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幻想の現実≠東方空界霊  作者: 幻将 彼
第弐章「青年は近所を回って、色んな住人に挨拶を試みた。」――色彩異変
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第拾話 長く感じる時の色~kāṣāya~〈理性篇〉

コーマは何処かとコーマ館をうろつくヒツキ。己の口癖を思索して居たら、一人のメイドに見つかってしまった。



【探索】


―――此方、ヒツキ。

暇という事情、事情という暇、自分という孤独の孤独という自分に基づき、一人遊びで『無線通信ごっこ』に移り、この部屋に移る。

オーバーどうぞ。

「…………」

と、言いつつ開ける部屋は、無人で無反応。

心を読むナントカ妖怪が無線を傍受して応答する訳でもなしに……フッ。

此処にお嬢様の御在は不在だ……当然。


――その昔、甦ったお嬢様が――一度死んだ彼女は、何の因果か、確か俺が蘇生した。

その話はまた後日お話ししないとして、彼女の身振り手振り、性格や容姿に於いても、アレは正にお嬢様だったな。

『清らかな―――』という意味では、一つの[お嬢様キャラ設定]では、彼女が当て嵌まり。

更に同時に、テレパス使いだった。

……が……何故今想い出したのだろう。

名前からは当て嵌まる時季じゃ無いのに。

今季でも当て嵌める気も無いのに。


あ、解った。

これからそのお嬢様が出てくるんですよね? テレパス使い設定のお嬢様が。

フラグは予め定めるモノ。

よっしゃ。

回収したから、ドント来い。


でもまぁ、聞こえているなら多分、門に入った時点でも解るよねぇ~…だからお嬢様テレパス使い線は無いな、うん。

またマチガえた。


【検索】


俺の口癖にはどうも、「マチガえた」という言葉が、〈設定〉としても、そんな現実味の無い(おかしい)話を持ち出さず、の習慣とか日課……〈日常〉からしても、定着しているらしい。

正直生物にはマチガいや失敗は何度でもあるよ。

それでして皆成長していくんだ。

だから間違えたとか開き直りみたいな事呟く前に、事に反省して気を付けるべきだと想うんだよね。

でも自身が、頭から伝わらせる信号を無数に発信しているので、定められた性格(シーケンス)は、反射で外野から飛ばされる別の信号に対し、制御し切れないモノだと想うんだよね、生物に於いては。

例えが妙にエンジニアだな。


さぁ、答えの見つからない自問自答は見つからぬまま伏せて置いちゃって。

他にも色々有ると想うんだ。

これまでの旅路の中で、口癖みたく使用してきた語句が。

さぁ、暇潰し時間潰し虱潰し、お嬢様何処室御在の湧き潰しの、検索だ。

と言わずとも、今二回も「さぁ」と言った処、これも口癖なのかねぇ。

さぁ?

こんな事一人で考える事でも無しに何故暇だの何だのの為に自分の口癖を考えなきゃ行かんのかね。

間違いですよマチガイ。

はいまたマチガエマシタ。

陽月さんまた間違えました。

好きですねマチガえる業。

それからいつも通りさっき話題に出題された口癖を開き直った口調で呟くんでしょ? 

……『またマチガえ…』あ、メイドさんだ。

「どうも」

「あら、こんにちは~……」

 擦れ違いざま挨拶を交わし、互いに五歩後ろを譲り合った所で、メイドさんが先手を打った。

「んぁ?」

然し後手をポッケに突っ込んで居た俺は何食わぬ顔で、床に落下した音の方角を聞き付け、落下した瞬間に、音と共に生じた振動で見付け、一本のナイフが足元に有ったのを確認した。

「申し訳御座いませんが、其処のそこな不審者様。此方コーマ館の関係者誰かに御用が有って、訪問なされたのでしょうか?」

ご丁寧なのかは、“陽月さくら”さんの御知識には御乏しき御様子でして、コミュニケーション、尊敬語・謙譲語・丁寧語、会話の仕方、まぁ持ち合わせていない。

殊の外今疑問点を述べるなら、会話の内でナイフって投げられるモンでしたっけ?

