蟲屍人(ムシビト)
1話完結の物語です。
初めて書くので変に思う事や誤字などがあるかもしれません。温かい目で読んでいただけると幸いです。
世界観は魔物や魔女が存在する世界なのですが、今作は主人公の少女『ポピー』と蟲屍人の『ベェ"ト』の関係をお楽しみください。
といっても多少頭の中に残したままの事もあるので、物語の最後は皆様のご想像にお任せします。
※本作の「」と間にあるーーーの種類について説明
「」=人物の話しているセリフ
『』=蟲屍人のセリフ、複数人のセリフ、名称
()=人物の心のセリフ
《》=蟲屍人の心のセリフ
【】=漫画で例えると四角い囲みのナレーション語り
・・=強調
" "=強調
ー1本=幕間、過去
ー2本=時が進む
【いいかい?】
【森の奥には】
【『蟲屍人』と呼ばれる】
【恐ろしい化け物が住んでるんだ】
【絶対に夜の森には入ってはいけないよ】
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【ーアバマナバル村ー】
空は晴れ、鳥の囀りが聞こえる。
窓から差す日の光で目を覚ました少女は、まだ目を擦りながら部屋から出てきた。
その少女の髪型はオレンジ色の赤毛でおさげをしている。瞳の色は綺麗な翡翠色をしていて、頬にはそばかすがある。
彼女の襟元は二重線で描かれた半月状の模様が先端まで続いている。そして全体は白い洋服をしていて、袖周りはふわっと膨らんでいる。スカートは茶色のロングスカート。靴は真ん中に紐を通していて、茶色いロングブーツを履いていた。
(んん〜…まだねむいな〜)
「おはよう〜」
少女が声を出すと彼女と似ている服装に、長い髪をした母親の『サルビア』が答えた
「おはよう、ポピー」
「よく眠れたかしら?」
ポピーは部屋を見回しながら答える。
周りを見ても父親『ユリオ』の姿が見当たらないのだ。
「うん」
「あれ?パパは?」
(いつもはママの近くで、キモい虫みたいにひっついてるのにめずらしい…)
「準備中よ」
「準備?…あー!!」
「今日はママの誕生日だもんね!楽しみー!!」
「うふふっあの人ったらはりきっちゃってね」
そう言うとサルビアは頬を赤らめている。そしてユリオが家から出ていく前の会話を思い出していた。
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その人物は金色の髪で短髪。紺色のオーバーオールしていた。
「愛するママのために熟成猪を狩ってくるぜ!」
「愛してるぜ!ママ♡いってきます!」
「いってらっしゃいアナタ♡」
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「そう言いながら森へ行ったわ、ふふ」
「あはは、は…パパっぽいね」
「でも森に出かけて大丈夫なの?」
「ええ、昼間は恐ろしい魔物もあまり出ないって聞くわ」
「それにパパは強いから大丈夫よ」
「え〜ほんとにー?」
微笑むママを見て本当に信頼してるんだなって思った。けど、あのパパがねぇ〜、強いとは思えないなぁ…ははは…。
獲れずに買ってきそうだなぁ…。
期待はしないでおこう。うん。
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しばらくしてドアが開く。
「ただいま!熟成猪とってきたぞー!」
「パパー!おかえりなさいー!」
「おかえりなさい!」
「わー!ほんとに熟成猪だ!」
「ポピー!お前の好きなククルの実も採ってきたぞ!」
「え!本当!嬉しいー!!」
ククルの実は小さな殻の中にある実で、殻を割ると白い見た目でシャリっとした柔らかい食感とほんのり甘い味の果実である。
ユリオは袋の中を探りながら話し続ける。
「あとはママの…あっ!!」
「しまった!キノチゴがない!採り忘れちまったか…」
「ええっ!?」
「ちょっとパパ!ママの大好きなキノチゴがないケーキなんてありえないんだけど!!」
「う〜んどうしようか…もうすぐ日が暮れるし…」
困るユリオに詰め寄るポピー。
キノチゴは赤色や黄色、オレンジ色などの小さな甘酸っぱい果実のことだ。サルビアの好物であり、ケーキの飾りとしてのせる予定だったが、家にある在庫がなく森に採りにいく予定だったのだ。
「キノチゴがなくても、ワタシは気持ちだけでも十分よ」
微笑むサルビア。
傍で悲しむポピー。
「でも〜…」
「う〜ん…オレは今から村長に会う用事があるからなぁ…」
「大丈夫よ。夕方までにはいろいろしておくわ」
「すまないな、サルビア」
「ええ、いってらっしゃい」
ママはパパに優しすぎる。
ポピーはパパに腹を立てていた。
(なにかワタシにも…)
(そうだ!)
