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幻想の現実≠東方空界霊  作者: 幻将 彼
第壱章「青年は座って、夏を考えた。」――白昼夢異変
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第参話 夏を妄想(おも)う~gray-colored party spark~[後編]

眠りに就いた男は目を覚ます。

夢の中から戻される現実は重く黒く……然し、そんな色を吹き飛ばす戦闘が、空では繰り広げられて居た。

【起床】


――――眠りに着いていた。

いつ魔法使いに出会えるか、いつ瘴気が襲い掛かるか解らない中で。

もしかしたら眠っている処、魔法使いはレアモンスターが主人公に謎の様子見をする様に、ここら辺りを通過したのかもしれない……ジャア助ケナサァイ、そいつら遭難者かもヨォ……魔女に人情は有るのだろうか? そしてこれは差(ry…)

それが起こり得たイベントだったとしても、眠らなければ倒れてしまうのもまた一つ、無情人間の弱点……眠気を感じるが情に移さない故に、無限に起床活動できる〈不眠の(インソムニア・)夜営(パーリー・)活動者(ピーポー)〉。

どれだけ当て嵌まる二つ名だろうか…どうでもいいことだ。

そう言えば“るみゃ”は……

「すぅ~すぅ~」

まだ寝ていた…ぐっすり、健康そうに……妖も病気に侵される不健康な時が有るのだろうか?

「んあ?」

言葉がトゲトゲしてきた。

森の影響か、単なる寝起きか、以前からの無意識たる口癖か、それとも……その『んあ?』と言う俺の目と鼻の先、木より上の空の上…空ってどこから空と判断すれば…その判断し切れない空の上……また人が飛んでいた。

『人』とは言わないな、言い難いな……。

人の形をしていても、そいつは背中に中世感がプンプン丸の『バスターソード』をイメージさせる鋭いクリスタルオプションが6つ、傍に付けているのだから……普通に浮遊する人間若しくは人間ならざる人間みたいな奴なら幾度か見たことはあるし、飛行なんて朝飯前に熟す奴なら丁度隣ですやすや寝ているし、朝飯は人間だし、だからその点から疑問は抱かなく、また妖怪だってことは確信。

「今日こそ決着をつけてやる…覚悟しろ! ―――!!」

何やらフラグを回収するようだ…命は大切にしなさい。

数分前に「自分は死にたいんじゃない?知らないけどぉ~www」みたいな他人事捨て台詞を吐いた奴には言われたくない説教だろうが。

して、誰に向けて言ったんだろうか?

名前を叫んだと思わしき部分だけ聞き取れなかった。

何か罠的なアレをそれと無く感じる…あ、いや感じるような奴じゃないから俺は、感じないからあのフラグ台詞は可哀そうな事に、俺と同類の『独り言』やっちゃう奴ですね。

う~……んむ、ドンマイガンバレ。

明日に希望を持って、友達作りファイトですぅ~

「へへ…いいぜ。相手になってやるよ。ま、勝つのは私だけどな!」

あ話し相手いたのね、ゴメン……そうだよな。

前々から思っているんだけど、同類みたいな人がいたとしても、そいつは俺じゃあ有るまいし……。

そして先程…お求めの者を見つけた。

あのクリスタルオプションと語る対談者は……魔法使いだ、『女性の』な。

魔女っていうのか? こういう場合…兎に角あのクリスタルオプションの…………何? 何て呼べばいいの? 妖…精…? 飛んでいるだけに? じゃああのオプションらしきクリスタルは羽って事か? イかすね。

兎に角どこかの巫女さんみたく大きなリボンを髪に括りつけている青髪のそいつと語っていた魔女は、箒に跨り……いや箒の上で立っているな……落ちないのか? 大胆な…その大胆な娘、白と黒が大に目立ち、西洋の魔法使いとはあの様な衣装なのか…(納得)、とも見受けられる。

曖昧な説明でしたかこれまた失敬。

まーた知識不足の服装チェックになりますが……白いブラウスの上に黒で塗り潰されたサルペットスカート。

スカートの腰回りには白いエプロンが装着されているようで、エプロンを除けば“るみゃ”の衣装と殆ど酷似していた。

『衣類名称熟知しているじゃん』だって?

