第玖話 読書する本の色〈読篇〉~Yang~[countenance]
パチュリー・ノーレッジと対面するヒツキ。
誰かさんと似て居る事で痺れを切らしている様子、何とか穏便に事を済ませたい。
【七曜】
コーマ館の、約4割が占めるであろう間取りの、地下設置図書室。
愛読家には打って付けの、本の量で埋め尽くされる広大さ、静寂さ。
言葉そのものに溶け込む程の空間は、いや寧ろ、溶け込むどころか、溶け込みが別の意味で悪くて、体に害成す気が充満しているが――――主曰く、『本や髪が日差しで傷むから』の事情で日陰道、して、風の通しも不良好、と言うか不設備状態、と言うか地下からどうやって風を通す。
通気口でも在るんでしょうか?
此処の館長である“パチュリー・ノーレッジ”。
偉大で雄大で膨大な魔女らしいが、引き換えに、付け加えに、世の均衡に、虚弱体質で喘息持ちだとか……。
これ等は後々知った話だったが、果て、彼女本人から聞いたのか、彼女を慕い、敬い、弟子入りを全身使って全力投球志願したが敢え無く沈下した、我が義理の姉君からだったろうか……それとも何らかの妄想を隔てて企てた俺のプロットだったか。
何にせよ、当初の目当てが存在外れかも知れん[駒]で有って、然し本館にお邪魔してから玄関先、見当たらない為、目的外れかも知れないので、(〈伝説のコーマ〉はそもそも論で無いのでは?)と思考が働き(何しに居るのだろう…)と、我ながらその想いに辿り行きつつ有る。
辿り着いた先には、希望か、絶望か……。
今回の物語の流れは『まぁ何時も通り、流れに乗るだけです』です。
そう言った処で、彼女が前回聞いて来た『何しに此処へ?』の質問を毎度の如く、当然の如く、義務の如く、反射動作の如く、返して上げるとしましょう……粗筋のさり気無い一文がまさかのキーワードと言う、何だこの[モノ語]。
前回とか物語とか、何自分ラノベ主人公気取っちゃてんの?
「私は今、金髪と白黒衣服を合わせた奴を部屋には入れたくないの」
俺が返事する間髪を入れず、彼女は二つ目の質問『アナタも本を掏り取る泥棒かしら?』に続く台詞を並べた。
そして金髪と白黒――身に覚えの有る色彩を耳にして(あぁ現状は事後か)と、加害者がどんな勢いでどんな台詞を吐いてとんずらしたかをイメージして、被害者である“ノーレッジさん”の内心お察し、納得した。
「滅相も無い。俺は『自分がされたくない事を相手にはしない主義』なので。まぁ此処に居る事情と申しますと……先程窓から放り出された姉の捜索、もう一つは[魔女]の捜索」
後、伝説のコーマの捜索……とは何故言わなかったのだろう。
泥棒扱いされるのを避けて? 利口だが、拝観させて欲しいと頼めば良かったモノを……言わず経過した時間は何とも惜しい気がした。
「魔女、姉……アナタも魔法使いの弟子志願者?」
いや、まぁ。あの、姉、有り、して、弟、有り、でしょうが……実の姉では無いし。
「冗談よ、アナタも冗談が旨いわね」
お、おう……鋭いな、この魔法使い。
「いやいや、何を仰る。これでも、魔女を狩らんと〈魔女狩りハンター〉の肩書を使ってこの館に入らせて貰い、取り敢えずあっちこっち回った結果この図書館に行き着き、何か弟子入り願望の欲と性格が旺盛な、先程成らずして成った義理の姉に遭遇し、姉が嗾けられて南無~と拝んでいただけの通りすがりの金髪白黒衣装“陽月さくらさん”ですヨ?」
「……最初の肩書、[魔女]を狩るのか、[魔女狩り]を狩るのかが解んないんだけど……」
そして何もかもを馬鹿正直に話す馬鹿=ヒツキ。
あ、コーマについて語るのを忘れた。
馬鹿。
おいそこ大事だろって。
馬鹿。
でも非存在ぽそうだし~…言うに抵抗がヴァカ。
