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幻想の現実≠東方空界霊  作者: 幻将 彼
最終章
58/62

第肆拾伍話 水面、月雫。

【結末】


 ……何だろう、眩しいな。其れに騒がしい。

 暗闇の中で、光が差し込む。又眠ってしまったが、その後如何なったか。里人に磔にされて、火刑にでも処されるんだろうかね。相も変わらず罵詈雑言、非難浴びせられの真っ最中。眩しい上に二重で熱いからな。

 之゛也尓奴多゛流久は唯一レベルの歴史漫画を読み耽った人物だから好きだな。まぁだからと言って彼女と同じ命運を辿るのもって想うけど、いや、仕方ないか。光栄か寧ろ何なら。いやしかし地味に涼しい?

 一会は無事だろうか。彼奴も擁護ムーブをした事で巻添えを食らって縛られてないだろうか。

「―――ンッ」

 縛ろうが縛られて居まいが、俺自身が、眠る前に何だかとても恥ずい体験をした様な……。

「―――ねぇ、起きそうよ。もう良いかしら?」

「ダメだっての! 少なくとも此奴と話して感想を聞いて満足するまでだよ!」

「~っ、解ったわよぉ~…」

 ひそひそと、何かを話す声が聞こえる。とても聞き慣れた声だ。

 ゆっくりと目を開ける。金縛りで無くて良かったよ。

「あっ、起きた」

 矢っ張り霧雨魔理沙と博麗霊夢の二人だ。

 見る矢先に彼女たちの顔が間近の逆さまで見える。

「……でぇ~…、如何言った状況だ?」

「私と霊夢の半分で、膝枕ってのを堪能している状況だ」

「ほぉ~…、実に主観的客観解説だ。重ねて問おう。何故で?」

「まぁ、曲がりなりにもアンタは幻想郷を救ってくれた英雄で恩人だからね。起きたし話したし堪能したしもう良いわよね?」

「お前っ、肝心な点が抜けてるし、自分勝手過ぎだろうが……」

 霊夢、無言で顔を膨らませ睨む。

「そんな顔してもダメだ」

「博麗にとってお邪魔なら霧雨側に移るぞ?」

「ソレはダメ」

「本当に勝手過ぎだな」

「同意見だな。とまぁ肝心を訪ねるが。如何だ、美少女二人に膝枕してもらった感想は? 英雄さんよ」

 両サイドに団扇で扇がれ、自分で言うか画賛は事実である美少女二人の美脚天肌を後頭部で体感してるその状態は正に―――……と褒めるべきなのか貶すべきなのか、この状態分際でお茶を濁すべきなのか、普通とか言うべきなのか。何だか試されてるよな。いや、試す以前にどう転んだって結末同じじゃね? 玉砕の結末。

「―――大好き」

「そ、そんなにききき気に入っても貰えたのか。よかよよかったじぇ」

「そ、そこまでで言うんなら云時間やった甲斐が有るワ有るわね」

 絞り出して得た答えで―――具体は出せんが、何か此奴らチョロすぎん?

 暫くして、魔理沙が口を開く。

「……まぁホントは、自己都合入り混じった、罪滅ぼしみたいなモンだけどな」

「んぁ?」

 続けて、霊夢が説明する。

「昼空色の総髪女に言われたのよ。私たちがアンタを傷付ける事を言ったって」


 ◇◇

『―――私は彼奴の友達で居る積りだし、アンタたちの事が大嫌いだから言わして貰うけど、アンタたちが洗脳された中、彼奴が打ち拉がれる程のとんでもない事言ったと想うわよ』


◇◇


 友達だよ有難う。

 そして何だそのツンデレは。



「……あぁ~、アレは―――「能力の所為だって言いたいんでしょ? でも言って傷付けたのは事実。朧気だけど、言った気がするのよ……妖怪目付で退治すれば―――って」

「…………」

 図星事、俺は黙る。

「アンタ、生物としての在り方に拘るタイプだし、今回の騒動を自分の所為にしてるみたいだから、二事言わせて貰うけど―――「良いよ、そう言う湿っぽいの。俺は俺で考えてるし、お前らがその気持ちを持ってくれるだけで充分だよ」

