鬼
私の仕事は時間が不規則だ。
今日の勤務は午前1時まで。
少し残業。
やっと終わって家路につく。
「今日は忙しかったなあ」
帰り着くと、家の中は真っ暗だ。
みんな寝ている。
私は疲れた体に鞭打ちながら、重い足を上げ二階へ。
そっとドアを開けると子どもたちは寝ている。
いや…、息子は怪しい。
さっきまで起きていた気配がそこかしこにある。
まあ、またの機会に注意しよう。
さあ、片付けてシャワーを浴びて…。
リビングの上にプリントが一枚。
保護者対象進学説明会の案内は、3週間前6月10日付に出されたものだ。
―――おい。
返信の締切は一昨日。
――――おいっ!
スケジュールを確認して出席にマルをする。
遅れたお詫びを付箋に書き込み添付した。
時刻はもう3:30だ。
今から寝て、朝、弁当が作れる時間に起きられるか自信がない。
しょうがない。徹夜だ。
テレビショッピングでも見て、睡眠と衝動買いの誘惑と戦い続けよう。
―――朝、誘惑に打ち勝った私は無事に弁当を作った。
子どもたちを送り出したら、死んだように寝てやる!
決意も新たに最後の力を振り絞る。
そんな私に娘が一言。
「学校まで、送って」
――――鬼か?
私は泣く泣く車のエンジンをかけた。