(たしかキノチゴがあるのはそんな奥までじゃなかったはず…)
(まだ夕方だし、とってすぐに帰れば大丈夫だよね)
(待ってて、ママ!)
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(森の中まで来たのはいいけど)
(たしかこの辺って聞いてたんだけどな〜)
ガサガサ
木の上から音が聞こえた。
「きゃっ!!」
バサバサ!バサ!!
羽が鋼のように固く、暗闇のなかで見えにくい姿から名付けられた鳥。『夜鋼鳥』。人への敵対心はなく温厚な性格をしている。ただし、肉が硬いのであまり食用としては向かない鳥である。
「なんだ、夜鋼鳥か〜!びっくりした〜!」
森の中を進むと木の幹の下にキノチゴが実ってる場所を見つけたポピー。
「あった!キノチゴの実!」
袋にたくさん詰め込んでいく。
「これだけあれば足りるかな」
ザァァァァァァァ
辺りはすっかり暗くなり、来た道を覚えていたはずのポピーは困惑していた。
ザァァァァァァァ
「あれ?さっきと道が違う。なんで木が…?」
「ここはどこ?」
(こわいよ…パパ…ママ)
…グチャ……グチュ…
「ひっ…」
(な、なに?この音)
ヌチャ…ボドッ…
グチュ…
ドッ…ヌチャ…ボトッ
(何かが落ちる音?)
(近づいてくる…!!)
「フゥー…フゥー…」
「……」
息を殺すポピー。鼓動の音が聞こえた気がした。
夜の森は木々が動き、道が変わる。それは森全体が魔力を帯びているからだ。
その為ポピーは帰り道を見失う。
辺りは鎮まり、動物の鳴き声も聞こえない。しかし何かが垂れる音が確かに聞こえてきた。
ポピーは息を殺したまま木の裏に隠れている。
"ヌッ"ーーー
"ゾゾゾゾゾッ"と背筋が凍りつく間もなく、月明かりが差し込んでいた場所は一瞬にして暗点し、隠れていた木の影から"ソレ"は顔を出す。
「きゃぁああああ!!!!」
ドサッ
ポピーは気を失った。最後に見えた景色には異形の化け物が血まみれで動物の肉を食べていた姿だった。
『……』
(なぜ、こんなところに人間が…)
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オレンジ色の火が灯る薄暗い部屋の中で目が覚めるとベッドにいることに気づいた。固くて寝心地は最悪。それに部屋の中は臭いし寒い。ここは一体どこなんだろう。
「ここ…は?」
『気ガ…ツイタカ…』
ポピーはゾッと背筋が凍り、驚く顔で言葉が出ない。
目の前には人の言葉を話す、人とは見た目が異なる化け物が立っていた。
ソレは頭部から胴体にかけて、まるで人の手の様な形をしている。頭部は親指の部分がそこに当たり、親指の中心に大きな眼が一つ。その下から人の口を90度回転させた形で腹部まで口が続いている。頭部から胴体にかけて腕みたいに伸び、下半身にしがみつく様に残り4本の指が下半身を掴んでいる。その下半身は昆虫で例えるなら、蠍のような見た目をしている。
(当然の反応だな)
『イマ…外ニ出ルノハ…キケンダ』
『アスノ…朝ニ…帰レ…』
『ソレマデ…ハ…ココニ居テイイ』
「へ?喋った…?」
「えええええええ!!?」
(まってまってまって…蟲屍人って喋れるの!?)