 多分、『アンタはちゃんと人間だし、別にアンタが幻想郷に来た事を原因に疎んでなんかいないわよ』とか言いたかったんだろう。

「~ッ…」

 腑に落ち無さそうだな。ま、俺なりの仕返しって所かな。言いたい様には言わせません。

「助けなくて良かったって気持ちか?」

 魔理沙の捻くれに、俺は黙って霊夢の膝へシフトする。

「矢っ張霊夢が一番やナ゛ッ…」

「退きなさいよ」

 霊夢が振袖に包まれた手刀を繰り出す。

 巫女と言う神属性は厄介なものだ。

『ヌシ様、おまけに真なのですから、下名も普通に痛いです。彼女を、生きるのも辛い程見女麗しい蝶だ亀裂だらけの荒み切った土地に咲く可憐な花だと想って接してください』

 いや、そんな大袈裟に表現せずとも普通に褒めたが…?

 腿は後頭の限り体感したが。

「ちょ、ちょっと”おチョコ”……」

「おいおい”おチョコ”。その前に主人の主人から鞍替えしてんじゃねぇぞって注意しろよ」

 俺はこの瞬間、然して脳内は電光石火の思考回路(嗚呼女は矢っ張距離仲良くなるのが速いやオイ待てチョコに「お」が付くって何やでもまぁコイツら酒を飲むからお猪口ぐらい幻想郷有るわな流れ着いてるわなだけどレイトでも良い気がするんだよな別に和名だし元は確かに外来品名を捩って出来てる不良の夜露死苦当て字みたいなノリだけであるならチョコと呼ぶのは和国にとっての外来品且つ幻想郷の外来品にも存在するなら或いは此奴が教えたのならばチョコに「お」がつくこのニックネームから導き出される結論は……)を巡らせ、衝撃の事実に辿り着き振袖を捲る。

「―――お前女だったの?」

「あら、知らなかったの?」

 霊夢は手を退け、振袖を払う。

「一緒に座って話してたけどさ。コイツ、超かわいかったぞ」

『魔理沙殿、そのようなお戯れはご容赦願いますれば……』

 髪の毛に可愛い?まぁ女なら可愛さ色々得点していku「…え?擬人化も出来るの?」

 二つ初耳が来た。

「お前、脚に掛かる程長い付き合いだってのに全く知らないんだな」

 髪の長さはデフォルトである。野菜人が或る程度伸びたら固定された髪型で止まるのと同じ原理。

「まぁ、心臓とシタイが護られて居ればの良く有る主従関係だからな。話す事なんざ敵と遭遇して祓い終って少しだけな分、改めて、いや、その何か……ごめんな、色々気を使わせて」

『いえ、下名は神の座に君臨する者ですので……ヌシ様の体を浴室で眺めるなんぞ。まぁ抑々肢体を加護する髪の毛ですのでお気に召される事は何も……』

「「「―――眺めてたの?」」」

 三度、加えて二人、気付く。

「―――あっイエ……」

 おまけに「肢体を加護」と言う物言い、丸で接触して居るかの様な素振り。

 何て言うか、髪の毛が体感と言うのも、男女となれば卑猥にも聞き取れよう。

『そ、その様な冗談猥談も宜しいですが、今は別の事に花を咲かせますればっ! 無礼講の席では御座いますが! 御座いますがっ!』

「必死だな」

「ヌシ様こそ、無礼講故何時迄も美少女二人のお膝元に控えていらっしゃるのではないかとそろそろ言及致しますがそれは?」

「実際必死だったし、今は一人便りだし」

「いい加減そろそろ退いてくれない?」

 霊夢は痺れを切らす。というか多分脚が痺れてる。ワロタ。

「その割には自分で退かすとかしないのな」

「色々と悪いと思ってるから手を出してないだけなんですけど!」

 色々、ね。

「そうだな。一会の安否が気になるし、お前等だけの顔面景色にも飽きたしな」

 腹筋伝いで起き上がる。

 先ず胴に問題なし、と。

「おっ、満腹か?」

「だったら寝続けてるっての。それに宴席なら喰らう物はちゃんと―――」



【宴会】


 その光景は、賑やかと言うなら簡単、酒池肉林と言えても、語弊回避として華も添えられているのだから、将又、夜であり、眩い灯火の正体は提灯に灯された光で在り、そして祭囃子を彩る音勢と、どんちゃん騒ぎで生気満ち溢れた歓声。

