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幻想の現実≠東方空界霊  作者: 幻将 彼
第肆章「青年は死を目の当たりにし、彷徨った。」――死生異変.
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第弐拾弐話 桜、さくら~VS Filo-noma~

魂魄妖夢、部外者"何時DINE"に敗北する。

更にヒツキの相手する"風蘭想和不"も又、思想家衆の頭故に強敵。

劣勢の攻防如何出るのか。

【幻想】


 此奴、只のジャパニーズ・カルチャー・ショッカーじゃなしに、ちゃんと刀扱えるじゃねーか。

 トーシローの俺だからこそ言い訳付けて、はい背徳って言うけど、ヤバいな、俺のギャグセンスが。

 じゃなくてだな。

 一振りが素早く、一撃が重く、二刀流の俺は片方飛ばされる勢いで腕を振り回されるも、何とかやっとこさ防御を取るも間に合わず緊急回避に到るが、掠って服が斬られ過ぎている。

 服っつーか、軽く肌も行ったが、霊魂の為血は無く、寧ろ霊力の分散って処か。

 成仏させる為に一歩ずつ着々と、帰結に近付く攻撃を噛ます、又眠く成って来た、眠り伽羅が定着するぞ、俺。

 当たっても守は効く分、魔力を使用している其の代用に俺の霊魂がごっそり削られている。

 それでも尚、服が斬られ肌が斬られおまけに霊力を奪われるのは、日本刀で有りつつ神をも超える妖刀でも有るって訳だ。

 又コレですよ、俺TUEEEかと想ったら全然、防御NEEEEみたいな攻撃ばっか敵は出して来ましタワー。

 相手の攻撃って、一発だけのピストルって言うよりガトリングガン、マシンガンみたいなのじゃなしに、そうだな、正にマスタースパークみたいな光線、物質一つに距離とか空気に寄る空きみたいなのが一ミリも無駄が無くて、且つ速い。

 防いで防いだ分は粒子となって、防御壁諸共フェードアウトして行くけど、そのフェードアウトしてからバリアが戻る迄の瞬間をどいつもこいつも的確に狙って来やがる。

 こう、反射の壁が出た瞬間、腕を引いて消えた処を殴る、怒られるな、誰かに。

 抑々其れが可能なのは、守髪神を宿した際に貰える『神器』と言う武器のみだった筈が、いや然し幻想郷、扨て無反応の守髪神様、色々と弱体化していたり相手が強豪だったり、そう言えば今相手にしている奴はあらゆる『向こうの世界』で言う〈異変〉、〈幻象〉で現れた『能力』の原点とされる“思想家”と言う連中だったな。

 其れを引いても此の剣術、いや、剣術じゃなしに。

 此れは……NEEEEとか神様とかフェードアウトとか無駄に考えたが、違う、切っ先は直線、刃は幻の妖刀、力と速さは比例して強力っつー解析を差し引いても、このお嬢様の腕力では引き出せる物とは想えない。

 悲しきかな、我が弟子妖夢は敵の〈想〉に喰われちまった。

 又も彼女は膝枕ですってマジに羨望は無いですマジに。

 其処じゃなくて彼女自身が〈想〉の力を使って居るかと言う観察、だが違った。

 幻想だから幻影的な光の屈折的な騙し討ち的な嘘の真実(フェイク・フェイト)で翻弄して居た理由では無しに……ルビ振り止めろ、面倒臭い。

 最初から見得ていた、見据えていた、闇より深く、黒より暗く、泥より汚く、そしてしぶとい………こう言う無駄に長い前置きも要らない。

 この女、俺に対して怨讐を抱いて居やがる……幻想の思想家の癖に、実に現実的だ。

 この刃は幻で有りつつ、感情の具現化みたいな物。

 だから何かそんなあるあるの同人誌みたいな理屈で霊力切り取るし、一振りが器物破損お構いなしって程に、ヤンデレが想い人に対して爪の先から臓物の全て迄愛情注げるって程に強力なんだ……凶とも、狂とも。