「え?まって?話せるの!?」
(喋られないと思われてたのか)
『アア』
あまりの光景に理解が追いつかないポピーは困惑していた。
(もしかしてワタシは食料にされちゃうの!?)
(ママ〜パパ〜…!!)
「うぅ…ぐす。。ころされる〜!!!」
(はぁ…うるさい小娘だな)
『喰イモシナイシ…殺シモシナイ』
「でも…パパや村の人たちは蟲屍人はヒトを食べるって…」
『ソレハ…オマエ達ノ…カッテナ…思イコミダ…』
「そんなの…信じらんない!!」
『信ジルカハ…オマエ次第ダ…』
「でもっ!!……」
「それに!なんで人の言葉を話せるの!」
『…』
ポピーは一瞬、戸惑いがあった蟲屍人を見つめて眉をしかめた。沈黙の後、蟲屍人の『ベェ"ト』は答えた。
・・・・
『ムシビト…ハ…元々ニンゲンダ…』
「!!!」
驚いて固まるポピー。
「うそ…でしょ?」
「人がこんなのになるわけ………」
『……』
顔を背けるベェ"ト。
「あっ…ごめん…なさい。」
『別ニイイ…化ケ物ニ…変ワリハナイ』
『ソレニ…人間ノトキ…ヨリ…ウマク話セナクナッタシナ…』
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『少シハ…落チ着イタカ…?』
「うん」
「ねぇ、聞きたいことがあるんだけど」
『何ダ…?』
「あなた、名前はあるの?」
『ベェ"ト…』
『今ハ…ソウ名乗ッテイル』
「ベェ"ト…うーん言いずらいね」
「でも確かにベェ"トって名前の感じっぽいかも!」
と言うと少女は笑っていた。
「あと、どうやってその姿になったの?」
『……』
『魔女ノ…呪イ…ダ』
「魔女…?」
「初めて聞いたわ」
「この世界に魔女なんているの?」
『魔女ハ…コノ世ニ…数人シカイナイ…ト』
『呪イヲカケタ…魔女ガ言ッテイタ』
『産マレタ…トキカラ…不思議ナ…"力"ヲモッテイタラシイ…』
「どうやって分かるの?」
『詳シクハ…シラナイガ…ソノ"力"…ニ気ヅクニハ…キッカケガ必要…ダソウダ』
「きっかけ…?」
『アア…』
「あっ!」
「ならその魔女に呪いを解いてもらえれば人に戻れるんじゃない?」
『ワカラナイ…』
「そんな…」
『呪イヲカケタ…魔女ハ…スグニ…立チ去ッテシマッタカラナ…』
『ソレニ…オレハ…ココデ…静カニ暮ラセレバ…ソレデイイ』
「どうして?」
「人に戻りたいとは思わないの?」
『……』
《…戻りたいさ》
《だけどもう何年もこのままなんだ》
《希望なんて…もう》
『…』
『モウ寝ロ…オレハマダ…ヤルコトガアル…」
「でも…」
『朝ニナッタラ…ココカラ出テイケ』
『ソレマデハ…ココニイテイイ…』
その日起きた出来事はあまりにも、頭で整理できる内容じゃなかった。部屋はジメジメしていて、すきま風もある。寒くてなかなか寝れそうにないかも。今日は疲れたなぁ…ママの誕生日だったのに…。ちゃんと謝らなきゃ。外から聞こえる物音を聞きながらいつの間にか眠りについていた。
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昼間の森は騒がしいはずなのに、なんだか気味が悪いくらいに静かだった。でもなんだか嫌な感じはしなくて、どこか寂しげなのに、日の光が暖かくて心地いい気持ちになった。
『ソロソロ…村ノチカクダ…』
『モウ…森ノ奥ニハ…クルナ…』
「ベェ"ト、ありがとう。」
《……》
立ち去るベェ"トの姿を見たワタシは、その背中が寂しそうにしている様に感じたんだ。村のみんなから嫌われている蟲屍人もただの人だったのかもしれないと、ワタシは心の奥がモヤモヤしたまま家に帰った。
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開いたドアが閉まると聞き慣れた声が聞こえた。
ガチャ
「ただいま…。」
!!!