 遠くなるこの一瞬の様な、されど永遠の様に確かに在る出来事は正に―――

「フッ―――満腹モンだな」

 嬉々とした幻想郷の妖怪少女多数が集って行われている、博麗神社の宴会。

 抑、俺を歓迎だの何だのみたいなものか、それか只単に酒を飲む理由が欲しかったのか。

 何にせよ今日の酒と肴の味は、勝者と生者にしか得られない、格別な美。

 何も食してないが、傷だらけでも彼女達が笑って過ごせて居るなら、其れで充分だ。

 ……自分で思って見たが、本当に視界内女しか居ないこの神社……しかも大半は妖怪。要所要所、翼だとか除けば、容姿端麗、人と似ても似つかない美少女尽くしだ。

「おっ、我等が英雄が起き上がったぞーっ!」

 境内中に響き渡る喚呼は、鬼神’星熊勇儀’から拡散される。

 彼女は実質俺の師匠みたいな御方だ。目覚めたと言わず起き上がったと言うのは既に意識を取り戻した事に気付いて居たって理由だ。そんな彼の御仁の助力、乃至は御仁在って、今が有ると言っても―――

「師匠! 本日の異変解決お見事でした! 御身体の方はもう大丈夫なんですか! 流石師匠!」

 ……と、その報知は号令の様に、第一に門派違いの弟子が―――

「ヒツキさん! 今回の異変功労者なんですね。神の思し召しです!」

 いや、同時レベルで早苗さんが駆け寄り、波が連なる第二声ではあったが―――

「全く、漬ける薬が無かったらどうするのよ。心配させるんじゃ―――って別に心配してないわよ!」

 さて此奴も居たのかと目を疑う具合に鈴仙がやって来て―――

「よく頑張ったわね。今回の活躍にお嬢様も鼻を高くしていらっしゃたわよ」

 意外にも遅れてやって来たような時間操作能力者の咲夜さんを最後に、私は声を出す。

「あっお早う御座います。元気してた?」

「お早う御座います! 勿論です! 不肖妖夢、幻想郷の異変を解決すべく、火炎を斬る力を修得しました故!」

「まぁ心配して頂くなんて。でも何て事は無いですよ? 私には3つのご神体がいらっしゃいますので、守屋神社含め、幻想郷を全焼なんてさせません!」

「元気って、私、月一の医学力を誇る医者の弟子よ? 先ず熱なんか出さないわよ」

「紅魔館のメイドたる者、主人に毎日ご奉仕出来ずして如何します?」

 やばい、聖徳テストが行われているけどちゃんと聞き取れている自分が居る。

 二分の一聖徳だわ、俺(?)。

「ところで師匠、私と幽々子様とで宴席を共にしませんか?」

 剣士’妖夢’、一番槍ならぬ、居合の一刀で誘いを申し込む。

 まぁ誰が先だろうと、到頭来たかこの未成年飲酒の運命選択が……と考える気持ちが強いのだけれど、お誘いは目の前で話す者達から次々と、マスコミの取材の様に押し寄せる。

「お嬢様と妹様がお待ちよ? きっと盛大なご褒美を用意してくれてる筈だけど、まさか据え膳喰わないなんて事無いわよね?」

 十六夜咲夜、上司と景品で誘う。どうでもいいし、職場絡みの飲み会とか絶対ヤダ、語感的に。後据え膳喰うって言っているけど遠回しにアルハラ。

「先ずは健康状態を確認してから、お師匠様と姫様とてゐと私で、乾杯しましょ? …って~アンタ姫様には挨拶したっけ?」

 鈴仙・優曇華院・イナバ、診療で誘う。何にせよ悪くなる事は診察以降です。生物学的にも、法学的にも。永琳先生も飲んでるなら、ちゃんとバイタルチェック測定可?