「でも、まぁ、そう。事情は解ったわ……目的は解んないけど……これからどうするの?」
『どうするの?』って、目的達成迄の過程を語れと? いやいやいや、うん。
「取り敢えず魔女狩りハンターの建前上、依頼者であるサクヤさんに消されそうなので引き揚げます」
おいいぃぃ。
コーマ言えよ、無情。
抵抗って何だよ。
よくよく考えたら無情に抵抗って……あ、俺[理性]と言う名の[思考]を使って生きる〈マチガイ〉でした。
「そう……お疲れ様。ハンターさくら」
「ヒツキ、でヨロシクな、次は」
っと、いつもの仇名紹介を済ました。
「次が有るのかしら……!」
俺は業務を引き揚げ、本を手に取る為、引き、手に上げた。
途端に、いつもの『突如』のパターン。まぁ引き金は俺からなのだけども。
サイドから何やら魔弾のようなモノが打たれ、〈髪神の守〉にてそれは防がれた。その防御音を耳にして、パチュリーを見、そして下を見やると、光に包まれた色鮮やかな小石が転げ落ちて居り、その石はすぐさま光を失い、只の何の変哲もない何処にでもある灰色の石に戻った。
かたやその光る石をぶつけて来た張本人は、読む姿勢は崩さず、光る石のストックを補充しつつ、此方にぶつけんと戦闘の態勢を立てていた。然し、今はまだ、攻撃はせずに、言葉にて合戦が始まった。先攻はパチュリー。
「アナタ何しているの? やっぱりあの金髪と同じ私の本を盗る輩なの? 若しかして繋がりが有るとか……あの白黒と?」
繋がり……。
「確かに昨日アイツの家に泊めて貰う程の友人繋がりは有ったとしても、アイツの稼業(?)にまで手を貸して手を汚す繋がりは無い。ていうか輩は止めたげて。金髪皆そうみたいになるでしょ」
「なら何、その手は? 私の本を手に取っているけど」
「手に取っているだけで盗むとは限らないよ“図書委員”さん。ほら、ちゃんとレンタルカードに書きますし、紙とペンを」
持っているでしょ、俺。
「レンタルして返された試しがないのよ、あの魔女から。……トショイーン?」
「現地朗読致しますって。“図書委員”ってのは、本が好き、本が好きすぎて命そのものみたいな思想持つ奴の仇名みたいなモンだよ」
みたいでもなく、ソノモノなのですがそれは。
「……まぁ、悪くない響きね」
当人は気に入ってくれた模様。
「で、盗ったりしないんでしょうね?」
「盗らない、盗らない。万一盗り去った場合は、さっきの弾幕を二発、いい具合の距離間で飛ばして一発目は自動防御が発動されるから。二発目で、自動防御が復活する前に打てば仕留められるから」
そこまで弱点を言えばまぁ盗らないだろうと……パチュリーは疑心暗鬼を半信半鬼にまで抑え、
「まぁ、いいわ。私の本棚に張っておいた結界を破ったのは良くないけど」
そうそう俺、『魔術』タイプで動くのは得意じゃ無いんだわ。
「確かに盗みそうな顔じゃないわね」
その「しそうな」が否定的って否定したくなる人挙手。
「一応盗めるには盗めるが?」
「じゃあ追い出す?」
「ご勘弁」
胡坐をかいて座り、コーマの探索を忘れ、読書に時間を費やした。
因みに本のタイトルは『西遊記(日本改訂版)』―――坊さんが馬になった龍に跨ぎ、三匹の動物(妖怪)を連れて、天竺というお寺から、授経するまでの旅の経過を描いた伝奇小説。
さて、時間はどれ位経ったのでしょう? 猿と豚と河童、三匹が仲間になる所まで読んだが……。“図書委員”ことパチュリー・トショイーン・ノーレッジさんは机にATフィールド(物理)が張れる量の本を乗せていやがる。顔と言うか全体が覆って見えやしない。まぁ見る気は更々無し。