幻想郷(ここ)には電波は無いが、俺自身にも、ここにも〈魔力〉は有るので、魔力でのスマホみたいな検索を掛けさせて頂きました。

即ち、ググりました。

察していたでしょうに質問しないで頂け…ハイ黙リマス(俺が)。

髪色も“るみゃ”と同じ金髪であり……んぁ、俺も金髪だった。

聞いてない? これこれまたまた失々敬々。

遠目で見ているから保証はできないが、おさげ髪を括っているようにも見えた。

そしてウェーブが掛かった金色の髪の上には白い大きなリボンが付いたとんがり帽子が乗っかっており、ニュアンス違いだが意味は同じであるからして大事なことだから2度言うが、箒で飛行する姿は、正に魔法使い。

だが『正に』と言うだけであって『特に』と言った部分は見受けられない。

つまりは何か…思考の偏見上、偏見の思考上、あの魔法使いに課せられた見た目(チェックポイント )は、『なんつーか〈普通〉』だ。


「……ん?」

……視線が合った気がした、気だけにしてほしいのだが。

「余所見とは、余裕だな! 先制は私から取らせて貰うぞ!」

「悪い。用事が出来たんで」

あ~何かこっちゃ来そうだな~本当気だけにして欲しかった~よ~…。

退散したいけど、まだ“るみゃ”が寝ているしぐっすりと。

何の予定無しでも寝ている子を起こす理由(わけ)にはいかないし、『子供の仕事にお昼寝有り』っていうし、『寝る子も育つ』ともいうし、夫婦の仲を誓っておきながらこんな危うい森の中で置いてけぼりには出来ないし、いとおしかなし。

「え…帰るの? ……フフン、今になって私が最強と知り怖気づいたか!」

自分で言うかあの妖精…。

「お前が最強ってのは知っているけど…」

魔法使い(あんさん)も、妖精さんの自称最強論に乗ってあげるのね……。

あ~ら優しいお方。

「怖気づいてはいないさ……ただ」

ざわ…ざわ…

「ただ…今回だけは(・・・・・)手っ取り早く弾幕ごっこを終わらせるだけだぜ!」

おーっと、ここで勝利宣言を放ちました魔法使い選手。

司会の私、(ひの)(つき)さくらは弾幕何チャラを全く以て存じ上げませんが、どうやら試合を短時間で終了させる模様です。

妖精選手も彼女の宣言に少し虚を突かれておりますが直ぐ姿勢を立て直しました。

この試合どうなるか、いかがですか? 司会の()(つき)さん。


そうですねぇ~、弾幕何チャラヘッチャラは私も知らないけど、あの魔女さんは弾幕何チャラヘッチャラチャラの助を、さっさと終わらせる程の切り札を持っているんでしょうねぇ~はい~…。


さあこの勝負どうなる事やら…左、妖精選手。

右、魔法使い選手。

結果はどうでもよかれ、今試合の火蓋が切って落とされ食べます!


「減らず口はこの氷で全身全霊、言霊諸共砕いてやる! くらえ! 氷府『アイシクル…」

「恋符「マスタースパーク」!!!」


妖精さんの技を全身全霊、技名音読、諸共遮り。

以上に叫んだ魔女さんは八角形状の箱を手前に押し出して……


グオォォォォ………ンンンン!!!!


森一帯に響き渡りそうな轟音そして、(すさ)まじき威力を波動にして放つ光線。

夏なんて忘れそうな衝撃(インパクト)だと思う……最早何色で表わせれば良いか解らないその(きらめ)きに目を奪われた……本当にその色は本当に見た事が本当に無い。

知らぬことを知りたいと思うのは、人間一部の性じゃないか? そう言った屁理屈みたいな思考から、俺は休んでいたこと座っていたことを忘れ、その場で立ち往生していた。

“るみゃ”の寝姿勢を崩さぬようしっかり木に(もた)れさせて置いてね。

「フゥ…」

ビームの反動からか八角形の箱を後ろに下げ、一息突きつつ箱に回転(スピン)を利かせて上に放り投げ、横から勢いよく掴み帽子を弾いてから、彼女は言った。

「弾幕は…火力(パワー)だぜ☆」

全てスッキリ片付けた様で、魔女は進行方向をこちらに向けて降り立った…こんな運命(ルート)は気だけにして欲しかった…………まだ言うか。


【会話】


「よう!こんな所で何しているんだ? って言うか大丈夫か?」

右見て。

左見て。

右向きに後ろを見て、

「ああ、“るみゃ”の事か」

「そっちじゃない、お前だお前。異形な金髪の方の君」

「いま髪色で判別しなかったか?」

『人か妖か』とも区別されなかったよな? 

