4話 異世界でコミュニケーション
「はぁ…これからどうなるんだかねぇ…あなたはどう思う?」
片言おじいちゃんと会話できない君は一旦放置して、素数を数えてた子に話しかけてみる。
「………………」
「もしもーし?」
「………………」
「ちょっとー?聞こえてますかー?」
「………………」
(ダーメだ、こりゃ。こいつも会話できねぇ…)
今のところ、ろくに会話ができなくてしょんぼりしているとガチャガチャと音を立てて誰かが近づいてくる。そちらに顔を向けるとそこにはいわゆる騎士みたいな格好をした人がいた。
(おぉ…すごいまともそうだ!この人となら会話できそう「○○○○、☆☆☆☆€€€€$$%%=¥¥¥=$$$$$$$$$$$?」じゃなかったわ。何言ってるかわからなくて辛い)
やっと会話できると思ったものの、今度は言葉の壁にぶつかり、絶望した。
またもしょんぼりしていると騎士が何かをぼやくと、そのぼやきに反応して素数君が顔を上げる。
「『普通』の人はそうするんですか!?」
(……は?オレとは会話しないのにその騎士さんとは会話すんのかよ!てか今、騎士さんの言葉に反応しなかったか?………え、まさか英語とかだったりするのか?でも英語っぽくはないしなぁ…そういえば会話できない君が異世界がどうこう言ってたな…まさか異世界の言葉ってなのか…?)
考え事をしている間も騎士さんと素数君は会話を続けている。
(…ん?騎士さんは変わらず異世界の言葉らしき言葉を話してるけど、素数君は日本語だな。なんで会話成立してんの?意味がわからん)
とりあえず、言葉の壁問題は置いて、素数君にもう一度素数君に話しかける。
「会話してる中、悪いんだけど、ちょっといい?君はこの人達が何言ってるかわかるの?」
「え?だって日本語話してるからわかりますよ?」
「は?に…ほん…ご?日本語なんて話してないだろ!」
「え?話してますよ?」
(ど、どういうことだってばよ!?意味がわからなさすぎて、吐きそう)
吐き気に耐えていると片言おじいちゃんと会話できない君が近づいてきた。
「あれ?君は言語翻訳のスキルを持っていないのかい?」
「は?スキル?なんのこと?」
「というか君、何もスキル持ってないじゃないか!どうこうことだ!」
「いやいや、こっちが聞きたいんですけど?スキルって何?」
「はぁ…まさかこんなのが一緒だとは最悪だ…」
(こいつぅ…さっきからこっちの話は一切聞かねえな!あれか、自分の聞きたいこと以外は何も聞かないってか!)
「君には説明がいるみたいだけど、一旦僕に着いてきてくれ」
「ちょ、どこに連れてくんだよ!おい、それぐらい教えろよ、おい?おい!」
そのまま会話できない君と素数君と一緒にどこかに連れて行かれることになった。