第参拾話 天と川は流れ往く~Full bloom Earth. ”H uploading”
粗筋:橋姫の水橋パルスィと挨拶を交わし、ヒツキ、凄まじい力を感じ取り派手に現れる真の鬼、星熊勇儀と遭遇する。言う迄も無い戦闘が地獄を震わせ、今始まる!
【先手】
「あ、そうだ。名乗って居なかったな」
此れから決闘みたいなのを始めるってのに、自己紹介無しは恰好が付かないな。
盲点だった。
「そうだそうだ! お互い名前を教えて居なかったな、盲点だ!」
見えないものって多いよね。
「俺は―――」
と紹介しかけた処、鬼が手を前に出し止める。
「待ちな、吹っ掛けたのは私だ。私から名乗らせて貰おう」
レディファースト、は言語的に多用しない。
「どうぞ」
と、左手で差し上げる。
「私は“星熊勇儀”。見ての通り泣く子も黙る鬼の一族だ。宜しく頼むよ?」
力量を腕の形で現す。
コレは手強そう。
「陽月さくら。只のロクデナシだ。宜しく」
「随分浅い紹介だね。其れで良いのかい?」
「ヒツキと呼んでくれ。後、追われ身」
「解った。じゃあ坊や、アンタから来な」
あ、坊や呼びなのね、良いけど。
「じゃ、お言葉に甘えて……」
手加減の話を先にしたけど、矢張り時空を破壊するとなると流石にコレは異変だと。
込める力は指の数分だと想って居たが、今は神の数珠である手首のソレが至る力を為す。
百八の煩悩の数値、其れを尾涅と純頭で割り当てる。
腕力火力と攻撃力、耐久力に速力、十点八で分割増幅して、っと先ずは脚力で相手に近づかなきゃな。
「”運動神経能力増幅~山高き神代の薄墨三春滝(Full bloom Earth)~”。ヒュッ―――」
息を吐き、軽く地を踏み付ければ、先の粉砕着地とは違う、少し土埃を吹かせた高速移動。
視界は直ぐ様勇儀の射程を捉え、彼女目掛けて拳を放つ。
「陽月“寒冷型爆炎肉弾~black flare~”」
黒い炎が左腕に流れたかと思えば、炎は勇儀に放射。
だが、彼女は野球球を掴むかの様に、炎を拳諸共、素手で受け止める。
「未だだ。こんなモンじゃないねぇ」
「おっ……とぉ…」
宙に浮く爆炎は静かに鎮火する。
そして勇儀は爆炎を掴んだ儘、足から物理的に落胆するヒツキの腹部に重い蹴りを喰らわす。
咄嗟に攻撃力、重力、速力を弱める右手を出すにも、ヒツキの身体は先の高速移動にも引けを取らない程度に、気が付けば壁に打ち拉がれ、そして地面に倒れ込んだ。
痛みは無いが、髪神の守が発動しても尚、野球ならぬプロ級の蹴球シュートの様な吹き飛ばされる蹴りに、そして蹴飛ばされた勢いに、流石に意識がたじろいだ。
俺が蹴球球かよ、歴史か。
神のご加護は完全な無敵防御でなく、接近して来た障害物のベクトルを一つの壁で押し込んで相殺するだけ。
おまけに其の壁は遠退く毎に小さく、薄く、弱くなり、一枚、又一枚と出すにも時間は掛かる。
その為、風は難敵だ。
勢いが竜巻なら、吹き飛ばされるは愚か、吹き飛ばされる姿は愚か、瓦礫も容易く貫通するだろう。
何より至る勢力を弱めても衝撃波と言えようあの蹴り、反則過ぎるだろ、鬼の力。
まぁ力の増減を返還する武器持ちだったり、新たな森羅万象を創り出す本持ちだったり、反則キックを容易く防ぎ切れる髪の毛持ちには言われたく無いでしょうが……物持ち過ぎの設定盛り込み過ぎなんだよ。
盛って居るのは髪の毛だけで充分だよ。
【決闘】
「……さぁ、こんなモンじゃないだろ? 坊や。もっと全力で掛かって来なよっ!」
扨て、弐拾玖話、小数点パートも有ったんで壱話前の冒頭に戻る。
いや、零点伍話前か?
解らん、壱日と言う名の物語に分けられるパートなんて朝昼晩だろ、時々、夕。
労働なら分けれそうだな。
そのパートじゃねぇよ寒いし労働の話はするな。
て言うかアレ夢として扱われませんでしたっけ?
