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幻想の現実≠東方空界霊  作者: 幻将 彼
第伍章「青年は起き上がり、住人の目の変わり様を察した。」――有無異変.
47/62

第参拾肆話 燃ゆるモノを撃つ~Red eyes get wilds. ”H Knotting”

前回は何か特殊な事が有ったか……。

まぁ幻想郷なだけに特殊な事は「異変」という事柄が有るから、特殊とも、将又祭事的日常とでも。

然し敢えて言うなら、何も無かった。そう、何も。

須臾に何かが有っても、其れは認識出来ない為、極論外として。

話は戻し、主人公'陽月さくら'の認識出来る現状は、妖怪退治の専門家にして異変解決のエキスパート巫女'博麗霊夢'の攻撃が、一触即発、須臾の領域でぶつかろうとして居た……。

【熱戦】


「喪心『喪心創(レイニィ・)痍・連射(ディスカーダー)』!!!」

 複数の弾丸が此方に乱れ撃ち。

 霊夢は瞬時に瞬発的に回避し、乱射の殆どは俺に当たるが肉体に迄当たらず、全反射。

「御免ヒー君、大丈夫!?」

 防御の為の交差した腕を降ろし、指で弾丸、基、弾幕を撃ったとされる赤目の鈴を見て、我思う。

「拳銃か。其れも良いな」

 咄嗟に、後ろに回り込んでいる肩掛け鞄から武器を取り出す。

 一瞬、鈴がたじろいだが、おいおい何で劣勢マチガい無しの最中、協力関係で在るお前諸共裏切って葬り去る必要が有る、葬り去られるのは俺だよ。

 妖夢と言う素晴らしき弟子は居る者の、刀剣だけに拘りが有ると言う理由では無い。

 使える物は何でも使う、只其れだけ。

 追われる理由として十中八九の原因だが、四の五の言ってられない。

 四苦八苦覚悟で一か八か、この七転八倒九起の陸でも無い三度目の戦いに、九十九神の武器を使ってやる数字多過ぎ馬鹿の思考。

「B1r0P-05K、MBPG-12」

 矢っ張、馬鹿だな。

 形状はノック式のボールペンとノック式の多色ボールペン、グリップはクリップ、トリガー込、ハンマーがノック、用途は武器、種別は魔弾銃、そして魔弾一斉乱射銃。

 決して日用品で真似なんかするなよ。

 ガトリングガンを瞬発回避から垣間見得た霊夢に向けて放つ。

 然し流石は弾幕ごっこの開発者、開発者だからと言って侮る莫れ、デバッグも彼女がやって居るがと見られる洗練された躱し様、敵乍ら称賛贈呈天晴天晴。

 間合いは既に詰められ、殴る寸前、眼前、手前のお前。

 ラブストーリーのスローガンかよ。

 絶対ヤダ。

 断固拒否を胸にボールペン銃弾を撃つが、相手は神域の獣、そう簡単に狩られる者か。

 上を取られる。

「させません!」

 レーザーが脳天を過る、鈴の弾幕だ。

 光こそ原質であるレーザーの速さを難なく躱す身の熟しは人間離れも甚だしい。

 お前は俺に妖怪と言ったが、お前は本当に人間紛いで化け物染みて居るよ。

 まぁ、漲りの切欠は俺なんだがな。

 続けて銃弾を鈴と共に撃つ。

 三、四発撃ち、ガトリングガンで誘導してボールペンと指鉄砲の銃弾で撃つも効果非ず。

 色に寄り、属性効果及び発病と感情起伏させる此奴は当たれば儲けだが、何分動き回る獲物へのAIM合わせ、不得手らしい。

 彼女へ当てるの無理と言うに俺のAIMの話をするのは、見得ているからだ。

 移動にも一瞬の休息が存在する。

 其処を突いて銃を放つが……参ったな。

 雰囲気に合わせて銃をチョイスしたが、矢っ張俺は妖夢の師匠なのか?

 いや自惚れるな。

 彼女が俺を慕うのは飽く迄此の無情の設定ゆえ。

 今は彼女の言葉を糧に感情を得ようと努力して居るが、其れって『師匠止めろ』の暗喩、遠回しした言い方なのか?