その声に2人はすぐに反応した。
安堵と緊張が解けたユリオとサルビア。
2人してポピーの名を呼ぶ。
『ポピー!!!』
「ああ、良かった。無事で良かったわ。」
「いままでどこに行ってたんだ!!」
声を荒げるユリオをサルビアはなだめた。
「あなた、ポピーは帰ってきたばかりでまだ動揺してるはずよ。今は無事に帰ってきたことを喜びましょう」
「あ、ああ、そうだな。すまん。」
俯いたポピーは答えた。
「…」
「森でキノチゴを取ってたら迷子になって…」
「森には近づくなと言っただろう!」
「あなた…!!」
「ごめんなさい…」
「ママの大好きなキノチゴを…どうしても用意したかったんだもん。」
「だからってそんな無茶を…」
「でも命があった本当に良かった。」
そう話すとユリオは肩の荷を下ろした。
「怖かったでしょう」
「ほんとうに無事で良かったわ」
「とにかくいまは休まなきゃ」
サルビアはコップにホットミルクをそそいだ。
そして、ポピーに手渡した。
ほっと息をつくポピーを見守りながらユリオはサルビアに返事をした。
「そうだな」
「オレは村長に見つかったことを伝えてくる」
「ポピーのことは頼むぞ」
「ええ」
ユリオは村長の家へと向かった。
今回の一件を伝えた。
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「そうか、見つかったか!」
「ほんとうに…よかったのぅ」
「ええ、ほんとうに無事で良かったです」
「夜の森で生きて帰れることは…そうそうないからのぅ」
「ええ、魔物に遭遇しなくて良かった」
「それに蟲屍人にでもであっていたら…」
「まず、生きては帰れんじゃったろうなぁ…」
「ですね…」
「まあ、今日はゆっくり休みなさい」
「はい、今日はポピーについておきます」
「そうなさい」
「失礼します」
(…)
(やはり…はやめに手を打つべきかのぅ…)
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あの日から3ヶ月が過ぎた。
ワタシは週に1度
バレないように夜の森へ出かけるようになった。
ベェ"トは優しい怪物だ。
ワタシだけが知ってる。
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2回目に行った時はひどく怒られた。そして面倒くさがられたっけ。
『オマエハ…馬鹿ナノカ…?』
「うるさい!美味しいキノチゴを届けにきてあげただけだもん!」
「ベェ"トも食べよ?」
「もっと知りたい事あるし」
『……』
『フヴゥゥム………コレキリダゾ。』
次第に彼の好きな食べ物や森での生活。人間の時の事も教えてくれるようになった。
なんでも、下半身が昆虫なのは指先から神経を通して操っているそうなんだって。あの森に適した姿を求めた結果、蠍になったらしい。ワタシにはよくわからなかったけど、どうでもよかった。
ワタシはベェ"トに会いにいくのが楽しくて仕方がなかった。それと同時に彼のために呪いをどうにかしてあげたいと思う様にもなっていった。
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それから数日後、ポピーは今日もベェ"トに会いに行っていた。ユリオが異変に気づく。
そしてすぐに村長の家へと向かった。
「村長!!ポピーを見てないですか!!」
「おらんのか!」
「はい…」
「まさか森へ…」
「…さがしにいきます!!」
動揺しているユリオを村長は引き止める。
「まちなさい!」
「すぐに村の男達を集めなさい、今夜…」
「…蟲屍人を始末しようぞ」
驚いた顔をしたユリオは答える。
「え…?でもまだ武器が…」
「案ずるな」
「あの日から準備しておったんじゃ」
「武器はある、みなを呼んでくれんかユリオ」
「…わかりました」
ユリオはすぐに男達を集めに行った。
「みなそろったようじゃのぅ、これより蟲屍人の退治に向かう」
「行くぞ」
『うおおぉぉーーー!!!』
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バッ!!
