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エッセイ&短編

ー蕾ー 咲け恋花 私→彼氏

作者: 蒼龍 葵

 私がずっと大好きだった幼馴染は、両親の転勤で大阪に行ってしまったが、三年後にまた同じ家に戻ってきた。


 彼が居ない三年間、私は陰湿な虐めを受けていた。多分、男女関係なく誰にでも明るくフレンドリーに接していた事で、クラスの女子から反感を買っていたらしい。


「何、ぼーっとしてんねん。ほら、帰るで」


 彼は恵まれた長身にすらりと伸びた手足、ダークブラウンの短髪に、切れ長の瞳。

 まるで一枚の絵のような彼はモテる。

 ある日、私が虐めを受けていると知った幼馴染から、少しだけ強引な告白をされた。


「しゃーないから、俺が傍で守ったる」


 私が返した満面の笑みに、彼は少しだけ顔を赤らめていた。


 彼はただカッコいいだけじゃない。

 持ち前の、明るくムードメーカー的な性格で弱きを守る。ただ守るだけじゃなくて、自分の発言に責任を持っている。

 弱っている人には手を差し伸べ、陰口や悪意ある人には全力で牙を向ける。


 私が弱い事を誰よりも知りながら、そっと背中を押してくれる。真摯な言葉と態度で私を全てから守ってくれる強い態度が、私の心を鷲掴みにする。


「あ、それ私のバッグ」

「お前がぼーっとしとるからや。没収」

「ひっどーい! ねぇ、返してよ〜」


 わざと右手で私のバッグを持ってくれる彼の空いている左手を見つけた私は、にっこり微笑み、彼の手に指を絡めて恋人繋ぎをした。


「……手なんて、三秒で繋げるんだよ?」


 ドヤ顔して見上げた彼は、私の額にちゅっと不意打ちのキスをした。


「ふぇっ?!」

「俺の計画、邪魔したからや」

「……お仕置き? てへっ」

「お仕置きで喜ぶな、帰るで」


 これから沢山楽しいことが待っているだろう。彼が側にいるだけで、私の弱い心や不安が払拭されていく。

 それがあるから私の本当の笑顔を、彼に向けることができる。


 そうだ。もっと彼の愚痴を聞いて、楽しい話をして、お互いに間違った事は指摘しあって。他愛ない話も沢山しよう。

 これからも、毎日ドキドキさせてもらわなきゃ。


 彼の暖かくて、大きな左手をきゅっと握る。

 それが私の、唯一の我儘。

 あなたの左側は、もう誰にも渡さないぞっ!

とある企画の女性視点バージョン。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほのぼのした愛らしいヒロイン像。 [一言] この度は如月冬華のコラボしよう企画ご参加ありがとうございます。 辻村恭さんとナイスな掛け合いで台詞、テンポが揃っていたのでかなり練り上げた内容か…
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