それよりかはあの本の量、アレ全部一日で読み切るのか……食事とか身の回りの掃除とかは……あの使い魔“こぁちゃん”が片付けてくれるだろうし、他人の生活習慣にケチ付けるとか俺はしないし、無いし。
「ねぇ。アナタ今何読んでいるの?」
「お?」
何だ、俺の〈モノ語〉が終わった途端、タイミング良く話し掛けて来て……トワイワズ、本の名前ね。
「西遊記」
「さい…ゆう……ああ、あの中国を舞台に描かれた伝奇ね。何でそれを選んだの?」
『何で―?』って……まぁ近くに有ったのが一番の理由だが、確かに他にも有ったよな。三国志やら、オズの魔法使い……不思議の国のアリス。これらをチョイスしても良かったのに、何故、選んだんだ? 少々考える時間をくれ。よし分かった。
「旅っていうのが、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、ちょびっとちょっとだけ、マイクロの単位のちょっとだけ、当て嵌まったからかな? ……俺の最近の出来事に」
「魔理沙の家に泊めて貰ったことが?」
「旅じゃねぇだろ? いやだが、俺は食われかけたのか? あの魔女に。人間の顔した妖怪に」
「あれは人よ」
「そうか良かった……なら尚悪いわ、共喰い馬鹿野郎」
「誰に言ってるのよ」
「話は戻して。目的が西に行く事でもなければ、平穏を齎したい理由でも……少々あったな、自己的に。まぁ意識はしていなかったが。そんな適当加減で旅をして、数々と会った訳よ。色んな奴と。そいつ等から教わる事は色々有ったし。これからも有るとするなら、なんか旅って凄いなって想って、多分……これをチョイスしたのかな?」
うおぉ、言い切ったけど自分でも何言っているかが途中から解んなくなっていた……これは建て前でしょうか? それとも本心でしょうか? 俺に心は有り? 無し?
「……ふ~ん。視野を広くした選び方、見方ね。まぁコレからもそんな旅が有れば良いんじゃない?」
そうかな、……そうだな。
「でもそれなら、ガリヴァー旅行記とか、不思議も国のアリスでも良かったんじゃない?」
そうだな、……そうだなっ。
「そう言えば(本当に)、アリスって奴が森に居るらしいな……」
「ええ居るわね。私と同族種で人形を操るわ」
マジか……幻想郷のアリスはウィッチでドールメイカーだったのか。
益々アリスとのお茶会がタノシミになって来たヨ。
「処でヒツキの旅に、魔理沙の家に泊まる事が有ったのよね」
又その話かい。
「それが何だって言うんだ?」
「具体的には何をしたの?」
気になる所か、それ……? まぁ言って減るようなモノは何も無いから教えるが……
「飯作ってくれたり、アイツの肖像画を描いたり……それ位だな」
お泊りの談で語られる後のネタは……
「風呂とか寝床はどうしたのよ」
それ来るわな。典型的です。
「風呂は俺十八番の水・泡・風の魔術で済ませたし」
……って言った方が簡単か。
「寝床も魔術でエアベッドを作った」
だが今朝の事は……いやあれは寝ボケていただけ、寝惚けていただけ。
「今朝に? はぁ~…、ふ~…ん」
やべっ、口に出ていたか……。俺は何も減らないが、口は減ってないが、魔理沙には……ってまさか?
「“図書委員”さん、アンタ。この話を借本奪還の出汁にしようって根端だろ?」
彼女は無言に此方を見つめ、本に目を戻した。
「さぁ……私喘息持ちだから中々外には出られないし。小悪魔は演技とか流れを持って来さす事とか出来ないでしょうから」
身を粉にして働く使い魔に、情け無ぇナこの主人……だが小悪魔ってだけあって、あの魔女には軽く足蹴にされそうなイメージは湧く……無性に、無情に。
「まぁ、そういう処が可愛いんでしょうけど」
ドジな使い魔程―――とやらでしょうか?