 いやいやネガティブに考えるな陽月さくら。

 でなければ彼女が窮地を覆す為参上するかっての。

 ―――じゃなくてだな。

 剣派で在る事を言いたかったのに何でそんな話に持ち込むかなぁ。

 鈴も居て二対一の卑怯戦法も全く通じない神掛かった神経だって事だよ要点は。


 では改めて―――機能を変えよう。

 B1r0P-05Kは何も一発ずつ撃てるだけの魔弾銃じゃない。

 弾とは言う者の、元はインクなのだから、消防車の消火ホースで放水するようにも打てたり、魔弾自体の硬質性や放射範囲も変えられる。

 オプションも回転、散弾、機関、狙撃と、多機能性魔弾銃。

 従っては―――

Black(ブラック) ()Solar(ソーラー) ()Radiation(ラディエイション)

 黒インクの弾丸を躱されるも、竹にぶつかった弾は風船の様に圧迫され、勢いに耐え切れず破裂し、一面に小さなインクが飛び散る。

 因みに一滴でも当たれば、黒インクの場合は闇属性付与、からの命中箇所の神経停止、絶望状態と言う効果が在るのだが。

 彼奴は蒲公英の綿毛が舞う空中ですら回避出来るのかって言う位、繊細な黒い針を回避する。

 ならば、ライフルだ。

Splash(スプラッシュ) ()Revolutionレボリューション

 回転する弾丸は軟性故に飛び散るが、此れも虚しく。

Fireworks(ファイアワークス) ()Reflectionリフレクション

 反射弾をガトリングガンと共に何発撃つも、矢張り躱される。

「弾切れか」

 MBPG-12は秒十二発撃てて、属性、発病、精神異常のバリューが売りだが、インクの消費量は激しい。

 充填も面倒だ。

 B1r0P-07Rの二丁拳銃にしよう。

 因むと赤いボールペンだ。

 炎属性、発熱、憤怒付与……発汗と混乱からの疲弊のフェスティバルだ。

 主人公に有るまじき武器だろうが、コレ等は飽く迄怨嗟が混合した付喪神。

 継承モンであり、付喪神だから仕方ない。

 其れにヒーローが―――って、考えるには考えても、思い込み過ぎちゃあ気持ち悪いわ。

 そうだ、只の凡人が持った奇跡。

 ヒーローがこんな物騒な物は当然、持つなんて論外。

「闇雲に撃っても意味は無いんじゃない?」

 何時の間にか、てゐが背中に回り込んで掴まって居た。

「確かにしがない頭で下手鉄砲を数撃ちゃ当たる精神だが、ラックも必要か?」

「ご名答。其処でこの因幡てゐ先生のご登場です」

 見た目幼いが―――………(※彼は女性に対して年齢を考えて居ます)

 其れ良か、何かと幼女体型と接触する事多いな。

「然しまぁ、あんな神様擬きに兎さんの幸福で対抗出来るかなぁ?」

「まぁ因幡の白兎ですから。悪戯代償に説かれた恩情の身。取り敢えず、反射銃とか撃ってみたら?」

 下手に出るのか上からなのか良く解らん兎だな。

Red(レッド) ()Thread(スレッド) ()Reflection(リフレクション)

 あたるな当るな当たるな中るなアタルナ。

「ガッ…」

 当たった、クソが。

 霊夢は倒れる。

「ね。命中したでしょオオクニヌシ?」

 神様を気安く呼び捨てにするな俺に憑依させるな。

 憑かれるのは守髪神と付喪神で充分だ。

「いや、未だ独身っぽいからオオナムジか」

 喧しいわ。

 其れとだから呼び捨てにするな。

「で、此奴がヤガミヒメってか?」

 と、ヒツキ、不意にもレイムを指す。

「ほぉ~?」

 しまった、本音と建前が逆に成った!

