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幻想の現実≠東方空界霊  作者: 幻将 彼
第肆章「青年は死を目の当たりにし、彷徨った。」――死生異変.
36/62

番外編 下の下での前夜祭~RYG signal~

博麗霊夢との会話を終え、空にて眠る奇行に走るヒツキ。

然し蘇生仕立て即ち起き立て故に―――。


【不眠】


 眠れないっ!

 何故(空を)見てるんですっ!

 オンドレ裏切ったんですか?!

 ブレスレットを見やる。

 左腕『純頭・織姫』、右腕『尾涅・彦星』。

 言う迄も無く七夕伝説が濃厚。

 天の神様の娘っつー、澄んで且つお偉い仕事を持つ者、優秀な牛飼いっつー現実的で大地を踏み締める仕事を持つ者。

 二人は相反しても惹かれ合うみたいなロマンチックウェポンで、確か増えるモノ減るモノは御互い、使い過ぎると効力を発揮しなくなる。

 働き過ぎも良くないと言う事だ、そりゃそうだ。

 過労死と言う言葉が常識と言う誰かの都合となり。

 ……なんてクソ論理的な話は止めて。

 図書委員、パチュリー・ノーレッジが七つの属性魔法を持って居つつ、喘息を持って居るから本調子出せたり出せなかったりの、強者に成れない強者みたいな世界のパラメータバランスよ。

 俺TUEEEも侮る事無かれ、制限は在るさ。

 此のブレスレット、軽く時空を歪ませて天地を狂わせ兼ねない事が出来る力、無限無制限だったらコノヨノオワリヅキサクラ。

 取り敢えず、腕から外してブレスレット同士をくっ付けて、休ませる具合だ。

 ブレスレットで作られた空間だが、その点は混沌本が抑えて居るから安心として。

 ………だが眠れないな、良し。

 一寸出る、空間は俺だけには見える、居なくても固定、を設定に上書きして、少し辺りを飛び回ってみるか。




 馬鹿か俺は。

 いや、馬鹿だ俺は。

 いやいや、馬鹿だった俺は。

 いやいやいや、馬鹿に失礼だ俺は。

 夜目が効かないからと視力を上げて眠気を誘い、宛が外れ起き上がり真夜中の幻想郷を飛び回る……。

 見える理由がねぇじゃねぇかねぇねぇか、最後使えたのが視力増幅なのだから、増幅された力は何れジワジワと消失して行き、消失し過ぎて行き、副作用でぼやけ見えなくなる迄が待ち構えていると言うのに。

 あの空間に即座戻る為の合言葉を用意すれば良かった、魔理沙が「戻れ」と言ったら霧雨亭の玄関へ戻る用紙みたいな。

 何でも出来るは何にも出来ないと同じだな。

 ……希望の光。

 何か屋台がやっているみたいだ。



【屋台】


 いやだからチャプターは俺が言ったってーの、稼がなくて良いから。



【相席】


 嗚呼良いじゃん。

 何が如何出るか良く解らん感じ。

 其処に出て来る人物の種族名若しくは特性とか安直なのじゃない感じだ。

 認可します。

 何がじゃ。

 扨て扨てサテライト。

 此処は如何も焼き類の屋台らしい。

 移動屋台にも色々有るからな、おでんだとかうどんだとか、煮た物ですね、似た者同士ですね。

 今日は良く冷える、其の儘凍死しちまえ。

 有無、先客が二人、見た事の有る腰付きとスカート色だが……。

 腰付きで解るとかいよいよ俺ヤバいな。

 ヨルヅキさんは成人コース行っちゃいますか? 齢十七の癖に。

「失礼、やってる?」

 暖簾を払い、中の様子を覗く。

「ええ、絶賛営業中だよ! おや、人間の御客とは珍しい」

 其処に居たのは、翼を生やして、俺様カラーのヘアカラー御免桜色のショートヘアーをした、屋台を商うに相応しい女将だった。

「カワイイ」

「えっ、あっ、有難う御座います……! 初対面で容姿を褒められるなんて。良しお客さんこんな真夜中更かす初めて来た御人にサービスして今回飲み食い一つずつタダにしてあげましょう!」