「挨拶と言えば、”守屋”には来られましたが『二柱の神様』にはご挨拶が未だでしたよね? 如何でしょう。私達の将来も兼ねて、酒を以て文字通り神様と御近付きになりましょう」

 何か所々天国だとか桃源郷だとか迄飛躍し過ぎだが考え過ぎない事にしたそんな誘いを東風谷早苗から最後に。

「ちょっと、今の発言意味解らないんだけど早苗。達だとか兼ねるだとかアンタ本気で言ってんの?」

 同業職だが動転する事が有ったろうか何故か霊夢が突っかかる。

「えっだって私達、心と体で触れ合いましたし」

 境内某所で吹いたり咳込んだ声が聞こえた―――。

 俺は深く考えない、この純粋にキラキラした笑顔で語る彼女が決して意味深に言葉を選んで発言した事を………いや今回は考えた方が良いな。

 誤解の儘話が進めば、ややこしい鬱陶しい面倒い事の二転三転は火を見るよりも明らか―――もう火は現状懲り懲りだ。

「俺が霊魂で肉体に返ってる途中の話な。実体は無かったし、鬼火みたいな小さい―――「私なんかぁ! 抱いて貰いましたしっ!」

 私の声って通らないなぁ~…。ま~た方々で吹いたり咳込んダ……多分咽てんなぁ。

 魂魄さん? ちゃんと誤解が二件目になったじゃないですか。

「私なら時の止まった世界で―――……ボフッ!」

 言って想って顔が爆発したぞこの人。

 今度は黄色い悲鳴が聞こえたぞ。双方何考えたんだよ。

「何よ皆して、私は此奴と寝たし」

 マウント取り合いが、ちゃんと皆して同義語になる誤解だって解ってんのかね。

 このタイミングで話すけど、飲んでるのよね。顔が赤いのよ。酔ってるって奴なのねコレが。咲夜さんに関してはオーバーヒートしたし。

「私なんか……幼馴染だしっ!」

「それが何だってんのよ!」「それが何だと言うのよ」「それが何なんですか!」

「うぇーえへぇーん!」

 鈴仙、集中砲火を受けて、丸く蹲って敗北する。

 確かに何だと言うこの状況下、解る俺に言わせれば……幼馴染キャラは、報われない。

「居てくれるだけで安心だぞ」

「ヒー君……」

 頭を撫でて、距離感が無いこの仲睦まじいホワホワした空間が作られた中、そんな事いざ知らず、俺と鈴仙以外の全員、何かお前もエピソードは無いのかと無言で魔理沙に顔を向ける。

 え…と片方口角上げて、左下に顔を向けて、アヒル口で話す。

「ソイツと……ィスをした……」

 俺にはそう聞こえ、鈴仙を見詰めるも、想い出したら目を見開かせて顔を硬直し、視界がボヤけた。

 撫摩られて鼻をスンスンとご機嫌鈴仙、以外の全員が酔いが醒める勢いで、と言うか冷める勢いで、全員凍るように固まってしまった。

 先に我に返るのは思考の開花期’陽月さくら’、鼠如きで何をと申したいが、母屋に出れば流石に驚いて固まりもするかと、益してや鼠を飼うたのは出る杭となり、大口開いて住処を与えた己。