「まぁ、じぶんの身を外に追いやる位だしな」
片方はどう考えているかは知らないが、相思、あの場面を想い出し……
「クスッ……まぁ、そうね……」
扨、綻びが見え始めたが、再び両者、朗読に復帰した。
【助手】
その後、すぐさま“こぁちゃん”がおずおずと戻って主人に寄り付き、俺に対する警戒令(何か例えに『金髪』の語句が聞こえたが…)を申し上げたが、『あの通り大丈夫よ』と、宥めるには少々言葉が足ら無さ過ぎて逆に不安を覚えそうだが、『ま、まぁ主人が言うからには……』という目で俺を見つめ、小悪魔は作業に復帰した。
“図書委員”が読み終えたとされる本は机の端に積みに積まれ、それを彼女が運び、元の場所に戻す。
それを眺め俺は、自身をニートキャラと申すなら、らしくもない騎士道、紳士道、男道を発揮した。
「よっ…と」
「…………」
連なる本の塔の一部を横取りし、『何ですか?』と言わんばかりに小悪魔は睨み付けてきた。まぁ俺もらしくなくて、尚且つその心底は気紛れの一行でして、本当に『何ですか?』
「あ~……手伝うよ?」
「何で疑問になるんですか? してそれは、相手を油断させて本を奪う金髪の手口ですか?」
……金髪って一体何なんでしょう? 大学の論文で出ていたら是非教えて欲しいよ。またマルトゥア姉さんに会ったら聞いてみよう。『[金髪について]の授業って出ている?』とか。……絶対『無い。在り得無い』と返されるでしょう。
「本を読むのも良いが、偶には身体を動かさなきゃ鈍ってしまうんでね。運動慣らしの一つとして丁度良い」
「結構です。私はそれなりに力もありますし翼もあります。運動されたいのでしたら外でなされたら如何ですか?」
外っていうのは、館の門外でしょうかねぇ……それとも外界?
「……う~ん、いや、歩く、だけで運動することにするわ。“こぁちゃん”の補佐役も担って」
「! 誰が“こぁちゃん”ですか?! そんな魔力結晶の心臓部みたいな愛称止めてくださいよ!」
遠くで一風吹いた音が聞こえた。
「というか愛称ですか!? 私を愛の対象として見立てるおつもりですか?!!!」
愛読家の従者なだけあって、想像力が豊かだな。[想像力]っていう俺の手による増幅でしょうか? そして再び遠い方で風の吹く音がリズムを刻んで聞こえてきた。
「パチュリー様も笑わないでくださいっ!」
「……笑ってないわよ」
「嘘です、絶対笑ってましたっ! まったく……ほら貴方様も、本を読み続けるかココから出ていくか何方かにしてください」
「一応『あなたさま』とご丁寧に。更にこの場に置いといてくれる選択もくれるだなんて、実に接客サービス」
「だ…誰が『アナタ』と……そんな呼び方していません! フンッ…」
俺もそんな呼び方していません。
「ごめんなさい。内の使い魔、あんなんで……」
「いや良いんだよ。初めて来た奴が丸で以前から居る様にこうやって読書されてちゃあ、慣れない環境というよりやっぱり敵意しか出せないでしょうに」
「そうね……前まで敵だった仲の人物が、味方に加わって違和感しか覚えないようなモノね」
「お、おお、うん、そ……うだな?」
何か随分しっくり来る言い方だな……。
「私もアナタがココに居る事に関しては違和感だけど、でも不思議と危機感は無いのよね……何でかな?」
「『何でかな?』って言われても…」
え? 自分を語れと……いや語って来たけども。
「きゃああああ…………!!!!」
あれま、騒々しい物音と発声が……。
「ハァ……また落としてくれたわね、小悪魔」
愛読家魔女のドジっ子従者、後に待つるは、仕置きの時かな。