そんな感じでさて、彼女はご丁寧な尋問をして参りましたが。

「特にあの人、と指名しないけど……取り敢えず此処のメイドさんって事で良いっすよね? では僭越乍ら貴女をご指名して、お宅、名前をお訊ねしても?」

何このナンパみたいな……。

誤解されぬ為、手を出すまいとポケットにて戦意無用のアピール、然し手の内を明かさずとも読み取れよう、して体を後ろに下げた体勢は、何ともシュール。


片や両手を臍の位置で組み合わせて、爪先幅60度くらい開いた足で直立不動姿勢バランス崩す事なき形や。

銀髪が靡き、両サイドに三つ編みリボンのボブカットメイドさんは、心の底からと言わんばかりの、内心怒りマークでも付けていましょうか? 

そんな営業スマイルを放ちつつ、

「お尋ね者に名乗る名前も、ご指名される猶予も御座いません。即ご退館しては頂けないでしょうか? 宜しければ、宜しくなくても私自らお手伝い致しますが?」

と、俺をお尋ね者に認定し、手にナイフを三本、扇子を広げる様にして、しなやかに直立不動の戦闘態勢を構えた。

「排除するってんなら、冥途の土産に名をお教え願いませんかね? メイドさんだけに。後は土に還ってこの館の庭園の肥料にでもして頂ければ、まぁ良い具合に木野花が育ちますでしょう」

自分の視界が犬猫と同じになったのかと錯覚したかと想えば、目の前のメイドさんは、ナイフを持つ手の腕を下げ、もう片方の手を甲から口に寄せてクスリ笑えば、何も無かったかのように再びナイフを顔元まで上げ、姿勢を戻した。

その間僅か1秒と398。

「ご退館と言っているでしょう。まぁ一理あるかも知れませんが……」

 少し言葉の丁寧さが砕けたかと想った台詞を吐き捨てると同時に、彼女からモノクロの威圧が出たかと思いきや、一体全体がモノクロの空間へと変貌した。

自覚や確証は無いが、この感じは……時間の停止か? それを彼女が行ったのか? 凄いな。

此処に来て能力者と言えば……


[荒業鉄拳制裁使い]

[闇(霧?)使い]

[ハルバードと空の“想”使い]

[恋と星の魔法使い]

[氷と頭使い]

[気使い(主に眠気、主に自分に)]

[太陽系魔法使い]

[月火水木金土日曜日の魔法使い]

[罪を擦り付けるドジの召使い]


いざ振り返ってみると、どれもこれも、総評『スゴイ…(エクスクラメーションマーク)』。

けどマニアック過ぎる分、シンプルで解り易く魅力的な能力って言えば『時間停止能力』でしょう。

うん、凄い。


さぁ、小刀を刃で手持ち、ゆっくりと近付くメイドさんの一方……走馬灯の様にゆっくりと今まで会って来た人たち妖怪たちを想い出し、さぁ私は紅い景色を最期にゆっくりと眠るのです。

だがゆっくりな分、いや、時を止めてしまった分、左目に痒みが疼いて来まs…

「…!」

 左手をポッケから出し掛けた瞬間、俺は半一ミリメートルの動作で手を止め、然し彼女はその動作に気付き、素早く後退し、能力を解除した。

背景に色が付いた=能力解除と訳しただけである。

解り切った誰得無駄な伝達&才能の無駄遣いご苦労様でした。


――時間の停止した世界で、常人が動けるなんて有り得ない。

その有り得ない考えを微動ながら行動に移して映してしまった愚か俺に、彼女は少々戸惑いつつ、冷静に問いかけてきた。

「見えて…いるのですか?」

 あぁ、うん。

 『見えている』という返答じゃなく、『何故だが知らんが次に来る台詞を察した』ように、あぁ、うん。

そう首を傾げる。

「見えているのですかと聞いているのです、招かねざるお客様」

 ほらやっぱりな、来ると想った。

『時間能力者』って格付けは、連想だけの予想だけど……時間を操る奴って〈設定〉に接点とか有るのかな? 時を止めた空間を『世界』とか言ったり――。

「さぁ…何の事でしょう? 解らないですね、サクヤさん」

ちゃっかり俺もそれっぽく返して、適当に名前読んじゃったんだけど、この人、このアヤk……人、度々噂に出ているサクヤさんって人物で宜しいんでしょうか? 度々『でしょうか?』を使うコレも、口癖認定で宜しいでしょうか?