異形な金髪…。

「うん。判断力が欠けている処を除けば、真面に会話が出来るから大丈夫そうだな!」

「おい待てコラ」

『うん。』とは俺の質問に対しての返答なのか、自己解決に納得した『うん』なのか……この魔女さん。 

異形な金髪…。

彼女も巫女さんに負けず勝たず若々しい顔立ちをしていらっしゃる。

空からは見えにくかったが、やはりこの金髪…おさげが着いておりアクセサリーには緑色のリボンを装着。 

異形な金髪…。

抜き打ちチェックはこれ位にして、彼女は話を続ける。

「しかしよくこの森に入って来れたな…見るからに外来人ってのは大いに察し付くが、一応“里”の人間にこの森の事は聞いたんだろうな?」

勿論、ぶっ飛んだ(・・・・・・)から『白髪の甥たん』に、

「――聞いたよ。だから来た」

「理由になってないだろ、それ」

「ただの散歩がてら、幻想郷の地形を勉強していただけだよ」

「危険を顧みず、よくそんな軽薄な理由でここに来れたな」

厭きれた顔をする魔女さん。

「……面白いよお前、何者なんだ?」

お気に召された様で、素性を探りに来る魔女さん……召さないでくださいよ、だからココはアレ。

「俺は……………………………………………………………… “俺”だ」

「だから何者?」

巫女さんの時と変わらない心情の台詞を吐き、巫女さんと変わらない戸惑いを見せた魔女さん。

今回に関しては、巫女さんの時の様にレティゴープロフ公開しなかったことが不幸中の幸い中の不幸中の不幸………どういうこと?

何かさっきからちょくちょく巫女さんのワードが出てきているような…。

そう言えば雰囲気が似ていたり、対に感じたり…

「『名前を教えろ』って意味だよ」

アンポンタン頭の俺に、魔女さんは訂正して丁寧に質問の仕方を変えてきた。

「“陽月さくら”だ。“ヒツキ”と呼んでくれ」

 これまでの経路から何となくだが、先に仇名呼びを仕掛けて置く。

「ヒツキ? “さくら”じゃなくてか? 何で仇名で通すんだ?」

やっぱりお前もか。

お前も一見さん名前呼びどすか…ホンマもう堪忍やわぁ。

「名前は女みたいでイヤなんだ」

「そうか? 男でも似合ってると思うぞ。お前みたいなヤツにはさ~…」

「だからどういう奴なんだよ」

少し前の事を振り返るが、“るみゃ”に対して読んで欲しい名前があるどうこうとほざいたが、俺もある意味それに当て嵌まるよな。

「だからってのは、前にも言われた事あんのか?」

「ああ。そこの嬢ちゃんと、とある紅白巫女さんからな。全く以て理解出来ない…」

理解する気も鼻から無い。

「ん…何だそうか、お前霊夢に会ってたのか。よく元いた世界に追い返されなかったな」

「まぁな。幻想郷(ここ)に居させてくれる代償のようなモノとして、神社の信仰者にさせらて終ったんだがな…」

『お百度参りかっての…』と場違いな後付けを付属させたい、信仰者に成っての感想だった。

「あの妖怪神社にも到頭信仰者が出来たか…お茶らか神社にしては虫のいい話だぜ」

気に食わんばかりの吐き捨て台詞。

お茶を飲ませてくれたから確かにお茶らかではあるが、確かに虫はいいモノだと思わない方が良い。

主に蝉は――――ただ五月蝿いだけだ。

…え? 妖怪神社?