「そりゃどうも」

 最近俺の中では鳥類って有りじゃねって思ってるんだよだってほら、飛べるからさ。

 飛行能力を持って生まれなかった哺乳類にはさ、空の世界って羨ましいよね。

 そりゃア文明の利器で飛行機やらヘリコプターやら何ならロケットだってね。

 でもそんなんじゃなくて、自ずと肌身で何かの囲い無く飛びたいって思うじゃん。

 飛べますけど。

「あ~っ! 私と言うレしがありながらそれはうわヒってもんじゃないんれすかぁ、ししょーっ?! …ヒック」

 妖夢、いや酔夢か。

「……相席、良いっスか?」

 内心泥酔奴居る中、良いとは想わん相席。

「勿論さね。何なら真ん中座りなよ。ほら半人、ソッチ詰めて詰めて。師匠を大将の如く真ん中に座らせてやんな」

 そして死神”小町”。

「上司持ちの部下お揃いで、愚痴会でも始めてんのか?」

 と、死神の言葉に耳を傾け、真ん中に座り込む。

 何だこの死が集結したかの様な冷血相席。

 されど死と言う精神感覚よりは酒臭が強く、冷血は酒で沸騰して熱血らしい、悪い意味で。

 此れには閻魔もニッコリ。

「半分そんな処。半分は、オメェさんの事」

「言って良くても本人に話してたと報告すなよ傷付く」

「チ、ガウチガウハハッ。アンタの事は何方かと言うと痴話だね。この半人半霊がお前の事凄いだの何のと」

 嗚呼、そう言う……。

「そうれす! ししょーはすごいんれす! なにがすごいってそりゃあもうすごい!」

 俺この子に慕われて師匠やってんのよね?

 正直此処迄ボキャブラリーが選出されんと嘘っぽく聞こえてくる。

 まぁ俺も俺で此奴に酷い事やったんで何つーか、似た者同士、ハハ~、まさか掘り返す事に成ろうとは、この駄洒落。

「お客さん。随分と彼女たちと仲良いんだね~。で、どっちが本命?」

「そりゃあ妖夢よ」

「潔い! そりゃあ両手に花持てる理由だ! でも残念だったね小町。アンタ直刀で振られちゃったね」

「残念と言うより無念だね。一層泣き上戸でありたいってのに、今は物凄く笑いたいよア~ッハッハッハッハッハ!」


 ――解散後の就寝後、酔いが収まった小町は枕を濡らしたとか。

 勿論、俺の妄想ですワハハ。


「処で御客さん。飲み物は何にします?」

「酒とかアルコール成分が入って居なければ、何でも」

 隣で潰れて机上で腕を枕に眠って居る弟子のお隣。

 死神が一杯飲み干し、グラスを俺に指す。

「おいおい黄金の戦士よぉ~、まさか其の魂で下戸だなんて詰まらない事言うんじゃないんでしょ~ね~……?」

 何時から俺は戦士に成ったのか。

 それに魂が黄金だからって上戸とは限らんだろう。

 だが、今正に来たるべき時の為の回答を示す時が来た。

 こう言うのがアルハラで私のお酒が飲めないの?的な発言を強いて来るのだから、ならば俺は素面故の冷静な回答を持ち込む。

「俺は酒は二十歳になってから飲もうって決めてんだ」

 当たり前の事だが、恐らく幻想郷に飲酒法は設立されて居ないだろうと仮定して、如何なる齢も飲酒が許容されるならば「決めている」と目標みたいなのを提示した方が、良いだろう。

