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幻想の現実≠東方空界霊  作者: 幻将 彼
第壱章「青年は座って、夏を考えた。」――白昼夢異変
7/62

第肆話 幻想世界の空斬場(からきりば)~evacuate philosopher~

オリキャラ"空雛"登場だよ。


【空想】


「あら? こんな所に面白金髪のご兄妹が居たわ……」

「「どういう偏見だ」」

面白金髪のご兄妹……の長い金髪と、異なる金髪は同時に喋った。

誰がご兄妹か。

「ほら。息ピッタリな処とか。お姉さんは格好が可笑しくて、お兄さんは言った通り面白金髪…そして妹さんは妖って偏見(とこ)ね」

「だとしたら有り得なさ過ぎるな、外来人さんよ~…。不謹慎だぜ?」

「んぁ。右の魔女に激しく同意」

 略して禿同。

 あれ? 魔理沙今何て言った?

「ヒツキ、お前のそのテンションに激しさは見えないぞ」

「んぁ右の魔女に著しく同意」

「あら。仲良いわね」

「「仲良くない」」

「ほら、仲良いじゃない…」

何だ先程からのこの台詞被り(2回目)

「それと、ごめんなさいね。確かに妖の子は不謹慎ね。精々お友達か、式神(ペット)とかかしら?」

式神と書いてペットと読むなよ。

そしてルーミア、拗ねないで。

「そして貴方たちはそれを使役する恋人関係?」

「「恋人な訳無いだろ」」

恐ろしい程に被りやがる…(3回目)

隣で『式神であることを否定しろよ~…』と羽虫みたいな声が囁いた…確かに彼女の言い分式神確定で言っているね……ヨッシャ『るみゃ』、仇は取るから。

「処で、貴方のその髪型…物理法則を完全無視した点を見て、それって“守髪神”よね?」

「如何にも」

「『いかにも』っていう奴初めて見たぜ…。一度使ってみたいぜ~その言葉…」

「カッコイイのだ~…ヒツキ様~…」

「俺に感情論を持ち込むな。返しが困る」

「困るのか? 無情なのに…」

「無情なのに…だ。『マチガイの貴公子』は大変マチガった“設定”が沢山…」


お人形さん衣服の中に詰め込んだマントの様なスカートを翻し、どこから取り出したか俺の目前には、鳥の形をしたと言える鉾槍(ハルバード)の刃が突き付けられていた。

「ねぇ、悪いけど…今私はバカップルの会話には付き合って居られないの…」

「だから恋人じゃ無ェっての」

 と、口籠りの文句を付けて静寂が走り、ポニテの彼女は武器を手元に仕舞った。

「ああ、ごめんなさい取り乱して。何せ只、お茶を飲んでいたら、突如としてココに来てしまったものだから。もうかれこれ2時間位は迷っているのかしら…? おまけに変な気体がこの森一帯に充満っているみたいで…」

「それはキノコの胞子とか森の瘴気とかだけど…大丈夫なのか? お前」

魔理沙は心配そうにも説明する。

「あら、そうなの? 茸の胞子とか瘴気だったのね……確かにそこら中に生えていたしわね茸。良い空気はしない理由ねぇ……ええ大丈夫よ、お構いなく。私はそう言った幻を消せる程度の力は備えているから」

「おお、強そうだな」

魔理沙は興味を示す。

「いいえ、強くは無いわ。まだまだ経験浅い雛っ子…百歩譲っても燕雀(えんじゃく)の域にしか達していない半人前よ。強さをその身に宿すなら、鴻鵠(こうこく)の志を知らなければ、ね」