 シミュレーションゲームの選択ミスだ己プレイヤー。

「此れ又ヒツキ君の脳内は実に愉快痛快なアイデアが渦巻いて居ますなぁ~」

 何だ此奴、何処のオタクだ。

「ヒー君……」

 何故か悲しんで居る兎が一匹其処に居た。

「幼馴染の私と『何時か二人で歩み支え合おうね』って約束したのに……グスン」

 何でそんな遠回しな台詞吐いてんだ俺…………いや吐いてねぇよ己コントローラー。

 て言うかこの兎「幼奈々七馴染み」の意味解ってたじゃねぇか。

 モノ語なのに噛んだわ。

「あ~ヒツキ女の子泣かした~」

 遂に其の台詞を言うヤツが現れた。

 此れ迄に泣かしたのは巫女と幼女とポニテ武器オタクと吸血鬼幼女と半霊剣士t―――此の塵屑粕が、死ね陽月さくら。

「……じ………なきゃ…………」

 息切れた声で何かを呟く奴が居る。

「タイ………し……」

 幻想郷に来て初めて泣かした女が、息切れた声で何か使命感を語る(※最低な男ヒツキが其れを聞き取る)。

 発熱して思考も真面に纏まらず、肉体も碌に動かせない筈が、凄い生命力だ。

 使命感だけで人間こうも生命力を見せつけて来るのか。

「退治、しなきゃ……私は………巫女………なんだか………」

 ヒーローとは此奴の事を指すんだ。

 俺は何処までも傲慢で我を通すだけの悪役。

 其れに歩んだ歴が違う。

 彼女は英雄、俺は犯罪者。

 聞けば永遠亭で起きた異変を期に、その称号が付いたとされるじゃないか。

 何とも皮肉と言うか、見せしめと言うか。

 まぁ、そんな英雄は現状虫の息その者なんだけどな、ハッハッハ。

 こう言った思考が悪役を物語って居るよな。

「アンタの……身勝手で……幻想郷を無茶苦茶になんか、させるもんか……」

 身勝手、か。

 此の四日間は実に濃い四日間だった。

 色々在り過ぎて語るのに何か小さい舞台が欲しい位だ。

 どれも此れも着く場所付いて落ち着いたが、其れこそが異変。

 其れこそ、身勝手だったんだな。

 夢の様な、幻想と言う名の郷が繰り出した、都合の良いが夢。

 其れに浸って身勝手気儘に―――。

 嗚呼、夢なら覚めないで欲しいな、今はそう想える。

 きっと何処までも身勝手なんだ、この気持ちとその気持ちに準ずる己の行動。

 逃げて逃げて逃げて逃げて逃げ捲ったこの現実、幻想と言う名の現実、今の今迄暫定的な今迄の結果、曖昧だとか引き分けだとか有耶無耶などっちつかずの結果秤り引いてきたが、本当の本気の本格な本領で本心をぶつけて、白黒付けなきゃいけないよな。