 其れでもアルハラ厨はせがんで来るだろうが。

 日本の歴史は六歳と成れば田畑耕し労働の身として駆り出された墾田永年私財法……班田収授法だったっけか。

 言いたいのは、若かりし頃からどきつい物の提供は何でも有りって事。

「そんなお堅く考えなさらんでも。幻想郷なんだから、娯楽くらい気楽に自由にしなさいや」

 ほらな、小野塚小町、確定アルハラ厨。

「男の意地だ。解ってくれ」

 自由ならば、我慢も又自由。

「男、と言われちゃあアタイはもう口出し出来ないねぇ……三歩後ろに着いて行くとするよ」

 本命は妖夢だけどな。

「今は幾つだい?」

「十七だ。後三年待ってくれ」

「解った。あっという間に待つよ」

 良し、男の意地作戦で何とか法令は遵守された。

 ぽまえら、お酒と煙草は二十歳になってからだぞ。

「で、女将さん。済まないが、何か有るかい」

「私を番いにして頂けませんか?」

 アホウドリかこの女将。

「人体っぽい焼き鳥は勘弁して欲しいんだが?」

 冗談にならない発言への、パイロキネシスを利用した一寸した脅しです。

「御免なさい冗談です」

 冗談にならないと内心思ったからマジで放火しますけど? え? おい。

「いやぁでもお客さん。言葉がとても凛々しいんだからそりゃあ女である私も胸に刺さる物有りますよ」

 ハートか、美味そうだな、鶏肉のハートは余り食わないからな。

 開き直ってんじゃねぇよ、開花させてんじゃねぇよ。

「まぁ本当に漫談は扨て置いて、お酒に近しいものとして……ラムネが御座いますよ」

 ほぉ、この時季の風物詩と言えようラムネが幻想郷には有るのか。

 この時季でなくてもて言うかこの時季でなくて良いわ、この時季駄目絶対、ラムネ飲料は美味いし、形状が素敵で、何よりビー玉が有る事が趣向的だ。

 結局ビー玉で予想する思想家で無い思想家は何者なんだろうな。

「じゃあ其れで。お勧めの摘みも是非に」

「でしたら、ヤツメウナギなんて如何でしょう?」

 本当に如何なんでしょう? 物凄い口腔のした鰻だお。

 鰻だからまぁ美味いに決まってるよね。

「お願いします」

 悩む姿は見せないのがモノ語、即決断出来る男、陽月さくら。

「畏まり~」

 事に焼いたヤツメウナギは妖怪に好まれているらしいが、俺にとっては絶品其の物だった。

 矢張り俺は妖怪類らしいと、疑念を抱くも……いや、ド偏食なだけだよね、と其れも其れでな思案の下、ラムネを飲み、ヤツメウナギ串を食した。



【解散】


 其れからと言う者の、酔った理由でも無いが、眩暈がして来たので、寝床に戻ろうとした処、俺に夢中、俺を夢の中で如何してんのか、寝言を寝て言う妖夢を背負うと言う背後で彼女の前身体感は、まぁ俺自身彼女に成ったみたいな事も有ったが止めて、御姫様抱っこで連れて行き、同時に小町も帰宅を宣言する事で、彼岸従者組+元彼岸暮らしの前夜宴会はお開きとし、此のぼやけデジャヴだなと、然し今回は冥界へ向かうと言う。


 冥界の門前に着いた頃、寝間着の、あの、和装住宅で良く見られそうな、白い和服の、寝間着に、上着を羽織った幽々子お姉さんが、迎えに来て居り、妖夢を引き継いで背負ってくれた。

 屋敷迄送るのに……。

「貴方も眠いでしょう? ほら、目がトロンとして居るわ」

 確かに眠りたくて瞼が働こうとしない、コレが眠気、睡魔、スリープモード。

「良ければ、泊まって行く? 貴方を挟み状態の三人川の字で!」

 さぞ愉快で素敵な申し出だが、布団はもう空中にて先約済みだ。

「空中で!? 難易度が高い経営ね……」

 何のだよ、いや、俺も何のだよ。

「でも良かったわ。貴方、妖夢の事を本当に好きに成ってくれたみたいで」

 別に本当で好きって訳じゃあ無い事も無いが、未だ解ら無い、論理・倫理を思考した迄で。

「そんな理屈じゃないのよ。誰かを好きに成るのって」

 だから妖夢も語彙力が無かったのかな。

「其れはこの子が不器用なだけ」

 なら良かったよ。

「引き留めて悪かったわね。お休みなさい、ヒツキさん」

 お休みなさぁい。



「戻る」

 如何も眠気は布団から出る以前から有ったらしく、されど無意識ってレベルか、筆は書き記し、更に何の紙かは、魔理沙の「戻れ」に使った用紙で、実は返して貰って居たと今更想い出す。

 願望みたく呟いた言葉は反応し、状態は寝床に戻り、寝間着に戻り、漸く俺の身体は快眠として休める事が出来た。

 さぁ明日は何処へ行こう、冒険が始まりそうな気がする。





第肆章「青年は死を目の当たりにし、彷徨った」――死生異変.〈完〉


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