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運命の分かれ道
視界が悪い。お腹もすいた。体もだるい…。
冷えという感覚を体に感じることが多くなってきた秋。僕は何度も人間たちに声をかけられた。
そしてある日、この日がやってきた。
車の中に檻がある。
人間の大人や子供が悲しそうな目で僕を見つめる。おじさんが僕を抱き、檻の中に入れようとした瞬間、僕は宅配便の制服を着たおじさんに優しく抱かれた。
その後軽く体を洗われ、僕は暖かな家に連れてこられたんだ。
家に入るなりキャーと、子供2人が駆け寄ってきた。そして、代わる代わる僕を抱き、頭を撫でていく。昼間の人たちとは違うあたたかさを感じた。
そして、姉曰く、最初で最後という家族会議が開かれ、僕の運命を勝手に決めたのだ。そして、
“サル”
これが僕の名だ。
猫なのにサル。似ているからだそうが、ひどい名前だ。僕は猫である。
こうして僕は自分の意思とは関係なくこの家の家族になってしまったのだ。