「させて……たまるかああああぁぁぁぁ…………!!!!」

 博麗霊夢は、振り絞れる力を全て俺と言う悪にぶつける。

「其処迄よ」

 然し撃たれ弱くなる程、疲労困憊。

 と言うよりマジで撃たれた後に、又撃たれる始末。

 その種は矢、射手は永遠亭の塀の上に立つ、八意永琳からだった。

「麻酔の付いた矢よ。此れ以上は彼女の肉体が持たないでしょうからね。どっかの似た者同士さんみたいに」

 そう言うと、塀の上から潔く降りる。

「誰の事ですたい。結局又『保留』って処じゃないっスか此れじゃあ」

「そうね。でも、貴方はもう決まって居るんでしょ?」

「嗚呼、俺は次で決着を付ける腹積りだ。だった、か……」

「そっちもだけど、別の方も決まったんじゃないのかしら、オオナムジさん?」

「かっ、天才ってのは御託が好きだな」

 だが図星だ。

 結局あの時は掌返されるのが早過ぎた鬱憤みたいなので悪態付いただけで、心の底では、心の底から俺はそうだったんだ。

 初めて会った時から、多分、決まって居たんだ。

 泣いたり怒ったり笑ったり、兎に角感情豊かな、当時無情が事情の奴には、きっと―――…………。



【決心】


「ウドンゲ……いえ鈴。取り敢えず仇で堅気な彼女をお家に届けてあげてくれないかしら? 起きた後にこのお薬も飲ませてあげて」

「何で言い換えたんですか師匠。別に執心にも駆られてませんし……」

 と、御薬を持ちつつ、彼女を負んぶで運ぶ。

「私、薬持つよ、鈴仙」

「有難う。任せるわね、てゐ」

 何だかんだ仲の良い兎コンビである。

「兎共。俺からも頼んで良いか?」

 と、準備万端の彼女等の足を止める。

「何、ヒー君」

「茶々っと要件言っちゃってよヒー君」

 ヒー君呼ばわる奴増えたん。

 と、不躾に頭を撫でる。

「まぁ先ずは労いと感謝を込めて愛撫を」

「ほへぇ~」

「うさぁ~」

 兎の恍惚擬音語にうさぁ~が有るんだ。

「流石は”御仏の手の者”。撫でる事に定評の有る事身を以て解ったよぉ」

 そんな異名迄―――……なけるぜ。

「霊夢に伝えてくれ。『俺たちの本当の決着は神社で付けよう』って」

 鈴はその言葉を耳にし、笑顔を浮かべ乍らも、涙汲んで居た。

「解った。ちゃんと伝えるねっ」

 又俺は女の子を二度も泣かした。



 飛び去る兎共を見届け、俺は歩みで少し秤、考えに浸ろうと想う。

 考えなんて知的キャラ演じても所詮は妄想だし……後、彼奴等の下着は見て居ません。

 余計な事を言いました、縞とドロワーです。

 又、罪を重ねました、嘘を吐きました。

「じゃ、世話に成りっぱなし捲り上げ奉りました、八意先生」

 回ると、八意永琳は会話の領域に迄踏み込んで居た。

「ええ、私も無駄に楽しい時間を過ごせたわ。診療だけが、如何してかしらね」

 と、言い乍ら彼女は手を伸ばす。

「天才でも解らない事は有るんだな」

 と、俺自身も手を伸ばす。

「っと、アクセを外さなきゃな―――」

 ―――いや、何事にも恐れる事勿れの手首輪は外して居たな。

 鈴の時以降、付けて居なかった。

 だから当たらなかったのか―――って言う言い訳と言うか、発動させたら又何かしらの過負荷が掛かる。

「何をしているの?」

「嗚呼いや、只の勘違……」

「請求しているのよ、早く出しなさい?」

 オッゥ~……。

「フフフフ………………ッハハハハ………!!! 冗談よ全っ、飽きないわね、貴方」

 えぇぇぇぇ……。

「言ったでしょ―――面白いモノを見せて貰ったって。私が一手出した処でも何も加算されないわよ」

 と、改めて手を差し出す永琳。

「そう言う事か。本当に天才は御託が好きだこって」

 デコに手を乗せてから、改めて己も手を差し出し、握手を交わす。

「それじゃあ、気を付けて」

「嗚呼、有難う、永琳先生」

「フフ。名前で呼んでくれたのは、ボーナス物ね」



【理想】


「理想って何だと思う?」

