第参点伍話 愛に幻在る莫れ-Blonde Family-
ないすとぅーみーとぅー、ないすとぅーしーゆー。
さんくす、いっつみー、アイム、マッドハッター。
動画だったりイラストだったりコレだったりと、投稿する事に命を燃やす―――そんな事より腹減ったな(Twitter)。
そんな訳で急遽できた、参点伍話だよ、まぁ見て行ってよ。
【採集】
「これは?」
「食える」
「これは?」
「食えない」
「この“茸”と言う思想概念がゲシュタルト崩壊したような名状しがたい形状のこれは?」
「食えるし食えない」
「どっちだよ?」
「ヒツキ様ー、沢山集まったぞ~」
「おぉ、アリガトよ『るみゃ』。偉いぞ~」
「人間の子供みたいな扱いするなー! 言われたまでの事をしただけなのだ! …でも撫でられるのは嫌いじゃないし、褒められるのも悪くないからもっとやって♡」
「はいよ、『るみゃ』はえらーい」
「えへへ~」
「仲良過ぎだな」
『るみゃ』と言う呼び名がばれた所為か、いつの間にか主従の会話関係から脱却していた。
「対等なんてモンじゃないぞ魔法使い。何せ私たちはふーふふぁんへーなのふぁはあ、おはふぁいいふおいふぃうなふぇ(夫婦関係なのだから、お互いに強い絆で)…ガブッ!」
るみゃが手を噛んできた…ちょっとイタイ。
「ふぇれうをわわふぁうふぇお、ちょーどいいどふぉおうぇじゃわひあいでひふきはわ(照れるのは解るけど、丁度いいところで邪魔しないでヒツキ様))」
「スンマセン…」
「本当に仲が良いんだな…」
魔女、苦笑う。
とまあこんな感じに、人喰い妖怪幼女嫁が1人。
火力と名前呼ばれ主義の満ちた恋色白黒魔女が1人。
御伽の国の人間擬き、別名“異形金髪”が1匹…
の2人と1匹で茸採集を行っていた。
魔理沙のことを知人と言った“るみゃ”だが、魔理沙と別段仲が悪い訳でもなく、またそれ程話す訳でもなく、でも茸の分別は語りつつ、その中で会話は有ったりして共同作業……幻想郷の人と妖の関係ってのは、何と言うか…中和? と言った感じに仲の良さを現した。
『面白いって…必要か?』
穴が有ったら入りたい様な意味深な事を魔理沙に言って終ったが、本人は特に気にしていないようだな……こう言う処も、『幻想郷だから』ってのが有るのかな? 無情の妖怪が居るんだろうな、実際に。
「…ん? 何見てるんだ? ヒツキ?」
「んぁ…何て言うかお前ら、親子みたいだなって」
「えぇ~? 親子~? それはない。だって妖怪だぜ?」
言い出しっぺで何だが、俺もそれはないって想う。
何を咄嗟に言って終ったのか……
「だが“妖怪”を除けば、金髪お揃いの母と娘じゃないか?」
「無いってホント……なら何だ? 母親が人間の私として、父親が妖怪のヒツキとか?」
「俺妖怪じゃねーよ」
「ヒツキ様は私のお婿じゃないのかー?」
「え…妖怪じゃないの? …え? ムコ?」
ヒツキ様と娘は同時に言葉を発し、魔法使いの母は同時に来た真実に混乱した。
「ムコって…“何の罪も無い”って意味のムコじゃないよな?」
「ごめん解らん…」
「『無辜』と…こう書くのだ」
流石インテリ妖怪。
なでなでと行わんばかりに、『るみゃ』は棒で地面に漢字を書いて教えてくれた。
「ぉ~これで無罪のムコ。そうであったら良いのにね」
「『あったら良いのに』ってことはヒツキ、幼い子に手を掛ける趣味が……だから『妖怪を除けば…』とか言ったのか?」
おいどうした魔女さん大丈夫? 毒された?
