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幻想の現実≠東方空界霊  作者: 幻将 彼
第参章「青年は住人と共に、謎の屋敷を探索した。」――廃地異変.
22/62

第拾肆話 幽閉するは、語る視す~opening~

紅魔館で一騒動起こし片付け、後にした際、霧の湖の畔より魔法使い"霧雨魔理沙"と再会し、更には宴の約束を契る事で生きる目的となった恩人、巫女"博麗霊夢"とも再会を果たした「在る種其の性質と言う星の下」で生きる男、陽月(ひのづき)さくら。

巫女の話に寄り噂される『魔法の森』の『謎の館』へと歩みを進める。

【遭遇】


 ――“博麗霊夢”。

 “幻想郷”の要とされる『博麗大結界』の保持を任されている者。

 彼女とはこの幻想郷に来て初めて出会った郷の定住者であり、どういう経緯の因果応報か、彼女とは宴会を共に成す契りを交わした。


 豈図らんや、愚者は留まらずして社を出る。

 神在る所に髪神居ては、何の驚天動地と天変地異、奇想天外が天下無双となるやら。

 なんてのは先程想い付いた口実で、実際は何も無い。

 何も無いからこの幻想郷を回ったのだ。

 されど愚者の行く先は、やれ空へ投げ出されるだの、やれ森にて妖女と出会うだの、やれ魔女、やれ空女、やれ精女やれ門女やれ本女やれ従女やれ鬼女やれ幻女やれやれやれやれやれ………。

 特にこの「やれ魔女」の―――白と黒の火力主義爆砲窃盗金髪魔女“霧雨魔理沙”に於いては、森で出会って何故か自宅にお邪魔する事になり、飯を御馳走、寝床を提供身支度の拝借。

 俺何かしたか?

 強いて言うなら彼女とは『弾幕ごっこ』っつー、この郷ならではの優劣、駆け引きを定める決闘を喧嘩腰で申し込まれ、引き分けで事を済ませた。

 だからこそ何かしたか? なのだ。

 まぁ其れは良いとしよう、過ぎた話だ、何だかんだ生き延びたのだから。

 それにたった今、湖の畔で黄昏る魔女と他愛無い話で場が和んでいたのだと想うのだから。


「巫女さん……」

「だから名前で呼んでって昨日言ったでしょ……言ったわよね?」

 言ったな、連絡用紙で。

「霊夢?! 何で此処に??!」

 魔理沙は驚く、異変じゃなければ基本神社に佇む巫女が……、ニュアンスを込めて。

 家屋なら兎も角、神社と、境内を閉鎖的に捉えるってそれでもアウトドアだろうに。

「私の台詞よ。何故魔理沙がヒツキと……嗚呼、そう云う事」

「か、勘違いすんなよな! 別に私と此奴は~…」

 厭な台詞を吐くかもと否に喋るな。

 嫌に確信語っていると誤解されるだろ。

「ヒツキは魔理沙に借りられていたって訳ね……」

 小声で教え、文句を言いかけた魔理沙が口を開けた途端、霊夢は仕方がないかとデコに手を当てて息をつく。

「あ、あぁそうだ、借りた! 此奴は私が借りて行ったぜ☆」

 そうしておけ、これ以上無駄な誤報拡散は懲り懲りだ。

「それよか、何でお前はヒツキと《《二人だけ》》で宴会を開こうとしたんだよ。宴会じゃないだろそれ」

 確かに言われてみればそれは宴会と言うより飲み会? だがいやでも盛大にだとか後片付けだとか、複数人呼ぶかの様だと捉えていたのだが。

 声を掛けていなかったのか? 感じ親友人だと見て取れる魔理沙でさえも……

「後片付けが面倒だから」

 あ、結局後者の意思に揺らいじゃったのね。

「まぁでも此処で魔理沙とも在ったんだし、3人で飲みましょ?」

 未成年なんだが。

「おう! お邪魔するぜ☆」

 邪魔する魔理沙。

「お邪魔理沙」

 もう夜だぞ、俺。

「フッ……不覚にも笑ったわ。良いわねヒツキ、楽しくなりそうだわ」

 本気で言うてる?