 竹林からの帰路、魔理沙の家に戻らされる、の逆パで何時でも迷路を出られて魔理沙の家に戻れるのだがですがんじゃが……。

 藪から棒過ぎの「あっ(察し)」、『想』熟語チャプターイン。

「そうだな。知らんがな」

 即答の突き返し。

「返答酷いね、君。コミュ障なのかな」

 何を言ってるか解んない分野では在る。

「俺には、初対面に話す事を自己紹介無しに、自己紹介じゃなしに意味不明な質問で始める方が余っっっっ程コミュニケーション能力に問題有ると思うね」

「ネイだ。『萌え萌えキュン』の萌と書いてネイと読む」

 単調にメイドさんの奥義使う人初めて見た。

 まぁ顔が目だけしか見えないし、恥も無いか。

「ご存じだろうが俺はヒツキだ。文句を続けるが、何より御前の御仲間は取り敢えず不思議感出し集り過ぎだよな」

 扨て、言う迄も無く思想家衆”Filo-noma(フィロノエマー)”が一人、”理想”を司る者のご登場だ。

「否定はしないわ。其れこそが、彼女たちの担当する「想」への『理想』」

「今度の思想家衆は、全てが羅馬に通ずる系か?」

「残念だけど、理想が全て一つに通ずるなんて事は在り得ないの。だから探して居るのよ」

「そりゃあ―――……だがて事ぁナニユエ己は『理想の思想家』と名乗って?」

「言葉を返す様で悪いけど、だから尋ねたのよ、『理想とは何か』って」

 因みに彼女は嗚呼そうだ彼女これまた言う迄も無く彼女。

 俺は今すぐ禊をしたい者だ。

 其の彼女、左目だけ見える構造の所謂、罅割れ卵のプロレスマスクに全身黒マントで覆われた、女声を発する恐らく人類。

「間違っては居ないけど、答えは貴方の言う通りよ。誰にも解らない」

 正しいのではなく、間違っては居ないと言う点は、俺のコミュ力に対しての嫌味だろう。

「此処での『解らない』は、総合と個人の話よ。偶像崇拝とか宗教的な群集心理は在るけど、見え方は人其々よね」

 まぁ、同志とは言うが、想像や価値観、其れに準ずる行動力も個人で大小異なるな。

「現代で言うなら歌って踊れて容姿端麗と言った人間の形をしたアイドル」

 アイドルの語源が神様を見立てた偶像と言う可視出来る何かなのは知って居るし、人間は人間だが。

「だが其処には基本好みが異なる。例えば貴方は、女の子アイドルと言う括弧より、巫女が属性。加えて今のトレンドは白髪の御河童頭、刀剣使い、身長は低め、自分より±二歳以内派、スリーサイズは……へぇ~……―――」

 此奴プライバシーと言うかブレーキを知らないコミュ障か。

「でも其れが万人に受けるとは限らない。貴方は女の子のアレやコレやと理想像が並んだけど、君の理想像の項目が男でも良いと言う奴も居るし、その加算や真逆や否定も有る」

 男でスリーサイズ卓越って……其れも好みか。

「此れはリーダーで在り、幻想家であるフランソワズの言葉だけど―――」

「「幻想の前に現実を知れ」」

「って処か」

 実際には言って居なかったが、フランソワズとの先の戦いを思い出す。

 彼女が幻想を司るには、現実として引き出しては為らないと言う法則性が存在する。

 その法則に従い想像を創造にし、他者が幻想として認識して終う分、結果、幻想の現実と言う矛盾が確立し、相手を圧倒する。

 其れが手間取った理由だ、現実逃避者の俺にとって幻想家の能力は効果として絶大に決まって居た。

「おや、君も思想家に染まって来たじゃないか」

「心外だ」

「其れも又、理想」

「矢っ張、羅馬じゃないか」

「失礼だね。私は此れでも謙虚な方だ。博愛に溢れた羅馬市民たる彼等は堂々として居て其れは羅馬に失礼」

 本当に謙虚だ。

「其れに私は君を誘おうなんて微塵も想って居ない」

「押して駄目なら引いてみろ作戦か?」

「そんな狡い真似はしないさ。やるなら堂々強引勧誘」

 羅馬じゃないか×ねや、思想家衆。

 まぁ、好戦的でないのは助かるが。

「考えて御覧よ。思想家の本懐は偽装世界の救済。だが君は其れが理想的だと想い、我々の勧誘を乗ったか反ったね蹴ったねならば其れこそ君の理想だ」

 何か怒ってない?