 謙遜している訳でも無さそうで、彼女は本気で自分が未熟だと言う事を言葉に込めて発した。

「見事な自論文だ」

「ヒツキみたいな謙遜だな。絶対強いって…えーっと槍使いさん」

俺は紛いなりに、魔理沙は気遣いなのか、いや『ヒツキ』って付いたらお終いだよ。

な率直な感想を評した。

『槍使いさん』て。

「あら、ありがとう。えっと…魔女さん?」

「霧雨魔理沙だぜ☆」

「ええ、マリサさん」

 もう名前呼びで打ち解けちゃうのか……女子って凄い…。

「えっと、恐らく貴女はこの森に詳しいお顔だと踏んだのだけれど、どうかしら?」

「ああ、詳しいお顔だぜ!」

意味違いで場違いだけど、お顔が踏まれてるぞ~。

「それで、この森はどう言った所なのかしら?」

「ここは“魔法の森”って言ってだな…」

魔理沙は解説を始め、俺とルーミアは放置状態となった。

 

【対話】


魔理沙が森の事をペラペラ話す中、小声で俺はルーミアと会話する……積もりは無かったのだが凹んでいることを察して、今回は右手で……ショックに満ちた頭を撫でながら、ショック気分消失。

からの独り言で済まそうとする俺の話にルーミアが何とか入ってきたので、結果二つ目の対談になった。

「さっき魔理沙が言った事が気になる」

「何と言ったのか?」

「外来人。俺の耳に壁でも張っていなければ、ノイズキャンセラー機能付きのイヤホンジャックを装着している訳でもないので、聞き間違いじゃあなかったよな?」

「イヤホンジャックはきっと外来品だから解らないけど、あの身なりからしてあの人間は外来人だな~、ってことは解る」

「そうだよな。そのような語句は巫女さんとるみゃから聞いた、異世界転生を果たした俺に対する余所者の呼び方だ。『日本の一部』だ『隔離の世界』だと幻想郷のシステムがそれで構成されているのだから、そう断定してマチガイないだろう。マチガッテいたらいつも通りなのだが」

「ヒツキ様はマチガッテいないぞ…愛は確かなのか~」

「何の話だ? それよか、その呼び方を今魔理沙は彼女に対して呼んだんだよな…」

「うん呼んだ。嫌味ったらしく」

「嫌味ったらしく、ね……そうなのだとしたら、導き出される疑問は『何故?』だ」

「何故? それは?」

幻想郷(ここ)には早々簡単に入れるなんてことは無いと、確か巫女さんは言った。言っていない? 忘れたよもう…」

「自問自答されても困るのかー。でも幻想郷を隔離する大きい結界が有るのだー」

「結界…だったか。だが今こうして外来人二人目が居るとは、どう言った絡繰りなのだ?」

「…えーっと、幻想郷の仕組みは、忘れ去られたモノが辿り着く非常の世界とか何だとかだっけ?」

「おい出身者…元は知能レベル『ワハー★=08(?)』の幼女だった癖に、知能上がって何だかんだ賢くなった癖に何で曖昧回答なんだよ…」

「私だって知らないことは有るのだ! 後、知能レベル『ワハー』って何なのだヒツキ様?!」

「外界の言う“常識”、幻想郷の言う“非常識”は互いに接触せず、その対によって幻想郷が成り立っているとか出来ていないだとか?」

「無視するな!」

「悪い悪い。忘れん坊だからさっきの無視もそれの所為にして、幻想郷の造りについては妄言で決めて行くしかなくてしがないが、つまり彼女は忘れ去られた。或いは非常識と認定された、って事なのか?」

「この森の瘴気を打ち払う能力らしき何たるかを持っている限り、その線は有り得る」

「だが俺の住む世界には『そんな程度以上の能力者』なんて現日本人口の殆どが持っていると言うのに、何故ポニテの彼女だけが今この場に居るんだ? 幻想郷の面積は未だ不明だが、もう少し出くわしてもいいかもしれないのに…」

「? ヒツキ様~? 言葉の理解は出来るが、何言っているのか~?」

「んぁ?」


【空気】


「つまり、幻想郷は私たちの住む世界とは離れた場所にあるもう一つの世界と言うわけね」

「ああ、大体そんな感じだな!」

どうやら話は終えたようだ…

「そうなの、丸で異世界みたいね……私はまだこの森しか堪能していないから解らないけど、森の外はきっとステキな自然で溢れ返っていることなのでしょうね」

「いいトコロだぜ! 幻想郷は。飽きも絶えないけど……」

常識と非常識、こうも干渉して大丈夫なのだろうか?

