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幻想の現実≠東方空界霊  作者: 幻将 彼
第伍章「青年は起き上がり、住人の目の変わり様を察した。」――有無異変.
48/62

第参拾伍話 瞬間(とき)が来る~water daughter. ”H Knocking”

'陽月さくら'…このロクデナシが、原因と言うのか勝手にと言うのか、兎に角、異世界転移転生を始めるきっかけとなった人物、'一期一会'の登場。

'博麗霊夢'との争いも静まりそうに成った中、何故か、新たな戦いの火蓋が切られる?

【一会】


 ―――”一期一会”について語るならば。

 先ず、俺の住んで居た向こうの世界”マホロバ”の預言と言う噂、名を書けば死神の迎えが来るとされる「死報帳(しらせちょう)」の恐れより、政府が取った対策の一つ……[本名の建前]…【名前】で名乗って居る事は然り。

 迷信に惑わされて居る無能な国家の政策みたいに聞こえるが、実際に他者が本名を知り、言葉で意の儘に操る『王命能力』が有った限りだ。

 扨てまぁそんな時事ネタは文々。新聞に提出するとして、彼女の話に戻る。

 本名は”季川夏実(ときかわかさね)”、三姉弟の第二子次女、両親共に他界。

 何処の高校だったか忘れたが、まぁ中退して居る十七歳、俺とタメの、七月二十二日生まれ、蟹座、A型。

 過去の家、桜桃神社の同棲関係で、役職「巫女」、一寸した補佐役みたいな者。

 能力は”水体化”、文字通り身体を液状にしたり、放出する事も可能。

 元水泳部で、速くなりたいと言う願望の元、魚心あれば水心、水其の物に成りました。

 強制退部です。

 武器は傘型の槍「相合傘(レイニー・ユース)」、開けば盾にも、当然傘にも為る。

 ハイ終わり。



【邂逅】


「イチエ……」

「……あっ、たっ君」

「たっ君!?」

「霊夢?」

「霊夢?!」

「イチエ?」

「イチエ!!??」

「「「……………」」」

 俺が呟き一会が気付き霊夢が驚き俺が傾げて一会が騒いで俺が迷って霊夢が叫んで織田が付き、羽柴がこねし、天下餅―――じゃなくてだな。

 其れに織田じゃなくて埜田、羽柴じゃなくて斉天大聖。

 康ちゃんはお友達。

 ―――そうでもなくてだな。

「ヒツキ」

「たっ君……」

 霊夢は俺の袂から離れ、大幣を袖元から取り出し手に取り、片や一会も何か別空間からパッと出るタイプの武器みたく転回した取っ手を掴み、お互い同時に走り出し、間合いに入った所で、初手に一会が突き霊夢が横に払い、次手に霊夢が戻し振りかぶって一会が上に弾き、弾かれたベクトルに沿って霊夢は飛躍上昇し、回転し、互い等は武器を後ろに構え込んで、勢い良く突進撃、両者の武器の側面擦れ、火花を散らして相打つ。


「「誰よこの女ああああッッッッ!!!!」」


 丸で浮気した夫の過激的な嫁と愛人の尋問を受けて居るみたいだ。

 決してどっちがどっちかだとか、断って於くと、どっちも違う。

「此方は腋がオープンな巫女、生活が貧しい。此方は胸がオープンな巫女、性格が貧しい」

 名前はなあなあの紹介仲介人。

「あなたにだけは性格をとやかく言われたくない!」

「誰の生活貧しいか普通に不自由無いわ!」

 おっぅ~二人して見事な論破。

 オープンな事は認めるのな。

「「オープンじゃねぇよ打っ飛ばすぞテメェ!!!」」

 認めないのな。

 霊夢のノースリーブ具合は知らんが、一会は裁縫上手のお友達の、嫉妬で出来た補修らしい。

 即ち、指定制服魔改造、風紀違反の劣等生で在る。

「全く何処の誰だか知らないけどヒツキって何よ。ヒノヅキって苗字知らないのかしら此の返り血女」

「アンタこそ誰よ”たっ君”て、誰でも無い奴の名前ほざいてんじゃないわよ此の誘惑女……―――誰が返り血だっ!!!」

「誰が誘惑してるかっ!!!」

 うわぁ~……修羅場って凄ぇな。

 何でこうなってるの?