「私は不快だぜ。ちょっと黙って居ろヒツキ」

「お黙魔理沙(だまりさ)

「フフ…2連も来るとは思わなかったわ。でも、洒落た話はお酒の席でね」

 席をお湯いしてくれるのは有難いが、此処は矢張りしょうじきに物申した方が良いか。

「洒落も楽しみも潰す様で済まないが俺は、向こうの世界で未成年以下は酒を飲むなと言うのが法で決まって居る」

 コンプライアンスが何と申すか解らない。

 然しこの二人、顔を合わすや否や……

「此処は幻想郷よ?」

「此処は幻想郷だぜ?」

 二人して法律は届かない疑問文をハモって投げるなよ。

「まぁ乗ったのはお前だし、付き合えよ」

「大丈夫よ、閻魔は居るけど巫女は咎めないから」

 咎めてよ、確かに神社とお酒って近しい雰囲気有るけどさぁ。

「それにお前には、その本が在るだろ?」

 本ねぇ……宴会の一時だけ、二十歳の体にするってか。

 気は進まねぇが、正にいざと言う時に使うとしよう。


 ※言っとくが、皆は真似すんなよ。

 本に書いて「ハイ俺二十歳~、お酒飲んで良い~」なんて屁理屈は人間万事塞翁が馬よ。

 御免、言いたかっただけ、この諺……正直意味深過ぎて意味不明。

 お酒はマジで二十歳を過ぎてから、アルコール摂取は控え目に、飲酒運転駄目絶対。

「取り敢えず、私が此処に来た経緯を語らせてくれる?」



【予定】



「―――鬼の棲む家?」

 酒が絡みそうな話だ。

 水切りをする訳でも無く頃合いな石を掴み、只手中で回して投げて掴んで玩び、基、持ち遊び、魔理沙の疑問発言に耳を傾けていた。

「スイカやユウギが住んでいるとかじゃなくて?」

 西瓜や遊戯? 目隠し西瓜割りを川柳にするそんな風流を詠む鬼?

「其奴らじゃなく、全く別の鬼らしいわ。愈々鬼の四天王が揃いそうじゃない?」

 鬼が四人もなぁ、然も天王と来た。

 お嬢は鬼の中でも最弱(愛い意味で{客観})、四天王の面汚しよ(だがそれでいい)。

「で、私はその家がこの森に有るって聞かされてね。陽月に続いて珍しくお客が来たかと思えば……訳の分からない奴だったわ」

「訳の分からない奴? 誰が言伝で教えたんだよ。あの妖怪神社に遥々」

 やっぱ妖怪神社なんだ。

「妖怪は余計。ビー玉を芸達者に掌と手の甲で踊らせていた外界の女だったわ」

 何だか又『思想家』連中の同系かと想っちまうなぁ~、そんな趣味嗜好技能変態伽羅奴は……。

「そう言えば丁度アンタに伝言を頼まれたわね。『私は思想家じゃないよ』って」

 エ、スご、パな、ー然。

 特定人物を幻想郷に居る事を既知の上、指す上に、考える事を読まれる。

「思想家って言えば、私とヒツキが湖と森で二人出くわしたな。でも其奴は関係ないのか?」

「後は何話して居るか見当付かなかったけど、『予め』って言葉を口癖に語って居たわね」

 「『予め』なんて言葉を使うのがヒントならば、其れは“予想の思想家”と予想出来る」

 うん。

 だが『思想家ではない』と……連中と吊るんでいる訳では無いって意味なら、野良の“想”持ちと言った処か。

「そうね。予想でもってその証拠に、このビー玉をくれたわ。このビー玉の中でアンタ達二人が湖で話して居るって風景を、見せてくれたわ。半信半疑で行って見れば本当にビー玉に映った通りの風景なんだから驚いたわ」

