくると、美緒はその手を捕まえてひねり、男を投げ飛ばした。

「護身に合気道も身につけたのよ」

「それは知らなかった」

「みんなで押し倒せ」

 男たちが美緒に向かってくると

「しょうがない。俺も相手をするようか」

 雅則は時間の流れを遅くして、男たちのこめかみに指をあてると

「Destroy」

 男たちの脳を破壊した。

「また助けてくれたの? でも、雅則くんが超能力というのかな、人並み優れた力をもっている

なんて羨ましいわ」

「え? 美緒ちゃん、わかるの?」

 美緒が雅則の動きを見切った?

「うん。雅則くんが一瞬にして彼らのこめかみに指をあてたのが見えたから」

「それって、美緒ちゃんも凄くない? 小学生の頃、特撮ドラマに出てくる魔女を思い出した」

 すると

「何言ってもいいけど、魔女だけは二度と口にしないで。トラウマなんだから」

 美緒に強く言われて

「ああ、わかった」

 雅則は美緒に平伏するようにこたえた。

 美緒は小学生の頃から美人でスカート捲りの被害に遭っていた。そのため中学生時代から剣道

を、高校生になってから、合気道も習い始め、相手が男でも容赦なく倒していた。その頃テレビ

番組のブームから魔女というあだ名をつけられるようになり、それがトラウマになっていた。

 ◇

 ある日。

「あれ・・みんな、じっとしている。・・というか動かない」

 キャンパス内の出来事だった。時計を見ると針も止まっている。

「時間が止まった?」

 驚いていると、動く人影があった。男が一人、近くにいる若い女を見てまわっている。

「女子大生って、響きはいいけど、俺の気に入る女はいないな」

 男は物色するように眺めながら近づいてきた。

「あいつが時間を止めたのか。って、超能力者?」

 雅則は止まっているようにじっとしていて、男が近づいてくると、ニコっと笑みを浮かべた。

 男は驚いて

「気のせいか?」

と言った。

「きみは動けるんだ」

 雅則がそう声をかけると

「俺が時間を止めたからな。・・て、気のせいだよな」

 男は誰かに声をかけられたかと思って驚き、周りを見渡した。

 雅則は、またニコっとして

「きみは能力者か」

と男に聞いた。

「まさかきみも?」

 驚いている男に

「俺は時間を止める力をつかったことがない。使えるかも試したこともないけど」

と話しかけた。

「使わないのはもったいないだろう。パンチラし放題だ」

「時間を止めてパンチラしていたのか」

「パンチラというよりスカート捲りだ。って何できみは止まらない」

「さあな。しかしいい能力をもっているな」

「パンチラに重宝出来る」

「俺は透視能力があるから、そんな面倒なことをしなくても下着は見放題だ」

「透視能力? そっちのほうがいいな」

 それから、その倉田悠介と親しくなった。

「俺も透視能力が使えるか試して見ても駄目だった。固有の能力かもな。それに俺の時間停止

能力は長くは使えない。まあスカート捲りは楽しめるけど。透視能力のほうがいいな。女の裸

の体も見放題?」

「飽きるよ」

「飽きるほど見てみたい」

 ◇

 午後の講義を終えてキャンパスを出ると、女子大生が立ち往生していた。

「どうしたの?」

 悠介が聞くと

「待ち伏せしているんです」

とこたえた。

 前方に若い男たちが自動車で乗り付けていた。

「俺に任せて」

 悠介は先に歩いていくと

「道を開けてくれ。邪魔だ」

と男たちに言った。

「恰好つけやがって。彼女たちに無様なところを見られたいか」

「無様になるのはどっちかな?」

 男たちがかかってくると、悠介は男たちを次々に倒していった。

「それも能力?」

「いや、小学生の頃から空手を習っていた。強くなりたかったし」

 男たちは立ち上がると

「やるじゃないか。このまま引き下がれるか」

 まだ向かってくる。

「しばらく使ってなかったら、俺の空手もだらしなくなった。スカート捲りばかりしていたからな」

 悠介が余裕を持ってつぶやいた。

「俺も加勢していいかな」

 雅則も出て行った。

「え? 大丈夫か?」

「俺は小学生の頃から虐められっ子でね。見た目強そうに見えないから」

「俺もそう見える。でも俺のほうがイケメンだよな」

「そう言うの、自画自賛と言わないか?」

「雅も空手を習った?」

「いや、俺は超能力を使う」

「透視能力で、どうやって倒す気だ?」

「透視能力で倒せるか」

 雅則は時間をゆっくりにすることが出来る能力を持っている。時間をコントロール出来るが、

時間を止めたことはない。

 男たちのこめかみに指を当てて脳を破壊した。その時間、1秒とかからない。男たちは呆然と

立ち尽くした。

「な、何をした」

 驚く悠介に

「俺は暴力は嫌いだから。でも、こいつらが二度と悪さが出来ない身体にしたから」

と雅則はこたえた。

「女の裸を見る能力だけじゃないんだ」

「その表現にはクレームをつけるぞ」










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