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この女、ドSにつき  作者: コカトリス
8/8

殺戮の美少女(笑

 相変わらずその場から動こうとしない彼女……白星

 ミルエダを視界に捉える。自身は透明化の魔法を使用するが、大凡気配は見つかっているだろう。それくらいは見分けてくれなければ戦いにならない。


 大口を叩くが内心は焦っていた。


 心臓が締め付けられるほど鼓動を早め、筋肉は疲れが溜まってるのか思うように動かない。

 息は少しずつ上がり、頭に回す酸素が行き渡り難くなる。

 小剣で幻術の光剣を弾き、実在する光剣は当たった直後に転移し回避する。その度に爆発で内臓にダメージを受けるがすぐさま回復する。


 魔力消費はそこまで大きくはないにしろ長時間は持つはずもない。


 拮抗……まさにその状況。


 ドパッン


 弾丸を打ち込んでも彼女の眼前に貼られている不可視のバリアによって防がれる。光属性のバリアなのか……?

 見えないとなるとその線が高いか……。


 四次元ポケットから死榴弾を取り出しピンを抜く。


『逆流転移』


 バリアの中に直接死榴弾を送り込む。


 時間差で四つほど送り込む。


 更に、転移出来ぬように『転移阻害・転移爆撃』それら二つも練りこみあたり一帯四方三キロに及ぶ超巨大正方形型の結界を張る。


 更に、身動きを取れぬように『固有結界・石塚の遺跡』を練りこみ彼女を取り込む

 半径三メートルほどの球体が彼女を中心にして現れた。薄っすらとピンク色のそのバリアは正六角形の図形が綺麗に並び美しい球体を作り出す。


 何事かと彼女は眉をしかめた。


 そして、気がついた……自身の眼前に見覚えのある黒い球体が現れた事に、急ぎ転移をするため魔力を練るが、すでに遅い転移阻害により転移出来ずそして転移爆撃による魔力分散により転移に必要とされる魔力が分散される。(それ以外の魔法は練る事は可能)


 それならばと移動をしようとするが、固有結界・石塚の遺跡により球体に閉じ込められている事が分かった今……彼女は目の前に現れた球体をバリアによって閉じ込めることにした。


 そして、それが無意味に終わることを次の瞬間に思い知ることになったのだ。

 魔力というものは練るのに一定の時間が掛かる。それに、集中力も使うため意識が乱れると練った魔力というのは分散しがちになるのだ。


 まさにそれを引き起こしたのは、二つ目の死榴弾。

 一つ目の死榴弾が爆破するまで時間は凡そ0.3秒。


 クレアは笑った……ったと。


「ぐぞがぁぁぁあああ!!!」


 狂ったようにミルエダは叫び、爆発に備え体を小さく丸めた。



 球体が青白い爆炎に包まれる。音は聞こえない。全て球体によって防がれる。

 熱も感じない、ただ見えるのは一人の女が丸焦げになる姿のみ。

 一度目の爆発、二度目の爆発、三度目の爆発、そして、最後、四つ目の爆発…………。


『解除』


 ガラスが飛び散り、丸焦げになった肉塊がどさりと地面に倒れこんだ。


 目はとろりと落ち、腕からは骨が見える。内臓は燃え尽き、糞尿がお尻から垂れる。


 酷い……というのはこういう事を指すのかとクレアは口を覆い隠す。


 ミルエダは死屍累々……完全に死んではいない。魔法使いの生命力は底知れないがこれは死にかけである。あと一つ何かがあれば死ぬ。小石の一つでも投げれば殺せるだろう。


 それ程の力しか残っていない……。

 子供でも殺せる。時間が経てば殺せる。反抗も出来ない。反抗する意思など毛頭ない。今働いている機能はただ『生きたい』という本能に刻まれた思考だけだろう……。



 ふっ、やっとくたばったわね……。


「完全回復・麻痺・重力3.5倍」


 こんなものかしらね?


「ゲホッ、熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い」

 彼女の口から出た言葉はそれだけ、でも、意味は伝わる。

「水」


 空中から水を作り出し、彼女、ミリエダにかけた。


 ジュウ〜と湯煙が上がり、彼女の温度を下げてあげた。

「あ、りがとう」

 素っ裸のミリエダを銃口でつつく。

「いった!!!」

 麻痺が効いているのか、触られたところが痺れるのか手を伸ばす。そして。


「いたたたたたたた!!!」

「ぷぅ、クスクスクスクス〜」


 爆笑必至のクレアは涙を流しながら笑っていた。

「お前、何した」

「お前じゃないわ、クレアよ」

「おま、クレアさんよ。一体何した?!」

「えーと、とりあえず生き返らせて。麻痺と重力魔法をかけたわ」


 目を丸くしたミルエダは口を開けた。

「……? は?」

「聞こえなかったの?」

「違うわい、なんでそんなことしたの?」

「だって……」


 唇を持ち上げ三日月のように丸くしたクレアはミルエダの耳元でそっと呟いた。

「面白い、じゃない」


「…………え、」

「今のあなたの姿、変態ぽくて滑稽よ」

「ぐぞが!!!!!! 末代まで呪ってやるからなこの雌豚が!」


 ペチペチと地面を叩き笑を抱えて笑うクレアを心の底から軽蔑し地面を手で削り取っていた。


 唇を噛み、目からは涙を流す。




「飽きた……」


『瞬間移動』

 言葉を紡ぎ、彼女をランダムに飛ばした。多分ここからかなり遠いところ……?



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