「口振りからして余程あの神社やそこに居座る巫女さんの知人みたいだな」

「知人と言うか友人だな」

 堂々と友人告発できる点、ボッチ民にとってはどうでもいいと口では言う反面、羨ましいと思われる自信さよ…。

「自己紹介させてくれ。私の名は“霧雨(きりさめ)魔理沙(まりさ)”。しっかりと女みたいな名前だから、名前で呼んでくれて構わないぞ」

「そうか解ったよ霧雨(・・)。お元気で」

「おいおい、待て待て待て」

 友人知人、(あの巫女さんと関係持つ者と来れば碌な奴が居ないだろう…)と過去に想い考え、そして今先ほど聞き間違えでなければあの神社を妖怪神社と称したか? あの戦闘ビームの規模を見るからに、予想は的中していたようだ。

 酒場の席ではきっと碌な奴が居ない、ビームから人を判断するのも、そいつにとってはいい迷惑だろうが、俺は無情人間です。

だからもう関りたく有りません。


【感想】


とは一瞬、別れ際の挨拶で思ったが、俺も俺で妖怪と…人間の…複雑に申して異性との最上関係を持っているワケだし。

ビームと言えば、俺には気紛れにも聞きたいことが有ったんだな。

「そう言えばお前の先の何とかごっこ…見事だったぞ」

ここに降り立った魔女さんについては、ホ・ン・ト・ウ・に気だけにして欲しかったが、まあ知りたいこともあったので、先ず褒めてから目的の話題に入る。

「ああ、“弾幕ごっこ”の事か。そう言われれば見ていたんだっけな…」

魔女さんは少し左を向き、頬を人差し指で掻く。


〈弾幕ごっこ〉


その名称が先程の戦闘形式だったと……“ごっこ”と言う幼稚園児のヒーローまたは魔法少女への憧れを現すような“遊び”には見えなかったんだがな。

あの巨砲でワンキルして終う処を見る限りでは。

「あの妖精さんには悪いが、中々輝くものを感じたぞ」

「そ、そうか? 輝いていたか? わた…」

「すげぇなさっきのビーム(・・・・・・・)。マスタースパークだっけか? 何て色で現したモノなんだその技?」

途端に笑顔は曇り、頭上に雨を降らす様に、魔女さんは水溜りに膝と腕を立てたような状態で倒れた…。

お天気比喩が出たので噛み砕いて言うと、

『期待した答えとは違う答えが出たモノだから、魔女さんは四つん這いになって落ち込んだ』

いや実際に知りたかったことだしあのマスパの色…本当に知らないモン。

そしてもう一つ思った事…

(四つん這いを見ると椅子みたいなので座ろう)

なんておふざけを、今この瞬間試そうかと考えたが、この光景だけでも十分だと考え改め、止めて置いた。

何において十分なのかは突っ込まないでほしい……一応言わずして言っておくが。

「いや、まぁ、解っていたよ…そうだよな。今回の“弾幕ごっこ”は十八番(おはこ)のマスタースパーク一発で締めちまったんだからな~……って色?」

後にブツブツ文句でも付けそうな反省文を語り、どんな質問を想定し確定させ語ったのか、変化球の様な質問に首を傾げた…。

「ああ、色だ。今まで見た事無かった色だったんで…待っていた。虹色とか玉虫色とかで括るのはなんか違う気がしてなぁ…」

「虹色も玉虫色も同じだが、そうだな~…私の十八番の色……」

腕を組んで目を閉じて考え、数秒して彼女は眼を開けた。

「よし考えたぞ!」

「何色だ? 霧雨…」

「名前で呼んでくれなきゃ教えないぜ!」

ナンデダヨ拘っちゃいますかそれ? まあ俺もひつきって呼んで貰ってはいないけど、了承してくれた事だし…

「教えてくれ。魔理沙」

「フフン。…恋色、なんてどうだ?」

「恋色……」

本当に何色? 彼女が『俺は俺だ』のご挨拶を『だから誰?』と言った様に突っ込もうか考えたが、単語的に話が洒落臭そうなので控えておいた。

「そうだ、恋色だ!」

彼女も彼女で理由は述べないけど公認しちゃったね……ま、いっか。

「それじゃあ行くか!」

何の前触れもなしに彼女は出発の合図を発した。

「んぁ…何処にだ?」

「キノコ採集だよ!」

アルビノ兄さんが推測ながら言っていた、魔法使いの好物…それは『茸』。

茸には幻覚作用を見せる胞子があり、それらは常人も、妖怪でさえも適応して適合してしまう程の、超ヤバマジックマッシュルーム。

しかし魔法使いにとってそれらは、力の根源。

魔法を糧にして生きる者たちには、“幻を見ること”こそが、次の段階へと突き進む為の“経験値”なのだと言う…して俺は…ああいや、俺たち夫婦は、その“茸採集”と言う名の“昼飯晩飯採集”に強制参加させられる、何ともお腹いっぱい不安いっぱいのイベントだ。