「ウン。誤った解釈だよ? 略して誤解だよ?」
妖怪除けばで我輩はロリコン認定っすか先輩。
「じゃあ私は、ヒツキ様の嫁じゃないのかー?」
潤んだ目でコチラを見つめる。
何かもうややこしい……茸採集が始まって間もないが、偽りの関係はもう潮時なのかもしれないな…嘘とは何ればれるモノ…ぶっちゃけようか…。
「“るみゃ”は俺の嫁だよ。だからと言って“幼い娘がスキ”って訳では無い事…“るみゃ”にも魔理沙にも解ってほしい。寧ろ俺には……“愛情”が解らない…“面白い”って感情も……」
闇を背中から乗せられるように、るみゃの表情は不安掛かっていて、次にはもう崩れそうだった。
「建て前を言えても、意味の解説が出来ても、心理となると、俺には理解出来ない…解らないんだ…俺自身には感情が――――」
「私の事が好きじゃないのかー?」
この馬鹿げ…耳に残る口癖には、途轍もない寂しさが響いてきたが、心までには響かず。
るみゃの寂しさと彼女に対する偽愛情には、黙り沈むしかなかった。
「そっか……そーなのかー……ヒツキ様は私の事は好きじゃないのに『好き』と言ってくれたのかー…」
冷たく、彼女の絶望に満ちた言葉に対し、心無き者には罪悪は芽生えなかった。
覚悟さえも無かったが、喰われることは凡そ解っていた。
この現実を受け止めずに、もうこれでくだらない現実とはおさらばだ…………
「でも……私は…その……好きだぞ!」
「…………何? 何て言った?」
「な、何度も言わせるな! 好きと言ったのだ! 好きと…」
「いや待てそれは解る……何故だ? 両想いのラブラブ夫婦仲で絶賛婚活だったことは嘘偽り……俺が只のその場凌ぎにお前の心を掻き乱して愛情度を上げただけだぞ? 凌ぎとは言えそんなサイコパス野郎の行為は許される行為じゃないだろ? と言うか許すな。妖怪のお前なら喰らい殺して地獄で懺悔のザマアミロを醸すだろ?」
「ヒツキ様…ごめんちょっと何言ってるか分からない」
ワット? ワット・イズ・エレクトリック・パワー?
「私はヒツキ様が妖術的何かで操っていても、悪い気はしないと言っただろ?」
言った? 言ったっけ? 言ったなぁ…言った。言ったよ。
「言ったが、催眠効果みたいなもんだろ?」
「もしあの時は言霊だとか、催眠術だったとかでも、その場凌ぎで妖怪相手に『惚れた』と物言うのは、幻想郷中探してもヒツキ様くらいしか居ないよ。ヒツキ様、外界人だけど」
ああうん、外界人。
「……で、何なんだ?」
「え? えーっと、だからだな……そんな特殊にありふれた人間だったからこそ、妖術の好きでもきっとこの思いに間違いは無いって、言い聞かせれたのだー」
「……それで?」
「それで?! それでだなー…って、もう! 面倒くさい! 私はヒツキ様が好き! ヒツキ様が別に私のこと好きでなくても、天変地異か魔法とかでそこの魔女に惚れ込んでも、嘘、妖術、心理術でも喰らって終え! 兎に角私はヒツキ様が好きなのだ! わかったかー!」
これ以上聞き返しても仕方ないと思えた……彼女がバカだから? それもあるが、答えにならない答えとは妖怪だからこそなのか、人間には到底できないだろう……いや、このような単純細胞で構成された人間性を見た事が無いからだ…。
答えは意味不明だからこそ、意味不明を堂々と胸張って生けるその芯の強さ……やはり凄いな、幻想郷の人妖って…………。
想いは無想の如く、然しだが述べさせて頂くと
「完敗だなぁ、こりゃ」
眼の上に手を乗せて空を見上げる時ってのはきっとこんな気分なのだろうな……
無論、知る由は無いが。
「完敗かー、そーなのかー…」
何やら表情が一変して笑顔になった…笑顔? いやこれは…
「私はヒツキ様が好きだけど、でもヒツキ様は好きじゃない。最初こそ好きだと言ってくれたが、嘘だった……それは閻魔に罰せられる行為なのだー。だからだなーヒツキ様……」
「はい、うん…あれ?」
「腕一本…置いてけや」
「ちょっとルーミアちゃん満面の笑み浮かべて、ロリ声で噛まして、どこでそんな言葉覚えたのかなぁ……僕とのお飯事で、そんな極道みたいな会話有ったかしら?」
「ロリ声とは何なのかーヒツキ様。また何言っているか分からないよ?」
彼女の言い分は最もだ。
