第漆点歩話 朝露に似た色~Scenery~[幼怪編]
始まりました第二章。
今回は初期を攻略していくって感じで、取り敢えず散歩だ。
【早朝】
朝を迎えた――――奇跡の朝。
小学校の国語の教科書、表紙を捲ってから、載って有る詩でも音読し始めそうな勢いだが、実際に読むのは[今を持って語れる時期的日記]である……朗読で、な。
日記と言うよりかは、時期の記録だから時記。
正直に語るとペンを持って記しているのではなく、脳内での記録であり、その間分単位で記され、分記=奮起とかでも良いのかも知れない。
だが奮起して考え連ねる妄想癖さんの日記は秒単位に縮めて、秒記=病気でも良いかな? 良いかも知れない。
良し悪しは本当に知らないから、扨、日記を読んでいくか。
【日記】
人生的に転生か、実体的に転移か……
この奇想天外級、異なる事情の異世界〈幻想郷〉に来て――――奇跡の二日目を迎えた。
奇跡と言えるのにも、基本、俺は死んでも現実味無く無い筈が、不明の因果、生存の道楽を歩んで終って居るのだから、若くして死んだ、誠実で将来有望だった真人間にこの事実、誠に申し訳無い。
とあるキャラメル菓子のオマケみたいな感覚のオマケとしては、昨日今日知り合っての友人の家にも泊めてもらって居るのだから、本当申し訳ない。
と、このように、死の可能性を重んじつつも、「死人に口無しだから」と言いたい放題語って、妄想は聞かれないからと想いたい放題想って、その俺この俺「陽月さくら」は、俗に俗で縮めて纏めて、駄目人間なのである。
目から駄目人間である。
駄目人間の枠内には、〈無情〉と、言うのも有る。
人間らしさの元素と言える〈感情〉を捨てたその人間は、己や、他に、興味を示す事は無い…故に〈無情〉。
そして正に駄目の元、駄目元。
その駄目元で語られた俺の俺に対する駄目駄目論説は然し…彼女は俺に「それこそが駄目だ」と言う反論で、俺の人間を決定する……人間性を、決めて定める。
「ヒツキは駄目と言うより、悪態付いているだけ、だと思うんだよな」
語る彼女は、魔法使いで魔女の少女、現在俺が泊めて貰っている家の主…霧雨魔理沙。
その彼女が俺を駄目人間ではなく、悪態人間と称すのも、先ず[俺自身の短所についてを語る]…だったり、取り敢えず何でも良いから、本当に何でも良いからな調子で語る俺の口癖、語り癖が、どう考えても、本物の無情人間が居るとするならば、饒舌とまでは行かなくとも、兎に角、ベラベラ、ペラペラ、音楽を奏でながら語りに語る琵琶法師のように語り尽くせる訳が無い。
だとすれば、だとしても、それならば、俺はこう言い返す――――じゃあ俺は偽物の無情人間だ、と。
ならば彼女は、
「偽物の無情人間なら、情が有るんだな」
―――この論破に当たる。
返答違いもいいところだ、俺が。
更に続けて、彼女は論破を続行する。
「―――無情人間って言い張るけど、それを主張する意味とか義務とかって有るのか?」
「ご最も」と言える彼女の言い分に、俺は頭を掻きたくなるような、ならないような……曖昧な状況に立たされた。
だがその迷走を振り払い、その場は何も言わず……。
―――目が覚めてからは先ず洗顔、そして歯磨き、その後に朝食を取り、また歯磨きの、家主の習慣に倣い……現在1回目の[そして歯磨き]を、無言では有るが、強いて言うなら、口内に含んだ大量の水を文字通り吐き出し――吐き出すに置いての意訳は、『流す』ではなく、『消す』。
少々歯磨きの嗽が複雑…と言うか歯磨きだけにどんどん遠征して行き、語るに申し訳ないのだが……。
最初に、普通に普通の歯ブラシを使用して歯を磨く。
旅の出に、歯ブラシは用意しなかったのだが、まぁ用意せずとも何時でも歯ブラシを創り出せる事は可能だったので、普通では無かった。