 まるでレミリアお嬢の『運命を操る程度の能力』を客観可能にした様な技能だ。

「アレ? その話だと私が居たって霊夢の疑問がおかしくなるな」

 んぁあ、登場時「何で魔理沙とヒツキが一緒に……」的な発言していたが、別に良くね、聞かなくても。

「ビー玉には『ヒツキが誰かと話して居た』って処が映って居ただけよ。このサイズじゃあ、映る幅も限られているみたいね」

 それは「予め」ってやつなんだろうな、ビー玉女曰く。

 予めご了承下さい。

「兎に角その女からは此処から近い森の中に、その謎の館が在るって言われたの。如何にも恐ろしい怪物を幽閉しているかの様な超絶壁門の館」

 怪談でも語るかの墓に出るお化けの手振りをしても一切動じず、寧ろそれはひょっとしてギャグで言っているのか? 俺がギャグセンスを動向言えた事ではないが。

「見たな、その館」

「え?」

「何時だよ、ヒツキ」

「今朝だ。確かルーミアと一緒に居た時に、館は拝見していないが、異様に壁の高い隔離施設の様な謎の空間を感じる場所には立ったな」

「そーなのだ」

 居たのか、マイ・ブライド……は止めて、ドウターになったんだっけな。

 後ろの裾を引っ張って愛い奴め。

 愛、勿論、在りませんけど。

「ふひひ……ヒツキさまのナデナデはやっぱ気持ち良いのだ」

 左手には極度の安堵が込められるからな、おまけにデメリットも無い、まぁ若し中毒症状起こしても私は如何しようも御座いません。

「……アンタって、そう言う趣味なのねぇ」

「おい如何言う趣味だ」

「見て聞いて感じ取った儘の趣味だよ。そう言えば度を越して其奴を妃にしていたなぁヒツキ?」

 魔理沙がここぞとばかりに俺を陥れに掛かる、厭味ったらしく。

「さぁて因果は娘だったよな、ママ?」

「だ、誰がママだ!」

「え? アンタ達そういう関係だったの……まぁ、金髪だもんね」

「「違う」」

 何度目の台詞被りだ。

「納得はするな、唯のお飯事だ」

「お飯事でも娘に成っても気を付けなさい闇妖怪、この男に男の闇を盛り込まれるかも知れないわ」

 霊夢が注意を促す。

 男の闇って何だ。

「私は闇妖怪だから男でも女でも闇を喰えれば別に良いのだ」

 るみゃは返す。

 何其のガチバイセクシャル発言。

「良かったわねヒツキ。アンタ何方にせよ喰われるじゃない」

 霊夢は茶化す。

「喧しい、俺が此奴を喰らうんだよ」

「じゃあやっぱそういう事だな」

 やっべ、声出ていたか……。

「まぁヒツキの性癖が解った理由で、森へ向かいましょう」

 どんな理由だ。

 取り敢えず、こんな夜に森に入るのは当然危険の、愚行の骨頂の気もするが俺が言うな。

 ……コレが男の闇だろうか。



【森夜】


 森を進もうにも、昼夜問わず瘴気は蔓延している。

 ルーミアは俺と手を繋いで居るから、何だかんだ瘴気より身を守れるが、然し巫女さんは巫女さんで魔女さんではない。

 耐性が有る訳でも無いので、じゃあ手を繋ぐかと提案するも、

「悪いけど、幼い体形の妖怪と手を繋いでいる奴と手を繋ぎたくないわ」

 と、一蹴。

 手だけど。

 俺が無情で良かったと想われる。

 陰キャだったら二日は泣き寝入りしている……そんな渇いた拒否反応だったよ。

 だからと言ってこの案件放置・放棄する理由には行かない、館に行けない。

 ロリコンの一部誰がロリコンだ、に接触する事なので、且つ尚悪い部位だろうが、真ん中の尖がり髪の束を渡す。

「これで瘴気には当たらない、不服だろうが髪に付けて於け」

 ……と説明する。

 夜にて発光する髪が手元にて光る。

 怪奇感が酸性に到る、いやアルカリ性、どっちでも良い。

 巫女さんは苦悩して、嫌そうな顔を浮かべ乍らも髪束を手に取り、横髪にくっつける。

「そりゃあ、何か護りの強い服じゃなしに、髪だもんね」

 他人の髪の毛が接着出来る上に、何か護り有れば、おまけに光る。

 然もその光は目には影響せず「周りだけ光っている」っつー、何ともご都合主義の神様アイテム。

「まぁ、私鳥目って良く言われる分、これは良好ね」

 鳥目人の目だろうと夜に出たのはマチガイなのでは?