 魔理沙助けて。

「ヒツキ?! 如何した。何か知らん奴の声が……―――何が有った……?」

 助けられました、流石は、流星の如く異変を解決する魔理沙。

 然し戦況は最早彼女ら二人の激戦テリトリーを展開し、流星より止められそうに無い。

 大幣と槍で撃ち合う攻防は、衝撃音から常軌を逸して人値の戦闘じゃない。

 俺の『A to V拳』の威力の其れで毎回闘ってる、そんな感じだ。

「魔理沙、紹介しよう。新しい幻想郷の住人だ」

「へぇ~……でも~……いやぁ~……何で戦ってるの?」

「さぁ、巫女同士って牽制し合うんじゃない? 信仰する神様違いで」

「成程な。此処がどんな神様を祀って居るかは知らないけど、彼奴も彼奴で外の世界の奴だよな」

 其れで理解する分には、多分守矢は天敵。

「まぁな」

 帰って欲しいね、幻想郷の外に出て行って欲しいね。

「又、思想家の何とかか?」

 妖夢と僅差で思想家と遭遇率が在る此の少女。

「頭オカしい点は思想家衆と大差無いね」

「確かに。空色だもんな」

 空は広大だが、其れで居て思想家と呼ばれ、又はカラと言い換えてのdisり。

「だな」

「「あっはっはっはっh――……」」

 何か細く鋭い物が二つ、金髪二人の髪を靡かせ、傍を過ぎた。

「其処二人で位置ゃ着いてんじゃないわよ……」

 イチャつくを漢字にする奴居る?

「目に悪い奴等め、纏めて退治してやろうか?」

 冗談言える分、何か霊夢が優勢にも思える。

 一会と霊夢は其々の針を此方に向けて来た、水属性と金属製だ、鳥居の柱を貫いた。

 お陰で魔理沙震撼。

「退治ですって、赤いの彼を何だと思ってんのよ?」

「名前すら間違えて居る奴に何扱いを指摘するな」

「あ?」

「は?」

 此奴等もうヤクザ。

「「死ねゴルァアアアアアア!!!!」」

 抗争だろ。

 再び本命武器の打つかり合いで火花を散らし、今度は投げ武器も込みで乱戦が再興。

 回避と防御、突撃打撃投擲で辺り一面は五里霧中。

「アンタが彼奴の何だってのよ。保護者か血縁者か如何でも良いけど、幻想郷に来た彼奴の人生に部外者のアンタが今更出しゃ張るな!」

「関係者よ! 高々四日程度の付き合いで彼奴を知った気で居るな!」

 ほぉ、向こうの世界も時間は並行して居るんだな。

「一日目で嫌と言う程知ったわ!」

 何か御免なさい、夏の魔力に当てられたんです多分。

「だからアンタの言う『たっ君』って名前は、彼奴を創った奴の名前でしょうがっ! 彼奴の存在を否定するのかお前はっ!」

 俺、創造主の名前迄話したっけ……?

 空中縦割りの大幣を横槍で防ぐ。

「創ったとか自体が存在否定だろうがっ!」

 川の流れの様に、演歌だ、演歌じゃない、大幣の力身を受け流し、流された霊夢が手中に入った所で、一会は回し蹴りを使うが、低位置伏せ回避し、更に低い蹴りを霊夢が使い、一会は飛躍回避する。