それから大体磨けたかと、俺基準では心許無いが、取り敢えずそれ位に済まして……なんてことは出来ないので、魔理沙が磨き終えるのを待ちながら磨き、磨き終えたタイミングに合わせて……さて本題の嗽に入る。
他人様の洗面台やら、歯ブラシやら、歯磨き粉やら、どれもこれも外界からの流れもの……からの知識増加→試して合点製造、幻想郷での先進途上ルーツ。
そして持ちに持ち、置きに置いている魔理沙の予備の歯ブラシを、何の躊躇も無く、遠慮も無く「使えよ」という彼女の思い入れには、腐っても流石に引き目を感じた。
のでまぁ、歯ブラシを想像して創造し、嗽においては彼女の所有品である洗面台で俺が吐くモノを、流してバイバイは忍びないので……先ず、左手に宿る消失の力『施無畏の右手』で、口に含まれた歯磨き粉の成分や、唾液の水分以外の物質を一滴残さず消失させて、残った水分は、左手に宿る増幅の力『与願の左手』で増幅させる。
気分的に『生々しい』と言うか、生暖かい水分を含んで居たので、水温も一定消失、基、減温させて、ガラガラ嗽。
面白真面目、つまり俺の成す行動にて面白半分、効能的にて真面目半分で、見ていた隣の魔理沙も真似して、彼女はその後にコレかと吐き出す行動を繰り出す。
彼女は『流す』意味で吐き出したが、俺の場合は、消失の右手で、ある程度凝固させて液状固体とし、それを左手でベクトルキャッチして、手に取れる水玉の完成、しかし口内吐出物。
仕上げに右手で文字通り、ミクロ粒子より小さな状態で『消失』、『消滅』。
これにて歯磨きは済ませて……そして忘れ去られたであろう、彼女の質問を逃げる様にして無視し、洗面台を去り、そして魔理沙の家を去る。
「あっ…!」
と声を上げる魔理沙。
後に小声で「まだ髪が整えていない」と呟くも、去り行く俺を家屋圏内から離れようとした所で「待てよ」と叫び、引き留めて、クシャクシャな髪の状態で彼女は言った。
「朝飯……食べて行くよな?」
別件で『行こう』とはしているのだが、別件と言うことで彼女の言葉に頷く。
「出来たら戻る。その間、ちょっくら散歩してくる」
「それは良いけど…戻れるのか?」
五十歩進めばこの魔法の森は直ぐに迷路だ。
心配する彼女に俺は一枚の、何かが書かれた紙を飛行機にして渡す。
それを見やり、掴まんと慌てて……慌てずとも、紙飛行機は首を傾げる魔理沙の手の平に渡る。
「それは『戻れ』と言ったら俺が玄関先に戻る仕組みになっている……朝飯が出来たらそれを使って……」
「戻れ」
景色は一変して、目の前には髪のセットが済んでいない金髪魔女の驚く光景がその場に有った。
本当に目の前で一度傾けばぶつかりそうな距離だったが……デコピン。
「いてっ!」
左手の指で打った空圧デコピンは、痛快な音を森に響かせる。
そして先の紙は使い切り仕様で一回唱えれば消滅するのだが、この魔女ぇ……
「本当に戻るのか試したいじゃねーか!」
まぁ『戻れ』と言って本当に戻ってくる紙なんて早々無いから、その気持ちは他者の意見的に解らんでもないが……。
無駄な物と事と時に、再度〈設定〉を書留、再度その紙を魔理沙に渡す。
「これもちゃんと機能するのか? ただの紙っぽい紙なだけに不安だぜ……」
「だからと言ってまた『戻れ』と言ったら次は戻らねーぞ」
「はい…気を付けます」
不安を込めて彼女は反省する。
二重の意味で説いた言葉に、独り言でも多々呟きそうな「戻れ」の言葉を、彼女は言わずして朝食を作れるのか………なんて、独り言を言う点は、俺じゃあ有るまいし。
その前に『戻れの紙』が消失していた事に魔理沙は騒ぎ訴え、その訴えを聞き取った俺は「またマチガえた」といつもの口癖を呟き、偽物の無情人間なりの八つ当たりなのか、その人間性の格付けによる当て付けか、魔理沙の顔面目掛けて紙飛行機を放ち、ただの紙にも硬度と速度が高まった固体を顔面直撃。
