表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/13

視力の話

異常に目が悪い。

コンタクトは怖いので、メガネを愛用しているが、メガネを掛けていても夕方以降、自転車に乗るのは控えている。

人を引いたら困るからである。


母曰く、私は超難産だったらしい。

生まれたとき、チアノーゼが出ていて、体重は3000gを越えていたのに保育器に数日入れられていたそうだ。

生まれるときに頭の辺りで引っ掛かっている時間が長かったので、視力に影響が出たのではないか、というのだ。


そのわりに、母は私になかなかメガネを掛けさせてくれなかった。

教室の一番前の席に座っていてなお黒板の字が読めないのに、である。

お陰さまで、小学校6年生まで、私は無駄にアホだった。

ノートをとれないのだから、そりゃ成績が伸びる訳がない。

6年のときの担任のクラゲ先生が家庭訪問で、「お母さん、愛さんはほんとに目が見えていません。メガネ作ってあげてください。」と言ってくれるまで、私はほぼ直感だけで生きていたのである。

初めてメガネを作りに行ったときには、すでに両目で0.1も視力がなかった。

ちなみに、母がメガネを作ってくれなかった理由は、「メガネっ子にしたくなかったから。」だそうだ。

ならもうちょっと上手に出産してくれ....。


でもそのお陰で、大人になってから一度だけ行った小さな眼科では、少々面白い体験ができた。


まず、視力検査である。

当然、裸眼では両目で見ても一番上の輪っかが見えない。

そうすると、おもむろに看護師さんが胸の辺りに手を掲げてゆーっくりゆーっくり近寄ってきた。

「ハイこれ何本かわかりますかぁわかりますかぁー。」

怖い。

要は看護師は指を何本か立てていて、それがわかった地点で私の視力を予想しよう、と言うのである。

早く答えなければ、このおばちゃんはどこまでもゆーっくりゆーっくり接近してくるのだ。

「さ、3本!」

「はい、診察室へどうぞー。」

今もって、これで私の視力がどれだけ正確に測れたのか、よくわからない。


次に診察である。

なかなかご高齢のおじいちゃん先生は言った。

「うん。あなたはね、目を使わない職業に就きなさい。どんどん悪くなるだけだから。処方箋出しとくからねー。」

.....目を使わない職業。

面白いことを言う。

一応、なんとなくは見えていて、とりあえずメガネで矯正もできていたにもかかわらずのこの診察。

ただ者ではない。

だが、それでは困るのである。

だからこの病院には(面白かったけど)二度と行かなかった。


実はもうそろそろ、メガネでは矯正できないところまで、私の視力は低下している。

コンタクトならまだいけるのか?

そこら辺は病院に行っていないのでわからないが。

しかし、さすがは年の功。

あのおじいちゃん先生の診察は、超アナログでアバウトなわりに正確だったなと、スマホのちぃさぁい字をポチポチと打ちながら思う。


ごめんね、せんせ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