あ、愈々妄想が夢想と予想をも扱えるチートスキルだと判明されましたね。
未だ能力持って居たか、そろそろ死ねや。
だが立ち上がる。
一度は死んだし、そして、死ねない理由が其処には在る。
「スペルカード、発動………」
何より決闘だから、死ぬ事は無いにしろ、負けで終わらすのも男としてはプライド、意地ってのが……って良く言うじゃん。
そんでもってやられ続けの負け続けで打たれてちゃあ、今日はもう立てないぜ?
体力的に、精神的に。
「『陰符』満月の光輪~ショットクレセント~」
一刻って必要は無いけど、俺は知りたい。
彼奴が何故俺を退治する、幻想郷から追放しようとするに当たって虚言で失意させようと語らう、其の真意を。
「ヒッ」
お粗末な知識と腕で作った駄作のスペルカードは、華麗に回避され、間合いを取られ、腹に重いアッパーカットを喰らい、空高く上げられる。
重くは在っても痛みは無い、喧嘩での攻撃を防具で防いでいるみたいなモノだ、結構ギリギリに、な。
地獄を出そうな程飛ばされて、勢いが消え、落ちる迄考える。
若し納得行くモノなら責めて、後三日ぐらいは観光させろ。
そしたら又別の異世界へ飛べるよう努力はする。
そうだ、努力、今も明日も努力は怠っては生けない。
コレは腕輪でも上げる事は出来ない力だ。
地面に叩き付けられる。
此れも又痛みは無い。
無いが矢張り落下中の風は重い。
「簡単過ぎる。弾幕でも良いけど、私が見たいのは坊や自身の本気だ。最初の拳以上の、本気の、全力の、全身全霊を持った力をこの鬼に奮ってみな!」
無茶の苦茶を言うな、全力ってのは本気で危ないんだぞ、自他肉体的にも、時空間的にも……何なら今の落下負傷的にも。
其れに俺自身の本気なんて所詮は借り物だ。
俺の本気は如何したって制御が掛かり、平均女性筋力未満、平均男性筋力以下程度だと言う事も知れている。
だが何故立ち向かうんだろうな、闘うんだろうな。
決闘とか、男の意地とか、考える事なんて無かったのに。
無様に逃げて、目的をさっさと果たしに行くのが現状絶対間違っていない筈なのに。
低空跳躍で再び相手の領域に近付き、殴りの次は蹴りなんて別に拘りは無いが、大地を手で掴み、逆さまの態勢で相手の腹へと蹴り込む。
「上弦三日月~Up Arc~!」
だが、足なら足でと、下駄で蹴りを防がれる。
下駄の間で挟まれる足を遠避けさせブルマか、大地を少し転がして、足で玉乗りを利かせる。
「陽月―――」
不安定なバランス調整の中、瞬時に跳躍し、相手に連続殴打撃を押し付ける。
「”四十六億年の玄黄~Left Light Blessing~”」
右腕は異様に速く、左腕は目で捉えれるも燃ゆる様に重く、然して成り立つは太陽と月の公転。
陽光はその身を包み、月光はその身を狂わす。
故に俺は陽月、この大地を、真と偽りで照らす者、とか言ってみる、ウワッ、恥ずっ。
その羞恥たる醜態を更にこの鬼は貶める。
何だ此奴。
月光の拳は反射神経で避けられ、陽光の拳は掌で防ぐ。
「マシには成った。だが未だ出来るだろう坊や、何を躊躇う?」
「此れでも世界への加減だよ。星熊こそ、俺に何を求める」
「初めから言ってるさ。坊やの全力、坊やの底力、坊やの本気、其れを私に見せてみろ。でなきゃ―――博麗の巫女は倒せねぇぞ?」
如何して其処で巫女さんが出て来る……とは思わない。
こんな化け物力学、異変だとか弾幕ごっことか何でも良いから巫女さんとぶつからなきゃ其れはおかしな話だ、現実味の無いではなく、正に平和的な笑える話だ。
「……何か知ってそうな口振りだな。道中突然、試練の強敵に立ち会う訳がねぇ」
連撃は継続中。
「そりゃそうだ。アンタの事は同じ鬼である奴から聞いて居てね。巫女は最近其奴の話をするのなんの」
又貸しな情報伝達です事。
「至る所での噂は”死を幻想にする者”とか”太陽と黄金光の魂”、”無我界の悪流仙人”、”弾幕ライダー”」
知らない内に身に覚えの在る打っ飛んだ異名が増えて居る……。
「後は、確か……【最底辺の裁定者】って書いて[Low Ruler]とか」
え、やだ恰好良い、其の仇名考えた奴特定キボンヌ。
VIPからきまsたか、そうですか。
「まぁそんな事は如何だって良い、二の次だっ!」
と、漸く俺の猛攻らしき連打を振り払う様に、上段蹴りが勇儀から出される。
感知したヒツキはすぐさま後退し、中腰で立つ。
「―――最初に私が思った事は、強そうな奴だって事さ」
今の情報から如何やって強者候補検定が出来るよ?
