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序
「もう、好きじゃない。」
その言葉で目が覚める。
毎日という訳ではないが、
気持ちが落ち込んだ日の夜は
大抵この夢が僕を迎えてくれる。
4~5年経ったと思う。
それでも僕にとって君は、
まだ特別の枠からはみ出しそうもない。
君にとっての僕は、
当時ならば特別であったと自負している。
じゃあ、今はどうなのだろうか。
社会人になって、
僕は地元から東京へ出てきた。
お上りである。
右も左も分からず、
ラッシュに巻き込まれながら忙しい1ヶ月が過ぎた。
自分が社会人になったことに自分が1番実感を持てていない。
人の群れが流れている現実から目を背けたくて、上を見る。
皆の言う「空が狭い」という表現に納得がいった。
ただ、今は、
社会人になる前の僕を思い出したい。
寝覚めの悪い夢の原因。
僕の最初かつ最新の恋の話。
いわゆる「コイバナ」である。
始まりは高校一年生の時だ。