何言っているか分からない方ではなくて……彼女は俺を喰いたがっていた……俺は嘘をついたから贖罪(食材)を成す……俺は完敗だから言い逃れは出来ない。
実に合法的で、利害の一致と言うやつだなこれが。
『るみゃ』はぶっ飛んだキャラになったモンよ。
切。
鞄の中からカッターナイフの刃が付いた剣を取り出し、自分の右腕を切り落とした。
現実味の無い様な事に、血は多量で出血していない…
「ほ、本当に置いて来るとは思わなかった。でも流石はヒツキ様だ! 優しいのだ!」
そして“るみゃ”は腕を掴み取る。
俺は返事に、
「人の言葉を素直に聞き入れただけだが?」
と捻くれる、悪い気はしない。
「わふぁひようふぁいえふへおえ(私妖怪ですけどね)」
「そうだったな…」
ビジュアル云々あるが、はみ出る事も、噛み尽くす音もなく、彼女は俺の腕を丸呑みにして食べた。
忘れそうだったが、現にお隣には人間の様な魔女様がご観覧中なのだから、自身の生態が喰われる音を聞かずに済んで、まぁ良かったんじゃないか? と想われる思考だった。
「ご馳走様なのかー?」
「自信持ってお粗末サマになれよ」
「処でヒツキ様は、私が幼体系だからダンナサマと呼ばれるのを拒否したのかー?」
「いやそうだろ? 幼女体型妖怪…略して幼怪に旦那様なんて呼ばれて周囲はどんな目で見て来るよ?」
「見てくれを気にする人だとは思わなかったが……仲睦まじいご夫婦、若しくは隷属関係と思われるだろうね」
「思われねーよ、思うなよ」
「でも、若し、そう見られて、ヒツキ様が私を妻か、奴隷かと認めざるを得なくなった暁には、改めて旦那様と呼ばせて貰うのかー」
ああもうどうしてこうなった……こんな結末あると思うか? 破綻する筈べき展開は、ただ単に愛の再確認をしただけじゃないか……そう言ったオチには毎回こう言うものだ……
「またマチガエタか…」
天才の、類稀なる[無邪気な邪念さ(ばか)]加減からも、そう言う他、無かった様だ。
【魔女】
さて、その場で茸が生えて生命を吸い尽くされそうな棒立ち魔女さんを…無情ながら生き返らせてやるか……
「悪かったな突然。リアリティもつぎ込んだ臭いメロドラマ基、四文芝居を披露して終ってよ…」
「メロドラマ謎。芝居に一文増えても酷いぞヒツキ様ー」
棒読みで喚く“るみゃ”を無視して、片や魔理沙はハッとして我に返り……
「え……あ…! いや、大丈夫だ! えっと…終わったんだな! そうかそうか!」
「どうしたのかー魔理沙? 茸でも生えて死んだのかー?」
同じような思考を……
「死人は喋らねーよ」
と、魔理沙、即ツッコミ。
そして即、質疑。
「ところでお前らって結局夫婦関係なのか?」
「言ったろ。俺は無情だって」
「「言ってない」」
言ってない? え、でも心が無いって…ああやっぱいいです。
「私はヒツキ様の妻の積もりだったけどヒツキ様が積もりじゃ無いし、幼体の妻について人目を気にしているみたいだから…私はヒツキ様の娘ってことで」
それでいいのか? 元マイワイフ……
「…一応聞くが母親は?」
「魔理沙で」
「『で』じゃねーよ。有り合わせ過ぎるだろ」
有りあわせも何も、この森にはこの三人しかいないからな。
数合わせのお飯事には持って来い。
「でもなー魔理沙。ヒツキ様は自分の為に嘘こそ付けど、ちゃんと反省はするし、強い人間だと思うのだー。それに優しい。いい夫になると思う」
「妖術的何かで操ったとか言わなかった?」
「悪くは無いぞ…序でに撫でられるのも♡」
洗脳しきられているじゃんか……遣ったの俺だけど。
「ジーーーーー……」
ヤメロヤダカラソンナメデオレヲミルナヤ……オレガミテヤロウカ? それで何が生まれる…? 陽月さくらよ…
「うん……まぁ、大丈夫なのか!」
どこをどうして何を大丈夫と腕広げて言い切った? お前の目は腐っているのかー?
「ところでヒツキ。止むを得ずこの娘に右腕を喰わせてあげたが……これからの生活に不便じゃないか?」
「取り返し付かない後の祭りみたいな質問だな……だが心配ご無用」
言った傍から右腕は元に戻っていた。
「え……何でだ? 生えている……?」
「悪いキノコでも食ったのかーヒツキ様?」
どうして腕の再生が、悪いキノコを食した事となるのか?