「若し最初の演出が逃げ腰抜けだったら如何してたよ?」
選択肢は幾らでも、賢そうな質問を選ぶ。
「そん時はそん時だ。私から逃げる様じゃ、博麗の巫女に再戦しても結局は逃げるだけの現実が待ち受けて居ただけだ」
と言って、苦衷面から殴りに掛かる。
そりゃあ辛い運命だ事で。
又地面が砕けた。
「だが坊やは逃げるように見せかけ、余裕に見える演出をして見せた。この退屈凌ぎが本音でしかない、それっぽい様で意味も正統さって奴も無駄なこの決闘に、私に挑む度胸、度量を見せて来た」
強者の立ち振る舞いってか。
矢っ張俺の強者検定、誤認と言うか受験する気は御座いません、御金返してぇや。
まぁ其れが逃げってのに成るのかな……。
「でも力量や技量が足りなければ敵わないよ、あの巫女には。おまけにアンタは外来人。巫女の一声無ければ、”弾幕ごっこ”での優劣付けは論外に成るってモンさ」
だから彼奴は容赦無い?
いやでも御札も針も拳も幣も弾幕の一環だと想ったがな……。
其れに優劣付けれた事は一度も無いよ、割とマジで。
「だから、全力が必要なんだよ。坊やの場合は、追われ身としての、意地や責務ってのを果たさなきゃ、認めて貰えないよ」
それで俺に稽古みたいな試練みたいな絶壁みたいな立ち塞がりに掛かると。
凄い殴り蹴りに掛かる。
「とは言いつつも、さっき退屈凌ぎってのを引っ張りだせば、幻想郷のスペルカードルールを逸脱して適用外を縦横無尽の一網打尽にしたかっただけなんじゃないの?」
「カッハッハッ、違ぇ無ぇ! 綺麗事は弾幕ごっこだけだった様だ!」
映姫ちゃん、此奴に天誅下してください。
そう願いながら、左肘と横腹に思い切り蹴りを受け、打っ飛ぶ。
「それで、壊されるだけの玩具に成り下がるのかい、坊や?」
……今日迄、色々有ったよ。
今日なんて大雑把に括れねぇ。
一時間、一分、一秒、一瞬、振り掛かる出来事が火の粉だったり雨だったり、時季外れの霰だったり。
今日は台風だったな、雨と風と雷も、嵐かもしれねぇ。
悪天候みたいな日々その全てが経験に至り、己の成長を鑑みる。
正直、拳を握る経験での成長って如何なのかと思うが……きっと、そう言う星の下に生まれて来たんだろうと、何か認めざるを得ない。
でも何時か、握る物が拳じゃない日々が訪れるのだとしたら、その時迄、只、戦おう。
為は未だ見当たらないけど。
そうだな、今は、己の為。
大体は、己の為。
「何時から俺が玩具だと錯覚していたよ。良いぜ、本気、出してやるよ。但し、鬼として生かすギリギリの全力だ。圧倒されて背中付けるんじゃねぇぞ?」
震える体を起こし、左手甲を額に、指を曲げ拳を強く握り締め、右膝に右手を乗せ、右足上げて四股を踏み、左手を腰元に構える。
「キッヒッヒッ。………ああ、来いっ!」
余裕が好きな鬼”星熊勇儀”は、酒を飲みながら左手を前に出す。
ぶっこいてろ、今からぶつける領域に星熊勇儀入場以上のクレーターを空けてやるよ。
「愚霊・人 ・(gray to)…」
色は黒だけに収まらず、赤、橙、黄、黄緑、緑、青、紫。
虹彩色だけじゃない、ありとあらゆる、デジタル的に言うなら千六百七十七万七千二百十六通りの色彩。