「そんな日はふよふよ浮いているのがお勧めだね」

「今は夏だぜ? 闇で防げるお前じゃあないんだから勘弁してくれ……」

「ほう魔理沙…夏が嫌いか? 奇遇だな」

「無情は夏が嫌いなのか? …夏は良いけど熱いのがな、堪らないぜ…」

「ええ、そうね。気候は最高に暑くて、でも向こうよりかはマシね。まるでファンタジーって感じの。こんな暑くても豊かなに想える幻想は……」

空気が変わり森が騒めいたと思ったら、

空想(からっぽ)に過ぎないわ」

グローブを装着していた彼女の右手が握り拳になるや否や、その手に優しく触れられていた一本の木は消失した。

その言動、行為には金髪ご家族、だから家族じゃねぇってーの、は、ただ静かに成り行きを見守るしかなかった。

「私…“(から)(ひな)”の嫌いなモノの一つは、現実味の無いモノ。この世界はその模範よ。他から見たらよい世界かもしれない…だけどそれは向こうの世界の者として、〈空想の思想家(・・・・・・)〉として、排除対象になるわ。有っては為らないのよ、隔離の世界ってのは。悪いけど今からこの地(幻想郷)もろとも、駆除に取り掛からせて貰うわ」

自己紹介、及び自分に課せられた使命みたいなのを語り切れたようで、彼女は再び鉾槍(ハルバード)を構えた。

そんな彼女に魔女さんと幼女ちゃんは、(コイツ何を言っているのやら…)と戸惑いを隠せないようだった…無理は無い…。

何言っているかに関しては俺も禿同だ、激しさは魔理沙の言う通り無いのだが。

「そして、(ひの)(づき)さくら…向こう世界出身の貴方が何故ここに居るのかは知らないけど、ここに呼んで隔離の異世界の存在を知らせてくれた感謝と、その計り知れない思考と能力に対する畏怖を込めて…貴方も駆除対象にしてあげるわ」

 俺がお前を呼んだ? とは聞かずに…

「んぁ? 俺を知っているのか?」

「当然よ。何せ向こうの世界では貴方、大犯罪者として有名だもの。まあ大犯罪者ってのは、粗一年前の名誉だったのだけれどね。良かったわね、その鞄を背負っていても周囲からはただ不安の目で見られるだけの存在になって」

「犯罪者だったのかーヒツキ様?」

「向こうの世界の昔の法律(ルール)って奴でなぁ、今は無くなったが。取り敢えず『るみゃ』、どっかに闇でも覆って隠れておけ。合図してまた呼ぶから」

「解ったのかー」

素直に聞き入れ浮遊してから、闇を張った。

半径50センチくらいに……意味ねぇ……

「話し戻して、この武器を持っていると周りから恐れられるってのは、別にそれで構わない。と言うか構うな。武器について知る者は恐怖、知らない者は幸福を、の天秤で出来ているからな…用途も兼ね揃えて」

「それって損得どちらに当たるのかしら?」

「それもまた天秤だな。…とは言う手前、どうでも良いのだが」

「あらそう…噂通りの無関心さね。貴方の始末は後にして、今はこの世界の“幻”を、お茶の時間を潰されたしらみ潰しに、と、切って行くしかないわね」

 冷静さを欠かさずいきり立った瞬間、鉾先は闇も何もない、丸腰の魔理沙に向けられた。


ブォンンンンンン…………!!!!