叢時雨シェード・レイン!」

 空中一回転、逆様状態に差し掛かった所、槍先を相手に向け乍ら、先端に出た雫を突き刺し、無数の水針を撃ち付ける。

 霊夢は大幣を回転させ防御盾を作り乍ら回避。

「『霊符』夢想封印!」

 もう片方の手でスペルカードで在る御札を手に取り放つ。

 光の大玉が無数に追尾し衝撃を与える、霊夢の十八番スペルカード。

 然し、開かれたレイニーユースは如何なる物質をもガードする。

 衝撃を相殺しつつ、その勢いで一会は開いた傘の中に足を入れ、槍状態でライダーキックをお見舞いする。

 殺す気満々ウーマン。

 霊夢は後退回避して、態勢を整える。

 立て膝で着地し、上体起こして槍を足で抜き取り、取っ手を掴み足から外れる。

 石畳には綺麗な円の穴が開く……殺す気躊躇無しウーマン。

 其れもそうだ、彼女は『日国政府』切っての対過激派戦闘要員。

 幼い頃から戦闘に於ける技量を叩き込まれて居る、学生乍らプロの戦術家。

 俺も彼奴も、此の文房器を所持して居る事に寄り、イチエ等戦闘員に追い掛けられたが、合縁奇縁で在り、正に一期一会、何だかんだの一件で彼女は政府を裏切り今じゃあ何か良く解らないけど協力関係者だもんなぁ~……。

 もう過去の話だけどなっ!

 取り敢えず一会負けろ、バーカバーカ。

「赤いの、アンタが誰で、此処が何処だか知らないけど、彼奴に関わると碌な事は無いわよ」

「えぇご親切に如何も。ロクデナシで在る事は今日だけで充分知ったから」

 其れはもう殺しに掛ける程に。

「だから退治するのか。アンタも結局は化け物として、たっ君を見て居るのね」

 ロクデナシが化け物に通ずるのも割と人権侵害。

 まぁ、必要かと言われれば無用。

 だから霊夢は黙り込む、図星だから、遇の音も出ない。

「まぁ纏わり付く怨嗟や誤解の運命力は己と他人に振り掛かって化け物染みてて、否定はしないし」

 そして私はお友達が一杯出来た。

「其れとたっ君、私は此処迄来たからと言って、別にアナタを許した理由じゃ無いから」

 ツンデレではない、本心だ。

 冷めた言葉は其れは其れな怒りに満ちている。

「そりゃあ幻想郷来日初めに俺が目に入ったんじゃあ、過去の憤りも甦るわな」

「本っ当減らず口よね、巫山戯やがって」

 ね、口悪くなった。

「此処が何処か知らないから不要で不用心にも教えてやった其の優しさに、お巫山戯とは貴女の道徳教科書は何方に行かれてんでしょうねぇ」

「ええ頼んでないわよ。諸行無情のアナタに道徳を説かれましても一切の説得力、基、徳は御座いません。力と言えば其のブレスレットで強めてみればぁ?」

「不要だ。俺は最近好きな奴が出来た」

 白い御河童頭に黒いカチューシャが似合い、緑色の服が特徴的で、家事全般熟せて―――長くなるのでカット、相手が剣士だけに。

「へぇ~…御目出度う。感情の中でも一難題の恋愛を攻略出来た事に私、イチゴイチエ千客万来の大喝采を贈呈致します」

 其れも要らない。

「毎度毎度私を蚊帳の外にするなあああぁぁぁぁーーー………っっっ!!!」

 堪忍袋の緒が切れた霊夢は、夢想転生―――ではないが、其れに近しい無限大な御札と大幣が彼女の背後を飛び交わせ、此方にぶつける。

深海水圧アクアリウム・パドル

 其の水壁は水溜りの様に薄く、然し水族館の巨大水槽の水量の様、水圧が重く。

「桜雲~viewing~」

 水圧と気圧の防壁は、全ての投擲を防ぎ切る。

 不覚にも共同作業を図ってしまった―――。

「不覚にも共同作業になってしまったわ……」

 互いが互い、嫌気と嫌味を放った。

「何よ、構ってちゃんなの、赤いの。騒ぐと余計に藪蚊の信憑性が増すわよ?」

「"い"っ"て"く"れ"るじ"ゃ"な"い"あ"お"い"の………アンタなんか男に飢えた性欲晒し捲りの痴女だわっ! 同じ女として恥じよ恥、動物で例えるなら犬っ! 雌犬っ!」