「お前、ヤベェな。それでも〈幻想〉を抱く平和主義者かよ……」

「ン~?」

 俺の発言に彼女は首をカタンと傾げる……ヤンデレじゃん。

「アイはanytime fantasy-filonomaですよ? Avenge-spiritをburning、Cherry-blossomのlike lady……」

 イつだってゲんそうのシそうか、フくしゅうセいしんをモやす、サくらのヤうなオじょうさま。

「其れこそ、fantasyでは無くって? Mr. solna?」

 彼女の言いたい事は即ち、現実を以て『絵に描いたような幻想』を振舞う。

 確かに的は得ている、恐らく彼女の幻想と言う目標は到達して居る。

 幻想を現実に実現しては、その時点で幻想で無くなる。

 ならば今の彼女は何だ? 何を以て幻想の思想家と呼ばれ、こう迄して強いのか?

 幻想の現実なんかが定理で正しいのかそれは? 幻想郷だからか? 魔力や霊力が幻と仮定して、幻想での幻想は幻想の儘で故に強い?

 勝ち目なんて無ぇじゃん考えたら。

「victoryをthinkingしてるならbig mistake。アイはphilo-noemaのleaderとして、roleをfulfillのです」

 勝利を考えて居るなら大間違い。

 私はフィロノエマのリーダとして、役目を果たすのです。

「俺をメンバーに迎える事か? 殺すっつーか、魂成仏させては元も子もないだろう?」

「Don’t worry、峰打ちジャ」

 好きかお前等。

 等の内一人は敗北仕出かした家の弟子なんだけどな、一人っつーか半人、家でも無く寧ろ厄介に成って居るのは俺、面倒いな、此の誤変換。

「In the first place、Youのした事については、punishmentがneedなのでス。Killingはover、thisをdoしてyouをteamにwelcomeなければ、each other, awkward」

 ちゃんと悪い事したら反省して罰を受けずしてチームに居れるは、御互い気まずいってか、復讐心に燃ゆるだけの一般愚人と想ったが、其れなりに考えて居るんだな。

 本当に何処迄も幻想的で幻想を司る思想家だよ、しっかりと。

 勝てねぇな、残念だよ妖夢、俺達ゃ二人揃って、いや一点五人揃っても半人前だったらしい。

 In the first place俺はバフを掛けて剣豪剣道偽っただけの半端以下の存在よ。

 In the second place敵がラスボスだぜ? RPGゲーム初期装備で挑むみたいな無理ゲーよ。

 正直お前に師匠と呼んでくれたのも何か励ましみたいなのに聞こえて来たよ……


『ご謙遜を! 師匠の力は師匠と私が一番知って居ます……!』


 煙草を吹かせる様に、空に息を吹く。

 いや当然煙草は吸えないし吸わないが、身振りだけでも、ね?

 妖夢が俺に言ってくれたこの言葉も励ましに聞こえたが、まぁ励ましか……。

 俺の力ね、実に妄想耽った能力だけのオンパレードで、俺自身には何も無いが……妖夢は俺に自信を付けてって励ましで、能力多様なら天下無双、恐いもの知らずの負け知らずで勝利を見出せるってそんな好い加減な妄言で。

 だが、そうだな、心通い合った弟子が言うんだし、思想家衆が言うに俺が候補なら、もう当て嵌まるのはソレだよな。

「Well then, please be defeated Mr.solna!」

 〈妄想〉の思想家……別に妄想に対して哲学的探究は求めないが、使えるのなら、此奴に勝てる算段に成るのなら、利用してやる。

「思考を敬するなら遠慮を示せ、思想を敬するなら我欲を示せ」

『カァー……ン』

「?!」

「…………」



【妄想】


 目を瞑った状態で、俺は彼女の刀を振り払い、ゆっくりと目を開く。

「簡単だったな。妄想っつーのは、言わば有るべからず考えを持てば自ずと消える消極的な話、ならば俺は此の無駄に強いチートお嬢様の力を妄りにする」

 此れは右手の能力に寄るモノではない。

 使って居たら力が損なわれるのは手に持つ剣の方だ。

 想って壊したのだ、その理屈を、何の理屈も無しに……。

 いや、だが、一応、そうだな、俺が『或る事を理由に斬られる』事を前提に妄想して、妄想と言うのは前述通り有るべからず事なので、お嬢様の攻撃に対抗できたと言う事。

 名前を付けるなら、『被害妄想(anti-damage)』とか『罪業妄想(Anti-sin)』とでも……相手の攻撃に目を塞いで防いだのは……「誇大妄想」の反対だから「矮小妄想」。