それら一つ一つが力を現し、陽月さくらと言う凡人の左腕に込められる。
脚力は未だ速さを忘れず、然し、初手の速さとは圧が違う。
コレが全力、コレが本気。
神速を遥かに超え、遅れて大地は盛り上がり、蛍光緑の三日月と、灰色の夜空が目にか細い光線を流した時、標的の範囲を捉え、”陽月さくら”と言うロクデナシの出せる、損失膨大不可避の一手が繰り出された。
「―――蛮鬼手(Vanquish)ッッッ!!!」
其れは、地球に隕石……いや、遥かに大きい天体がぶつかり、二次関数性膨張宇宙論か、特別相対性ブラックホール理論か。
もう何言って居るか解らない、そしてこの攻撃も何か解らない、混沌の渦に回る力の全て。
何が起こっているかも解らない、相手の左手に触れたかと思えばすぐさま大地は競り上がり爆発し、粉塵を撒き散らし、世界は終わるかの様な震動で踊り、環境音は最早無音に達する程、騒音。
「―――ハァ…ハァ…」
数秒間だけゾーンに入り浸って居たかの様に思えた己の集中力は、呼吸息と共に切れる。
腕が震え、血が沸いて燃えそうで、筋肉が神経諸共千切れそうで、骨が折れて腫れて痛みに成りそうだ。
髪神の御加護と言う回復が在っても尚、此の攻撃はリスクが大き過ぎる諸刃の剣だ。
だが流石の鬼も、外処か人住む里に二度と近付かない桃太郎印の隕石大豆喰らっただろう急にダサい。
煙が薄れる。
「ハッハッハ。やれば出来るじゃないか」
!!??
「矢張り、坊やは坊やの通り、其の覇気を拳に込める事が出来た。うん、博麗の巫女に只討ち負ける事は無いだろうさ!」
た、態勢が崩れてすら居ない……殴る前の儘、左手を前に突き出した状態、掌に少し湯気が出て居るだけ。
「だがまぁ、お見合いの話は無しだな。及第点だが、未だ私に並ぶには遠く、高く及ばない……」
「いや其れは別に構わないが」
強いて言うなら、ホント意地を張って微々たる変更点を申し上げるなら、体操服が一寸破れた位だ。
―――此れが鬼、人間の力を圧倒して凌駕する存在。
桃太郎が倒せたのも、其の時代の人間って生物が遥か遠くの年代的に若くて化け物染みていた。
だから忍者は存在して居たし、刀を納めた時には斬られて居たんだ。
全く、年代経ち過ぎた劣等人種だよ。
まぁ忍びになる事も剣を取る人生も必要性が無かったんだけどな。
事、努力に於いて、速く走ろうとする者や高く跳ぼうとする者、剣道を進む者、ガチの真剣持って居合いを会得しようとする者は居るさね。
俺のはあくまで借り物、人間の脳に寄る運動能力の自動制御の箍を外して十二割出せれども、其奴の肉体には熟練度や経験値が存在する。
一レベルが百レベルの能力を使えたとしても、八十レベルに適う事は無い。
「アレだけ本気を出して服が装備が一寸だけ剥がせたってのは流石に凹むな」
彼奴もそうだっけ? そうだったかな。
「ん? おや、確かに破れてるね……じゃあ服の代わりに成れよ」
「いや成れって貸すには貸すけゴモッ…」
星熊杯を地面に置き、強意的胸囲、そして腕で包まれる。
「……良く頑張った。あの博麗の巫女、今一寸混乱して居るから、助けてやってくれよな……」
? そりゃあ、如何云う事だ?