疑問の疑問は不問に凍結して、見ず知らずの不審者が自分の名前と手口を知っている事にて警戒心をパラメータ『赤』にまで高めたメイドは、尋問の傾向で、切込みにかかった。

「――解りました。では謎のお客様、名前をお聞かせ願いないでしょうか?」

バリアーでも張るかの様に、片手翳してからの拡大(リサイズ)、浮遊防御する『防壁物差し』でナイフを防いだ俺は、もう『俺』なんて紹介はしない。

俺の名は……

「謎のお客様は謎の儘で、と言いたい処だが――“陽月さくら”。暇潰しと虱潰しにこの館に散歩しに来た、通りすがりの放浪者だ」

「放浪者って、虱潰しに館を通りすがるのですか……?」

沈黙が続いた。

その間に隙無く、容赦無く、二振り、三振りと剣を交え、武器と異器、背中合わせで会話を再開する。

「まぁ良いです、ヒノヅキさん。暇を潰したくこの館に、どうやって侵入したかは……大方、門はあの子がまた居眠りしていたんでしょうけd…」

「いや大丈夫、門番さんはちゃんと起こs起きてこの館を門番すべく門番の仕事を全う門番していたから」

顔を伏せた彼女に、正確には、溜息を付いた処を読み取るに、顔を伏せたと考えられる彼女に、颯爽と距離を取り、身体を回して弁解する。

あんな仕事、休憩有るかは知らないけど、24時間365日、コンビニ営業感覚で働いていたら………そんな理由かな? 直立して役立t…ゲフンゲフン……そんな門番さんに肩入れし、説得を興じた。

「起こしたの?」

説得出来ませんでした。

「……何方にせよ、侵入方法が気がかりね。奇跡が垣間見たほんの一時の散歩でしたでしょうけど、散歩だとそのような安直な理由で、況してや見知らぬ人が館をうろつき回れては、宜しく気がかりです」

 ナイフを投げ飛ばす。

 俺は人差し指と中指に挟んで止める。

 『宜しく気がかりです』。うわぁ、前置詞に『よろしく』とか使うとか、俺も使ってみてぇわぁ。

「それでは、ヒノヅキさん、粗茶も無い持て成しで申し訳有りませんが、貴方様のご退出に少々手荒くして、コーマ館当主“レミリア・スカーレット”お嬢様の従者が一人、十六の月に咲く夜“十六夜(いざよい)咲夜(さくや)”が、本格的にお相手仕ります」

これはこれは、ご丁寧な宣戦布告を。

そして十六夜咲夜だったな、当たって良かった。コロンビア。

「――異形さは兎も角、その金色の髪は、何処かの常連白黒窃盗魔法使いを連想して成りませんわ。『もし』という仮定の中ですが、パチュリー様の書物をご拝借しているのなら、事が終えてから取り調べさせて頂きます」

 前言撤回、この人超失礼。いや俺に対しての…事じゃねぇ。

 一々事話題にその白黒の魔女を出して来るってのは……『俺の想う奴』と当て嵌まってんのかは知らんが、例えソイツが他者にとってどんなに悪だろうと迷惑だろうとマチガイだろうと、アイツが許してくれた……[友人]としての[立場]、それに伴う想いは……

「――非常に不愉快だ」

「はい?」

発言は突発的だが、心より秀でた言葉。

「宜しく不愉快だ」

「はい??」

 箇条で少々野心も籠っているが。

「魔理s…その白黒魔女に盗られるのが嫌なら、逆にご招待すればいいだろうよ。図書委員とは先迄、ごゆるりと静粛に黙読していたが、アイツも、その秘書も、俺を見るや否や、その白黒魔女の被害話題だ。世界の本を持って居る様な冊数で何が『盗られた』だよ。そりゃあ永遠に借りたくもなるわ」

流石に息切れるので、少々呼吸。

同時に脚を開け、腰を落とし、腕を構え、据わらせる。

「アンタ等がどれだけアイツに恨み持っていようが、マチガった行為を働こうが、俺は友人で恩人の、アイツの肩を取るね」

 これはマチガイだろうか? 悪友の仲は、世から否定される存在でしょうか……? それ考え方によっては、クールじゃないか?