 そう言えば昔、と言っても俺の昔では無く彼奴の……。

 あの創造主の昔には、無暗矢鱈に妄想を制御出来ずに、裸婦を召喚してしまうなんて史上最悪の黒歴史も良い処、其れで登校拒否だとかまぁ文字通り赤裸々な話。

 ていうか其処で思想家としての可能性発揮して居たのな。

 てっきり欲望に縋って浸って出来た〈心の種〉みたいな能力かと。


 閑話休題、消す事も可能ならば生み出せる事も……施無畏与願印手の具現化版あべこべ式みたいな想だと想えば良いな。

 あべこべが此処に下るとは、皮肉。

 若しくは〈空想〉の魔力・霊力否定能力の上位互換とも。

 森林遭難の思想家も含めた皮肉。

 いや、想像の具現ともなる〈想〉の力の最上位互換なのかも知れない。

 総員何人か知らんが、最早思想家衆全員に対して皮肉。

 やっぱ俺TUEEEだな。

 いやYOEEEで。

 妄想に到る肯定は否定され、否定は肯定となるのだからな。

 若し俺のこの冒険譚がシミュレーションゲームにならない時は、選択肢をソッチ選べば、其れは俺が只妄想するだけで、もう片方の選択肢の通りに動く、と言う設定が良いかも知れんな。

「Marvelous、also U were delusion-philo-noma。Finally, leaf-seatがBuriedモノです」

 好い加減、御前の英語と翻訳が面倒く成って来た……。

 て言うか英会話の方が強くなってない? 読者に優しい小説を目指して下さい。

 一々グルグル翻訳先生使うの億劫なんですよ、ALT+TABキーでウィンドウ変更は出来ますが、でその後グルグル先生のショートカットCTRL+Lキーで検索バナーに移ってカタカタカタカタ……。

 何の話だ、作者の愚痴か、愚痴じゃねぇし、作者って誰や。

 この物語はフィクションですが、世界観に浸ってご鑑賞ください、何かもう色々もう手遅れだ。

 【フランソワズの英会話受難の件について】『一般文章に使われない漢字使うお前が言うなや』って話しようと想ったら何だこの《自分はネット小説で投稿されている主人公だと思い込んでいる一般男性(17)》みたいな……コレが妄想の思想家か。