で、オーバーに倒された魔理沙を無視して、俺は散歩に出掛けた…………。
【散歩】
―――朝は涼しかった。
今の季節が何とからしいが、その何とかとは思えない程、そよの風が吹いて、その風が妙に涼みを着せた。
陽もまだ刺す頃じゃあないからこの感想が聞ける話……陽が上がればまたあの、思考の体、鬱陶しき暑さがこの幻想郷を照らす訳だが、それはさておき有無。
「~想」と言えば、昨日は〈思想家〉と言う輩の一人が、この森を彷徨って居やがったが、彼女は[空想の担当云々…]と言っていたな。
つまり、語句違いだが同じように、「~想」の分類で思想家と言う輩は存在するのだろうか……。
俺が先程挙げた言語では『感想』と有ったが……[感想の思想家]。
空想が『虚無』とするなら、感想は『言霊』と言った処かな? 予想の体で語っているから定かでは無し。
[予想]もあるな……この世と言うかあの世と言うかその世なのかもうワケ茎ワカメだが、『想』の付く言葉は一杯だな。
予想に関しては『予知』能力かな? いやもっとスケールがデカい気がするな…俺のスケールはプラマイゼロ語りだから、保証は出来ないが。
どうでもいいこの考えは、空を仰ぎながら想像しつつ、謎の歌を鼻で口ずさむ―――での道のりである。
そして如何せん俺の見行く先には、見覚えのある闇の玉が遊覧していた。
見覚えが有り、その現象の元凶も発覚しており、降りる際に、どんな目に有ったかも錯覚していたので、最後に言った覚えから俺はその闇の玉、基、黒い霧を黒い右手で振り払った―――案の定、霧の中からは金髪と赤いリボンと黒い服が特徴の妖怪幼女、略して『妖女』、類語『幼怪』が姿を現確した。
その幼女は、急に霧が晴れた事には何も動じず、俺を見るや否や、
「あなたは食べてもいい人類?」
定型されたJKの特殊なご挨拶のノリで、口を開いた……口を開くと言っても、お食事の準備ではなく、只喋っただけである。
「―――寧ろ俺が食べるね」
何かが欠けていた気がしたが、気なので以下略…これぞ定型たる、挨拶を返して交わした。
「お早うさん、“るみゃ”」
「おはよう、ヒツキさま。昨夜はお楽しみだったか?」
「本当ご挨拶だな」
早熟餓鬼の悪意を除かんと、右手で頭を撫で回す。
「…ん~、昨日のヒツキさまの撫で方とは何かが違うな~。抱擁力とか緩和力とかがイマイチ感じない…」
何故ここで撫で方についての審議するのか……。
その答えはきっと、昨日は〈左手〉で撫でていたからであろう。
取り敢えず左手に撫で変えようとしたが、
「でもこれはこれで悪くはない!」
何の為の審査だったのか…簡素な手のひら返しの結論を出す。
返されたら、撫でられないのだが……逆もまた真なりなのか?
ニヘヘと微笑み、頭を撫でられつつ、
「それでそれで! 昨日は何も無かったのか~?!」
と、推しに続けて上機嫌で質問する“るみゃ”。
否応なく、俺は答える。
「只、飯を、タダで食わせて貰っただけで、それ以外は本当に他に何も無いよ」
語っている時の顔は無表情だったろうて、心意の真偽の審議は付かない。
だったとしても、決めつけの如く彼女は質問を追加する。
「寝る処はどうしたのだー? まさか人間が人間を『床を寝床にして寝ろ』とは言わないだろ?」
この妖怪はませ絡みでこんな意味深な質問をしているのだろうか? ―――そんな理由は無いよな、彼女は俺の左手によって知力が増加されたが、学習力が増えた訳でも無い。
彼女が[わは~]の以前から早熟た事を知っている事が有るのだろうか…………妖怪と言う長寿の生物だから、侮りも言い切れも出来ない……。
ここは純真無垢な彼女の赤い瞳を信じて、冗を談する。
「人間と言っても相手は魔女だから、子攫いの部類は床で寝かすかもよ?」
山姥もそうするだろう……でも此処は森だから森姥?