「俺が行く。本に破損箇所有っても、“こあちゃん”責めるなよ」
一体何付属でフォローしたのか……俺は物音が鳴った現場へと移行した。
――現場は、見るに堪えない程の本の散らかり様。本が開いた状態で散開しており、その下には、本に押し潰され、倒れている小悪魔の姿が在った。
「いったた……また遣ってしまいました。……こうなったのはあのヒトミシリさんが居るのが活けないんです」
この悪魔、『また』と言った自分の失敗を、今回軽くヒトミシリさんが生存しているからって理由で罪を擦り付け付けしたぞ。俺は別段人見知りでも無く、又――瞳は知らない目をしているがネ。
ヒツキさんが変換されてヒトミシリさんになったと言う訳なのでしょうか? どうも、“ヒトミシリさくら”です。
「大丈夫か?」
「こあぁあっ!? …………ア、オキャクサマ、ゴシンパイナク、コァチャンゲンキデス」
「ああ、うん。ハウアーユーを聞いているのではなく……」
てんでこの世の終わりを見たような顔です。どうも、“此世之終焉送迎ヒトミシリさくら”です。ヒトミシリは諱です、最早。
「……えーっと、聞かれましたか? 先程の私のひとり言……」
不安気そうにモノ言うな。抱きたく成っちまう……設定無いだろ。
「独り言は一人だから独り言なんだろ? じゃあ聞いていない」
「そ、それはあの……推測の結論『聞かれていた』と言う訳で。……申し訳御座いません、お客様に影ながら愚痴を、とんだご無礼を」
ドジっ子だが、しっかり者。
良いねぇ、このセンス。
何が良いかはピンとプンと……。
「無礼? いやいやおいおい何を申すか“秘書さん”、無礼は此方の方だぜ? 俺はこの館とこの部屋に『お邪魔します』と会釈せず入って来た侵入者だ」
オイダセ、オイダセ~。
「そんでもってこの私室と言わんばかりの図書館を、バージンであって常連みたくでの『コミックカフェかと勘違いしてんのか?』と暢気に寛いでいるなんてそりゃあ吾人、当然の接待ですぁ。俺の事はお客様呼ばわりしなくて良いンすよ。後お茶も不要です」
俺は何者よ。の長文説得。ソレヨリオイダセ~。
「で、ですが、主人のお申しつけも有りますから……」
「主人は『俺を持て成せ』と命じたか?」
「いえ。それなら……アレ? でも『追い出せ』とも。あなたさまはどちらに位置付ければ」
実に俺らしい曖昧なポジション。
少々鼻が高い気がして、左目を閉じたくなる。
だが追い出されることは無いようだ。
何せそれは主人が申し付ける事であって、俺の頭で語る一言は所詮独り言。
「第三の付箋、“ヒツキ”で良いよ、俺は。俺の場合は」
「良く解りませんが……はい! では“ヒツキ様”で!!」
おお、“るみゃ(ブロンド・ロリ)”に様付けされるのとは、また違う感覚。
この一興は、一教である。
ハイサテデワスズシンダコトデ。
「……本、何処に片付ければ良い?」
「あ、宜しいですよ~ヒツキ様? 私の仕事ですから♪」
……打ち解けってのはまぁ悪いモンでは無いが、彼女の語り口調から、矢張り様付けの違いは勘違いだった様、ルーミアと同じ〈何か〉な、気を感じてこりゃまた、マチガえた。
暫く共同で協同し、本をもとの位置に戻した…サムイ。漫画も有るんだな、ココ。
「お力添えありがとうございました、ヒツキ様。それでは、ごゆっくりお寛ぎください。後で茶をお持ちします」
「いえいえ、ご丁寧に、御構い無く」
互いに礼で返し合い、手を振り、互いの元居た位置へ戻った。
何故言えばいい事を言わないかは、其れですら幻想だからです。幻想理論即ち、俺ですら解らない事。