 妄想が迫真過ぎて常軌を逸していてイかれている。

「ですが、Wendy曰く、not straightforward。powerでshut them upするしかない様です」

 寧ろこの方が相手の会話が解らないから好都合って言うサッカーの他国試合な其れかな? ポリグロットも選手の中には居るけどな、知らんけど。

「ああ、大人しく入る気は無い。俺はこの力を餓鬼んちょみたく乱暴に使ってお前等を黙らせ、諦めさせる」

『カッキー…ン』

 一切刀を平地から地面に叩き付け、折り線を目処に、今出ている刃を全部折り、宙に浮かせた。

 第三者には見えない鞄に、鞘に納める様に一切刀を仕舞い、合切剣を分裂させ、重力に沿って落ち行く刃の花弁をフランソワズ目掛けて打ち飛ばす。

「『銀楼の青春(snow flurry blossom)』、斬られて血は出ないから安心しろ」

 詰まり服だけ斬り落とす何だこのご都合技。

「Never again, dress breakはrefuseです!」

 と、頬を染めて怒る彼女は桜に包まれる。

「幻影(phantom)!」

 技名を呼んでいくこの感じ、バトル展開っぽく成って来たじゃん。

 銀色の桜吹雪は、白玉楼の塀迄飛んで刺さる。

 桜と共にさようならしたフランソワズは此の侭お前が帰結しろよって願うも普通に眼前登場こんにちは。

「神秘成る美麗(world-Heritage-site)・五行思想(rainbow bridge)[木もく]~!」

 俺の足元から蔓や蔦、草が生えて脚に絡み、身動きを封じる。

 一切刀をしまったばかりに、不規則に絡む自然を合切剣では毟るに時間が掛かる。

「chest!」

「させん」

 振り掛かる刀を合切剣で交差防御+『幻想の妖刀を斬り折らない』妄想。

 刀がぶつかった瞬間妖刀は折れて木端微塵に粉砕し、其の儘振り切るが、空を切るだけ。

「醜い家鴨の子(Fly sky)」

 フランソワズは後ろ向きに回って空を飛び、着地と同時に加速する。

「北風(wind move)!」

 ちぃっ、防御に上手く持ち掛けろ。

「You are late! 『星の銀貨(comet strike)』!」

「無限の無力(All is be Zero mana)っ」

 武器を捨て、左手を右腕に掴ませ、指本数制限度を潰して、右手の能力に、ありったけの魔力消去を彼女の平たい手に込める。

「! ……ココでput hand togetherとは、Mr.solna……daring♡」

「良し隙在りだ誰がダーリンだ」

「アウッ…!」

 再び鞄から一切刀を取り出し、即座に草結びを斬り、合切剣も用いて、回ってフランソワズの衣類を斬る。

「青春の突風(God mischief)、スカートを翻すだけでなく服を発破させるとは、神の所業とは怪しからん……って奴だな」

 此奴は此奴で加害脱衣伽羅が定着しそうだな、おっと、見るのは理性への毒だ。

「Uh~……BoilなりBakeなりLoveにwhite。もうprostituteにno choice but to become」

 お前は幻想の思想家だろ……何言っているかは察してくれ。

「そうか、じゃあ俺はお前に半袖を着せない」

 と言う妄想から、俺が着ていた半袖は脱がされ、彼女には半袖が着せられる。

 今更乍らこの猛暑日に俺は重ね着なのだが、暑さは守髪神でカバー出来て居るんです。

 だから守りが弱いのかね………………………痛い、小石二つを良い感じに間を空けて放り投げたけど、二つ目普通に頭に当たったわ。

「……スンスン…………フフッ♪」

「服の匂いを嗅ぐな今一度引ん剥くぞ」

「そんな!? 強面の男の人が見せる不器用な優しさギャップ、服に染み付くフェロモンと暖かさで落ち着いて恋に落ちる鉄板的なラノベ展開なのでは??!!」

 誰の知恵だ幻想家。

 いや誰かは予想括弧妄想が付くが……、て言うかそんな展開無ぇよ、急に日本語上手くなるし。

「おいおい姉さん倒してフラグ迄倒すってどんだけラノベ主人公なんだよテメェ!」



【夢夢】


 走って跳んで突然斬り掛かって言う事が其れか。

「もっと年齢制限上げて姉さんも押し倒せやっ!!」

「夢の無い事を言うな夢想家、夢見る子供達が泣くぞ」

「ハッハァッ! 思想家は其々の思想と現実に倣って均衡任務を全うするだけで、イメージだとか理想はネイちゃんの役目だっつー……のっ!」

 と、蹴り噛ますウェンディーネは、守髪神に弾かれる。

「そう言えばアンタ守髪神に憑かれて居たんだったね。全く夢の在る話だよ、神様に護られたり、其の神様の守りを突破したいモンだ……」

 あ、確かに夢想しているわ。

「そうだよ、思想家ってのはその想と並ぶんじゃなくて、高山深海長城より大きく、そして人心の様に感情的で醜く、努力的で尊いモノで無ければ行けねぇんだ。姉さんの幻想の理屈と同じ様に、夢の無い話こそ夢を見れるってもんじゃねーか」