「腕を斬った時も血は出なかったよなぁ…?」
「今度はどんな妖術を?」
「待て待て、質問攻めして来るな。聖徳太子でも、十人分の意見を一斉に聞けたとしても、一人ずつにしか話せないだろ?」
「そーだな」
「そーなのかー」
「そーだろ?」
ちくわ大明神。
誰だ今の…。
やれやれ、この母子有ってこの夫有りか……夫じゃねぇし妻でも娘でもねぇよ戯けが……。
「じゃあ最初に質問した…『…え…何でだ? 生えている……?』から…」
関西人が如何にも使いそうなボケを醸し出してきた。
「うん、生えているね」
まぁ普通に返す一応の関東人。
質問と返答の連鎖は続く。
「悪いキノコでも食ったのかーヒツキ様?」
「食べてません」
「腕を斬った時も血は出なかったよなぁ…ヒツキ様?」
「ハイ、不思議ですねぇ~…」
「今度はどんな妖術を…ヒツキ様?」
「妖術ではないが…強いて言うならこの武器だな」
「武器……ヒツキ様の強さの糧ですね。それは…ヒツキ様?」
「質問を質問で返すが…どこまで聞きたい? 後これは提案だが『ヒツキ様』連呼やめぃ」
「質問の質問にお答えして、名前と用途から…ヒ」
ヤ・メ・ロ…と、不動の眼差し。
「はい…」
「名前は“一切刀〈カッターブレード〉”、用途は、この世全てに存在する森羅万象を、紙のようにして切ること」
「おっかねーな……紙のようにして切る、ってのは、言葉通りか?」
「そうだ、この剣に切られた対象はその瞬間から紙になる。だが命あるモノが紙になるのではなく、切り口を始め、命より離され切断されたモノが紙となる。詰まり俺の腕から血が出なかったのは…」
「切り口から紙になっているから血が出なかった……ってところか?」
なぁぜここで出しゃばってきた? とは言わない。
「そうだ……鋭い勘を持ってやがる。賢いな、魔理沙」
「褒めても何も出ねぇぞ、ヒツキ様」
しかしは嬉しそうに笑う表情は出す魔女さん。
「そりゃあ今武器の解説中に、何か出されてもだがな」
「おいそれで何でヒツキが手を出す?」
「ん?」
気が付けば左腕が出ていた。
「……ああ、回答者には『頭ナーデナデ』を贈呈する、『るみゃ』の時の癖が反射で出てしまってな」
『膝に弾丸を食らってしまってな…』みたいな言い訳だな。
「ヒツキ様に撫でられるのは心地良いぞ、魔理沙。一度試したらどうだ?」
「無情何某さんに寄る、そのナーデナデは要らないぞ? 私は…」
「済まない」
謝罪は取っておくが、何だ? 無情何某さんって……
「……でも、ヒツキに撫でられるのって、そんなに気持ち良いのか?」
唇を口の中に閉じ込めたくなるような沈黙が漂った…
「…………あ~えー…っと、それは遠回しに撫でろって事で?」
「おお、うん……ちょっと…撫でてくれないか?」
「わは~…」
口を手で伏せてマジマジとルーミアが見守る中、モジモジする魔理沙の頭に手を伸ばす……
スリ、スリ、スリ…
「…………帽子の鍔を撫でるなよ…」
「『頭を撫でる』とは、誰も言ってない」
「そうだけどさ! 気恥ずかしいからそこは帽子取って撫でてくれよ!」
「ヒツキ様、それは無いよ。『頭ナーデナデ』と、言わなかったかー?」
「それは〈撫でる〉と言う意味合いでの動詞ではない」
「捻くれたことを…」
「誰が何と言おうと、ヒツキ様は撫でました。そして、ナデナデ権はここで使い果たして終いました。これから再開する質問返答コーナーチキチキ予想早押し回答クイズにて、ナデナデ権を取得できる様、頑張ってくださーい」
「ぐぬぬ…」
何を悔しがっている魔女さん……頭を撫でてくれなかったことがそんなに悔やまれることだとしても俺のは止めて置け……何か増えるし、多分次にナデナデ権をあげる保証なんて無ぇから……おめぇの席n(以下略
「じゃあ、新しい質問な。何で腕が生えたんだ?」
核になる話を質問してきた…当然だが、言わなきゃダメかな? また自分の“設定”云々話してしまうのではないか? そうなったら馬鹿馬鹿しくてしょうがないんだよなぁ……何てナーバスな事を考えると思った? 残念、無情でした。
して、例の本の話題に入る。
「この“統一する聖なる魔導書<コスモス・ホーリー・グリモワール>”…通称『混沌本』にお願いを記入する事によって再生した」
「グリモワール? 魔導書なのかその本?」
専門職だけにか、魔理沙はすごく興味を示した。
「残念ながら……これは付喪神だ」
「付喪神なのかー?」
「ああ、西洋の売れなかった作家・画家たちの怨念、または執念……それらは全てこの文房具に移り、何百年の時を経て、外界の現代に武器の形をして君臨した」
「「おぉ~…」」
何その意気投合…ホントに親子じゃないの?
