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焼肉 その2
薄い肉でも肉は肉!
野菜が焼ける甘い匂い。
油が飛び散らないように敷き詰めた新聞は、ビジュアル的には問題大アリだが、私のストレス軽減には大いに役立っている。優秀なサポーターだ。
しかも、子どもがたちが記事に興味を持つこともある。
極たまに、だけど。
「ねえ、お肉焼かないの?」
いい質問だ、娘よ。
私は、大仰に語り始める。
「いい?自分のお箸で生肉を触ったらダメなのよ。自分の肉を育てたかったらこの竹箸を使うの」
肉を育てる。これも我が家の焼肉の定番。
子どもたちは自分の気に入った食べたいお肉を厳選し、ホットプレートの自分の陣地で好みの加減に焼き上げる。
これを我が家では育てると言う。
もっちろん、大人の私はそんなことはしない。
自分の陣地も持たない。
ホットプレート全体を把握しながら目配り、気配り。
子どもたちには分からないように、こっそり分散させて肉を育てている。
「お母さん。焼肉のたれが無くなったー」
「あら、本当!取ってくるね」
「はい、お待たせ〜」
…肉がなくなっていた。