 この場はお暇、他を当たろうさて調子は如何か先ず旧都の妖怪少女の面々。



【地宴】


 鶴瓶落とし、土蜘蛛、橋姫、鬼神、悟り、火車、八咫鴉……正確には地獄の鴉、地獄鴉。

 幻想郷に於いても忌み嫌われた妖怪がこうも集結するとは、中々怒涛の絶景。

「よぉ英雄。何だ、妖怪にも白い目で見られる妖怪の呑み場に混ざるのか?」

 肩が開けて着込む和装の星熊勇儀は、人一人入りそうな大きく広い盃に、瓢箪の酒を汲む。

 チャポチャポと注がれる音は、何とも心地が良い。

「いやさ、様子見の挨拶がてら、勇儀さんには謝辞を届けたくてな」

「何だい勇儀さんって。ングッ…ングッ……ブハァ~……あたし等そんな堅苦しい関係じゃないだろ?」

 怒涛の絶景でも、鬼の勇儀にゃ傷の一つや二つ、火の手は旧都妖怪衆、乃至は地獄も焼き回って居た様で、関係って問題で片付けられない生々しい景観だ。そんな中文字通り痛み入る。

 筋肉でも、如何にもならない事は在るモンだ。

「大胸筋のように柔らかい話でもない」

「おっ、触るか?」

 抱えるな。

「妬ましいわね!」

 おお……突然の水橋パルスィから先制攻撃、ダメージゼロ。

「どうしたよ、パルスィ?」

 尋ねる勇儀。

「遠回しの様で軽々しく女体に接触を図るこの男の邪な思考、妬ましい以外無いわよ!」

 確かに接触はしたが、お代わりが欲しい意味で言った理由でも無い。

「まぁ、此奴も年頃の男児だから、気に障るのも仕方が無い」

 フォローになってません。

「欲情より罪悪感でお話になられてるみたいですよ?」

 古明地さとり、遂に感情の色で俺を理解する時が来た様だな。

「何故か今、達観してますけど……」

「嗚呼、この傷? 何だ、事の発端は自分に起因するとかそう言った話か? 気にすんなって。近う寄って妖怪の山の谷を楽しめって!」

 山の谷を強調する鬼、妖怪の山って二座有ったっけ。

「この鬼……マジで言ってますよ………」

 流石のさとりも、宴席とは言え箍の外れ具合にドン引きを隠せない。

「うん、マジだね」

 黒谷ヤマメも同意する。

「ネタマジいわね」

俺「え」

さとり「え」

ヤマメ「え」

空「うにゅ? ……あ、あー! ヒツキだぁー」

 寄り掛かるお空を意識在るチョコが弾き飛ばす。

「えっちょ、うわっ…!」

「ん? あ~ヒツキじゃん。異変解決お疲れ~。アンタが負けてくれたら含めて死体の山積みだったけど、アタイもこの様じゃあ結局痛み分けだねぇ」

「お前は誰と闘ったんだよ」

 と言うか軽いな。お酒で異変事の重大さって変わるのか、凄いなお酒。

「いてて……お空、速く起きろよ」

「うにゅ~ぅ…」

 それにしても……デカいのとデカいのが合わさると山脈だな、おまけに雨が降った後とくりゃあ虹も掛かるや、いやはや絶景かな絶景かな。

「あ、今欲情で痴情で色情を抱いてますこの男」

「助平さんだ」

「妬ましいわね」

 情報負荷掛けてやろうかこの光化学スモッグ。

3.141592653589793238462643383279502884197169399375105820974944592307816406286208998628034825342117067982148086513282306647093844609550582231725359408128481117450284102701938521105559644622948954930381964428810975665933446128475648233786783165271201909145648566923460348610454326 648213393607(この間僅か0. 14秒)

「円周率ですか? 五百十四桁迄なら余裕ですよ?」

 本当に嫌いこのスリッパ野郎。



【花宴】


 星熊勇儀に感謝しようかと思ったけど何(主に古明地さとりとか言う人の思考を読み取る鬱陶しい妖怪の所為)か白けちゃったので他を当たる。

 ………え?