「確か、この角度から見ていたっけか?」

 俺たちの目は朝の目へと、ルーミアに尋ねる。

 霧が濃かったとは言え、少しばかり紅魔館は見えていたのだ。

 この角度から見て、そして魔理沙に引き戻された。

 鳥目でなく自分が鳥頭で無い事を信じたいね。

「確か此処だったのだ、ヒツキ様と別れたのは、急に居なくなって私は少し寂しかったぞ」

 御免ルーミア、俺はそんな寂しく想う奴を寂しくさせてしまったのか、実に有罪だ……今日は一杯撫でてやろう、括弧夜。

「良いのだ良いのだ、結果は今一緒に居るのだ、ふひひ~」

「イチャイチャすんな。ほら、この道で良いんだな」

 魔理沙が確認する。

「多分な、まぁあんなデカい壁だ。多分見つかるだろう、多分」

「勝算が低いな……ほら、私にもその髪寄越せ。松明代わりになりそうだ」

 マヨネーズ髪束の左側を毟り取る。

 痛覚は無くとも守備が弱まっているので痛みを覚えそうだ。

「あんがとさん。私が手に取れば永久に貰って行く事になるぜ」

 息を吸う様に短所を生かすよなぁ此奴は。

「構わん。生やすには生やせるし、其奴の効果持続も此方で決められる」

「生やせるの?」

 妙に食い付き感あるが、一瞬脳裏を過った俺の考えは(此奴金利を目論んでいるんじゃ有るめーな)。

「で、出来るなら、もうちょっと分けてくれない?」

 ドンピシャ。

「私は其の方が良いと思うぞ。ヒツキの特徴が無くなるけど、一番『人』っぽい」

 そうか。

「後はその黒い雫みたいな奴だけだな」

 弥次郎兵衛の釣合いみたいな左右のコレは良いのか……

「それって水とかで梳かせないのかしら」

 そしたら黒いメッシュが出来上がりそうだ。

「この髪は以前にも言っただろうかな、神獣候補だった獣の魂が具現化された代物だって」

「「いや、言ってない」」

「髪の毛の神様どうこうは言っていたかな」

 じゃあ補足して教えたって事で、梳かす事は出来ない、はい、ほい、ふい。

「で、何の獣を現わしているの? アンタの髪は」

「鳳凰だ。意思疎通も出来るんだが、此処に来た昨日から点で話す気配が無い」

「鳳凰? ……私はてっきり狐かと思って居たぜ」

 先進む魔理沙は、懐中電灯を持つかの様に前を照らしつつ、意外な答えを発して来た。

 人の見方に寄ってはそう見解する奴も居るのか、感性が豊かだな。

「そのアンタの髪の毛が本当に喋るのかは不可解な話だけど、魂って言うのなら、若しかしたら結界に引っ掛かって置いてけぼりになったかも知れないわね」

 成程。

 だが此処の結界って、魂とかの外界に非合理的存在収集システムだから、寧ろ呼べそうなのにな。

 一人の際、話し相手が居ないから、扨て空虚の暇だったが、改めて思い出すと、如何しているのかと考えてしまうな。

「ヒツキ様、話は戻すけど、じゃあその黒い髪の毛私に貸して」

「んぁ、返せよ」

 ルーミアは頭天辺に黒い髪玉を付ける。

「ママとは違うから大丈夫」

「ママじゃねぇし」

「ママ~、茸料理が食べたい」

「今日は宴会が有るから作りません」

 尚の事作ってよ。

「ママ、この森湿気多い虫が多い道が暗い」

「霊夢までか……私は黒髪の子を産んだ覚えは有りません」

 黒髪の要素、ルーミアが付けているこのマヨネーズだよな。

「あら、でも産んだ設定は有るのね」

「人間の子供って如何やって出来るの?」

 女人共は、ルーミアを見詰め、そっぽ向いて黙る。

「花を観察し、鳥を眺め、風を感じて月を見やれば、子が生まれる」

「流石はパパなのだ。物知りだな~」

 美しきかな、生命の循環。

「ヒツキそう言えば、やっと『人』らしくなったわね」

 髪の毛の盛り合わせが無くなった事を、度々戻して話す。

「んぁ、スッキリしたもんだ」

 禿げて居る訳ではない。

「アンタが最初に来た時は何たる異形の妖怪が来たもんかと警戒していたけど、唯の人間でお客さんで、且つお得意様よね。今後ともご贔屓に♪」

 唯のお得意さんって、平行線なのか揚げられているのか……。

 それに現状一回しか行ってない気がするが、まぁでも一万円だもんな、神職及び商い職として、贔屓にしたくはなるか。

「唯の人間ってのはおかしいな。俺は……」

「そうだな。『無情でオートマタで且つ死人の人間』の設定人間と来た」

 人間の設定人間って言うな丸で中二病じゃねぇか、失敬な、お黙魔理沙。

「え? そうなの? ヒツキって死人だったの? その割には知性も理性も有るって良く出来た設定よね」

 それは一応俺の話を鵜呑んで褒めているんだよね?