 だが俺の夢ではないぜ。

「俺の身勝手な夢だよ。カロリー軽食品が食べたいとか、黄色医者新幹線が見たいとか、その程度のちっぽけな夢だよ」

 其のちっぽけさに他人を巻き込むなっつーの。

「本当にアンタも妖夢も釣れないったらねーな。ガキなら好奇心で何でもするし、大人の階段登るなら良いじゃねーか。保健体育好きだろ男の子」

 勝手に定着させんな、俺は文系で点数取りたい。

「文だけじゃ進学は出来ねぇぜ? 文理両道で夢在るハイスクール若しくはキャンパスライフだ。話変わるけどそう言う抵抗に無理矢理押し付けたくなるのも其れは其れで夢の在る話」

 夢無ぇよ、片方に無理強いで絶望と言う現実を与えるな。

「ま、利害の一致か何にせよ。お喋りも俺は夢叶うレベルで済んだ事だし、お互い一点一点のイーブンポイント、ファイナルラウンドみたいだしね」

 おぉ、コッチは弟子がやられたんで後で修行不足だと説教をするが、取り敢えず師匠の役目みたいなのを果たそうと想うんでね。

 お前の言うちっぽけな夢っつーカテゴリーに一つ追加しとくよ。

「そりゃあ良い、夢の在る話だ。厚い師弟関係で討たれた弟子の仇を取る師匠。だが俺からも一つ提案と言う名の、ウチの頭が負けたから降参するので休戦協定結びませんってオチでその先に夢話が有るんだがよぉ」

「何だ? 夢想う事に努々忘れない夢見勝ち野郎」

 扨て、キャッチボールが続いたが、横文字使った辺りで剣を構えたウェンディーネは剣を下ろし、背中に隠す。

「俺を………………お嫁さんにして欲しいんだけど……」

 勘弁してくれません?

 何で俺、奇怪な輩に勧誘された挙句、そのメンバーの内からプロポーズされる、ってか今日だけで二回もプロポーズされんの、いやいや女難の相に拍車掛かって来てませんか、コレ妄想でどうにかなりません?

 女性は皆俺の事大好き…………想って居て死にたくなる。

「アンタ今、エロトマニアで自分を肯定しただろうけど、他者の想迄変えられる便利能力だと想うなよ」

 心眼使うな、妖夢を夢見心地にさせて眠らせたお前が言うな、催眠術師が。

「俺のはあくまで其奴の夢を引き出したり、レム睡眠って意味の夢に倣って眠らせるってだけで、変えられるモンじゃねーぞ」

 やっ…く立たねぇ~思想とやらも~。

「まぁ近い例として夢を壊したりの『ナイトメア』、喰ったりする『バク』なんかは有ったりするけどな」

 有るやん、変えているやん。

 そうじゃなくてだな。

「そうじゃなくて!」

 はい。

「俺はお前にゾッコンの弟子を打ち負かした」

 はい。

「だけどお前はリーダーである姉さんを妄想の想を開花させて打ち負かした」

 はい。

「俺が勝つ道理は無い訳だし?」

 はい。

「頭の首取られたらもう降伏せざるを得ない敗戦国な訳だし?」

 はい。

「煮るなり焼くなりは部下である俺たちにも該当して……くっ、殺せええ!」

 はいぃ~?

「女の子同士で挙式させんぞ」

「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ! 思想家の皆大好きだけどレズ結婚は勘弁してくださいぃぃぃ!」