「ハァーっ????!!!! 誰が痴女よ雌犬よっ!!!! 腋晒している分際で何? マニアック狙いですかそうですよね!!!!??? 神社で在るから察するに巫女っぽい装束なんでしょうけど、オープンな袖口は晒チラ見せで狙って居る処、思いっ切り清楚を掻き乱したド淫乱巫女さんですよねぇ???!!! ええっ?!?!?!?!?!」

「良し潰す」

「藪蚊が粋がるな」

 彼女等に闘気、炎の様に、彼女等使う人称が其れ、赤いのと青いのが燃え滾り、嗚呼、陽炎。

 武器を握り締め、大地を踏み締め、足跡を深く残す。

 ぶつかり合う少女たちの攻撃は、台風を起こした。

 何て事った、人類が自然現象をオコセルノカー。

 起こせるよ、イチエが水を操れる道理で、天候操作能力者も居るさ。

 だから恐ろしかった、末恐ろしかった。

 彼女たちが齎したかの様に、いや、水蒸気は無いか、汗か? セクハラか。

「あっ、雨――……」

 魔女帽子の鍔に落ちて気付く。

 降り出したのだ、幻想郷に。

「霧雨かな」

 彼女がそう言った姓なだけあって。

「うるしぇ」

 雨が降ろうとも、彼女たちの泥沼試合は泥濘み行く神社の土よりも酷く、そして続く。

 て言うかそう言えば魔理沙が言って居たが何で此奴等争ってるの?

 最初何か名前言い合って其れから何か宿敵に巡り合った倒さねば、みたいなノリで始まったこの抗争。

 一難去って又一難、いや、二難。

 一難は去って居らず保留で済んじまったからなぁ、又保留だ。

 何で人生は一つの解答を得て経ても又無理難題を押し付けて未解答を問答無用で追加の応用問題を次々と用意するかなぁ。

 ―――。

 其れにしても、解答手前立って見せられた、基、魅せられた巫女さんは、綺麗だったな、博麗だけど、綺麗だった。

 其れはもう妖夢が押し負かされる程……夢みたいだ。

 妖は生物故に穢れを知り抱く者だが、霊は生を全うし昇天し浄化された者、名前から澄んでいるのよな。

「如何したヒツキ、口元隠して。笑ってんのか?」

 この状況で笑う奴は文字通り可笑しいな。

 そして何だ先程から無駄に掛詞の連鎖と卓越された選言、ポエマーか。

「いや、矢っ張霊夢は一番だなって―――」

「え……(雷1)」

「ハ―――?(雷2)」

「ピクッ(雷3)(避雷針級電波受信の地獄耳)」

「?(加熱中の特殊超純水属性)」

 何を口走ったんだ俺わぁ―――っ!!??