「物の例え冗談を、正当な冗談で返されたのだー…」
反応にお困りだが、冗談返しのふいんきだったのでは…? 失敬、雰囲気。
そしてお前の趣旨は何処目指し?
「それにあれは魔法使いだが、まだ人間の類だぞ、ヒツキさま?」
類……果て?
「話は変えて、ヒツキさまはこんな所で一体全体何をしているのか?」
顎に手を添えて考える俺に遠慮なく彼女は語り掛ける。
遠慮は要らないが、それはさておき俺がこんなところで一体全体全身全霊を持って、何をしていたのかを思い出して、彼女に伝える。
「散歩中だった」
「またなのか~。ヒツキさまは散歩が好きなのか~?」
「好んでいるかどうかは置いといて、この際だから散歩は俺の日課だとか習慣なのだとも捉えて置いてくれ」
「そーなのかー」
出た、本日お初のスタンダート『そーなのかー』。
「取り敢えずあの魔女が人間の類だの何のとやらを、『気』を散らしつつ、歩きながらそのお話を聞こうじゃないか」
止めていた散歩の足を進めて、俺は何処に行くやも知れん道を通って行くことを再開する。
「舌を噛みそーなのかー」
何やら朝っぱらから涼しいを超えた(心情的に)寒い親父ギャグが聴こえたなんて俺は心情が的じゃないから言わない。
取り敢えず歩きながら舌噛むって、かわいいキャラか、かわいい奴め……
『かわいい』とかが世辞なのか本心なのか……先ず俺に心が有るのかと、色々考える事は有るだろうが先ずは、歩を進めた。
【魔女】
「私もそれ程知っている訳では無いのだが…精々、種族くらいはご存知と言った方が早いのだ」
「種族? 魔法使いなのにか? 魔法使いってのは、霊夢で言う処の〈巫女〉とか、職名みたいなモノかと想っていたが、この幻想郷では種族に当たるんだな」
「私も詳しくは知らない…。ただ昨日会った、人間である魔法使いと、以前会った他の魔法使いは匂いが違うのだ」
「なるほど匂いね~…。実に妖怪らしい能力と言うか、生まれ持った天性と言うか」
「ヒツキさまは出来ないのかー?」
「俺は妖怪じゃねーよ…、一応、複雑事情イコール腐っても人間なんでね」
「ゾンビなのかー」
「……まぁ、それで良いかな?」
創造主のことを考えると、確率的に有ると想います。
何処から韋駄天の確率かは確証以て話せない、そして毎度お馴染み反対語が付与される思考だが……あれ? もうこのパート終わり? 弾幕ごっこ開催前の粗筋よりかは長い方だけどさ……。
【続行】
そして俺たちは行く先と後先を考えず、それなりの道なりに沿って、歩く。
「言い忘れていたんだが、俺はその昨日の魔法使いに朝食をご馳走になる約束しているから、アイツが『戻れ』と言ったら、俺戻るんで……」
何処から湧き出た親切心か、置かれた現状を語るが、端的過ぎて、短絡的過ぎて、彼女は首を傾ける。
「あの魔女が朝飯を作ったら、俺は突然この場から消えるって事だ……アー、ユー、オケー?(理解した?)」
「ノー、アイ・キャント・アンダースタンド(無理、理解出来ない)」
「オゥ、マイ、メイビー、ワイフ(おお、我が、多分妻よ…)」
「ホワイ・メイビー?(なぜ多分?)」
お互い日本語で喋れ――扨、語りに語り、歩くに歩いた処で、所で、大きな壁を目の当たりにした。
その壁は、誰にも『登る』動作を優にも良にも可にもさせない、コンクリートの絶壁。
天を仰ぎそうな壁上には、有刺鉄線が張り巡らされ、地道な物から収集して潜入する泥棒がこの壁を這い上がるなら、正に苦難の壁。
潔く、正面ゲートから入る他無さそうだ……っと、別に泥を棒する訳では無いぞ。それに見知らぬ聞かぬ土地の財産なんて、夢を追いかける様に難しい事だ。
その夢物語は理想論で有り、妄想論だ……おお、なんか急に説き始めたな……。
