3話 [第二の人生開幕!!]
夢か? 夢なのか? 確かに俺、一度は異世界に行ってみたいなーとか馬鹿げたことを考えたりしたけど・・・この状況は一体・・・
「ピィイイッッ!!!」
とりあえずこの鳥から赤ん坊を助けないと・・・どうやってだよ!!!
いっそ夢なら! 明晰夢だったらこんな状況にはならないのにな! とりあえず念じてみよう
鳥よ消えろー!!
「ピイイイイイイイ!!」
やっぱり現実ですよねはいっ!
えっちょっ、やばいなんか俺のこと見えてるのか? 凝視してくるぞこの鳥!!
こっちに向かってくる!? どうするどうするどうする!!!!
─────スカッ
「!?」
ああ、そうだ、俺今霊体だから攻撃当たらないんだ!
「ピイーーーッ」
そんな悠長なことを考えている内に、鳥は俺への攻撃を諦め、赤ん坊に襲いかかる。
身体のない幽霊には、この小さな命を見殺しにするしか出来ないのだろうか?どうすれば、どうすればいい!?
赤ん坊は衰弱しきっていて、今にも死にそうだ・・・考えろ、思い出せ。
゛絶対に生身の人間と同化しようなんて考えてはいけませんよ゛
同化・・・一か八か・・・俺ができる最善の行動なんて、正解なんて分からないが・・・見殺しになんてしたくはない!!
俺は強く ゛救いたい゛ と願った。同化なんてどうすればできるかなんて分からないはずなのに、体が勝手に動いた。
────あたり一面が光に包み込まれる。鳥は怯んで落下した。
感覚なんて霊体だから無かったはずなのに、体が重いと感じる。
゛俺と赤ん坊゛が一体となってゆく感覚。俺の魂が赤ん坊の体にフィットしていく・・・これが同化か・・・。
って、ちょっと待てちょっと待てい!!
ウェルスさんに気のなったことを質問していた時、そういえば同化について少し説明してもらったんだった! どうでもいいやって聞き逃していたけど、
((同化すると、幽霊の方の魂は消滅してしまいましてねぇ。その代わり生身の人間は゛奇跡゛を貰えるのですよ。))
だっけか? その奇跡にかけてみたんだが・・・俺の魂消滅してないじゃん!!
何でだ!!!
「らぁでらぁっ!!!」
お、おう。一応声は出せるのか・・・
──────ドスン・・・ドッ
な、なんだこの音!? そういえばあの鳥どうなったんだろ・・・
「ピィイイイイイイイ!!」
次の瞬間、俺の視界は赤色に染まった。
俺の血ではなく、鳥の血で・・・
なんじゃこりゃあああ!! いや血だけども!!
「なじこりゃああ!! いあちじゃけろ!!」
困惑している俺に、お兄さんっぽい声(?)の人(?)が話しかけてくる。いや、独り言か?
『何故こんな場所に赤子がいるのだ・・・ここは貴様のようなか弱いものが来るべき場所ではなかろうに・・・』
やけに轟く声だな。とりあえず助けてくれた(?)お礼を言っておこう。
・・・というより起き上がれないから恩人さんの顔すら見れないんだが・・・そこは了承していただきたい。
なんせ今、俺、赤ん坊だから!! 認めたくないけど!!
助けていただきありがとうございます。ところでここはどこなのでしょうか??
「あうけていたあいてあいあとうございあしゅ!ちょころでここあどこなのでございあしょーか??」
前世の母さん! 俺ちゃんとお礼言えたよ! 初お礼だよ! やったな! アハハハハ!!
・・・今頃なんだが、異世界でも日本語を使っているんだなー。
『!? 赤子がこんなにも喋れるものなのか??
・・・やはり、おかしな魂が来たと思ったら・・・っハッハ。面白いではないか!』
なんか一人で盛り上がっているなー。きっと独り言の多い人なんだろう。愉快な人だな!
・・・とりあえず起こして貰おう。
すみませんが、このままだと貴方の顔が見えないので、起こして頂けませんか?
「しゅむませんが、このまあだと、あなちゃにょかおがみえないろで、おこしていたたけませんか?」
お、喋るのに慣れてきたぞ! 流石精神年齢26歳! やればできるな!
『・・・まぁ、よいだろう。その代わり後悔するでないぞ?』
渋々ながらも優しく起き上がらせてくれた。というより、うつ伏せにしてくれた。なんかこう、モフっとしたもので・・・。俺は一瞬固まった。
フサフサの蜂蜜色の鬣に、枯草色の胴体。俺から見て右耳には瞳と同じのコバルトブルーの三角形のピアスをつけた─────
百獣の王と名高いライオン様がいました。ああっ、第二の人生閉幕決定ですね、はい。
美味しくないから食べないでくださーいっ! きっと将来有望な人間になりますんで!!
「おーしくないからたべないれくさーいっ! きっとしょうりゃいゆーぼーなにんげんになりましゅんで!!」
話が通じるだけ良かった。
この俺の話術で恩人さんを感化させてみせよう!!
話術て言ってもそんな大したもんは持っていないけどなんとかなる!!
人生適当にやり過ごせばなんとかなるさ! 多分! 頑張れ俺!!
『っハッハ。泣かぬのか、赤子なのに大した器だな。この姿を見た者は涙を流して逃げていく者ばかりだったぞ。老若男女、全てな。』
面白いものを見つけた子供のような瞳でこちらを見てくる。もしかしてこのイケモン(イケメンモンスター)、いいモンスターなのでは!!
逃げるなんてとんでもない! 恩人さんには感謝しかありませんよ!
「にげうなんてとんでもらい! おんじんしゃんにはかんしゃしかありあせんよ!」
『やはり貴様は面白いな。名はなんという??』
そういえば、この赤ん坊の名前、なんて言うんだろ?
考えてもみなかった! これからこの世界で生きていくには名前って重要だよな!? とりあえず正直に言ってみよう。
それが、分からないんですよ・・・
「しょれが、わからないんれすよ・・・」
『そうか。名前が無いとは不便だな。』
確かに不便だ・・・名前って、自分で付けてもいいものなのか??まあ、恩人さんを困り顔のままにしておくのは忍びないしな・・・!!
「──ユアド。」
ゲームでよく付けていた名前を、いつの間にか口走っていた。