 って、丸で初期ルーミアのリアクションみたいだな。

 こんな雨なのに……いやでも割と曇って居るな。

 雷三回連続で聞こえた気がした。

「―――強さが、な」

 体感して苦戦強いられたし、優勢に見えるし。

「……そ、そっか。私も頑張らなきゃな」

 良し誤魔化せた。

 誤解を生む失言は今後の善処課題として、未だ諸行無情の名案思考と言うか、間も無い返答が出来て良かった。

 両腋引き締めてガッツポーズで意気込む魔理沙。

「お前は可愛さ一番だな」

 本心で有る。

「かッ―――!!!///(再雷1)」

「ピクッピクッ(再雷2)」

「戦闘中に表情変え捲っておちょくってんのか貴様―――ッ!!!!(沸騰の水属性)」

 イチエが槍を地面に突き刺す。

大噴泉ホエール・スプラッシュ!」

 人一人囲む平方の水が霊夢の真下から間欠泉の如く噴水する。

「―――継続・チェイン!」

 反射神経で後退する霊夢を幅揃えて襲い掛かる。

「水撒きかしら。この雨量じゃあ神社も火照りが勝るでしょうし、仕事が捗るわね」

 余裕綽々、コレがルナシューターか。

「嘗めやがって……」

「藪蚊も叩くのには時間が掛かるでしょ?」

「赤く纏った外来種がっ……」

 イチエお前も悪役みたいだぞ。

「そろそろ興醒めだわ。もう良いでしょ? 彼奴の人生は彼奴が決めて居るのよ。今更居たくも無い場所に戻っても、御互い不幸なだけよ」

「不幸、ね……。アンタ、彼奴の事、一日目で嫌と言う程程知った。なら其の内にあの付喪神の事も入って居るわよね?」

「えぇ―――」

 其れを理由に彼女は追い回した、追い返そうとした、退治しようとした。

 然し其れは建前だった。

 四日も悩ませて迄、嘘を貫き通して其の日に決行した理由とは―――………。

「なら如何して帰そうとしなかったの如何して引き留めやしなかったの如何して四日も放置して居たの??!! 如何してっ、彼奴を見ようとはしなかったの………」

 大幣と槍でぶつかり合う雨天の中、彼女イチエには、雨雫とは違う雫が瞼から流れ落ちる。

 其れを見て霊夢は、気付かされ、苦虫を噛み潰した様、下唇を食い縛る。

「そうよ、でなければこんなトコ迄来ないわヨ……。彼奴の人生よ、彼奴の通行よ、彼奴の身勝手よ。如何したって第三者で在る私に止める権利は無いわよ……。でもね、無茶苦茶な誕生に、目茶苦茶な旅路に、グチャグチャの理論に、長く引っ掻き回されて、憤り募っても、哀れみの情が移らない理由無いじゃない。一度奪われたモノでも、喧嘩で離別しても、離別がどっか遠い場所への移動でも、別の心情が働いて我が身勝手で助けようと思いたくなるじゃないっ!」

 其れは―――霊夢と似た、いや最早同じ感情で在り、情動。

 こうして其の日は、有耶無耶で曖昧で迷走で、今日の天候の様に、曇り淀んだ感情と共に、彼奴に寄って使い果たされ―――……。

 だけどイチエは違う、何かが物足りない。

「知らないわよっ! アンタも彼奴も、自分語りで嘆いてんじゃないわよ!」

 其れを再び否定する。

「彼奴は! あの付喪神の所為で、一年以内にアレと同じ物集めないと! 死んじゃうのよ!!!」

 只一つの些細な喧嘩で現実を投げ出し―――突然現れ、事幻想郷の少女を引っ掻き回した彼奴とは……。

「―――……じゃあ」

 振り下げる槍を潜る様に避けて―――

「アンタの」

 低空飛行で速度を上げ―――

「所為じゃ」

 左拳を握り締め―――

「ないのよーっ!」

 ヒツキの鳩尾目掛けて左側から追い抜く様に殴り込む1カメ(霊夢後方)。

「よーっ!」

 2カメ(ロングショット横側視点)。

「よーっ!」

 3カメ(オーバーザショルダーヒツキの背中から退場視点)

「よーっ!」

 4カメ(ローアングル霊夢前方右斜め下から視点)

「よーっ!」

 5カメ(真上ハイアングル下方に鳥居視点)

「じゃあ、アンタの所為じゃないのよーっ!」

 ヒツキ一人称視点。

 正確には霊夢の顔がディティールショットでドアップされてあの目が良くグニャアなってからクローズアップショットに変わって拳を握りしめて居てその拳何か風みたいなエフェクト纏って後ろの方に構えて居てで勢い良く振り翳されている感凄い伝わる神作画のアニメの其rグフウーッ!!!!