「流石巫女さん、話が解って助かるよ」

「巫女さんじゃなくて名前で呼んでって。アンタが初見の私に対してあんなに話してくれたんだもの。虚言癖だったとしても、そう言う話を持ち合わせていたとしても、如何したってあの場で嘘を付くのは可笑しいもんね」

 いや、おお、え、あれ、そうか、あぁ、うん。はい?

「嘘と見抜いて居たらしっかり退治していたわ」

 伏線が肝試しだ、夜に語っていいもんじゃねぇ。

「あ、ヒツキ様見えたのか」



【廃墟】


「でけぇな」

 こんな森に違和感を覚えるしかない程に、こんな森と言うか、郷だろうか。

 集落地では見る事の無かったコンクリートの壁が木々と並ぶか伏せられるか、何かを隔離したい、隠したいと言う様々な願いとか想いとか、そんなのを感じだりはしないが考えはする。


 ――曰く、此れは『異変』。


 謎の絶壁、謎の屋敷、謎の生物……いや固有種は鬼と称していたな、マチガイマチガイ。

 突如として幻想郷に流れ着いた、忘れ去られしこの館、有る時この先に迷い込んだ郷の者が無事に生還出来るのか。

 悪感を払うべく、事を未然に防いで解決して行く流石幻想郷の異変解決者。

「よっ、正義の人の鑑、巫女の中の巫女、紅き衣は敵の返り血」

「最後だけ醜怪じゃない?」

 人とは、巫女とは、褒め方とは、ggrks、幻想郷にネットは有りません。

「ヒツキ、其れって何だ?」

 言葉について調べようとしたが当然電波は無い……。

 転移・転生にて元居た世界のアイテム所持案件(パターン)を試用、基、所持アイテムを使用すれば、珍妙な形状に、特にこの波打金髪白黒衣類爆砲火力主義窃盗貸借置換独裁魔究魔女は反応した。