 殺せと恥ずかしがったり、思想家衆大好き宣言したり、百合は勘弁と嘆いたり……まぁこの容姿から大体察する事は妄想がてら……女子校って大変なのね(適当)。

「後生だから俺と結婚しろ! と言うかしてください! 私と結婚して!」

 一人称や口ぶり変える迄百合結婚が嫌な事は解ったから。

「だが俺はお前が嫌いだって話したばっかだろ? 人の事散々馬鹿にしたし、何か妖夢との会話盗聴してたけど、ロクデナシだの何だのと聞こえたぞ」

 男の様に手を伸ばして最敬礼をしてプロポーズのウェンディーネは、敬礼から直り、急に女の子らしくしおらしく、明後日の方を向き両手の人差し指同士をツンツン。

「男が愚痴愚痴と。いやでも其れはほら、小学生男子の気に成る女の子に対して悪戯しちゃうアレ。お前ん家お化け屋敷って馬鹿にしたくなるでしょ」

 解り易い例えだけど、それはそれとして三太ァーッ。

「一応あべこべの頃からお前に気は有ったんだよ? 動機は弟子と同じく……。あの、都合が良いとは想って居るんだけど、お嫁さんも、アンタの隣に居る事も、俺の最大の夢だからさぁ……まず、ごめんなさい。アンタはアンタだし、そう言うのって、やっぱ人権的に良くないよね。その、俺と…一生……共に……生きて……ください……」

 そんな話して居たのか。

 此奴の事は創造主から良く知らされている、丸で自分も見て来たかの様に、だが決して俺は創造主では無く、一人の……“陽月さくら”っつー存在だ。

 だから、創造主が存在して居た頃から俺と会う迄の始終を知って居て、お前の抱く感情、其れに伴う求愛や恍惚は――――

「色々とマチガってんな」

「ふぇ?」

 まぁお前も話して居る内にちゃんと女の子らしい一面が在った分“霧雨魔理沙”だったよ。

 可愛いと思うよ、多分。

「お前の意見はよぉーく解った。複雑な事情無く普通に男女共通の高校でボーイッシュな剣道部JKとして評判高いウェンディーネさんが或る日気になる人に家庭科の授業でクッキーを不器用ながらも一生懸命作ってあげたと言う母性溢れる行動にその男子はきっとメロメロだろうが、その点は打ち切って」

「打ち切るな真剣だぞ! そして長い!」

 剣道部だけに真剣と、扨てツッコミは無視して。

「確かに妖夢はお前の妖術にやられたとは言ったが、参った、負けたとは言ってないぜ?」

「で、でもお前が出る幕に成り掛けたが?」

 そうだな、そうとも捉えられた。

 だが決して俺が不始末片付けるとは言った訳では無く、俺がすると言ったのは。

 多く息を吸い込み、

「妖夢うーっ! お前の髪っ! もう少し伸ばした方が!! 可愛いぞーっ!!!」

 今世紀最大の陽月さくらの叫び、魂の叫び。

 肉体だったら喉が死んで居た。

 綺麗に仰向けに成って寝ている妖夢は光を出す様に勢い良く目を開き、何の筋肉を神経を使ったのか立ち上がり、低姿勢で居合斬りをするかの様に左手は鞘を、右手は柄の近くに持って来させ―――俊足。

「人鬼……『未来永劫斬』っ!!!」

 視得ない妖夢、見得ない剣捌き、そして無数の斬撃がウェンディーネを襲い、最後の一閃一撃で止めを刺す。

「……カ、ハッ……」

 服も体力も完全にボロボロ……如何やら本当に慢心だったウェンディーネは本体直撃で、後に想の施し何も残さない儘、倒れる。

 思想家衆が幻想郷でどれだけ脅威なのかは扨て置き、不意の一撃で思想家衆を仕留めた妖夢は、英雄・其の二と言う事になるのだろう。

「二人目なんですか!?」

 何だ其の弐位じゃ駄目みたいなガッカリ感。

 壱回目は敵の術に引っ掛かって、弐回目で倒すお前には先ず、飴をくれてやる。

 撫でた後に、師匠としてしっぽり、鞭と言う名の説教を与えてやろう。

「承知しましたが、師匠……私髪伸ばした方が可愛いんですか?」

 手を後ろで繋がせてニッコリと首を傾けて話す妖夢。

 男を知ってしまった様だ。

 俺は一旦左に顔を傾けて取り敢えず考え事みたいな素振り、妖夢の顔に振り返り、

「お前は何にせよ可愛いよ」

 と褒めて彼女を喜ばせた後、

「だが弟子の分際で生意気だからお仕置きだべ」

「うぇ~…すいあふぇんひひょ~」

 彼女の頬を引っ張って、そうだな、カレーパンの刑に処した。

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