 ヒツキ、宙を舞い、鳥居を潜り抜けて、其の儘山の最下層に迄降る程、吹き飛ばされた。

 呆然とする一会。

 愕然とする魔理沙。

 毅然とする霊夢。

 忽然としたヒツキ。

 こうして、霊夢のロクデナシ貫く制裁の正拳を最後に、吹っ飛ぶ勢いと共に波動を飛び交わせ、其れが天に届いたかのように雨雲から光が射し、次第に増えて。

 現実的な話は、天候が只の通り雨だったとも。

 そんな天気の代わり映えと共に、泥沼の戦いは、終結した。



【御負】


「ヒツキ―――ッ!!!」

 ―――其奴は、面倒を理由に、戦いを投げ出した。

 彼が持つ最大にして最悪の凶器、『文房器』。

 付喪神足る其の武器は、文房具だけに非ず、あらゆる日用品や職用品に憑依して、一つの儀式と言う名のゲームが始まった―――。

 奇しくもディーラーに参加を申告した其奴は、其れからの事、一切手を出さず、足を運ばずに自堕落な生活を送った。

 挙句の果て、諦める事を専念した彼は、同居人と論争が生まれ、喧騒に成り、口論の末、売り言葉に買い言葉、其奴は出て行く事を決意。

 コレが現実逃避の始まり。

 魔が差して異世界進出を何故だか試みたのだった。


 ―――そして現在。

 全ての根源で元凶の原因に裁きの鉄槌が下される。

 絶対主権の閻魔ですら成し得なかった功績だ。

 そんな彼を、本当に何処迄も身勝手な彼を、色々と投げ出して居る彼を、箒に跨いで手を伸ばして全速力で助け出す魔法使いの姿が、其処には在った。

 投身のベクトルは背中を先頭に下降して行く。

 背が頭とは此れ如何に。

 風に揺られる腕を掴み、引っ張り寄せ、両腕で抱き締め、場所は既に下山間近。

 目の当たりにする木々に体当たる事は時速的、免れない運命にて。

 脚で挟む箒を半回転させ、背中で強打着地する態勢を取る。

 然し、ヒツキも寝て秤ではない。

 確かに意識は飛び掛けたが、此れにて何度、風や鬼やらに殴られて来た事かと。

 彼も彼で成長はしているのだ、多分……成長……なのか、と……。

(脚力緩和……)

「ヒゥッ……!」

 また半回転させ、再び背中はヒツキの方へ。

 魔理沙の箒を蹴飛ばし、其の儘、着地点である木へと突進。

 は、しないのがヒツキの、外付けの強み。

 数センチと言う処で髪神の加護発動。

 ゆっくりと地上へ降下し、凭れた状態になる。

 女性の肌に直接触を易々行える其の身の熟しは、後程霊夢からもう一度、拳裁を受けて貰うとして―――女性を盾にせず瞬時に己を身代りとした事は、誇るべき紳士の勲章だ、殴られる事は甘んじて受けろ。

「―――~ッ……ッハァ!」

 凭れる行為は腹の痛みと共に、寝そべる形に変わる、横たわる。

 同じくしてヒツキの腰元に寝そべる形になって居た魔理沙も、ヒツキの状態異変に気付き顔を上げる。

「ヒツキ、大丈夫か?!」

「ヒやぁ~…お前のお友達は遠慮が無ぇよなァ~……」

 声が掠れて居た、お迎えが又近い様だ。

「ヒツキ、お前がどれだけ間違って居ようと、何か色々悪かろうと、私はお前の味方だからな」

 何て頼もしい、俺を守ると断言しただけの賢者では在る。

「嗚呼、こうやって誰かに抱えられてくたばるのも……悪くは……無…イ………」

 頭と肩、支えられて居るって言う何時だかの状態が真逆だ。

 掴まれる事、こんなにも心地良いんだな―――優しい腕を最後に、俺は手の力を落とす。

「ヒツキ……? ヒツキ、おい、ヒツキ、ヒツキ…………ヒツキィ―――!!!」

「煩ぇなぁ寝れねぇだろう」

 人間早々に、成長はしても、アイデンティティは変えられないってね。

「死んだふりなんかするなよっ、心臓に悪いわっ!!!」

「なら共に渡れただろうな」

「何で心中前提なんだよ。て言うか夫婦じゃねぇし」

「それもそうだな」

 扨て、長らく続けた逃走劇は、俺が一発強いのをお見舞いされて空を舞ってって、其れがオチだ。

 落ちて、オチ。

 ハァ、人生は何ともしょうもないんだろうか―――。





 そんな理由で。

第伍章「青年は起き上がり、住人の目の変わり様を察した。」――有無異変――――――――――――――――――――――――――――〈完〉。

はい、くだらない彼の意地張った物語も、第五章も経て終わりました。

だけどこの夏物語はまだまだ続く、季節問わず、私の頭が廻る限り。

次章、多分最終章です、お苦しみに。

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