矢張り、俺を陥れる事には裏が在る線は正しかったって事か。
て言うか俺って何か女と接触したら性別変換する筈だったんだが、何時の間にか無くなったよね、咲夜パイ先時もそうだった。
「生きていたのね、陽月さくら」
聞き覚えの在る冷えた声を耳にする。
【真相】
「よぉ、巫女さん。先振りだな」
「博麗の巫女か。何故又旧都にやってきたよ?」
「そりゃあ沢山の大規模な揺れが起こって居て、震源と言うか爆発音みたいなのが此処から聞こえたんだから、出向かない訳には行かないでしょ?」
マジかよ、地上にも影響して居たのか……又変な仇名が付きそうだ。
「で、此の争いの痕跡、どっちの仕業なのかしら?」
大幣の持ち手を伸ばす巫女に、ヒツキと勇儀、二人顔を合わせてから、霊夢の方に視線を戻し、
「俺等二人でやった」
「私等二人でやった」
霊夢は腕を上げて大幣を肩に乗せ、
「あっそ。何方にせよ其処のロクデナシは退治するけどね」
「だろうな。延命や蘇生がばれりゃあ、また潰しに来るのは道理だ」
「さぁヒツキ。此処が男の見せ所だ」
あ、坊やから名前で呼んでくれた。
何か成長って言うか認めてくれた感が有って嬉しい。
「決意は固まって居るが、抑々俺の目的は彼女との同行しての事だ」
「何だよ『弾幕ごっこ』で洗い浚い吐かせれば良いじゃないか」
只暇潰しの肉弾戦で試して来た奴の言い草か其れは。
いやまぁ暇だった事を勝敗関係無く正直に教えて下さりました、良い鬼ですよ実際。
「さとりん巫女さんは何故俺を狙うんだ。晒の向こうは見透かしたか?」
取り敢えず後ろを見て、お空ちゃんが御空を飛んで居る事を確認し、さとりんも居るだろうの体でお空ちゃんに話し掛ける。
「私さとりんじゃないよ~、お空だよ~?」
知ってる。
そんな異変級でマジ不思議そうに質ねられましても。
処で未だ飛んで居たのね。
そしてお空ちゃんの背中からひょっこり顔を出す。
ずっとペットの背中と言うのか捕まって居たのね、さとりん。
「ええ彼女は『さとりん』では有りませんし、私も『さとりん』ではなく『さとり』です」
苛。
「如是我聞・一時仏在舎衛国……」
如是我聞 一時佛 在舍衛國 祇樹給孤獨園 與大比丘衆 千二百五十人倶 皆是大阿羅漢 衆所知識 長老舍利弗 摩訶目犍連 摩訶迦葉 摩訶迦旃延[4] 摩訶倶絺羅 離婆多 周利槃陀伽 難陀 阿難陀 羅睺羅 憍梵波提 賓頭盧頗羅墮 迦留陀夷 摩訶劫賓那 薄拘羅 阿㝹樓駄 如是等 諸大弟子 并諸菩薩摩訶薩 文殊師利法王子 阿逸多菩薩 乾陀訶提菩薩 常精進菩薩 與如是等 諸大菩薩 及釋提桓因等 無量諸天 大衆倶
爾時佛告 長老舍利弗 從是西方 過十万億佛土 有世界 名曰極樂 其土有佛 號阿彌陀 今現在說法 舍利弗 彼土何故 名爲極樂 其國衆生 無有衆苦 但受諸樂 故名極樂
又舍利弗 極樂國土 七重欄楯 七重羅網 七重行樹 皆是四寶 周帀圍繞 是故彼國 名曰極樂
又舍利弗 極樂國土 有七寶池 八功德水 充滿其中 池底純以 金沙布地 四邊階道 金銀瑠璃 玻瓈合成 上有樓閣 亦以金銀瑠璃 玻瓈硨磲 赤珠碼碯 而嚴飾之 池中蓮華 大如車輪 青色青光 黄色黄光 赤色赤光 白色白光 微妙香潔 舍利弗 極樂國土 成就如是 功德莊嚴
又舍利弗 彼佛國土 常作天樂 黄金爲地 晝夜六時 而雨曼陀羅華 其國衆生 常以淸旦 各以衣裓 盛衆妙華 供養他方 十万億佛 即以食時 還到本國 飯食經行 舍利弗 極樂國土 成就如是 功德莊嚴
復次舍利弗 彼國常有 種種奇妙 雜色之鳥 白鵠孔雀 鸚鵡舍利 迦陵頻伽 共命之鳥 是諸衆鳥 晝夜六時 出和雅音 其音演暢 五根五力 七菩提分 八聖道分 如是等法 其土衆生 聞是音已 皆悉念佛念法念僧 舍利弗 汝勿謂此鳥 實是罪報所生 所以者何 彼佛國土 無三惡趣 舍利弗 其佛國土 尚無三惡道之名 何況有實 是諸衆鳥 皆是阿彌陀佛 欲令法音宣流 變化所作 舍利弗 彼佛國土 微風吹動 諸寶行樹 及寶羅網 出微妙音 譬如百千種樂 同時倶作 聞是音者 皆自然生 念佛念法念僧之 心舍利弗 其佛國土 成就如是 功德莊嚴
「いやホント済みませんでした。愛称ですよね、解ります」
気を付けろ。