「それらは物通り文房具と言う道具の用途から編み出され、全てを創り描くために生まれたその武器の名は……“文房器”」
自分で解説していてなんだが……微妙な名前……。
「「うおおおぉぉぉぉ………すげぇなああああ!!!!」」
え? 何が凄いの? 物凄く目がキラキラしている……見た目通りの好奇心旺盛な活発系少女みたいだ…
「なあなあ、ヒツキ。それって私でも使うことは可能か!?」
「物さえ揃えば誰でも…」
「貸してくれ! その本!!」
「専用の筆が無ければ書けないぞ」
「じゃあそれも貸してくれ!」
「答えくらい解るだろ? 『ヤダ』」
「イーじゃねーか! 無情なんだろ? 貸してくれよ」
無情であることは認めるが…ていうか何でいつの間に感覚でその“設定”に乗っかっているんだよ……そして何を思って『無情だから貸してくれる』という考えに至ったか……喧嘩売ってんのか? ってなるヤツだよ、しないけど。
まぁ取り敢えず、そんな偏見から少し意地悪い事言ってやろう。
「どうせその『貸して』の語尾には(永遠に)とか、隠れてるんじゃねぇのか?」
「何でそれを…あ…」
図星かこのシロクロ…『何でも本』に対して貸借で済むようなモノじゃ有るまい……とは思ったが、永遠で借りる予定だったとは……魔女だな。
「ずるいぞ、魔理沙。私もそれに書いて欲しいことが有るのだから」
「〈ヒツキ様が私を愛してくれる〉なんて書かないぞ」
「え~…何でだ~?」
「当然だ。まず“無情人間”に“愛”が生まれるとか打っ飛び不条理にも程が有る……それに文脈をしっかり抑えないと最大限で効果が発揮されてしまう……愛なんて正に不条理の根源だよ。書いた瞬間どうなる事やら」
「どうなっても構わない!」
「止めなさい、意味深な……。悪いがこの本は俺にとって“命”でもある…言葉通りな。俺に関することは俺自身が決めるし、そして魔理沙…お前は他人の命を永遠に借りていくのか? って事になるぞ。俺の命は俺自身どうでも良いが、責任取れるのかって事は重大だぞ?」
「解ったよ…」
「解ったのかー…」
「解れば宜しいでしょう」
俺自身も持つに値しない癖して何を偉そうに……
「じゃあヒツキに任せて、その本使ってネクロノミコン出してくれ!」
「解らん。何だそれは…」
「ネ・ク・ロ・ノ・ミ・コ・ン…こうやって書くのだー」
どこかのお嬢ちゃんみたく、そこらの木に放置していた箒の竹部分をを使って書き表した……なんかバカみたい。
「片仮名表記しても解らん」
「魔導書だよ。複製してくれ!」
「罪に問われるわ」
「知り合いに持ってる奴が居るんだけど、そこから私の手元へ転送してく」
「だから罪に問われるっつーの」
「借りてくだけだっつーの。無辜だっつーの」
「つーの♪ つーの♪ なのかー♪」
『つーの』と時々『なのかー』で、マーチが生まれる盛り上がる金髪御一行。
…深さは使用以前より十分の罪也、其の付喪神…
パキッ!
木の棒が踏み折られる音、三人の金髪を音のした方へと振り向かせた。
その場には、空の色を髪に彩らせた、青いカチューシャと白掛かった水色のシュシュを付けたポニーテールの少女が姿を現した。
結構体力要るねぇコレほんとー。
Wordで編集するも此処にコピペすれば、ルビがあれやこれやですっちゃかめっちゃかのはらほれひれはれあやふやうぇいうぇい、此処でも編ませるか? だから偶にしか投稿しないんです。
現状壱拾参話までストックは有るのです。
夜に打つと結構進みます、物凄く眠いです(なう)。