「携帯電話の更に上を目指して出来た人間の知恵、スマートフォンだ。貸す気は無いから諦めろ」

「なら勝手に借りて行くぜ」

「貸さないも借りるも、異変が終わってからにしなさい」

「珍しくやる気だな、霊夢? そのビー玉女にどんな金銭事を吹き込まれたよ?」

 営利前提か。

「…………」

 巫女さんも、黙る時は黙るんだな、図星と言う名の黙秘。

「それも後の祭りに、飲む酒の酌程、聞き出そうじゃねぇか」

「そーなのだー」

 ルーミア、お前はビジュアル的に酒はNGな。

 俺は年齢的にアウトとさせて水nそうしよう右手でアルコールを分解して水に差し替えるそうしよう。

「ム、今私はヒツキ様に背丈的に見た目的に馬鹿にされた気がする」

 人の闇を読むんじゃねぇよ。

 馬鹿になんて「そーなのかー」くらいしか馬鹿にしてねぇし。

「それじゃあ、行くわよ」



【語視】


「――ヒツキ、開けて」

 俺か、男だからとかそう言う流れだろうね。

 別に文句と言えば未成年に酒を飲ますなやって処くらい。

 まぁ言うに事と場が足りず、寄って事場、如何云う事? ――開ける。

 鉄の扉が開く毎に地面と鉄の摩擦音が森中を響き渡らせ、夜中だから近所に御迷惑被る御免なさいと云う訳でも無いが御免なさい。

 この地面が森の地面ならば謝るのは当然の姿勢。

 大地が有って生物が在り。

 地球保護の話をしたいんじゃないよ別に。

 そう考えた方がこの摩耗の騒音も掻き消されるんじゃねーかと力み憚らず怠らず。


 人が入れる程度には開扉して置く。

 鬼は屈強だろうが、ならば鉄だけの扉を付けるのはおかしいな、開閉可能で。

 扉は充分に分厚いが、もっと厳重に厳密に鎖を巻いて巨大な南京錠で閉鎖しても。

 有刺鉄線が壁上に有るのは利口だろう、飛行や飛躍さえされなければだし、鉄線程度で身体が傷つけられるのならな。

 だが、老朽化進んでいるがシックでアンティーク凝ったご立派なお屋敷が、破壊跡無く建っているのは、運の良い事に「住む」と言う生活の知識面が有って、問題無さそうだ。

 此奴が屋敷を乱暴に出て、扉を破壊し、幻想郷中を右往左往と東奔西走、彷徨い人を喰らい襲う恐れは、一般人間はしなくて良い様だ。


 じゃあ、鬼について考えよう。

 考えるつっても、噂に聞くビー玉女じゃなしに予想だが。

 霊夢は「愈々鬼の四天王が集まりそうだ」なんて言っていた。

 魔理沙は“西瓜”と“遊戯”って奴らが鬼の四天王に該当する奴ら風に語っていたが、残念だ。

 生憎とその知識は持ち合わせていない。

 抑々彼女たちも予想の域なのだから、俺の思考では鬼の四天王は除外し、もっとスタンダードにシンプルに、一般的に。

 鬼が出てくるお伽話と言えば、桃太郎、一寸法師、泣いた赤鬼―――

 

 そいえば昔っつーか、十代ガキの昔は精々一桁の齢にしか至らないが、俺の場合は一、二年前か……全ての鬼族の力を持った鬼女を思い出した。

 鬼の他に、吸血鬼、オグル……オグル? 女の場合はオグレスか、の3つの鬼の力を天性より宿し、3つの角を生やし、異常な迄の力と技、そして飢餓に等しい程の欲望への執念、主に、性欲。

 彼奴には求婚と言うか求愛に到る迄、事をぶっ飛ばして俺を追い詰めたモンだ。

 今は地獄に連れられて地獄勤めらしいが、今頃彼奴は何をしているのか……古馴染み故に想い出すと考えさせられる。

 きっと性的暴行の前科者を快楽地獄とか言う矛盾な地獄を、主に男に味合わせているんだろうな。

 考えても、想いたくは無い事だ。

 じゃなくてだな。

 一番此処にいる鬼の確立としては「泣いた(あか)鬼」が良好だろう。

 フェアリーテールをチョイスするのも、この世界が「『幻』と呼ばれるようになってしまった物事が流れ着く理論」を考慮して、だ。

 「泣いた紅鬼」と言えば、人と友だちになりたい紅い鬼が、親友の蒼い鬼のヴィラン的演技から、人を守る活躍を披露し、紅い鬼は人に認められるが、代償として蒼い鬼と別れる結末を迎え、涙を流して大泣きすると言う悲劇の顛末。