 突風を吹かした鉾槍(ハルバード)を間一髪、全てが消えそうな一線突きを紙一重の距離、右手のみで受け止めて勢いを殺した。

「あら? 何しているのかしら? 否定しながらもやっぱりココで出来た彼女さんは心配?」

「そんなんじゃねぇよ、ていうか有り得ない。有り得ないが、これからこの魔女さんには俺の餓死問題を打破させる為に、美味しいキノコ料理とキノコティーを作って貰うんだからな」

 味覚はシャットアップホーリースィッ。

「魔女にキノコで料理を振舞って貰うのは、何か危うくない?」

「危うくないさ。この魔女さんは見た目よりやさ…良い奴だからな。でも魔女か…確かに危うい事には一理あるな……」

三事ほど言いたげそうに顔を歪めるる魔理沙。

だがやはり現状理解にまだ四苦八苦…喋りたくても口が回らないご様子だった。

「ほら、あんまり独り言に更けって居ると、この〈燕雀の(スワロー・)鉾槍(ハルバード)〉でその口、串刺しにするわよ」

韻踏んだ?

「あれ? ピクリとも動かない……何で?」

彼女は鉾槍(ハルバード)を引いて後退しようとしたが、武器は文字通り俺の右手からピクリとも動く気配を見せなかった。

「無駄だ空想女。俺の右手は掴んだモノの力を削減する〈施無畏(せむい)の右手〉だ」

左が有れば右が有り、増幅が有れば削減が有る……対が有ってこそ世界は成り立つ。

なんてオーバーな決め口叩く(それがし)では有らぬ。

取り敢えず何か(ちから)を与える“()(がん)の左手”に対し、右手は『恐れなくてよい』と言う意味を込めて構える印相は、[施無畏印]。

それを何か(ちから)を〈吸収〉する〈設定〉でアレンジした、これまた漫画みたいな能力。

「この二つの能力を併せて〈施無畏(せむい)()願印(がんいん)()(そのまんま)”」

「へえ、凄いわね。主にネーセンが。でも私の“空想の想”に掛かればそんな似非もの……」

 何やら力を籠める……いや、力を抜いている……思想家とは仕組みが良く解んないのだが、想いの強さで日々の鍛錬が現れるとか…そんな原動力なのだろうか…? 彼女の場合は心を無にして解き放つとか…? 丸でお坊さんみたいですね……女人の坊さんは尼さんと申したかな?

「ああ、もう煩いわね。一瞬のことだけど、何か邪念が混じり込んで、この男の施無畏だか神居だか知らないけど、その手から剥がれさすことが出来ないわ。きっとこの森の瘴気の所為ね」

「なあ空想女。思想家って何だ?」

「何よ、急に…それに私の名前は“空雛”って言うのよ。ちゃんと名前で呼びなさい陽月さくら」

名前なのそれ? ファーストネームとかじゃないの? お前の俺に対するフルネーム呼びは? そんなことお構いなく、空雛は思想家について語る。

「思想家とは、一般的には様々な思想・考えに関する問題を研究し、学び、考察し、熟考し、あるいは問うて答えるために、自分の知性を使おうと試みる人のことを指すけど」

「ウィキったみたいな説明だな」

「黙って聞きなさい」

あい。

「あ、黙った…」

「黙ったのかー」

魔理沙は小声で何とか、ルーミアも闇の中で何とか喋った。

「魔法露場の…日本の一部での特別な言い方としては、世界の均衡を保つべく創られた秘匿の機関。一般人は勿論、政府でも、況してや人ならざる者も噂以外では実態を知れることは無い、謎に満ちた、想い司る、家族(ファミリー)のような集い」

…あい。

(おもい)により使命は分けられ、私は〈空想〉の〈想〉を維持する思想家。(くう)とは即ち現実。幻が漂うだけの世界では何れ終末を迎えるわ、だから正すのよ……幻想と現実の区別を付ける為にね」

…あい。

「そしてここは幻に満ち過ぎた想の土地…これは規律(ルール)を破り過ぎている……言わば大罪…消す外無いのよ」

 …あい。

「どう? 事の重大さが解った様で声も出ないかしら? 陽月さくら…案外利口で小心者なのね…元大犯罪者として奉られた者達ってのは」

「いやお前が黙って聞けって言うから黙っていたんだが」

  あいあい頷いていた俺は、ここぞとばかりに口を開いた。

 黙り込むことに慣れ掛けていた金髪二人は黙秘を開放したいようで、クスクス笑っていた。

「それより秘匿の組織をそんな悠長に語って大丈夫か?」

「だ、大丈夫よ……なにせワタ、私が今ここでけシュのだから…しょうきょいんみゃつにゃぁ…」

そんな彼女は気恥ずかしくて、顔を下向きにした後、動作を荒っぽくしてムキになり、武器を手元に戻したかったが、やはり〈空想の想〉とやらを以てしても、離せる様子は見られなかった…。

