それだけ愛してたんですね
オウは、
『男子厨房に入らず』
とか言ってましたけど、オウにはオウの考え方があるでしょうし、人手は十分に足りてるし、もう別にどうでもいいことなのでそっとしておきます。
ここで言い合っても面倒くさいことになるだけで時間の無駄です。
「よし! ここはひとつ、皆で餃子を作ろう! ハカセの好物だ!」
声を上げたフカに、
「え? そうなんですか…?」
カリナが思わず声を上げます。そして、
「知りませんでした。ステーキのような塊肉は苦手なので避けてほしいとは聞いてましたけど……」
そう言うと、ティーさんが、
「で、『それ以外なら何でもいい』って言うたんでっしゃろ?」
尋ねます。
「はい。その通りです」
カリナの答えに、
「やっぱりね。ハカセらしい。彼は本当に自分のことを話したがらないから」
ウルがうんうんと頷きながら言いました。さらに、
「彼は、本当は好き嫌いが激しいんだ。その中でも、ミンチや加工肉以外の<肉の塊>が入ってる料理が特に苦手で、それだけはどうしても食べたくない。だから言ったんだろうけど、それ以外にも『好んでは食べたくない』っていうものも多いんだ」
とも語ります。そこにティーさんが、
「そうそう。魚は刺身が好きで煮魚はあまり好きやない。出されたら仕方のお食べまっけど、店とかじゃ絶対に注文しない」
と補足。さらにさらにウルが、
「ああ、あと、フルーツの類も好きじゃないな。酢の物の酸っぱさは好きだけど、フルーツの酸っぱさは好きじゃないんだ」
と補足。そこにまたティーさんが、
「せや、野菜はセロリ以外はだいたい食べまんのにな。ついでに言うたら酒は飲まへん。『酒は頭の回転が鈍るから好きじゃない』そうですわ」
<ママの記憶>がどんどん戻ってきてるウル達の語るそれに、カリナは、
『ああ……それだけ愛してたんですね……』
と感心させられていたのでした。




