6 放送の時間
今回視点:高里麻里
いつも通りの部活の時間
美術部の部室である第一美術室にはピリピリとした空気が流れていた。
「、、、そろそろ、放送が流れてくる、、」
竹内さんがそう話す。
ごくりと生唾をのんだ。
この放送を聞いてからでないと、私たちは動けない。
今、情勢はどうなって、、、
『テニス部とソフトボール部が乱闘中です。繰り返します。テニス部とソフトボール部が乱闘中です。』
焦っているような声でそう聞こえた。
外部活組はもうかなり荒れてしまっているらしい。
美術室の窓から校庭を眺めてみれば、乱闘しているさまが見えた。
互いのボールが飛び交っている。
「テニスって、硬式だったよね、」
「女子が軟式で、男子が硬式だったと思う、、」
「え、じゃああたったらめちゃくちゃ痛くない、?」
そんな会話が部員たちの間で聞こえる。
硬式も、軟式も、あたったことはある。
めちゃくちゃ痛かった。
ソフトボールがおなかにあたったこともある。
とにかく痛い。
骨が折れたかと思ったが、折れてはなかった。
そもそも、腹部の骨が折れてたら呼吸も難しいというのを聞いたことがある気がするので、軽傷だったんだろうなって、後から思った。
でも、痛いことに変わりはない。
『今入った情報です。美術部と、、、、、』
「美術部と」そこまで言葉を放った後に、ぶつっ、と音を立てた。
みんながざわつき始める。
何を言おうとしたのは大体はわかるが、問題はそれを知らない他の部活だ。
美術部が何をしたかがわからないので、ターゲットに入る可能性が高くなる。
ざわざわとしている中、一つの放送が入る。
『Hello everyone! I'm English club.』
英語で入った放送
流石にこれくらいの英語はわかるが、この学校に英語部があったこことをこの時に初めて思い出した。
そういえばそんな部活もあったなぁ、、、みたいな感じだった。
正直言って、イメージがなさすぎる。
外国人禁制の英語部というイメージしかない。
『英語で話すな分かりにくい』
苛立っているような声が聞こえた。
音質が悪いせいか、性別が判断できない。
『あー、英語部から直々に放送させていただく、我々英語部は演劇部とタッグを組むことになった。我々はすべての文化部を武力、そして知力で制圧し、統一させることをここに宣言する。まぁ、要するにすべての文化部に対して宣戦布告をしよう!』
放送の後ろ側から歓声が聞こえた気がした。
おそらく、英語部と演劇部
全ての文化部に宣戦布告するなんて無謀なことだけど大丈夫なのだろうかといういらない心配だけが残る。
演劇部には嫌なイメージしかないから、宣戦布告されてもいいけれど、、
いつも何を考えているかが分からないのが演劇部だ。
常になにかを演じていて、それが本心なのかどうかもわからないとか言われている。
この放送にあるとおりのタッグを本当に組んでいるかどうかも分からない。
そんな風に一人で考え込んでいたら、竹内さんに睨まれた気がした。
あれ、そんな怖い顔してたかな
『宣戦布告したからにはどんどん潰させてもらおう!まずはart clubもとい、、美術部からだ!科学部と同盟を組んだとかなんだとか知らないがどうせ嘘だろうに、美術部は演劇部と違って、嘘つくのが下手くそだな』
殺意がわいた気がしたけどちょっと我慢
うそじゃないもん
変に怒った顔になるとまた竹内さんに睨まれそうなのでやめておく。
「ね~舐められすぎじゃナイ?」
「わっ!?」
急に聞き覚えのある声が近くで聞こえたのでびっくりした。
後ろを振り向くと、白衣姿の琉空がいた。
「ど、どしたの琉空、いきなり来て」
「ん~っとね、実験が終わったから来ただけだヨ。なんか変な放送されてるシ!腹立っちゃうよネ~」
とてものんきに話しているように聞こえる。
事態は全くもってのんきではいられない。
正直言って何が起こるか分からないので不安だ。
英語部と演劇部に狙われてしまっている状況で、どうやって生き残るか、、
「ま、お薬はいっぱいできるから大丈夫だヨ安心してネ」
そう言って私の頭をぽんっと手で軽くなでる。
びっくりして手をはじく自身もなく、手首をつかんでそっと下ろした。
どうにも気が強くなれないのはむなしい、
琉空はとくに気にしてなさそうな顔をしている。
いや、この程度で気にされてもいろいろ困る。
「マ、宣戦布告してくるなら受けて立つに決まってんデショ。」
ふふんと琉空が得意げになっている。
まぁ、確かに、受けて立たなきゃいけないよね、、、、
「ちょっと、何勝手に決めてんのよ。」
竹内さんが話に入る。
その後ろに竹内さんと仲がいい美術部の人が二人いた。
「戦うって、無理に決まってんでしょ。降参よ、戦わずして勝ったほうがいいわ。変に争って、無駄に犠牲を出したほうが面倒くさいでしょ?だったら、いますぐにでも降参してさっさとこの宣戦布告を取り消さなきゃ、、、」
「は?そっちのほうがメンドイ黙って?」
竹内さんの言葉を遮って琉空がいつもと違う声色で話す。
怒ってる、?でも、琉空はそんな簡単には怒らない人だから、そんな簡単に怒るとは思いたくない。
「キミたち舐められてるのわかんないノ?ボク舐められてるから怒ってンの、だから宣戦布告受けるっつってんのになんでわざわざ降参しなきゃいけないワケ?」
私と話す時とは違う、のんびりとしたマイペースな話し方じゃなくて、聞き取りやすい程度の早口
正直言って、怖い、怒ってるなんて思いたくはないと言ったけど、これは確実に怒ってるんだなと思った。
ピリピリと険悪な空気になっているときに小池先生の声が入った。
「はいはい、喧嘩しない。一応言っておくけど、降参はほぼ無理だよ。なんせ、英語部の先生は基本的にはいないからね。後、とりあえず先にこれからのことを考えておこうか、英語部と演劇部が何をやってくるかは分からないから、万全の準備をしておかないといけない。一応、先生方で決めたルールとしては、宣戦布告の通告して次の日から戦闘開始、戦闘開始してから3日以内に降参した場合は、相手から課されるものを拒否する権利があるけど、三日を過ぎるとそれは無効になる。そして、三日が過ぎてから相手が和平交渉なるものをすることができるよ。相手が取り決めるもので、気に入らないなら拒否して戦闘続行、それでいいなら不戦に応じる。また、こっちが有利になった場合、相手に和平を組ませることができる。それも、相手が不満なら戦闘が続行するし、相手が諦めるなら和平交渉は成立、こちら側が相手の部活を取り込むことができるよ。」
本当の戦争みたいな内容に、少し驚いた。
少し怖い気もするが、それよりも、好戦的な気持ちのほうが勝つ
あいつらを見返せるなら見返したい。
私たちは、あいつらに勝つんだ。
視点感想
「琉空、怒ると怖いんだなぁ、、、」