目的の一致とも言うべきか……食料としても大変活けるのが、魔法使い暮らしの醍醐味だからだとか…作り方(レパートリー)も、元より茸の種類も多いようで、飽きることは無いらしい。

何より魔法使いでない一般人でも、食える茸はあるようで、目的の一致…………で、だ。

「ああ、うん。はい? 何故――」

そりゃあ勿論、強くなること、強さを求めること、強さを求めるための体力が必要なこと、“大魔導士”にでも成りたいんだろうって事で大いに解るが、そもそも論の問い掛け…

「何故俺たちを参加させる?」 

当然の疑問が脳内を回った。

「『何故』って…………先ずお前、強いだろ?」

 ……はぁ、何ですか突然? 見ただけで相手の戦闘力が解るオッサンですか? 何とも言えない視察力…金髪とは皆こうなのだろうか……

「いや別に強かねぇよ…」

「またまた~、強い奴ほど謙遜したがる。でももし仮に強くなかったとしても、弱くはないだろ?」

「弱いよ俺は。ただの虎の皮を借りて生きている狐だからな」

「皮? 威じゃなくてか?」

「魔術とか能力とかに頼ってばかりの形振りだけで、本人自体は喧嘩や武道の心得は持ち合わせていないから、近接型の魔術戦闘に持ち込めば軽く捻り潰せるって意味だよ」

お勧めとして、魔術無力化攻撃が優。

「ああ~なるほどね…。あ、でも魔法は使わなきゃ勝てないんだな……じゃなくてだな!」

何がじゃないんだ? 根から葉までの弱点を教えてやったのに……

「別に本人自身の弱さはよしとして、お前が最初に言った魔術とか能力的な意味での強さだよ!」

「『本人弱い』をよしにするって……弱い奴もだが、それはそれで酷くない?」

「ああうん、ごめん言い過ぎた…って話題を逸らすな!」

 一般論的に物言うと、『コイツ面白いな(真顔)』

「だからだな! 強い能力(ちから)があってこそ! お前はこうも呑気に、幻覚を見る事無く、そこの妖怪も連れて森の中を徘徊できているんだろう!? それで~……え? 連れて行ってるの?」

「まぁ一応。襲われかけたが打ち解けて対等関係になった…と思う」

「そう! そう言った無謀な度胸と不明で強大な能力がある妖怪を対等中に仕上げる奴を、是非森案内も含めて! 晩飯調達のキノコ狩りをして! 一石二鳥取ってやろうと思った次第だぜ! 解ったかこの野郎! …ハァ…ハァ…ハァ……」

なんでこの娘こんなに疲れるまで叫んでいたの?

「ああ、うん。はい」

としか反応できないじゃん。

そんな気合い入れなくてももっとノーマルに言えたんじゃ

「ひょんなことから魔王討伐に選ばれた勇者さまは、森の賢者に導かれて伝説の茸を食し、冒険の手助けになってくれるみたいな?」

ハイ俺何言ってんの~? また出ちゃったよ巫女さんの時みたいな不意打ち台詞…これの仕組みがわからない~けど彼女も何言ってんの~? 理由は分かるが理屈がわからないの~。