 未だ寝惚けて居るのかと想った。だが俺は覚醒して、ちゃんと夢心地の現実の宴会に参加して、この目に記憶に焼き付けて過ごして居る。

 そんな中、夢だと思って欲しい事が俺基準幻想郷で起こって居た。

「……閻魔も偶には羽と骨を休めるべきだろうが、千鳥足で枝から落っこちてる、又は骨を抜かれたスライムみたいだとも、そんな具合の為体だなこりゃ……」

 四季映姫・ヤマザナドゥ。楽園の閻魔は酒に酔い潰れ、部下の死神たる小野塚小町の膝の元、胎児の様、丸くなって寝ていた。

「そう言うなよ、あんちゃん。閻魔なんて始終死者を裁き、顕界に降り立っては私達を諫めてくれての働き尽くめなんだから、お盆位休ませておくれよ」

 此処ぞと秤に本音が出るかと思われるが、上司の有難みが良く分かっておいでのホワイト企業ですね、閻魔庁。

「それに、酔った四季様なんて滅多に見られない可愛いお姿なんだよ? 眼福かな眼福かな……」

 確かに威風堂々な姿こそ閻魔としての尊厳。

 まぁプライベート一面と言う幻滅点は些か勝手が過ぎるし、矢っ張上司への邪心が有ったな。割と良い意味で。

「……んん~…、あ、兄さん、起きていらっしゃったのですね」

 ―――。

「此方に座ってください。正座です」

「あっ、はい」

 彼女はご機嫌と言うか、物凄く幸せそうな顔で此方を見詰めて指示して来たのだ。この在り方にヒツキ、言う事を素直に聞かざるを得ない。

 怖いとかじゃない、何と言うか、頭が真っ白に成る。そんな声調で、表情で、頼まれては、実に嫌とは言えない、誰だって二つ返事だ。

「今回の兄さんの異変解決の功績―――眠っている間に確と拝見させて頂きました」

 体裁の為に申し上げます。勿論ヤマザナドゥも幻想郷崩壊防衛の為にご尽力為さって居りました。

「そう、貴方は少し眠り過ぎるような戦いが多過ぎる。そう言った粗い所は御座いましたが、その反省点に目を瞑れば……兄さん、良く頑張りましたねっ」


 兄さん良く頑張りましたねっ…兄さん良く頑張りましたねっ……兄さん良く頑張りましたねっ………


 ンンンンッ。

 閻魔様からのお兄ちゃん呼び、破壊力抜群過ぎる。

 レミリア妹からとはまた別の感覚がある。

 甘えん坊ではなくしっかり者から撫でも加えて褒称してくれるもんだからコレか、〇〇から得られる栄養ってのは。とても、いい。

「四季様が誰かを褒めてる……」

 盃落とす程、滅多事なのかよ、小野塚小町。

 酒が酌まれて無くて良かったね。

「参考迄に聞くがこまっちゃん。閻魔様は酔ってた行動の記憶残るタイプ?」

 曰く創作物では、酒を飲めばそうなる。って認識で、感情動力は頭を使っているのか、それとも勢い任せか。

「さあてね。閻魔様なんだから、先ず表情には出さないでしょ?」

 閻魔顔。なんて言葉が有るから、彼女は突っついても倒れはしない。

 まぁ後の祭りにせよ、別側面では地蔵菩薩から飴が頂けるこの一時―――何故か四つの尾髪を文字通り鞭にチョコが背中を叩いて来るが……知った事かと、満喫しよう。



【祝花】


 宴会事、その二。

「―――それでは兄さん。他の方々と積もる話が有るでしょうから、お説教は此処迄です。楽しんで来て下さい」

「はイっ!」

 妖夢の時や、魔理沙の時には劣るが、すぐさま立ち上がって発声、とてもいい返事です。閻魔のお墨付きで。

「とても良い返事ですっ!」

 笑顔で杓を真っ直ぐ指し、優しく手を振って送り出すこの義妹を大切にします。


 扨て、花は四季映姫でも在るが、忘れちゃならない花の代名詞が居るもんだ。

「あら、此処に来るのね、英雄さん」

 風見幽香。と、誰だ? 丸で人形のような恰好をした少女だ。

「知り合いの所は皆回る予定だ。酒は回さなくて良いぞ」

「あら。先に断るなんて意地悪ね」

 盃が、此方に向かい掛けた所を空かさず見抜く俺。