 賢い奴になら解るだろう……『蒼い鬼は何処に行ったのか?』っつー疑問。

 まぁ所詮予想は良そうな、妄想話。

 だが屋敷と言い、蒼い鬼と言い……何かに酷似して居る気がする。

 さて何だったろうかな? 其処から連なる妄言の想。

「ルーミアは此処に残って居ろ、妖怪とは言え妖精に等しい幼女体形の俺の娘だ。娘を危険な目に合わせる訳には行かん」

「それを言うなら娘はパパには危ない事をして欲しくないって言うよ」

 何ていい子なんだ。

「ママにも危険な事は止めて欲しい」

「ほわぁ…」

 魔理沙も愛くるしい困った目でルーミアを見詰める。

「相手の視界を奪う助力なら私に出来るよ」

「「何て頼もしい子……」」

 お互いの発言に言葉を濁らせ……咳込み。

「ほら早くしなさいよ陽月一家、敵は目の前よ」

 霊夢の言う通り、茶番をしている暇ではない。

 緊張解しと言っても良いが、もう入り口前だ、気を引き締めなくてはな、魔理沙にルーミア。

「見てな、るみゃ。パパが一発鬼退治と洒落込むぜ」

 先陣を切る俺は、豪快に両開き扉のドアノブを捻り開ける。




「……アァ~。ヒト、オソウ、ボク、ヤクメ」

 ……魂消た、茫然と立つデカブツがまさか本当に、敵は目の前に、ドアを開けて直ぐ玄関前に、丸で来るのが解って居たかの様に立ち塞がりデケェ。

 今此処居る奴等の身長を軽く倍にしたデカさで、一本角を生やし、髪は黄色、衣類は上下共に虎柄、鬼の下着とは童謡でも在ったモノが、ズボンに近しい形態をしている。

 それ以外は肌を剥き出しにしているが……魂消た理由の何よりさ本当に、鬼の肌は真っ蒼だ。

 泣いた紅鬼に消えた蒼鬼……此処に居たのか、幻想郷の森の中に居する廃屋に。

 さっきの発言も、丸で紅鬼との「ニンゲンとトモダチ作戦」が呪いの様に継続されて居るかの様だ。

 自分を悪だと追い詰めて、紅鬼が何時までも人間と仲良くなれる様にと。

 なんて健気で且つ狂気な美談だこt…………

「ヒュッ」

「ガン! ゴン!」

「マスタースパーク!」

「ゴオオオォォォォ…………」

 霊夢が赤い色で塗られた太極図の立体球を二つ、蒼い鬼にぶつけて、魔理沙が千鳥足状態でバランスを後ろに崩す蒼い鬼を十八番キャノンで追討ち、容赦ねぇな。

「危ない奴ね。何で人を襲うのが役目かは知らないけど、退治させてもらうわ」

「おい霊夢、あの鬼を倒すのは私だぜ、邪魔するなよ」

 と、ゆっくり屋敷へお邪魔する二人。

「待てや、お二人さん。俺はあの鬼に心当たりが有るんだ。少々下がって居て貰えるか?」

 続いてお邪魔する俺。

 説得すれば、和解出来そうだと事情を話すが。

「心の無い奴が心当たりとは随分な物言いだなヒツキ」

「全くよ。ヒツキ、危ないから下がるのはアンタよ」

 随分な物言いはオメェだよ、魔理沙。

 霊夢、俺を里の人間と同じ一般人と捉えられちゃあ参るよ。

 俺にだって、交渉不成立の結果でも魑魅魍魎と闘う力は供えられて……

「バタン!」

「「「!!?」」」

「!?」

 俺が館に入るや否や、急に扉が閉まった。

「ヒツキ様! 大丈夫なのか!?」

 ドアを乱暴に引くも開く気配は無く、応答を至急待たんと乱暴に扉を叩くルーミア。

「大丈夫だ。子供ながらにも大人しくしていろよ、ルーミア」

「閉じ込められたのか?! 奇怪な術を使う鬼だな」

 この瞬間で鬼が術を使ったと良く判断出来たな、魔理沙よ。

 然しだが彼女の言う通り屋内奥の……どういう空間だあれは? 凄く遠い場所で立ち上がろうとする蒼鬼を目にする。

 あの軽く顔面が瞑れそうな打撃と、塵芥も残さない様な砲撃で良く五体満足、然も目立つ傷一つ見せず耐えているモンだ、頑丈だ、光沢だ、青光りだ。

「敵ながら天晴だな」

「今は夜だろうが。呑気にもう朝を迎えてんじゃねぇよ、光る毛髪野郎」

「そう言えばこの屋敷明るいわね。何かしら? この光」

 幻想郷では電気が文明的に通って居ないらしい。

 蝋で蛍雪の功を見出す、田舎みたいな田舎の文化だこって。

「ガアアアアアアアアアアアァァァァ…………!!!!」

 煩ぇ。

 怒りに満ちた鬼の低い咆哮が館中を響き渡らせる、壁に罅でも入ってりゃ生き埋めにされそうな音響だ。

 と言うかあの情緒じゃ交渉は難しそうだ。

「全然元気そうだな、あの鬼。良しなら私の火力を、もう一度お見舞いしてやるぜ!」

 ミニ八卦炉を鬼に向けて更にダメージを…………

「………あれ? 出ねぇ」

 魔力切れか?

「嘘、私も陰陽玉が浮かび上がんないし、空も飛べないわ」

 こっちもか、何で急に魔法がっ――――

「何だ? さっきので魔力を封じっ――――」




 ――――魔力が切れる、魔理沙に続いて霊夢も同じ事態。

 そして俺自身にも及んだとするなら、嗚呼、これは『死』の感覚だ。

 [死んでいる設定]は、守髪神に寄って『生』を再生し加護されて居り、それは魔力を源に。

 それが奴の先の咆哮か、或いはこの館全体、不自然に閉扉した時点で無効化されたのか、使い切られた護りは消され、核である守髪神の存在自体を打ち消した。

 嗚呼、思考が黒ずんで行く、過ぎ去って逝く。

「―――、わル……た…」

 誰に向けて話したのかは、死に行く者には想い出せず、何でも照明が灯す

天井に左手を伸ばしても証明届かずに、只、唯、本物の闇に倒れ込むのだった。

お盆ですね。

そう、お盆に起こった一週間の話とされます。

まぁだからと言ってお盆以内に完結する訳では無く、何時も通りダラダラ投稿していきmすけどねぇ~

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