森の奥にいたベェ"トは何かを感じて後ろを振り向く。
『…!!』
(まさかな…)
「どうしたの、ベェ"ト?」
『イヤ…ナンデモナイ。』
『ソロソロ…帰ッタホウガ…イイ。』
数刻した後に森の中が騒がしくなっていくのをベェ"トは感じとっていた。そして、ベェ"トは夜空を眺めるポピーを見つめていた。
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森の奥まで捜索していた数人が"異形"を見つけ声を上げた。
「いたぞー!!こっちだ!」
「化け物がいたぞー!!」
静寂な夜の森では、その声はポピーの耳にも聞こえていた。
「え?」
(なんでみんながココに!?)
「そんな、どうしよう、、ベェ"ト」
『ココカラ…逃ゲロ』
「え?ベェ"トは…?」
『オレハイイ…』
『ココニ…残ル…』
『ハヤク…イケ…』
「ベェ"トも一緒に行こうよ!!」
静まり返った暗闇に一発の銃声が鳴り響いた。
パァァン!!
「きゃっ!!」
『ハヤク…イケ…!!』
『オマエニハ…帰ルバショガ…アルダロ…』
「…でも!!」
《……》
ベェ"トはただ見つめていた。
その姿を見て、ポピーも見つめ返した。
「……」
「ベェ"ト…死なないでね。」
『…アア』
歩みを進み出したポピーは振り返る。
「またね」
ベェ"トは返事をしなかった。
パァン!パンパン!!
その後のことは無我夢中で走ったからあまり覚えてないけれど、銃声の音がたくさん鳴り響いていたのは耳に残っていた。
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【それからベェ"トがどうなったのか】
【ワタシにはわからない】
【だけど】
【きっとまた会えるって…ワタシは信じてる】
【いつかベェ"トの呪いを解くため】
【冒険に出るよ】
【だから】
【ワタシは強くなる】
「待っててね、ベェ"ト」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【とある森の崖】
光が差し込む崖の上に佇む影が1つ。
《……》
彼はふと、少女の記憶を思い出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「またね」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
夕焼けに照らされていた彼が呟く。
風に乗って声が届くことを祈っているかのように。
『…アア』
『マタ会オウ、ポピー』
沈みゆく太陽を背に
彼は暗い森の中へと歩いて行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【ーアバマナバル村ー】
白い髪を靡かせながら、目を閉じながら語った。椅子に座る人物の隣で少年は耳を傾けている。
「いいかい?」
「むかしはね、この森の奥には」
「『蟲屍人』と呼ばれる」
「恐ろしい化け物が住んでいたんだよ。」
「でもね」
「彼は優しい人だったのよ。」
【そう】
【ワタシだけが知っている】
【彼との物語を】
おわり。
最後まで読んでいただき、ほんとうにありがとうございました!
小説家になろうは10年前に登録していたのですが、なんだかんだ今に至ります。(笑)
初作品としてもともと漫画の読み切り用として構想していた物語になります。
なので、ポピーとベェ"トのキャラデザは考えたりしてますが、ベェ"トは私の思い描く姿とはかなり違います。
そのせいでキャラデザ出来なかったので漫画を描くのは諦めました。
なので、今回こちらに投稿しようと思って描写などはより細かく文章として書くことにしました。
全部ではないですが、今後、設定なども書いておきますのでよければそちらもご覧ください。
そして、最後の結末に関しては皆様のご想像でストーリーを考えていただけたらなと思ってます。
一応私の中でも考えてはいるのですが、漫画として描いた時にこの終わり方で終わらせるのがいいなと思ったので終わらせてます。
モヤモヤしたままな方もいらっしゃるかもしれませんが、そこは申し訳ないです。(汗)
次回作の構想もありますので、気長にお待ち下さい。
霖廻 蛙。