以前観た美術の展覧会に関する感想 及び コミック「含羞 -我が友中原中也」(曽根富美子)
数年前フェイスブックに、それまでに観た美術展覧会の内、特に感銘を受けたものにつき感想を書きました。その再録です。
末尾に、中原中也、小林秀雄とふたりの恋人だった長谷川泰子を描いた曽根富美子さんのコミック「含羞 -我が友中原中也」についても少し書いています。
ここ数年で行った美術展の中で特に良かったものの図録、一部絵画をアップします。
2011年、京都市美術館、フェルメールからのラブレター展。
娘ふたりと行きました。フェルメールは3点でしたが、全部で30数点しか残さなかった画家ですから。
静謐、日常、気品といった形容詞が似合うかな、と思いますが、表現するのは難しいです。
2012年、兵庫県立美術館、カミーユ・ピサロと印象派展。次女と行きました。私は若い頃コローが好きだったのですが、ある時スーベニールシリーズを観て、情感が過剰と感じたことがありました。
コローは今も好きですが、ピサロの絵から受ける情感は、私には程よいです。
2012年、兵庫県立美術館、金山平三展。
兵庫出身の画家なので、県立美術館には、小磯良平と並んで金山平三の展示室があります。
上記展覧会より以前、その展示室で、「大石田の最上川」を観て、魅入られてしまいました。ただ、しばらく観ていると、苦しいような気持ちになります。私にとっては、過剰な美なのかもしれません。
金山平三は、総じて好きです。
2014年、森アーツセンターギャラリー、ラファエル前派展。
ラファエル前派を知ったのは、朝日新聞日曜版、名画の旅で、ロセッティの「プロセルピナ」を観たのが切っ掛けでした。まだ20歳代ではなかったかと思います。
絵のモデルとなったジェーン。その夫で、有名な装飾芸術家のウィリアム・モリス。ふたりが、住んだレッドハウスも素敵です。
そして若くしてなくなったロセッティの妻シダル。色々な人間ドラマも興味深いです。
2014年、京都、泉屋博古館、住友春翠生誕150年記念展示。
例えば桂離宮や、銀閣寺など、その繊細な美意識。高い教養、高度な精神性を踏まえた趣味は、恐ろしいほどです。
住友春翠もまた相当なレベルの趣味人ですが、「きれいさび」と総称される、その収集品は、折に触れて観たくなる。そんな快い豊かさがあります。
2016年、東京、三井記念美術館、北大路魯山人の美 和食の天才展。
買った図録、三日間、何度か繰り返し観ました。
コミック「含羞 -我が友中原中也」(曽根富美子)
中原中也、小林秀雄、長谷川泰子。
ランボーや、ゴッホや、モーツァルトや、本居宣長について評論し、文芸評論の確立者、美の審判者として高く評価されている小林秀雄の熱き青春時代。
小林秀雄の書くものは、読んでもよく理解できませんが、もし理解できたらきっと素晴らしいことを言っているのだろうな、と思わせる文章です。
中原中也は近年では、中年になってから知った
夏の夜の博覧会はかなしからずや……の詩に心を打たれました。
この曽根富美子の「はじらひー我が友中原中也」は、娘ふたりにも読ませました。ふたりとも、お気に入りのコミックになりました。