「俺は後三年禁酒してんだ。飲んだ時がきっと格別だろうて」

 初めてだけどね。

「えぇ~? 三年もぉ~? 禁酒なんて耐えられないわぁ~。考えられないわねぇ~。ゴクゴク……」

 美味そうに呑んで下手な煽り語らいでも俺は一切乗りません。

「…………釣れないわね。下戸である事を誤魔化してんじゃないの?」

「男の矜持って奴だ。少なくとも、俺が宴で騒げるような素生(なり)じゃないから、其れが済むまではお預けだ」

 まぁ、今際だから、運命が死に至るなら、あの時飲んでおけば―――なんて後悔はするのかもな。

「あらあら矜持と来たか。ならこれ以上口を剪むのは野暮ね。くだらないけど」

 嗚呼そうだな、法令順守主義で無ければ良かったよ。

「なら、責めて勝利の褒美に、花束でも持って行きなさいな」

 真っ白い紙で包まれ片手渡された花束は、向日葵一色で構成されていた。

 本数は―――…。

「数えなくて良いわよ? 但し、真ん中のだけ良くご覧なさい」

 差し向けの距離を詰めて来た分、何だか殺気立った勘当たりだが……抱え、取っ手を掴み、受取り、言われた通り真ん中の向日葵を見ると……と言うか向日葵じゃない……。

「何だ、この白い花は?」

「言った通りPolianthes(ポリアンテス)、白い花よ?」

 此処は正式名称とか固有名詞を聞く所なんだろうけど、花の輪数を数えるな、とか、ポリアンテスについて仄めかして教えない分、花言葉が面倒なんだろう。

「あっそ、ありがとう」

「鼠よりも腐った目で良く見付けられたわねと、いや所詮な洞察力ね、向日葵の方を見なさい」

 俺は彼女の所々鼻に付く花粉のやりように、何も想わない。

 要点を聞き入れ、今一度、真ん中辺りの向日葵を見る。

「―――ほう……」

 時計で言えば二時の方角から右回りの八時の方角迄、天上の日が差す雲に似た眩しい変色で、三日月を花弁が描いて居た。

「空が物凄く流れるように光ったと思ったら、その光の粒が花に掛かったのよ。その中でも綺麗に出来たのを選んで於いたわ」

 物凄く流れる……きっと彼奴をぶっ飛ばした時のだろう。

 如何言ったエネルギー拡散でこんな粒子が付着したのだか、良くも悪くも見栄えは最高だな。

「若しも花に害為す成分だったら、貴方と其処の異変主犯共々、寝込みに人体の養分を媒介に成長する花の種を植え付けてやりたかったけど、貴方が数日眠ってた期間、自然に綺麗に元気に咲いていたから、まぁ惜しくもお咎め無しにしてやるわよ」

 途中聞き流して、其処のと盃で差す方角を見やり、確かに異変主犯事、’罰荒無邪童子’が、行燈と提灯で鮮やかの神社とは間反対の現時間帯を表す暗がりの木の下で、胡坐で俯いて、腕を後ろに縛られてお奉行様の前に居る下手人状態を目撃する。

 傍には空雛、風蘭想和不、何時-DINE、萌、が見張って居る。三分の一とは言え、思想ヶ能力集団”フィロノエマー”が勢揃いだ。

「兎に角、私が丹精と心血込めた束の花を、枯らすなんて結果を招いたら……解ってるわよね?」

 全く、素面なんだか酔った勢いなんだか、脅し文句が多い妖怪だ。

 取り敢えず、ディティールは凝ってるけど倒れない花瓶でも、後日繕おう。

「ああ、大切にするよ。特に銀色の三日月向日葵は気に入った」

 新しい玩具が手に入った子供のように俺は少し強く花束を抱え、然し花は丁重にしなければと葛藤渦巻かせ、他を回る。

 そして、彼女の傍で、恐らく酔いが回って眠ったお人形の事については、一切触れる事は無かった。


「……矢っ張引っ掛かんないか。まぁ知ってる体で濁したり、押し引きが余りだったわね。…………一寸、飲み過ぎちゃったか―――」


 幻想郷の宴は、物語上、未だ未だ続く。


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