「心読む悟り妖怪に対して取り敢えず長い文章読むぞ俺は」
「何だか道徳を削がれそうな教唆ですね、晒の向こうと言い」
晒の中を早よ。
「まぁ先ずは御目出度う御座います。鬼は人間と圧倒的力量差で物言うプライドの種族故、意固地ですが、彼女は心から貴方を評価していますので、鬼云々は論外にして己の持つ奇跡の力に自信を持ってください」
「煩い放っとけ……」
照れ臭くて勇儀は向こう見て頭掻く。
「然し、残念ですね。私も何か褒美を与えたい所存ですが……」
位置的も兼ねて何でそんな上からなんだよ。
「ええ、ええ。目的である博麗の巫女が何考えて居るのかは、昨日の朝飯前を覚えて居る位、楽勝な事ですが」
食事前を覚えて居て何が凄いんだかだが、それにしても何だ歯切れの悪い。
別に伝えろと迄は契約には入って居ませんとか詐欺の手口使っておさらばする気か。
「とんでもない。私はあくまで地霊殿に慎ましく生活しているだけの覚り妖怪。貴方のアドベンチャーに興じて参加したのは事実ですが、結末が実に……勇儀さんが事情を知って居た時点で大凡予測出来ていた分、詰まらなかったですね」
はぁ。
「矢張り物語の表現は本に限ります。演劇やお芝居だと役者、語り手の要らぬ内心を読み取ってしまいますからね」
「此処で此の台詞を言う」とか「観客盛り上がっている嬉しい」とか。
「帰りましょう、お空、又『間欠センター』の管理を宜しくお願いします」
「は~い」
其れは其れは、本当に無責任だ事で。
「嗚呼コレは失礼。別に悪意が有ったのでは無く、貴方も知って居る簡単な事なので、敢えて言わなかっただけです。守矢の風祝さん曰く、個人の秘密は、障らぬ神に―――と、お聞きした事が有ったので」
そうか、早苗さんが一体何者なのかは知らないが、全く以てその通りだ。
「プライバシー」が流通して居るのには驚愕の事実だが。
「其れではヒツキさん、褒美を課題にして申し訳なかったですが、此れにてお別れです。流れ弾は桑原ですので。貴方との会話は妹以来で楽しかったですよ。又遊びに来てください」
「ヒツキ~、ばいばーい」
「ばーい」
【扨て】
「待たせたな、巫女さん。律儀に心を音読される全裸待機して居て如何も有難う」
「良いのよ。さとりには内心脅して居たから」
おっと、買収して居たか。
さとりネットワークって幅広いな。
「じゃあ、又退治させて貰うわよ」
「じゃあ俺は弾幕ごっこの体でお前を黙らせる」
「悪いけど利かないわよ。外界のアンタは」
「なら互いに殺傷的に潰し合うしかねぇな。悪いが『紳士』陽月さくらは女に手を出させて貰うぜ」
「アンタは手も足も出ないわよ」
サブタイの話Part2(※1は前々回)なんですが、
第一章は処女作と言えようお触り回、主人公も記念すべき本格ストーリー出向新人回だったので特に拘りや法則性はありません。まぁかっこよさそうなタイトルは掘り出したかと。
第二章は兎に角「色」です、見ての通りです。ただ『色彩』と言うより「○色」と言った熟語からの掛詞であり、紅魔館でのお話は、紅一色に非ず、紅魔郷登場キャラ一人一人、十人十色のスポットライトを当ててみた感じだと……尚、表紙の在るpixivでは紅美鈴は描かれていないとか……。
第三章は、ゲームのざっくりした進行、然し上中下程度の大分短いチャプターでした。申し訳程度に番外編も有りましたが。何時だか、いや別の方で話したでしょう東方関連の某同人サークルを尊敬してサブタイを付けさせて頂きました。イミフな様で、案外内容に合っていたりなかったり。
第四章は、童謡です。英語タイトルが主意みたいなものです。そう言えば四章は死(四)んだ話、且つ、参章は「館に参る」的な意味を込めたかったので、第三章に吸収を最近考えましたが、やっぱいいです。
そして現状第五章、第一章に戻った感じの中二病感満載のサブタイですが、まぁ韻を踏めている英語も有るので、別にいいかな。起承転結の「転」部分ですし。加えて"H 〇〇ing"と表記して居ますが、主人公ヒツキが現在進行形で何をしているか、ってのをザックリ説明して居ます。”ヒノヅキ・ドゥーイング”と言う理由です。
永くなりました、次話どうぞ。