「ええ、そうよっ。口が軽いのも、今もなお武器を取り戻せないのも私の落ち度っ、未熟者がゆえの失態よっ、バカっ」

逆切れされた…ビンタしちゃろか?

「『いやお前が黙って聞けって言うから黙っていたんだが…』 …なら、一生黙っていれば良かったのよっ、この揚げ足取りっ」

 何今の? 俺の物真似? …スンゲェ上手いじゃん。

うぇい、ウマイウマイ。

「見てなさい、と言うか、聞いてなさい。私は今から精神攻撃で貴方の心を掻き乱し、その隙に武器を取って貴方の空っぽの心を貫いて見せるわっ」

「空っぽの心て。序でに『精神攻撃食らわす』って宣誓までして。望み薄そうだな」

「ふん、無関心さが特徴の貴方でも、これまでの対話の中で貴方が即座に反応する台詞を、私は知ったわ」

「“無関心”じゃなくて“無情”だカチューシュシュ……ん? 同じか?」

「何だっていいわよ。こうやって会話が成立しているなら、自分は無情だとか無関心だとか、想い込みに過ぎないっ」

何…だと……………………………………………………あ、っそう。

「さあ、行くわよっ、陽月さくらっ。…ゴホン、スーッ…」

来いよほら、はよ……バンバン。

「貴方さっきマリサさんに、キノコ料理をご馳走して貰うって言ったわね」

「はい」

「そう…それは失礼千万だったわね。やはり恋人関係じゃなくて、夫婦関係だったのねっ」

………。


バキンッ!


「「「………………………………」」」

 「どうなったのかー?」

鉾槍(ハルバード)の刃が折れた音はその場を響かせ毎度恒例の、劇場版『不協和音~行き場の消失~“魔法の森”編』(『るみゃ』のはノーカン)がそこで繰り広げられ…

「きゃああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!」

鉾槍(ハルバード)の持ち主であり、精神攻撃ナンチャラコンチャラ仕掛けた空想女が、冷静さを欠いて真っ先に悲鳴を上げた(るみゃはノーカン)。

その因果は右手、反射的にも鉾槍(ハルバード)の“質力”を奪ったようで。

刃は赤子の手でも捻れるくらい脆くなり、砕け散るザマを見せた。

「あ…アナタ、何て事してくれたの! 弁償しなさいよ弁償! これ特注よ! 高いのよ! アナタの持つその文房器で直しなさいよ!」

 と、恐らく冷静さこそが操り司る元素だと想われる“空想の想”の“空”は何処に行ったのやらと…ヒステリック状態。

巫女さんの賽銭箱を壊した時みたく『解った。』と素直に直そうかと思ったが、いや今回においてはコイツが悪い訳だし…自業自得だよね? と気が紛れたので、少しばかりの意地悪を働こうかと思った……珍しく、働く。

「えぇ~…弁償っスかぁ~? どうしよっかなぁ~? 本人が全く直して欲しいって態度じゃないしなぁ~…チラ?」

「クッ……私の鉾槍(ハルバード)を直してください…(ボソッ)」

「はぁ~いぃ~? キーコーエーマーセーーーーン。無情人間にも解るように誠心誠意真心込めて全身全霊を以て全力の大きな声で頼んで下さぁーーーー…………」

「私の鉾槍(ハルバード)を直して下さい! お願いします!! ヒツキ様ぁ!!!」

ヒツキ様で頼めとは言って居ないんだけどなー…

「良いですけどぉ~…? まーた襲い掛かって来るんじゃないですかぁ~…? 無情ながら困るよなぁ~…折角自業自得を擦り付けた事伏せて置きーの直して遣るって言うのに、恩を仇で返すって…。思想家って温情知らないクズの連中ばかりなんですかねぇ~…?」