だけどまぁそれが、アイツに石をぶつけられる引き鉄になるのなら、俺は彼女を守り、つつ、俺は俺を矢張り全否定しよう。

「これは失礼致しました。あの白黒魔法使いの配偶者でしたか」

 チガウ。

「確かに家桜が侮蔑されましては、人情によりますが、亭主様も黙ってはいられないでしょう」

 だからチガウ。

「然しあの世界有数級の本は全て、パチュリー様の私有財産です。してその配慮は我が館の主。主とパチュリー様は友人関係で、館主のご友人の財産を、盗み取る輩を見す見す逃がしては、従者として面目が立たないでは有りませんか? それでいて、貴方が本を無断拝借したと言う傾向もあるかと疑わしい感情もございます。どうやらお互いに引けない立場が有るようで、会話での和解は完全に決裂されたようですし……それでは始めましょうか」

「ああ、いいぜ、メイドさん。気乗りしないが、ここは『弾幕ごっこ』で蹴り付けようや。俺が勝ったら……そうだな、此処の門、開けさせて貰いましょうか。『ノーレッジ図書館』の開門許諾…それが戦利品(リザルト)だ」

「良いでしょう。お嬢様に代わって、お受け致します。時間も差し迫って居りますので、なるべく手短に……」

ポケットから懐中時計を手に取り、時間を見やる。

蓋をパチンと――勢い良く、音も良く閉じて、さて彼女の願望は――

「私の戦利品は『パチュリー様が盗られた本の全回収と、ロストした時間分の強制労働』。それで宜しいですね?」

身体を物理的に切り、動作的に粉切りにして働かせ、精神を切り刻み、あわや肩入れすると言った友人を裏切る行為を、働かせる。

時間とナイフ使いの見事な手捌きで裁き(ちゅうもん)だが、俺も俺でオーバーな注文よ。

俺の戦果は、お嬢様(やかたぬし)込みの許容範囲であって、即ちこれ勝利しても、お嬢様とも何等か決闘しなければいけないっつー理由だ。

そんなフラグがスタンディング。

それで向こうの願望と来るならば、対価は支払われたと言った処だよな。

「了承。じゃあ、弾幕ごっこには合わないが、最初からちょっと本気出すぞ」

恩人直伝、混沌の異なる器『異器』の一つ、“文房器”の“消すもの(ラヴ・アウト)”、弾幕ごっこ用を左右に配備し、消失の右手、増幅の左手で、自身に強化(バフ)を施す。

「『“戦闘力”増幅~warrior~』」

左手によって増幅させ贈与されるのは、悪までも『力』。

一度に増す事の出来る『力』の数は、指の数分。

その割合、指一本に0.2の増加。

大瓶ビールの入ったケース約26kgの重さを持てる力持ちが、一気に4ケース持てるようになると言った割合だ。

俺の戦闘力で計り例えるなら、実際の拳一殴打で水がまだ含まれた泥団子程度の質量しか壊せない処が、『腕力』一幅で石、二幅で山、三幅で大陸、四幅で惑星、五幅で空間すらも破壊できる力を得ると言う訳だ。

ま、詰まりは、只『腕力』を上げるだけじゃあ、万象や文明すらも破壊し兼ねない化け物級・恋愛創造級の力をぶっ放しちまう理由なので、色々と力を分別して分解して分散させる……みたいな。

『“戦闘能力”増幅~warrior~』は、攻撃力・防御力・脚力・瞬発力・体力・視力・聴力・耐久力・腕力・遠心力・エトセトラ・etc.の力が増幅されるわけだが……。

おいちょっと待て、力の増加類数は最大5つまでと言った話はどこ行った話になるのだが、これは右手の「消失の力」によって『力』の制限が消失したのか? と、適当に推測しており、または“力”という『言葉』次第では、如何にでもなると言った〈設定(チート)〉なのかも。