その何言ってんの~を中腰状態で聞いていた彼女は、顔だけこちらに向け、口だけ驚いている表情を見せつける。

ヤメテヨ…ソンなメでワタシをミナイデヨ…ムシロオレがソノメでみたいヨ…それからして再び顔を下に持っていき、「プッ」という音が鳴ったと思ったら

「お前本当に面白いな。そうだな、賢者(わたし)勇者(おまえ)を導く感じだな!」

何がそんなに嬉しいのやら…姿勢を立て直し、冗談をノリノリに冗談で返してくれた。

「さあ急いで行こうぜ。昼が過ぎたら夜が来てしまうからな」

『朝昼晩の三食飯は必須だよな!』と続けて言いそうな当たり前の台詞に

「ああそうだな」

と頷く。

この端的返事と頷きを行った今にして、尚寝んね中の“るみゃ”を思い出したので、体を揺すって起こしてやった。

「ほら行くぞ嬢ちゃん。魔法使いも次の目的も見つかったぞ」

「ん~…夢の中でヒツキ様が“るみゃ”と呼んでくれた様な気がするのだ~…」

誰もが気の抜けそうな気抜けた語尾は幾多のパターンを提示してくれ、今回も新参モノで有った。

だがそれよりも彼女の寝起きの一言に『あっ』と言わざるを得ない覚えが有ったので、

「気がするのなら気の所為だよ、『るみゃ』……あっ」

誤魔化そうとした結果……

『あっ』と驚くような墓穴を掘り自爆した。

「今“るみゃ”と言ったなのか!? そーなのか!? 夢じゃないなのか!?」

不要な語尾(ところ)にもしつこく『なのか』を付けて、連発連射してきた……毎月七日の日は『ルーミアの日』になりそうな位に……何が起こるんでしょうね、その日は。

「あ、いや…それは、あれだなー…」

更に誤魔化し聞かそうとした俺は良い感じな返答が見つからず、相手に“照れていた”“恥ずかしがっていた”と誤解を受け止められるまごまご文を発して終った。

言わずもがな、

「もう~呼ぶのが恥ずかしいんでしたら素直に言って下さればよかったのに~…♡ でもそんな照れ屋なヒツキ様も可愛らしいモノですね~…いっそワタシもまた“ダンナ様”とよふぁふぇふぇいあ…」

こんな無愛想のどこに可愛さがある? とは口に出さず、“ダンナ様”と改めて呼びかけ、ロリコン認定の烙印を押される因果となるルーミアの口を塞いだ。

「ん? ダンシングサマー?」

しっかりとマチガって聞き入れていた魔女さん。

『踊っている夏』って何だよ……どんな祭りだ。

「なんでもない…だが博麗神社で宴をするそうだから、余興の一つに踊るのもいいかも知れないな」

「お! 有るのか!? じゃあ準備しなきゃな! …って踊るのか? ヒツキ?」

「え? 踊るのはお前だろ?」

「何でだよ。言い出したヒツキがやれよ~。その人喰い妖怪も一緒に西洋の舞踏演劇とかさー」

「あ、ふぉえわいふぁいふぇふ~((それやりたいです~))」

「致しません。それに俺がその宴会に参加できるのは、俺が日の入りまで生きていたらって話だ。巫女さんとはそういう約束をしている」

「ふぉーわおふぁー((そーなのかー))?」

「そーなのです」

「お前ら仲良いな」

別に約束を守る義理は無いが、ここに仮で起き留めてくれている感謝みたいなモノとか、お茶を頂いた恩とか、後はこの使用方法不明なお札をくれた礼とか…そんな無心な理由でな。

「でもそっか…なら尚更、(めし)は食わなきゃだな! 信仰する神社の信仰する巫女さまが良いお酒と(つまみ)を準備して待っているだろうし、その前にヒツキ自身が肴になるワケにはいけないよな!」

 縁起でもないが、その運命は合縁奇縁ってことで無視しておいた。

「……って巫女さんを信仰するってなんだよ? 個人を信仰するってそりゃあまるで――――」

「『まるで』? 何だ?」

言いかけた言葉が有ったが、想っていた言葉も全て“無”に消えていた。

「いいや、何でもない……」

「なんだよ~詰まんないの~…。ちょっと面白くなるかなと思ったんだけどな~…」

俺の想いが“何だった”のか解っているようでにやけたり、それは違うと…この無情の無表情から解る本音の否定に不機嫌になったり…忙しい奴だ。

『忙しい』の真反対の俺は、樹海の奥にでもいる様な気分で、静かに彼女に言った…。

「面白いって……必要か?」

「え? 必要だろ?」

マイルドな空気が流れている気はしたが、不穏さ漂う森には、不穏だけが漂うのだろうか…? やはりここは気だけにして置きたいので、気だけにして置いた……

魔理沙との出会いを投稿しなかったのは、私は魔理沙派では無いと言う事でしょうか?魔理沙嫌いなんですか?

いやそんな話は如何でも良いんだよどっちも好きだよていうか何との派閥だよ。

ってな感じで、以後気を付けます。ウェ

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