「思想家の皆は良い人たちばかりですっ! お願いですっ!! 何でもしますから直してくださいっ!!!!」

えぇ~…乗って遣るべきなの? このくだり……何でもしますから……空想女は心も含めて、既に半泣き状態での懇願だった。

「ん? 今『何でもします』って言ったね?」

「はいっ!! 奴隷でも鬼畜プレイでも、その域で何でもお申し付けくださいっ!!!!」

やめて俺がそれ趣味に持ってるみたいじゃん。

あの鉾槍(ハルバード)に愛着有ったのは理解出来たからさ~…ほらもう、今の今まで珍紛漢紛だった魔女さんなんか、この部分だけ理解して軽く退いているじゃないですか…………るみゃは少し闇から顔を出して何か………おい、何だその顔は……止めなさい。

本気で止めなさいその顔危うい奴だから……ねぇ? そしてお前ら二人…その視線は俺に向けているの?? ねぇ????

「ほらよ」

 取り敢えず、直した。

「ワアアアアァァァァ…………(歓喜)」

「えい(ポキッ)」

「ガァ~…ンッ!!!!(絶望)」

そして折った。

こいつババ抜きとかポーカーフェイス系のゲーム弱そうだな。

空想の思想家の癖に…

「『何でもする』の内容は『鉾槍(ハルバード)は直すけどまた折るからその折れた鉾槍(ハルバード)で我慢しやがれ』…だ」

「お、おいおいヒツキ…流石に彼女、可哀想だぜ…」

「あの~ヒツキ様ー? もういいかー?」

やっとこさ喋るタイミングを窺った魔理沙は、頬を膨らませてこちらを睨み付け、今にも号泣しだしそうな、(まぶた)ウルウル襲撃者(からひな)さんの心配をした。

「応、るみゃ。解いて構わないぞ」

ルーミアに向けて言い放ち、会話相手を魔理沙に戻す。

「鬼畜プレイをご所望だった様だから、らしく承ったまでなのだが?」

「そうだとしてもさぁ…いや止むを得ずだけど。彼女にとってこの武器は大切な物なんだろ? 大切な物を失う気持ちは、凄く辛くて悲しいんだぜ?」

「ヒツキ様に私を本当は愛していないって言われた時みたいに」

「だから無情人間に感情論を持ち込んでも仕方が無いのだが……考え方としては一理有るな」

「一理じゃなくて全理だぜ」

全理になるかは知らんが、三度、混沌本にて鉾槍(ハルバード)を直し、領収書(・・・)もセットに返してあげた。

そして彼女、鉾槍(ハルバード)を瞬時にして手に取り、取っ手をでこに持って行き、

「ゴメンナサイワタシガマダマダミジュクナバカリニアナタヲテモトニモドセナカッタ、モドセズシテアナタノジマンノヤイバヲオッテシマウケッカニオチイッテシマッタワ、オヤトシテハズカシイワゴメンナサイモットツヨクナルカラキョウダケワユルシテゴメンナサンゴメンナサイゴメンナサイゴメンナサイ……」

鉾槍(ハルバード)を抱きながら何やら念仏を唱えた。

観葉植物に水やりをしながら話しかける一人暮らしの女性ってこんな感じなのだろうか……とは思えないほど、執念と憎悪と己に対する弱さへの反省…『ごめんなさい』の連呼………でも邪気を帯びた目でこちらを睨んでいる様に見えた時は、憎悪と怨恨に塗れたヒソヒソのお喋りをしているように想えた……(さなが)(それがし)、恐れるに入らずとアイコンタクトで返す。

「覚えて置きなさい陽月さくら! 私が受けたこの屈辱はいつか返してあげるわ!」

 『いつか』ってのは……いつでもって事か…

「お前使命どうこう言っていた割には潔く引いてくれるのか……良い奴だな」

「な……何でそんな話になるのよ! そういうアンタは嫌な奴よ!! とにかく……覚えて置きなさいよね!」

敗者の捨て台詞を吐いて、走り去って行った……少女よ、どこを走る……出口解るのか? そして使命は?