自分の手だが、知らない事は多いのである。

「それでは私も、僭越乍ら切り札(スペルカード)を出させて頂きます。それでいて小手調べなのですが……」

 お構いも遠慮も無く、どうぞ切っちゃってくださいまし。


「『咲夜の世界』をご覧になってください」


急に自分の世界披いちゃったよ……なんて、落胆的な考えを与える間もなく、手を肩に添えて一礼する彼女は時を止め、四方八方至る所に、ナイフの刃を此方に向けて配置した。

時が動けば、俺は無残に蜂の巣状態になる訳だが、時が止まっている状態で、何故か俺は身動きが出来る理由だし。

えぇ、自分でもご存じないですわ、この原理。

そして恐らく彼女が言った「小手調べ」というのは、俺が止まった時の空間の中で、動けるのか否かという調査・確認だろう。

「ちょっと本気を出す」と言った手前だし、じゃあ、その小手打ちに打つかってやろうじゃんか。

俺はその意気込みで鞄から、カッターナイフの刀『一切刀-altogether(アルトギャザー) blade(ブレード)-』、と刃元が無駄に長い鋏『合切剣-detachment(ディタッチメント) sword(ソード)-』を取り出し、まだ動かない時の中、無心不乱に刀を振り続け、固定されたナイフの剣先をずらし、振り払っていった。

「矢張り動けるのですね、ヒノヅキさん……。どのような力を以て動いているかは知らないけど、それならそれで手段は有ります」

手段なだけに、彼女は手にナイフを掴み、低い姿勢で身構え、サバイバーの如く即座に移動する。

「……彼女は魔術が得意でしょうが、私は体術が得意ですから」

自信有り気に長所解説どうも。

「――だが、体術には持って行かせはしないさ。お前がこの世界を動かす前に、お前に近付く」

「結局体術戦では有りませんか、それ? 否、接近戦と変換したかったの?」

「そこまで言葉遊びが無粋な口でもねぇ…よっ」

両手を腰に触れさせ、1の値で増加した『脚力』・減少した『重力』を利用し、まだ『速攻で走行する俺の移動』に意識するメイドさんの、少々余裕ある位置、横向きで後ろに立った。

「まぁ確かに、接近戦ではあるよな」

「…ッ! 小癪な」

 とナイフをワン・スロウ

「そう睨むな、メイドさん。綺麗なお顔が台無しだぜ?」

首を後ろに曲げて回避。

「! 闘いを前にして何を言い出すのですか、色呆け者!」

 照れるなよ、褒めに弱いタイプか……この際というか、今までの経験則で又使う事は断じてしない心理術(くちぐるま)だが。

「いや率直な総合的感想を述べただけの……まぁいい。勘違いしないで欲しいが、この行いは色惚けとかセクハラとかでもない。ただ体術かどうかと言われれば、体を使うし、術……なのかも知れない」

「な、何を…」

許してくれ、両手を塞いでして、これ必要か壁にまで押し寄せてもう死刑になりたい。

だが絶対的勝機を得るには、正気を失わなければ……。

俺の気紛れで『ちょっと本気』が損なわれて、負けてしまう前に。

彼女を呼ぶ為、俺は俺を殺す。社会的にも死にそうだが……。

「本当、手荒な真似をして、申しわモフッ…」

「な、な、な、な、な……」

 それ以前に、俺は社会で生きていけるでしょうか? 知らない。俺は彼女の胸に、顔を突っ込んだ。

「きゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 その悲鳴は、きっと館中に響いた筈なのだが、数秒待ってしても誰も「どうしました」とテンプレ台詞吐いて現場に来ないのは、彼女が絶叫中に時を止めていたからなのでしょうか? どうしました、何の為の行動なのかは、主人やその他の従業員に迷惑を掛けない為なのでしょうかね? 

何だか今日は妙にクリアレベルの思考を費やす、白い自分が居る様だ。

コーマが近いから浮かれている? まぁ後にして考えれば良い事だし……。

俺は只、その後にして考えた思考を後にして、自分が現状に働く恥知らずな行いに混乱を覚え、錯乱を見て、狂乱が芽生え、そして意識は眠るように、深く沈んでいった。


仮にもネット小説家の端くれなので、他小説サイトとのキャプションパターンを考えてみるも、その余地なし。有難うマドハタ先生、コレまでだよ。

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