「其れに救済して欲しいと言った人間は、君の旅路に一人でも居たかな?」

 ―――居なかったな。

 実行しようとした奴は居た。

 止めようと抗う奴等も居た。

 結果後者が阻止した為、救済だとか否定的だ。

「そう言う事だ。私達は私たち形の考えを持ってしても、世界情勢が其れに賛同するかは歴史が物語って居る……私達思想家は同じ過ちを繰り返そうとして居るのだと」

「アンタはメンバーの内で嫌に否定的だな」

「そうだね。だが否定ではなく謙虚だと。彼女たちは何だか此処に来て気が動転して思想が厖大と言うか暴走して居たね」

 そうだね。

 嗚呼~危なかった。

「本来の役目は均衡維持。向こうが不安定な自然災害の年中無休定期パレードだから、其れを想で抑圧するのが私たちの役目」

 本懐と言う余計な理想は、口に出す者じゃない。

 だから想で在り、想は力になる。

 救済だとかは、きっと回想よりも壮大な時間が解決してくれる。

「然し其れを受容とし需要とするこの地域は余りにもイレギュラーで余りにも危険。何の因果かは知らないけど、如何にかなる前に如何にかしたかったのよ、私達は」

 何となく、空雛の自然破壊に辻褄が合った気がする。

 あの森は魔法の森と呼ばれ、茸胞子で魔法使いと言う種族の魔力活性を促す場所。

 だが一般人にしてみればあの森は地理的迷子だけでは済まない細菌蔓延地域。

 ならば、彼女が森林伐採も厭わないのが人の為だったなら、納得は行く……結局は名の通り、空回りして罰せられたのだが。

「其れも結局無駄骨。此処の地域の名前を聞いて、空雛の知識を聞いて納得したよ」

「何だ。此処はそんなに有名なのか?」

「有名っちゃあ有名。だけど其れは理想に反する有名。だから教えないで措くとするよ」

「其れは親切な事で」

「親切? 私は親切なんかじゃないよ。優しい方だ。親切は、我が子を千尋の谷へ突き落とした獅子の行為に背いて攻略法を教える事だ」

 おっと、どっかで聞いた事の有る台詞だ。

「君は此の郷を満喫したいのなら、私は君の理想に付き合おう。其れが理想の思想家だ」

 山谷が波の畝りみたく在ったが、今は平坦となって和解したし、根は良い奴等。

 そして此奴は良識的で、謙虚な奴は空雛の次に嫌いじゃあない、尊敬する。

「確かに、優しいな」

「話に付き合ってくれた事兼ねて、有難う。最上位の理想を今から果たすだろう君の健闘と無事と無事を祈って居るよ」

 何で二回も無事を言ったかが解んねぇが―――

「本当に話したかったが理想なのが良く解った。理想に倣った、献身的御役だ。其の恰好も理想の為か」

「そう。一つのコスに固執しちゃうと、其れは誰かの誰かへの理想。誰かの為に着飾るなら、丸でアプローチだね」

 気に入る奴も居るだろうよ、謎系女子って。

「だがまぁ、其れも理想だと言って終えば、理想家失格だな」

「君は嫌味を込めたいんだろうけど、矢張り、間違っているね」

「んぁ?」

 ネイは視線を外して居た。

 またマチガえたのか……。



【再参】


「戻れ」

 呟けば、場所は魔法の森の一邸、霧雨魔理沙の家。

 扉前より少し離れての登場。

 座標と言った次元論に問題は無し、足が地に埋もれるなんて悍ましい体験はしない。

「よぉ、待ってたぜ。ヒツキ」

 妄り耽った処で、後ろから声がする。

 扉の前で手を後頭部に構え立ち寝入りしてた魔理沙本人だった。

「応、魔理沙。暫く振りだな。大丈夫だったか?」

「お前に対する嫌味は汗の分垂れたい処だが―――取り敢えず神社で縛られた儘、地熱焼きにされそうだったぜ……」

 実際に有りそうだから物騒だな。

「………―――行くのか?」

「嗚呼、最終決戦だ。又神社へ向かう」

「ハァ……もう焼かれるなんて事は無いだろうけど、夏の陽光には当たりたくないけど、仕方がねぇや。最後迄付き合うよ」



 飛び出してから数分も経たず、博麗神社の在る山の最下に降り立つ。

 ―――此処から始まった。