「4秒で忘れるんだけど~? メルアド交換してくれたら覚えるかも~…」

「携帯持っていないわよっ!!!!」

遠くから、そう聞こえた……何とやらの遠吠えかな? 有ると言われたとしても、戻ってくる余地は無いだろう…電波も無いから、彼女が(ここ)を出るには半日掛かりそうだ…半人前なだけに…

「めるあどって何だ?」

 魔理沙が問いてきた。

 少し楽観的に過ごして来たが、隔離の世界って言うなら外界の技術やら進捗やら…教えて良い気がしないと察したので……

「伝達手段その参だよ」

幻想入りしただけあって、そう教えて置いた…


【弾幕】


「何にせよ、気紛れに命有って良かったな…魔理沙」

「魔理沙、良かったなー」

一件を落着させ、気も落着させた金髪k……魔理沙に皮肉ったらしく、今在る現状を語った。

そんな彼女…その皮肉に不満を抱いているご様子でして…

「べつに…お前の助けが無くても私は大丈夫だったぜ…」

お助けご無用と裏目が出る……俺の行動(きまぐれ)を“助け”と呼ぶのか?

「大丈夫? 髪の毛一本紙一枚入るか入らないか位の寸法だったじゃないか?」

「あの寸法でも、わ…私は私でちゃんと白刃取りをするつもりだったんだからな!」

 魔女は手を合わせる……魔女なのに、経を唱えるみたいだ。

「縦に取るのか? 武器は横向きで刺してきたが…? これが本当の横取りってか? 泥棒魔女」

「泥棒じゃねー! 借りてるだけだ、永遠にな」

「永遠は時間が経つに連れ言い方は変わるだろうが?」

瞬間もまた、話題を変えた。

「兎に角……相手の話が謎過ぎたんだ、リドルだったんだ。謎の言語を使役して相手を翻弄させるってのもきっと、くーうーそーうーのしそうか? って奴の手口だったんだよ」

「確かに現実を見せると言うか、一本の木を消したことで触れたモノを消滅させる能力…」

何か俺と被ってなくね?

「それに加えあの鉾槍(ハルバード)と来て、彼女に対する仇名は『空間切断女』とでも称して置くべきか」

 凄く出世した感じの異名……

「その空間切断女の弁舌力においても、相手の心を空っぽにする手。手でも空っぽに出来たのだから、即ちは空想の思想家だなと」

「うん! そう! そう言う事だ!」

「情有る者はうんざりする様な言い訳だな」

「なっ…!」

あの未熟者(からひな)みたいに素直になれよ…自分もまだまだ未熟ですって…」

「なんだよ…お前だって心は未熟の癖に…」

「俺は良いんだよ……無情だし、熟すことも無ぇから」

「良くないだろ…」

「『未完成こそが完成』って、俺の辞書にある」

「辞書って、あの魔導書のことか?」

「それでも有る」

「何だその迷走は……兎に角な、私は百歩譲って未熟だとしても別段弱くは無い…そこは勘違いするなよな…」

「勘違いねぇ……だとしたら俺の様な“諸行無情の気紛れ異形金髪如き”に守られているってのは、さぞ強いのでしょうねぇ~…」

行くぞ“るみゃ”……まだまだキノコを採集しなきゃな…

 と吐き捨て作業に戻る。

「あ~…ヒツキ様?」

何かを心配して、“るみゃ”は俺を呼び止める。

振り向くと魔女の彼女は、溜めていた震えを爆発させた。

「あったま来た! ヒツキ!! お前に弾幕ごっこでの決闘を所望する! 強いって処を証明してやるぜ!!!!」

「弾幕ごっこぉ~? 俺が?」

空雛の時の性格(えんぎ)が継続しており、それが火種となった様で……

森の中での騒めきは、まだ納まりそうになかった。


……………つづく。


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