ぐるりと回り正面ゲートは、大きな鋼鉄製で出来た分厚い扉だ。
まるで何かを隔離しているような……なんてことを考えたり出来なかったり。
「なぁ…付かぬ事をお聞きするが、この壁の向こうにお前の知っているもう一人の魔法使いが住んでいるなんて事は有り得ないよな?」
「私は前じゃなくてヒツキさまの右に居て、そしてここに魔法使いが住んでいる事やここに重圧な壁が立っている事なんてのも有り得ない……」
「? お前も知らないのか? この壁の向こう」
「普段に置いて私が森を遊歩しているなんて事も有り得ないから、地形も知れた事有り得ないのだー」
「それもそうだな、そうだったな。ならここいら…って言っても富士の樹海級、面積不明、木漏れ日照明の、暗黒フォレストだが、その森をこの壁含めて全領域把握しているのだろうか……魔理沙とか、噂に聞くアリスとか……」
「どうだろう。把握している事と、後ヒツキさまが口に出す単語諸々を把握していない私だから、凡そでしか語れないけど」
「ま、追々突き止めて行こうって話か…」
魔理沙が知っているなら、宝話が出て――知らないなら、宝話を、宝も目指して、探そうと言った処だ。
「私も付かぬことをお伺うが、あの魔法使いと一緒に添い寝していないの?」
到頭、早熟餓鬼である正体を現しやがったな…この早熟餓鬼……もっと忌み名のタイプは選べなかったのか?
「してねーよ、脳内フローラ」
詞に現れたその忌み名は……言わぬが花、言っても花、言わば花園。
【鼻歌】
「フーフーフーンフー、フフフーンフー、フーフーフーンフー、フフフーンフー…」
「ヒツキさまは何やら上機嫌なのか~? それとも会話が尽きて退屈しのぎなのか~? さっきから鼻歌をよく奏でているのだ~」
「ん?」
言われて気付いたのだが、俺…鼻で歌を歌っていたのか?
「いや、俺も良く解んないんだけど、何だろう? お前に合わせたって感じの鼻歌だった気がする……?」
「私にか? そーなのかー。初めて聞いた曲だが、確かに私にしっくり着そうな曲だったな」
「喜んで貰えてヨカッタヨ?」
「何でカタコトなのだ? 気に入っているぞ、私は?」
そんな処で、所で、また新たな地形を発見――――湖だ。
遠くを覗くと、霧が深くて見切れて、言い切れないが、大きな建物が建っていると想う……と、その幻影を見やる前に、“るみゃ”はこの湖について説明する。
「此処は『霧の湖』。朝には霧が発つことは無く、主に昼間に霧深くなることで有名な湖なのだが……あれ? 何で霧が発っているのだ?」
「幻想郷の言い方をすると、〈異変〉ってヤツじゃないか? それとも、もうお昼だったりしてな」
「そーなのかー」
そーなのだ、ろうか……、昼過ぎから日の入りまでの此処は、森と霧で覆われて、陽を見ることが少な目だった為か、時差ボケでも起こしているかのように、時差ボケだった。
さてお立会いの方々、小生をニートと見立てるなら、小生にとって時の流れとは無感不要に等しきモノだと考え成すって。
「後、この湖は妖精の溜まり場としても有名だな」
後付けで彼女は説明を続行する…妖精、か。
魔理沙に滅されたあのクリスタル・フェアリーは本当にご愁傷様だったな……生き返れる事なら生命を尊重するものとして生き返って欲しいものだ。
(何故そう想ったのだろう)と考える変わりに、(魔理沙の奴、朝飯作るの遅いな~…)とか、想ったりした……。
「そして、湖の中心には建物が建っていて建物の名は――――」
噂をすれば何とやら……、“るみゃ”の説明はそこで途切れて、また静かな森の中へと吸い込まれた……またお手紙を添えたほうが良いかな?
謎の話数は話を分ける其れ。三パート御座います。続く。