 此の階段の様に、此の騒ぎ立つ蝉の様に、此の群がる夏の気温の様に、長く、騒々しく、暑い物語だった。

 夢事で覚えて措くにも、無意識下では語るに難しいな。

 メモを取ろうにも避暑地に辿る頃には忘れて居る。

 そして今から向かう先では、現実と言う運命と言う、結末が決まる。

 空想の現実か、現実の現実か、幻想の現実か。

 魔理沙は登り切らず、残り六、七段の所で止まり、俺を見送り、そして俺は階段を登り切る。

 鳥居の真下に立ち、石畳参道の中腹にて、横向きに立ち、風に靡かれる少女の姿を確認する。

「よぉ、博麗の巫女。先振りだな」

「あら、良く来たわね、妖怪」

「二度渡る因縁に決着を付けに来た。引導を渡しに来た。仏も座禅を止める頃合いださぁ、殺し合おう」

「ええ、アンタが此処の者で無い限りルールは適応せず、解決策は生きるか死ぬか……其の二択よ」

「シンプルで良い。白黒付けようぜ―――」

「ええ―――」

「行くぞクソ尼ぁ!!!」

「行くわよクソ野郎ッ!!!」

 お互いに罵声を放ち、怒髪天に達する気迫がお互い吹き出し、宿敵の元へ俊足で駆け寄る。

 然し、間合いの手前で、勢いは消え去る。

 互いが戦意を失ったが、始めに止めたのは霊夢の方だった。

 ヒツキは其の瞬時の出来事を見て理解した。

 彼女が揮う拳が下ろされ、怨嗟の混じった憤怒に染まった表情が途端に悲哀の表情へ、涙を流し倒れ込む。

 握られた拳は開き、前倒れの彼女を抱える。

「―――………駄目、もう…顕界よ……辛い…………」

 今の移動で体力が底を尽きたのか……然し彼女が此方に向ける表情で、その思考は一変する。

「私、如何したら良いの……其れは間違って居るのに、成し遂げなきゃ……行けないのに……」

 頬を赤らめ、汲まれた涙は目に浸り、或いは流れ、其の表情は最早―――

「攻撃を当てる度に、苦しい。罵倒する度に、哀しい………もう、耐えられないのよ、抑えられないのよ……」

 泣き顔を胴に埋める。

 そんな、まさか、彼女が、だけど、あの時は―――……。

 彼女との接触そして彼女の表情、この状況……―――。

 殺し合う筈だった、結果を導く筈だった、己を押し殺して。

 目の前の、空想でも幻想でも理想でも無い想定外の現実に困惑して思考が纏まらない。

 若し彼女が言ったあの時の言葉は―――………。

 先ず出来事が真実で、そして一瞬で嘘と掌返された其れも嘘だった………なら、と言う事は。

「み、巫女さ……―――」

「ヒツキ………私……―――」

 此の戦いの全てが終わる―――其の瞬間だった。

 神社の拝殿前の空間から電撃が流れ、流れ、増えて、恐らく球体の形状で電撃は走り、歪ませ、回る様に穴が開く。

 青く、白く、吸い込まれそうな其の穴に、見覚えが在った。

 在れは、”転生転移輪廻次元(End is Start Point)”……そんなチルノげた名前を命名したディメンション・ワープ・ディメンション……如何したってチルノ。

 いや、此れの元を辿れば俺なんだから即ち俺、馬鹿。

「わーっ……!」

 何故今其れが出たのか、脳死が続く中、視線の中で起こる事、見る事だけで精一杯だった。

「あっ……ぶなぁぃ。危うく扱ける処だったぁ~―――……」

 水色のライトサイドテールヘアー、前髪の雫ヘアピン、全体の装いは夏用学生服。

 カッターシャツは胸開き過ぎ強調し過ぎ、スカート丈は傘の様に上に開き過ぎ短過ぎ。

 腰に巫女装束をぶら提げ、アームウォーマーを付けた少女……彼奴が、彼奴が、ディメンションを貫けて、此方に遣って来た、遣って来やがった。

「一会……」

「……あっ、たっ君」

 一期一会が、幻想郷に遣って来た―――。

またまた出ましたオリジナルキャラ。

今度は陽月さくら前世のヒロイン枠と言えようキャラのご登場です。

そして次回、霊夢、陽月さくらとの戦いに決着が……Have a nice day☆

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